ベルギーは、ロケーションがヨーロッパの中心にあるため、色々な国へ電車や車で気軽に旅行に出かけられる利点があります。
EUの本部があり、小さい国ながら国際色豊かでヨーロッパの国々がどんなことに取り組んでいるのかを間近で感じられるのも魅力です。
ベルギーの公用語は、フランス語、フラマン語(オランダ語とほぼ同じ)、ドイツ語の3つですが、ほとんどの人が英語を話せるため、英語だけでも問題なく暮らせるという便利さもあります。
今回はベルギー移住についてご紹介します。
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ベルギー移住のメリット
物価
ベルギーの物価は、外食費以外は日本とそれほど変わらないといえるでしょう。ブリュッセルの場合、月に7,8万円でワンルームマンションに住めます。
スーパーの食料品もクロワッサンなどは1個1ユーロ弱(約130円)くらい、2個セットで、1.5(約195円)ユーロなどそれほど高くはありません。
パン、チーズは種類が豊富で、日本より安いかもしれません。
ブリュッセル市内の公共交通機関の料金は、1ヶ月6千円程度で、バス、地下鉄、トラムに乗り放題なので、お得です。
外食費は高く、1回外食すると、3千円ぐらいになってしまいます。安いカフェもたくさんあります。
住環境
ベルギーの住環境は、日本と似ています。
例えば、ブリュッセルであれば完全個室のアパート、マンションに、ワンルームであれば、600ユーロ(約7万8千円)程度、ワンベッドルームで800ユーロ(約10万4千円)程度で住むことができます。
ベルギーのおもしろいところは、治安のいい地域と悪い地域にくっきりと分かれていることです。
治安の悪い地域に行けば、さらに安い物件が見つかります。ただ、近隣の騒音がうるさかったり、夜遅く出歩くと危険だったりというデメリットがあります。
地方に行けば、より安く住める物件が見つかります。
治安
ベルギーの治安は地域によって大きく変わります。一部のイスラム教信者が多い地域などは、テロリストの温床となっているという噂があります。
ブリュッセルの中心地では、ジプシーのスリグループなどがいるため、貴重品の管理に気を付ける必要があります。
かばんのチャックは必ず締めて、貴重品をポケットなどに不要に入れない、などの注意が必要でしょう。
一人が「お金をほしい」と言ってきて、それに気を取られているうちにもう一人にバッグを盗まれるといったグループでの巧妙な窃盗もあるため、身の回りのものはしっかりと手に持っていましょう。
家も1階ではなく、外から侵入できない2階以上のほうが安全です。
食べ物
ベルギーは、フランスの影響を大きく受けています。
そのため、スーパーでもおいしいパンやスイーツが手に入ります。クロワッサンのサクサク感はフランスに匹敵するクオリティです。
チーズやワインの種類が豊富なので、チーズのオードブルでワインを楽しみたい人などは、ベルギーの食環境が気に入るでしょう。
ブリュッセル市内は日系企業が多く、日本の居酒屋的なお店やラーメン屋などもあります。日系の食料品店もあり、お弁当なども手に入るため便利です。
教育環境
ベルギー人の優れているところは、なんといっても語学能力です。
ベルギーでは小さいころから、フランス語、オランダ語、英語の3か国語が話せるように教育されます。
ベルギーの学校に通えば、3ケ国語を訛りなく、完璧に話せるようになる教育が受けられるのです。これは子供にとって将来大きな利点となるでしょう。
また、ヨーロッパはいろんな人種の生徒がいることから、自然とほかの文化や考え方に寛容にな国際的な感覚を養うことができるでしょう。
医療
ベルギーの医療は、医療保険に入っていれば風邪やケガの治療などの一般的な治療はカバーされます。医療保険への加入は強制となっています。
保険の支払いシステムは、最初に自己負担で治療費を支払い、レシートを保険会社に送って払い戻しをしてもらうという立て替え制です。
歯科などの高額治療は、保険会社の条件によるのですが一部自己負担で支払う必要があります。
こちらも最初に全額自己負担で支払をしてからの払い戻しになるのですが、最初は言葉が壁になり、払い戻しの手続きに苦労するかもしれません。
ビザ
ベルギーに移住するための主なビザは、就職で移住するビザ、現地の人もしくはヨーロッパ人と結婚して移住するビザ、学生ビザの3つになります。
駐在ビザは、会社がすべて手続きをしてくれますので自分で何かする必要はありません。
