韓国の研究所で働いてわかった日韓の働き方の違い
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私は韓国の気象研究所にウェブ・アプリケーション開発のスタッフとして3年間勤務していました。
私以外にも外国人研究員が多く、インドや中国、マレーシアなどアジアの人がいました。外国人研究者は研究の進め方などが韓国人研究者と違うことが多く、会議が難航することも。
それに比べて日本と韓国は、上からの方針に従おうとする点、仕事の期限や決まりをしっかり守ろうとする点、周りとの強調を重んじる点など、似ているところが多いと感じました。
しかしやはり、異なる部分はあります。中でも、特に韓国らしいと思った点をご紹介します。
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記事の目次
韓国の仕事文化1. 職場での呼称が複雑
韓国で働き始めて最初にカルチャーショックを受け、結局最後まで馴染むことができなかったのが呼称です。
上司は「部長様」「主任様」
韓国では、上司に対しての敬称は◯部長様(ブジャンニム)、◯主任様(ジュイムニム)と、役職に様まで付けます。◯には相手の姓が入ります。
例えば、キム・ウンジュ部長の場合は、キム部長様(キム・ジャンニム)となります。ただ、韓国にはキムさんがたくさんいるので、キム部長様が他にもいる場合は下の名前まで入れてキム・ウンジュ部長様と呼んだりもします。
ここまでは、私も普通に馴染むことができました。問題は、少し親しくなった人の呼び方です。
親しくなった年上に対する呼び方
韓国では職場に限らず、親しくなった年上の相手をお姉さん、お兄さん、と家族に対する呼び方で呼ぶようになります。
自分が女の場合は、お姉さん(オンニ)、お兄さん(オッパ)。自分が男の場合は、お姉さん(ヌナ)、お兄さん(ヒョン)となります。自分の性別によって相手の呼称が変わるのが特徴です。
例えば、キム・ウンジュ部長(女)と親しくなれば、私は女なのでウンジュ・オンニと呼ぶことになります。オンニの前には相手の下の名前を付けます。
逆に私よりも年下の人からは、私もオンニと呼ばれるようになります。
これが、韓国に住む多くの日本人がよく馴染めずにいる呼称の文化です。実の家族ではないのに、お姉さんと呼ばれたり、呼んだりするのには少し抵抗がありますよね?
親しくなった年下に対する呼び方
年下に対しては、あまり日本と変わりません。ニックネームや下の名前で呼んだりします。
呼称が決まっていない場合は「氏(シ)」
日本の「さん」に値する呼称もあります。氏(シ)です。キム・ウンジュさんの場合は、キム・ウンジュ・シと呼びます。「シ」の前はフルネームか、下の名前です。
役職のない人に対してや、あまり親しくなっていない年下に対してなど、特に呼称が決まっていない人に対して使われます。
ただ、韓国では10歳以上離れた年上の人に向かって「◯◯シ」と呼ぶのは少し失礼なようです。年齢が離れていて呼び方が分からない場合は「何と呼んだら良いですか?」と聞くと間違いがないでしょう。
親しい年配の人で特に役職がなければ、◯◯伯母さん(イモ)や◯◯伯父さん(サムチョン)など、家族の呼称をつけたりします。
韓国の仕事文化2. 社外でも身内に敬語
韓国にも日本と同じように敬語や丁寧語があります。会社では上司や年上の人に尊敬語を使うのはもちろん、親しくなってオンニなどと呼ぶようになった年上の人に対しても丁寧語を使った方がいいようです。
日本と使い方が違って注意しないといけないのは、外の人に向かっても身内に謙譲語を使わないということです。
目上の相手はどんな場面でも立てる
日本では、例え社長であっても外部の人には「うちの◯◯が申しております」のように謙譲語を使ってへりくだります。ところが、韓国で自分の会社の社長のことをこのように言おうものなら大変なことになります。
韓国では、キム部長のことを外の人に向かって言う場合は「キム部長様がおっしゃいました」のようにそのまま尊敬語で表現しないといけません。
韓国にも一応、謙譲語がありますが、数も少なくあまり意識することはありません。基本的には目上の相手には内外関係なく尊敬語を使っていれば問題ないということです。
