ベルギーで働いたら、もう日本では働けないかも……と思ってしまうほど、ベルギーは働く人にやさしい国です。
男女が平等であることが社会のすみずみに行き渡り、共働きが多いベルギーでは、働く人たちを助ける制度が整っています。そして、仕事とプライベートがきっちり分かれ、バランスの良い暮らしなのです。
では、ベルギーの勤務時間とお休み事情、具体的にはどうなっているのでしょうか?ベルギーで働く私からご紹介します。
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ベルギーの祝日・年休。お休みはちゃんと取れる?
ベルギーの祝日
まずはベルギーの祝日。日本より少なく年間11日です。祝日が土日になる時は、次の月曜や別の日に振り替えられます。
有給休暇は年20日間、完全消化するのがルール
次に年休。基本的には年間20日の有給休暇が保証されています。会社によっては独自の有休を付与したり、勤務年数に応じて有休を追加したりすることもあります。
お休みは全部消化することがルールです。みんなホリデー第一なので有休未消化の心配などしません。
ベルギーで働く最初の年は有休ゼロ
ベルギーの有休は、前年ベルギーで働いた日数に対して付与されます。前年1年間働いた場合は20日、半年だけ働いた場合は10日です。そのため、ベルギーで働く1年目は全員有休0です。
とはいえ、さすがにお休みなしで働くのは酷です。最初の1年目は無給休暇を取るか、翌年のホリデーボーナスから前借りする形で有休を取ることもできます。
これはベルギーの法律で決まっています。ベルギー中どこの会社で働いても同じ条件です。ベルギー人にとっては当たり前のようですが、初めてベルギーで働く日本人は一番戸惑う規則です。
ベルギーのホリデー事情、最長3週間連続して休める
ベルギー人は休むために働いている!といわれています。ホリデーは早めに計画を立てて取り、お休みはきっちり消化するのがこの国での働き方です。
ベルギーでは3週間まで連続して休みを取ることができます。もちろん、たとえ1日でも休む時には上司の承認が必要ですが、業務に支障がない限りは認めてもらえます。
誰かが休むと他のチームメンバーが業務をカバーしないといけません。負担はかかりますが、そこはお互い様。助け合って乗り切っていきます。
嫌味や文句を言われることもなく、気持ちよくホリデーを楽しむことができます!私も年に1回は2週間のお休みを取っています。
ベルギーは共働き社会、フレックス制を利用し家族で子育て
一般的なベルギーの雇用契約は、週38時間、1日7.6時間の労働です。多くの会社でフレックス制が採用され、7時〜10時の間に出勤し、決められた時間働くというスタイルが一般的です。
朝7時に出勤すれば15時には帰宅
最低30分の休憩を取るので、拘束時間は8時間。7時に出勤すれば15時には帰宅できます。家でのんびりしたり好きなことをしたり、趣味の時間もたくさん持てます。
平日は家と会社の往復だけ……と、悲しくなることもありません。
フレックス制で子育てしやすい環境
ベルギーでは共働きをする家庭が多く、フレックス勤務はありがたい制度です。
例えば女性が朝7時から出勤し、男性が子どもを託児所や学校に送ってから出勤。朝7時に出勤した女性は、15時に職場を出てそのまま子どものお迎えに行けるのです。
ベルギーでは産後3カ月で職場復帰!産休・育休制度は?