結婚ビザは、パートナーとなる相手と結婚している事実、パートナーの経済状況に問題なく、政府からの援助なしでも暮らせるという相手の財政証明ができればほぼ下ります。
現地就職にしても、採用してくれる会社が取得のサポートをしてくれるので安心です。
個人事業主として移住する場合が、一番難易度が高いといえます。
学生ビザについては、入学する学校がベルギーの学生ビザ発行の対象となっているかを確認し、必要書類を準備し、申請するようにします。
ビザの取得条件は、よく変更になるため、最新の情報を確認する必要があります。
気候
ベルギーの気候は北と南で多少の差が出ます。冬の寒さは厳しく、時にはマイナス5度になりますが、めったに雪が積もることはありません。
一年中を通して曇りの日が多く、よく突然雨が降ってきます。春から夏にかけては非常に過ごしやすく、エアコンなしでも快適に過ごせる気温です。
年間を通じて湿気が少なくからっとしているため、夏場は過ごしやすいです。
冬は非常に乾燥し底冷えするため暖房費用がかさんでしまいます。
ベルギー移住のデメリット
語学の問題
ベルギー移住のデメリットとして、大きな理由となるのが、語学上の問題です。
日系企業に就職する場合は英語だけで問題ありません。
しかし、ベルギーの企業へ転職をする場合は、フランス語、オランダ語、英語が完璧に話せることが最低限クリアしなければいけない条件になります。
最初のスタート時点で、語学という大きな壁が立ちはだかってきます。
この問題は、ベルギーで生まれ育っていない限りクリアが難しいため、就職先は日系、もしくは個人事業という選択となってしまいます。
短期で数年程度滞在する場合は、英語だけで問題ないのですが、長く永住する場合はローカルの言葉が分からない場合は、コミュニティーの中に入れないため疎外感を感じてしまう、といったことも起きてきます。
所得税の高さ
ベルギーへ移住する際にデメリットとなる2つ目が、所得税の高さです。
ヨーロッパでも群を抜いて高くなっており、最大で50%も所得税を引かれることになります。ベルギーへ移住し、就職することを考えている場合は注意が必要です。
個人事業主として、移住する場合も同様で高い税金を納めなければいけません。
売上が高くなればなるほど税率が高くなるため、働いても働いてもほとんど税金に持っていかれてしまうことを覚悟しておく必要があります。
ベルギー移住する方法
長期留学生として移住
ビザなしで滞在できる90日を超えて滞在する場合は、学生ビザの取得が必要になります。
- 入学先の学校からの許可書
- ベルギー政府に認められた病院で取得した健康診断書をフランス語、またはオランダ語訳したものにアポスティーユをつけたもの
- 無犯罪証明書
- 財政証明書
などを提出します。
ビザが発行されるまで、時間がかかることが予想されるため、2~3ヶ月前には申請を完了しておくようにしましょう。
現地人と結婚して移住
結婚してベルギーに移住する場合は、配偶者ビザの申請が必要となります。各地域のコミューンとよばれる市役所
によって必要な書類が違うので都度確認が必要です。
- 出生証明書
- 独身証明書
- 無犯罪証明書
- 健康診断
- 結婚証明書
- ベルギー人配偶者の財政証明書
などが必要となります。
すべて、フランス語、もしくはオランダ語に翻訳し、公的書類であることを示すアポスティーユをつける必要があります。
また、場合によっては、2人の関係が本物かどうかを証明するための2人で撮った写真、メールのやり取りなどの追加書類が求められることもあります。
移住ビザを取得して移住
長期滞在する場合は、Single permit application とよばれるビザの申請が必要となります。
Single permit applicationの申請には、ベルギー大使館から指定された病院でVisa取得のために必要な健康診断書行い、その健康診断をフランス語、もしくはオランダ語訳してアポスティーユをつけたもの、無犯罪証明書などになります。通常は、雇用する会社が役所との手続きをしてくれます。
また、年間の収入が10,000ユーロ以上あることを証明できれば、リタイヤメントビザで移住も可能です。
就職して移住
ベルギーに就職して移住する方法についてですが、これについては雇用契約を結んでくれる会社を見つけるか、もしくはプロフェッショナルカードとよばれる起業家向けのビザを申請する方法が一般的です。
