アメリカのメモリアルデーとは?過去の米兵たちによるローリング・サンダー
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広大な国、アメリカ。そのイメージは、ハイウェイをハーレーダビッドソンで走り、革ジャンにサングラス、そしてくわえタバコで気持ちよく仲間たちとつるむワイルドな男たちの集まり。
モーターサイクルのツーリング者たちと、戦死者追悼日である「メモリアルデー」とは、どんな繋がりがあるのでしょうか?
ここでは、メモリアルデーについて説明し、ローリング・サンダーと呼ばれるそのツーリング団体について、ご紹介していきます。
記事の目次
メモリアルデーとは?
メモリアルデーは米連邦政府が定める祝日で、毎年5月の最終月曜日とされています。また、戦没者追悼記念日とも呼ばれます。この日に、国のために戦争で亡くなった兵士たちを国民が追悼します。
公共の至る所に星条旗が立ち並び、アメリカに貢献した兵士たちを思い返させます。毎年、ワシントンDCでは、メモリアルデー・パレードが開催されます。
アメリカでも暦の上では、夏の到来は日本と同じ夏至に当たりますが、メモリアルデーを境にいろいろな行事をもって夏が始まります。
例えば、あちこちでプール開きになったり、動物園や遊園地などの開園時間も長くなります。そして、学校によってはこの日以降、夏休みが始まります。
私の息子たちの学校はこの3週間後に夏休みが始まりますが、一般的にこの日を境に、9月のレイバーデーまでは夏休みムードになり、会社でまとめて2〜3週間の夏休みを取る人が増えてきます。
ローリング・サンダー(Rolling Thunder)とは ?
ローリング・サンダーの発端は、1987年ベトナム戦争で戦った旧兵士4人がワシントンDCに集まったことから始まります。
ベトナム戦争で捕虜になった兵士や、ベトナムに置き去りにされた兵士をアメリカへ連れ戻すべきだと、米政府へ訴えたことがきっかけです。
その翌年、旧兵士たちグループやモーターサイクルクラブの雑誌などに呼びかけがあり、2500人がハーレーダビッドソン等のバイクで走行デモを繰り広げました。
20年前、私がアメリカ留学でバージニアに来たときにはすでに、ローリング・サンダーのラリーは確立されており、年々その数は増えています。
2017年は90万人以上が参加したようですが、正規に登録していない人を含めるとその数はさらに上回っていると言えます。
ワシントンDCに毎年来るローリング・サンダーたち
毎年メモリアルデー前の日曜日に、雷のような振動を起こしながら、大量のモーターサイクルの行列で走行するモーターサイクルの集団を見ることができます。
バージニアからワシントンDCまでの指定された区間でのみ走行デモが行われます。毎年、このデモの参加者は増えており、最近の参加者はローリング・サンダーのデモの意味を知って参加しているとは思えません。
ただ、遠いところからは西部カリフォルニアから遥々モーターサイクルで参加する人たちも見かけます。「バイク好きのお祭り」と言っても過言ではありません。
数年前に、ローリング・サンダーの走行デモを見るため、デモとは反対側のハイウェイ車線を車で走り、どのくらいのモーターサイクルが走っているのか家族でじっくり観察しました。
その数は想像を超え、およそ5キロ以上の走行デモだったことを記憶しています。また、雷音のような迫力と黒の革ジャンの衣服をまとうライダーたちを見ていると、まるで映画を見ているような圧倒感があり、そのかっこよさに魅了されます。
メモリアルデーの歴史
メモリアルデーの発端は、アメリカ南北戦争時期に遡ります。
歴史上、はっきりと記録されているのは、1861年6月3日に南北戦争が盛んだったバージニア州ワレントン市にて、戦争で亡くなった兵士たちのお墓参りで献花をしたことだと言われています。
その他、アメリカで戦争が行われた南北各地の州で、同時期に戦死者を敬う集いやパレードが行われたそうです。
その後、各地域では親戚が集まるのが習慣となりました。メモリアルデーが確立してきたのは第二次世界大戦後で、1967年には正式に5月30日が祝日と定められました。
その後、祝日は週末を含めた方が便利なことから、正式に1971年から5月の最終月曜日に各地で、パレードなどの大規模な追悼記念行事が行われるようになったのです。
家族や親戚が集まる機会も兼ねているため、私はこのメモリアルデーが日本のお盆と似ていると思います。
日本でも8月15日の終戦記念日に戦争で犠牲になった人たちを思い出し、戦争について考え、そしてお盆には実家へ帰省することと同じ感覚と考えれば、日本人にはしっくりくるかと思います。
メモリアルデーの過ごし方
米政府によりメモリアルデーが週末に続くことで3連休を構成すると制定されたため、この休日は主に家族でピクニックをしたり、スポーツ大会などのイベントに使われたりすることが多いです。
元々はアメリカの国のために戦死者として犠牲になった兵士たちを思い出して花を飾ったり、黙祷を捧げたりしていたのですが、今では家族や親戚たちが集まってのんびり過ごす日になっています。
我が家もそうですが、一般的に朝、ローリング・サンダーのモーターサイクル集団をハイウェイ上の橋から見渡し、手を振るのが毎年恒例です。
また、住んでいる市でメモリアルデー・パレードが行われるので、そのパレードを見に行って屋台のレモネードやチキングリルを買うこともあります。
子供が大きくなるに連れて、実際に参加する機会があり、リトルリーグの一員としてパレードに出た年もありました。パレードを観に行かない年は、自宅の庭でホットドッグやハンバーガーをグリル焼きにし、家族や友達と一緒にのんびりと過ごします。
まとめ
メモリアルデーの元々の由来は、国のためにつくし、亡くなった兵士たちを思い出す日でした。しかし、ローリング・サンダーのデモとラリーにより、モーターサイクルのツーリングのお祭りとなりつつあります。
しかし、現在でも家族・親戚同士で集まって過ごす点では変わりはありません。毎年、ハイウェイから雷の唸(うな)るような音を聞くと、「そろそろ、メモリアルデーの時期が来たなぁ。」と思います。
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