海外転職でチェックすべき福利厚生の4つのポイント
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海外転職にあたり、職務の内容や報酬と並んで重要なポイントである福利厚生。これに注目しない人はいませんよね。
通常、日本の企業の福利厚生は、各種社会保険や通勤交通費、住宅補助、家族手当といった基本的なものから、スキルアップのための勉強会、さまざまな施設を割引利用できる特典まで幅広いですが、海外ではどのようになっているのでしょうか。
ここでは、海外転職で必ずチェックすべき福利厚生のポイントを考えてみます。
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記事の目次
海外転職における福利厚生とは
まず注意しなければならないことは、海外の企業に日本の常識を当てはめてはいけないということです。国が違えば、言葉や食べ物、ライフスタイルだけでなく、ビジネス習慣や法律などもすべて異なります。場合によっては、ひとことで文化の違いと片付けることもできないほどの大きな、そして複雑なギャップがあるものです。
日本の常識は日本人が「常識」と思っているだけで、外国人から見たら「非常識」であるものも多いのです。そのため海外では日本の常識を忘れて、福利厚生はその国の実情に合ったレベルで充実していればよいのだという風にとらえましょう。
それでは、海外で働く場合に注目しなければいけない福利厚生のポイントをご説明していきます。
ポイント1. 就労ビザ取得のためのサポート
ここでいうサポートとは、就労ビザの取得に関わる費用の補助や、ビザ取得のために企業側がどの程度動いてくれるのかということです。
海外転職では、就労ビザは必須です。誰もが避けては通れない最重要なチェック項目です。ただ、ビザ制度は国によって異なり、就労ビザ取得にかかる費用や時間、取得の手順などは国の数だけパターンがあるといっても過言ではありません。
まずは、働きたいと思っている国の就労ビザに関する情報を調べましょう。そして、実際に転職を決める際には、人事担当者に就労ビザ関連事項の確認をすることが必須です。
会社に直接、確認しておくべき事項
- 就労ビザが取得できるかどうか
- 就労ビザ取得のための費用補助の有無
- 就労ビザ取得のための手続きサポートの有無
- 就労ビザ取得までの大まかな流れ
- 就労ビザ申請に必要な書類など
そもそも就労ビザが出るのかどうかということから、取得にかかる費用を自分と会社のどちらが出すのか、ビザ取得までの流れはどうなっているのかということまで、しっかり把握することが重要です。
海外求人サイトや転職サイトには、就労ビザの取得をサポートしてくれるか否かについての情報が記されていますが、必ず面接時に直接確認するようにしましょう。
就労ビザ取得費用は負担してもらえるのか
基本的には、ビザの取得費用は採用する企業側が負担することが多いのですが、企業によって異なります。以下の3つのパターンが考えられます。
- 全額を自己負担
- 全額を企業側が負担
- 一部を企業側が補助
1の全額自己負担の場合は、ビザ取得時に企業側がいったん支払い、勤務開始後に本人の給料から天引きする方法もあります。
また、3の「一部補助あり」で気を付けなければならないのは、具体的に補助はどのくらいなのか、結局自己負担はどのくらいになるのか、ということです。補助として受け取れる金額には上限があることも多く、その場合は取得費用全額の何パーセント分に当たるのか、よく調べて試算してみましょう。
これらの点は、前もって確認するのが必須です。働く側としては、全額自己負担だけは避けたいものです。
スムーズな就労ビザ取得サポートが受けられる企業とは
それでは、どんな会社ならスムーズに全額または一部補助を含むビザ取得サポートが受けられるのでしょうか。
取得費用を全額負担してもらえるケースの多くは、採用企業が大手の日系企業の場合です。大手の日系企業は福利厚生が充実しているため、手続きを含めたビザのサポートもしっかりしています。
また、外国人を多く雇っている企業も万全なビザサポートを行っているところが多い印象です。外国人スタッフの採用実績が重なるとともに、就労ビザの取得に関する手続きもスムーズになっているためと考えられます。
就労ビザ取得サポートが十分でない企業とは
一方で、個人で海外起業した日本人が率いる会社や外国人スタッフが少ない会社、現地ローカルの会社などでは、就労ビザの取得に慣れていないことがあります。そのような会社の場合だと、申請作業をすべて本人が行うこともあります。