会社が雇用を決めてくれれば、ビザはほぼ100%で取得できます。
労働ビザの有効期限は1年間で雇用が継続していれば毎年更新可能です。
日系の自動車関係の企業が多いので、労働ビザのサポートをしてくれる会社は意外に見つかります。
ロンドンの日系の人材派遣会社などに問い合わせると情報を入手しやすいでしょう。
プロフェッショナルカードは、自分で起業する人向けのビザです。カメラマン、美容師など、手に職がある系の個人事業主でも申請可能です。
起業して移住
起業して移住する場合は、プロフェッショナルカードとよばれる起業家向けのビザを申請する必要があります。
プロフェッショナルカードは、自分で起業する人向けのビザです。カメラマン、美容師など、手に職がある系の個人事業主でも申請可能です。
手続きについては、ベルギー各地の地方自治体によって違うのですが、ベルギーの日本大使館に問合せをすれば詳しいことを聞けるようです。
ベルギー移住の生活費
ベルギーでの1ヶ月の生活費は、住居費がどのくらいかかるかにもよるのですが、住居費プラス5万円くらいあれば暮らせます。
交通費は月に50ユーロ(約6500円)ぐらいで、国鉄以外のバス、トラム、地下鉄が乗り放題です。
食費も一人で外食をせず、自炊するなら、1日6ユーロ(約780円)もあれば十分です。
これに加えて、インターネット費用がひと月50ユーロ(約6500円)程度、水道代は住居費に含まれている場合が多いので加算せず、電気代が50ユーロ(約6500円)程度といったところです。
ベルギー移住に必要なビザ
ビザの種類
長期滞在ビザとしては、労働ビザ、結婚ビザ、学生ビザ、投資ビザ、リタイアメントビザなどがあります。
労働ビザは、駐在で滞在する人、現地就職する人、個人事業主として企業する人などが取得するためのビザになります。
結婚ビザは、現地の人と結婚する人が取得するビザで、学生ビザは学生として、ベルギーで勉強するために取得するビザになります。
取得条件など
移住するためのビザの取得条件は、コミューンとよばれる区役所の裁量によって多少違ってきます。
結婚ビザ、学生ビザ、リタイアメントビザ以外は、最低限の条件として大卒以上という学歴を問われることが多いです。
ベルギーは国の中でもオランダ語圏とフランス語圏と分かれ、それぞれが自治権をもち統治しています。
ベルギーは国で統一したビザ取得要件というものがなく、それぞれの地域の区役所のようなコミューンによって必要書類や条件などが決められているのです。
一般的にお金持ちの人がたくさん住む、裕福なエリアのほうが丁寧に質問に答えてくれたり、早く回答をくれたりする傾向にあるようです。
日本からビザを申請する場合は、在日ベルギー大使館に詳細を訪ねるのが一番早道といえます。
ベルギー移住に必要な英語力
英語力など
ベルギーは、オランダ語を使う地域(フラマン地方)とフランス語を使う地域(ワロン地域)、また一部ドイツ語を使う地域と3つのエリアに分かれています。
そのため、お互いにコミュニケーションをとるためによく英語が使われます。
どこに行っても英語が通じるため、最低限コミュニケーションできる生活で使う決まり文句を言える英語力があれば便利です。
生活が落ち着いたらフランス語、オランダ語などを習ってみると、より深くベルギー人の生活やカルチャーなどが分かってくるのでさらに楽しくなってくることでしょう。
長く住むとなると、地域のコミュニティと関わる必要がでてくるため、現地の言葉を覚える必要が出てくるでしょう。
ベルギー移住の初期費用
ベルギー移住にかかる初期費用は、会社に雇用される場合は、会社がビザを取得してくれるため、航空券、住居を借りるための敷金、礼金、2ヶ月分の家賃、および当面の生活費2ヶ月分くらいが必要になります。
だいたい日本円で約50万円から60万円程度かかるといえます。
個人事業主として移住する場合は、ビザの取得費用もプラスになり、さらに事業を始めるための初期費用も必要となるため、100万円くらいを用意しておく必要があるでしょう。
ベルギー移住で住みやすい都市
ブリュッセル
ベルギー移住で一番メジャーな選択肢として上がるのが、首都ブリュッセルにではないでしょうか。
ブリュッセルは、ワロン地区というオランダ語圏にあるのですが、95%くらいの人がフランス語を話している、というちょっと異色な都市です。
オランダ語圏の人の中には、オランダ語圏にフランス語ばかりを話す都市を作って、と反感を覚える人もいるようです。