産休は15週間
ベルギーの産休は産前・産後を合わせて計15週間。出産予定日の2週間前には必ず産休に入る必要があります。その場合、産後休暇は13週間となるので、出産から3カ月ほどで職場に復帰することになります。
3カ月って早すぎない?とも思うのですが、ベルギーで働く女性たちは「子どももかわいいけど、自分のための時間も必要」。キャリアアップのための時間をとても大切にしています。
育児休暇は12歳までに自由に
産休に加えて、育児休暇も3カ月間与えられます。共働きの多いベルギーならでは、とてもフレキシブルな制度なんです。
育児休暇は産休の後に続けて取ることも可能ですが、ベルギーの育児休暇は子どもが12歳になるまでに取得してよいことになっています。取得の仕方も自由度が高く、3カ月間まとめて取るのもよし、週1日ずつ1年半かけて取ることも可能です。
子どもが小学校に行き始めた頃に、毎週1日ずつ取るのがベルギー流です。ベルギーの小学校は水曜日の午後がお休みなので、水曜日に育休を取って子どもと過ごす女性が多いようです。
もちろん、男性にも産休・育休あり
産休は産後2週間、育休は女性と同じ条件です。女性に比べると少ないですが、私の周りでも育児休暇を取る男性は数名いました。
ベルギーでは病欠1カ月まで有給、子どもが病気なら特別休暇
病気で会社をお休みする時は病欠扱いです。病欠は年休とは無関係なので、病気で休んでも年休日数には影響しません。
1カ月までの病欠は100%有給
病欠でもお給料はちゃんと支払われます。1カ月までの病欠は会社から100%、2カ月目以降は保険でカバーされ、お給料の約8割が支払われます。
病欠の場合は、診断書を勤務先に提出する必要があります。医師の診察を受け、休む必要があると診断された場合は無料で診断書がもらえます。
子どもが病気なら特別休暇を取ることもできる
子どもが熱を出し看病をする場合は、特別休暇を取ることができます。また、在宅勤務が許可される会社も多く、特別に家で働くこともできます。
ベルギーでは子どもを育てるのに男女の差はありません。子どもの病気のため、出勤せずに休暇を取ったり在宅勤務をしたりする男性も多いです。
ベルギーで働く人のための特別な制度、タイムクレジット
ベルギーには「タイムクレジット(フランス語ではCrédit temps、オランダ語ではTijdskrediet)」という制度があります。キャリアブレイクとも呼ばれ、条件を満たすと取得できる休職制度です。
1年間の休職または短時間勤務が可能に
勤務しない期間や時間は無給ですが、毎月数百ユーロの補助金が支給されます。会社はタイムクレジットを取る社員を解雇することはできず、1年の休職から復帰する社員は必ず同じ待遇で迎える必要があります。
タイムクレジット取得条件
2014年までは誰でもタイムクレジットを利用することができましたが、現在は条件を満たす人が取得できます。
条件と言ってもそれほど難しくなく、次の2つだけです。
- 現在の会社で2年以上働いている
- ベルギーで5年以上働いたことがある
ただし、タイムクレジットを取る目的が次の場合は2の条件は省略できます。
- 家族の介護をする必要がある
- 8歳以下の子どもの世話をする必要がある
- (指定されている)学校に通って勉強する
ベルギーでは仕事と学業の両立を支援する有給教育制度も充実
会社帰りに大学や語学学校に通う人が多いことも、ベルギーの特徴の一つです。そのため、仕事と勉強を両立させたい人のための有給教育休暇が充実しています。
細かい条件はありますが、受講するコースの授業時間数に応じて有給教育休暇がもらえます。会社によって認められるコースも違うので、事前に確認は必要です。
私が働いている会社では、フランス語やオランダ語といった語学のコースでも休みをもらえる対象になっています。基本的には「勉強をするための休み」ですが、お休みに何をするかは自由です。
まとめ〜安心して休める、それがなによりの良薬かつ元気の素
毎年完全消化の年休、協力し合って取得するホリデー、年休とは無関係の病欠。安心してお休みを取ることができることは、ベルギーで働き何よりうれしいことです。
フレックス勤務は共働きの家庭の子育てを支え、タイムクレジットや有給教育休暇などステップアップ目指して勉強する人のための制度も充実しています。
ベルギーでは仕事とプライベートのバランスを取りやすく、仕事と子育てや、仕事と学業の両立ができる環境が整っています。働く人にやさしいベルギーで生活してみてはいかがでしょうか?
- 第一弾:ヨーロッパで働きたい人へ!ベルギーで働くメリット・デメリット
- 第二弾:ベルギーの生活費はどのくらい?貯金はできる?現地採用社員の1ヶ月の生活費
- 第三弾:(この記事)ベルギーは働く人にやさしい!ベルギーの勤務時間とお休み事情
- 第四弾:ベルギーのIT営業として働く。とある1日のタイムスケジュール
- 第五弾:ベルギーはお給料の半分が税金!払うからには知っておきたいベルギーの税金事情
- 第六弾:知らないと大変!ベルギーで働くための滞在ビザ・労働許可・居住許可の取得方法