実際に筆者の知り合いの会社では、初めて現地で社員を採用した際に就労ビザの申請方法が分からず、すべて本人にやらせるということがありました。
その本人は一度ビザを取得したことがあったので比較的スムーズでしたが、初めての就労ビザ申請を自分ひとりで行うとなると不安や心配も多いでしょう。
また、次に述べるように、採用されたけれどもビザが下りなかったというトラブルもよくあります。やはり事前にビザサポートの有無を確認することが大切です。
就労ビザが出ない会社も
一部の企業では、費用や手間を省くために就労ビザを出さない(出せない)ことがあります。現実に、観光ビザで来てくださいと言われ、そのまま観光ビザで働かされるということも起きています。
正規のビザを持たずに海外で仕事をすることは違法行為にあたります。たとえ会社に言われても、絶対に従わないようにしましょう。
就労ビザ取得の流れを把握する
ここまで説明してきたように、就労ビザ取得にあたっては、企業がサポートしてくれる場合と自分ひとりでやらなければいけない場合があります。
特に、自分でビザ申請を行う場合は相当労力が要ります。慣れない外国語で慣れない手続きをすることになるので、想像以上に大変な作業になるでしょう。
万が一、会社のサポートが受けられない場合でも、会社の中で日本語が話せる人に手伝ってもらうなどして、なるべく現地スタッフと一緒に行うようにしたいものです。
規定に従って書類を準備
就労ビザ発行の手続きは、その国の入国管理局(イミグレーション)が行います。
ビザにはさまざまな種類がありますが、就労ビザは、社員とその社員を迎える企業との契約に基づいて発行されるものです。申請にあたっては、決まりに従ってさまざまな書類を準備しなければなりません。
写真の色にも注意
また、定められた枚数・サイズの証明写真も必要で、背景の色の指定があるなど非常に細かい決まりがあることが多いです。
実際に筆者がインドネシアで就労ビザを申請した当時、証明写真の背景の色は「赤」と決められていました。しかし、日本国内の写真館でそれをお願いすると、通常、背景を赤にすることはないのでできないとのことで、かろうじてピンク色の背景の証明写真ができあがり、それを提出して受理された記憶があります(最新の情報は随時確認が必要です)。
この例はごく一部であり、国ごとに書類に対する条件は本当にさまざまなので、丁寧に見ていかなければならないところです。
ビザ発行までには数ヶ月かかることも
就労ビザ取得にあたっては、本人に犯罪歴などはないか、今後も犯罪を犯すおそれはないか、雇用契約はすべて事実であるか、その企業の業態は書類上の記述どおりであるか、など多くの細かい項目が確認されます。
そして、ビザ発行が承認されるまでに、時には数ヶ月という長い時間がかけられることもあります。また、一度発行されても有効期間が短ければ、そのたびに更新手続きが必要となってくるのです。
サポートが受けられる場合は感謝の心を忘れずに
このように見てくると、企業側が就労ビザの取得手続きを一部でもサポートしてくれるかどうかは非常に大きなポイントだということが分かります。更新のことを考えれば、若い世代にとっては特に重要です。
サポートを受けられる場合でも、企業側の人事担当者の腕次第で、手続きがスムーズにも煩雑にもなり得ます。
通常、どの企業でも外国人の雇用手続きに慣れたベテランの担当者がサポートしてくれることがほとんどです。勤務開始までに一番お世話になる人なので、謙虚な気持ちと感謝の心を忘れないようにしましょう。
ビザ取得代行会社を利用する時の注意
どうしても一人で就労ビザを申請しなければならない場合、手伝ってくれる会社があれば助かりますよね。ネットで調べると「ビザの取得代行」を掲げた会社が多く存在します。しかし、こういった会社に頼むときには注意が必要です。
通常、ビザの取得には万単位のお金がかかります。代行会社を利用した人の中には、高い代行金を支払ったのにビザが下りずお金もほとんど返ってこなかった人や、パスポートを悪用されてしまったという人もいます。
もちろん、すべての会社が要注意というわけではありません。しかし、ビザの取得は内定が下りてから始めれば十分です。急いで代行会社を探す前に、会社の担当者にしっかり確認しましょう。
ポイント2. 日本への一時帰国に対するサポート
海外旅行のような短期の滞在では分からないかもしれませんが、長く国外に出ているとやはり日本の良さを改めて思い出し、次の一時帰国の機会が待ち遠しくなるのはよくあることです。