バス、地下鉄、トラムと公共交通機関も発達しており、ブリュッセルからヨーロッパのほかの都市への移動も便利なため、旅行にも気軽に出かけられます。
ゲント
ゲントというオランダ語圏にある都市も暮らしやすい比較的大きな都市です。
日系企業が数社あるため、日系コミュニティーも発達しています。
サッカーがさかんな地域なので、日本のサッカー選手が地元のサッカーチームに所属してプレーすることもあります。
ベルギーの水の都といえばブルージュですが、ゲントも水辺の美しい街並で知られている都市です。
リバークルーズ、ボートクルーズなどは、ブリュージュよりも人が少ないので、穴場ともいえます。
アントワープ
ベルギーの都市として暮らしやすいのがアントワープです。
スヘルデ川沿いにあり、古くから港湾都市として発展していました。川が海につながっているため、港町の雰囲気もありさわやかです。
フランダースの犬の舞台としても知られるため、日本人の観光客が多く訪れます。重厚な建造物が多いため、古いヨーロッパの歴史が感じられる都市です。
交通網も発達しており、バスや電車で気軽にブリュッセルまで移動でき、通勤することも無理な距離ではありません。
ベルギー移住前にすべきこと
ベルギー移住前に行うべきことは、ビザに必要な書類の準備です。
就職であればフランス語かオランダ語に翻訳された最終学歴(大学)の卒業証明書や健康診断書などが必要となります。
そのほか、取得するビザの種類により必要な書類についてチェックをし、前もって準備を進めておくようにします。
健康診断は、ベルギー政府指定の病院で指定された項目を受ける必要があるため注意が必要です。最新情報はベルギー大使館認定医療機関が見つかるので問い合わせてみるといいでしょう。
そのほか、当面の資金として、クレジットカードの用意、現金などを用意しておく必要もあります。
ベルギー移住で注意すべきこと
治安の良いエリアに住む
ベルギー移住で注意すべきことは、治安のいいエリアに住居を決めることです。
地域ごとにコミューンとよばれる区役所のような政府機関があり、ここで滞在許可の手続きやビザの更新など行うことになります。
治安の悪い地域のコミューンでは、なかなか手続きが進まなかったり、訪れる人が多すぎて待ち時間が長かったりなど、問題が発生する可能性が非常に高くなります。
コミューンとの関わりは滞在権に大きく影響するため、ベルギーに住むために非常に重要になものとなります。
住居の場所によって快適さに大きな差が出てくるため、最初に住所を決めるときには細心の注意を払う必要があります。
保守的な人々
ベルギー移住で注意すべきことの2番目は、北側のオランダ語圏(フラマン地方)と南のフランス語圏(ワロン地区)そのほか一部ドイツ語圏の地域など、小さい国ながら3つのコミュニティーに分かれており、互いに張り合ったり、あまり仲がよくなかったりという複雑な背景があることです。
この複雑な統治と長くいろいろな国に侵略されてきたせいか、人々は保守的な傾向にあり、現地の人にはフレンドリーとはいいがたい一面があります。
娯楽が少ない
ベルギー移住で注意すべきことはあまり娯楽がないことです。
サッカーが好きではない、また言葉が分からなければ、地域のコミュニティーに入って交流を持つのは難しいものです。
物質欲が高い傾向にあり、冷蔵庫の中はからっぽでもいい車を買ったり家をきれいにリフォームしたり、庭をきれいにしたりすることのほうが大切だという価値観を持っている人が多い傾向にあるようです。
ベルギー人の価値観を理解し、その生活に馴染むまで少し時間がかかる可能性があります。
ベルギー移住体験談
ベルギーにある日系企業で採用してもらい移住しました。
会社がビザの手続きや住む場所が決まるまでの、1ヶ月の仮住まいホテルの手配をしてくれたため、移住する前はわくわくすることだけでそれほど苦労せずにすみました。
所得税の税率が異常に高いことを心配していましたが、
- 失業した場合は12ヶ月間もらっていた給与と同じ水準の失業保険が出ること
- 勤続年数が長くなると勤続年数に合わせて会社は1~6月のノーティスもしくは、その分の給与を払わなければ、解雇できない
など、労働者を守るような法律がしっかりあったので、安心して仕事ができました。
言葉の面は、英語は通じますが、やはり現地になじむためには、フランス語を勉強するべきだと感じました。フランス語がわかるとより生活が楽しくなること間違いなしです。