韓国の仕事文化3. 電話は折り返さない
韓国では、社外から電話があり担当者が不在でも折り返し電話をかけたりはしません。つまり、用事がある方が何度でもかけ直さないといけないのです。
これは、私が韓国で働き始めて1年くらい経ってからやっと気づいたことです。
日本だったら、担当者が不在の場合は「戻ってきたら折り返しますのでお名前と連絡先を……」というのが電話のマナーの基本中の基本であるはず。
私は当然、韓国でも同じだと疑いもせず「折り返します」と言って連絡先を確かめ、本人のデスクにメモを残していました。
周りにメモを残す人はいなかった
でもなぜか、メモを貼られた人が不機嫌になることが何度かあったのです。かけ直してほしいと言われたの?と、腑に落ちない顔で確かめられることもありました。
何度もそんなことがあってからようやく、周りの人達が社外からの電話にも「◯◯は今いません。かけ直してください」と対応しているのに気づきました。
電話をかけてきている側も怒ることなく、目的を果たすまで何度も電話をかけ直してきます。
韓国では、電話を折り返す必要はありません。
韓国の仕事文化4. お弁当のおかずはみんなでシェア
仕事文化というよりは、職場文化と表現した方がいいかもしれません。
研究所では、昼食はお弁当を持ってきて食べる人が大多数でした。お昼休みになると、休憩室にある大きな丸テーブルを囲んでみんなでワイワイお弁当を広げていました。
日本と違うのは、持ってきたお弁当のおかずをみんなで分け合って食べること。
韓国の食事は米食中心で、お弁当もご飯とおかずという組み合わせが基本です。ご飯は各自持ってきたものを食べますが、持ってきたおかずはテーブルの中央に置いて、みんなでシェアします。
ご飯さえあればOK
これだと栄養が偏らなくて済むし、自分で何種類もおかずを用意する必要もなく合理的です。お弁当を用意する時間がない時は、ご飯と海苔だけ持っていってもなんとかなります。
独身で一人暮らしの男の人は、パックごはんだけを持ってきて、おかずは他の人が持ってきたのをもらったりもしていました。
韓国の仕事文化5. お客様への飲み物はミックスコーヒーが定番
日本で社外からお客さんが来るとお茶やコーヒーなどを出すように、韓国でも飲み物を出します。
韓国のコーヒー
韓国の飲み物で代表的なものが、ミックスコーヒーと呼ばれるインスタントコーヒーです。小さなスティック状の包装にインスタントコーヒーと砂糖、ミルク粉末が入っていて、とっても甘いコーヒーです。
どこの会社に行っても、給湯室には必ずと言ってよいほどこのミックスコーヒーが置いてあるはずです。いろんなメーカーから販売されていて、スーパーでもミックスコーヒーには大きなコーナースペースが取られています。
一方、最近はスターバックスが火付け役となって、韓国でも豆から淹れるコーヒーが普及しました。豆から淹れるコーヒーはミックスコーヒーと区別され、原豆コーヒー(ウォンドゥ・コーヒー)と呼ばれています。
お客さんに好みを聞く
このように、韓国には大きく分けてミックスコーヒーと原豆コーヒーの2種類のコーヒーがあります。
韓国の会社にお客さんが来るとなされる会話は、以下のようになります。
「コーヒーをお持ちしましょうか?」
「はい、お願いします」
「ミックスコーヒーでいいですか?原豆もありますが」
「いえ、ミックスコーヒーで」
まとめ~従順でも卑下はしない
日本よりも儒教文化が強い韓国では、職場での上下関係が日本よりもはっきりしています。それが、呼称や言葉の使い方にもよく表れています。また、上からの指示に対しても日本よりも従順です。
一方で、謙譲語があまりないことや、電話で折り返しをしないことなどからわかるように、韓国では相手に対して自分を下げることはあまりしません。
下手に身内を下げてしまうと、よっぽどダメな人なのかな?と疑われてしまいかねないので気をつけましょう。
その他の点においては、日本人も韓国人も勤勉で、働き方にあまり大きな差はないと感じました。
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