家族、友人、恋人のような大切な人々と長期間離れて頑張るからには、自分へのごほうびとしてたまには一時帰国をしたいものです。
そのため、企業側が、その一時帰国に必要な休暇を与えてくれるだけでなく金銭面でも補助してくれるのかどうかは、事前にチェックしておきたい項目です。
企業によっては、年間の上限回数や上限金額が決まっていて、それを超えない限り費用を負担してくれるところもあります。一部であっても補助があるのとないのとでは、帰国が重なった時の合計金額に大きな違いが出てきます。
会いたいときにすぐには会えない覚悟が必要
しかしながら当然、いつでも、何度でも、必要に応じて一時帰国が可能なわけではありません。たとえ日本の家族に不測の事態が起きようとも、帰国できない間に友人や知人と疎遠になろうとも、海外で働いている限りすぐに飛んでいくことは不可能です。
それでも、必要以上の帰国サポートを会社に期待するべきではないでしょう。それをしている時点で、海外転職には向いていないかもしれません。なぜならば、海外で働くということはそのようなデメリットも含めた上での選択であり、日本よりも苦労の多い環境でキャリアを築いていくことだからです。
事前にその点をしっかり理解しておくことこそが、一番大切です。
新たな環境で新たな人間関係を築く
福利厚生としての一時帰国に対する補助は、それに見合った仕事をした者こそが受けられる特典として認識すべきものともいえます。企業側と働く側との最大の歩み寄りとして福利厚生に掲げられていると考えてもいいでしょう。
ただ、海外で働くことで、それまでよりも友人関係が広がったり、さまざまな局面でお世話になる人が増えたりすることも事実です。日本に残してきた人たちと会える機会が減る一方で、環境が変わることにより新たな人間関係を築ける一面もあるのです。
ポイント3. 残業・祝日・有給休暇
これらは日本か海外かに関わらず、働き方の基本として事前に確認しておきたい項目です。
- 残業はどの程度あるのか
- 祝日はどうなっているのか(日本カレンダーなのか現地カレンダーなのか)
- 有給休暇は年に何日あるのか
自分は残業組?それとも・・・
海外では、定時になると帰ってしまうスタッフがたくさんいます。その中で自分は残らなければならないのか、一緒に帰宅していいのかは気になるところ。
日系企業の場合は現地スタッフが帰っても残業させられることがあり、広い事務所に日本人だけポツンと残っているという状況も見られます。自分もその中の一人となるのかどうかはしっかり確認しておきたいですね。
祝日は日本と同じ?
海外の現地企業や外資系企業で働く場合、祝日は現地のカレンダー通りとなることが多いです。
しかし、海外にある日系企業だと、日本カレンダーで稼働することも珍しくありません。実際に日系の工場などでは、日本カレンダーで仕事をしているところがほとんどです。
海外で仕事をしているのに日本と同じ祝日なのかと思うかもしれませんが、これは会社によります。事前に確認しておきましょう。
ポイント4. 現地での日常生活に関するサポート
新しい生活、特に海外での新生活を立ち上げるためには、非常にコストがかかります。初期費用を十分にまかなえるだけの自己資金を準備した上で現地に向かいましょう。
さもなければ、慣れない環境での最初の数ヶ月間、仕事も忙しい上に生活でも節約などの苦労を強いられ、ストレスが多くなってしまいます。海外で働くという選択をする時点で、渡航後の新生活を十分に支えうる貯蓄が不可欠となるのです。
それでは、現地での生活にはどのようなコストが発生するのか、6種類の経費について具体的にご説明していきます。
家賃などの住居費
ほとんどの場合、初めに生活の拠点となる住まいに関しては、自分ひとりで探す必要はないでしょう。転職する企業側で社宅扱いの住居を紹介してくれたり、現地スタッフが不動産賃貸契約を手伝ってくれたりすることが多いはずです。
そんな中でかかってくる初期費用、その後支払い続けていく月々の家賃等に対し、会社からどの程度サポートがあるのかはきちんと確認しておきましょう。
敷金・礼金・家賃前払い分などを忘れずに
社宅の場合は初期費用がかからないこともありますが、一般的に外部の不動産を契約した場合、日本で言う敷金・礼金が必要です。契約時に数ヶ月分の家賃を一気に払うことになるので、まとまったお金を用意しなければいけません。
ちなみに、筆者が外国で最初に契約したアパートは、入居時に家賃3ヶ月分前払い、敷金2ヶ月分、礼金半月分が必要でした。初期費用について完全に失念しており、お金が足りるのか冷や冷やした苦い経験があります。
また家賃以外に、アパートの管理費を毎月支払う必要がある場合もあります。1平方メートル辺りの値段が決められているところが多く、一般に部屋が大きければ大きいほど管理費も高くなります。
通勤などに関する交通費
毎日の通勤や、プライベートでの移動にかかる交通機関の利用料金も、生活費の大きな割合を占める項目です。
国や地域、状況によってどのような交通機関を利用するかは異なりますが、公共交通機関である電車、バス、タクシー、ローカルな乗り物などの場合もあれば、車を自分で運転したり、運転手を雇わなければいけなかったりする場合もあるでしょう。
その費用について、企業側がどのように負担してくれるのかは必ずチェックしなければなりません。
日本でいうSuicaやPASMOのような交通カードを利用すると交通費を安く抑えることができますが、外国人がそのようなカードを取得する際には会社側に書類記入してもらうことが必要な場合もあります。
海外旅行保険や現地保険の保険料
人や物に対しての損害保険と、自分が病院にかかったときのための医療保険の保険料も、海外生活では欠かせない出費です。
外国では日本のような公的社会保険制度がないところもあり、企業単位で医療保険に加入していることが多いので、転職先企業のやり方に従って保険契約することとなるでしょう。
海外で体調を崩したりけがをしたりしたときにかかる医療費は、実費請求されると驚くほど高額であることが多いため、医療保険の契約は必須です。手厚い補償を求めるほど、保険料も高くなってしまうことは避けられません。
生活に絶対必要な光熱費
生活するために電気、ガス、水道の料金がかかることは、どこの国でも同じです。
ただ、暑い地域ではエアコンの常時使用が必要だったり、衛生的に安全な生活用水が十分に供給されないエリアがあったりするのはもちろん、都市ガスかプロパンガスかによっても違うため、光熱費の中身は現地の事情により大きく異なります。
通常、光熱費は自己負担であることが多いと思いますが、水道代が家賃に含まれている賃貸アパートもあり、安く抑えることも可能です。
毎日の食費
現地で何を食べて生活するかによって、食費は大きく違ってきます。
外食ならどこでどんなものを食べるのか、自炊なら食材をどのようなお店で調達するのかなど、食費は自分で一番コントロールしやすい項目かもしれません。
食費に対する企業側の補助というのはあまりメジャーではないと思いますが、飲食店やホテルなどの仕事に就くならば、まかないがあるかもしれません。また、学校関係だと、学生用のカフェテリアが利用できることもあるでしょう。社内の食堂で朝・昼・夜すべての食事を済ませるという人もいます。
インターネット・携帯電話の料金
通信費といえば電話代のことだったのはもう昔の話。昨今はインターネットの方が主流なので、ネット環境に関わる費用が主となり、それに加えて電話代があるというケースがほとんどです。
Wi-Fiの利用料など、現地のプロバイダーとの契約にかかる料金は国や都市によって異なりますが、プライベートの通信費は通常、自己負担なので、現地の相場をよく確認しておきたいところです。
海外では、安くてもスピードが遅かったり、頻繁に切れたりするなどが日常茶飯事なので、よく気を付けて選びましょう。
海外ではSIMフリー端末が一般的
携帯電話の販売や契約について、海外では日本と少し事情が異なります。
日本では、まず契約したい携帯通信会社(キャリア)を選び、その会社が提供している端末とプランをセットで購入・契約するのが一般的です。
外国の場合は基本的に、携帯本体と通信会社は別々のもの。好きな機種を選んで端末を買った後に、SIMカードだけ買いに通信会社に行って、好きなプランを契約します。
つまり、海外で販売している端末はSIMフリー端末。日本で購入したSIMフリー携帯を持って行って現地のSIMカードを購入すれば、使える場合が多いのです。
それができれば、初期費用は大幅に抑えられますよね。もちろん、国や地域によって異なります。まずは確認してみましょう。
まとめ~自分にとって何が大切なのか考えよう
日本国内での転職と違い、海外転職では同じ福利厚生でも何を重視すればいいのか最初は分からないもの。仕事や日々の生活はもちろん、まずは滞在して働くことさえ簡単にはいかない海外で企業のサポートがあるかどうかは、大きな注目ポイントです。
転職先地域の一般的な福利厚生の内容や、同じ都市の他業種企業の福利厚生も参考にしながら、ご自身にとっての優先順位を考えて、納得のいく海外転職先を見極めてくださいね。
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