ヨーロッパは「税金が高い」というイメージがありませんか?ベルギーも例外ではありません。
消費税、所得税、法人税。 ベルギーに住んでベルギーで働くとなると、どのくらいの税金を支払うのでしょうか?日本人である私たちは払い損となってしまうのでしょうか?
ここでは、ベルギーで働く私から、ベルギーで支払うべき税金の種類とその内容についてご紹介します。確定申告については、ベルギーで働くすべての人に関係します。ぜひご一読ください。
【海外求人をチェックしたい方はこちら】
- リクルートエージェント(未経験から幅広く求人を探す)
- LHH転職エージェント(全世界から幅広く求人を探す)
- JAC Recruitment(海外勤務・外資系を狙う年収600万円以上の方向け)
ベルギーの消費税はどのくらい?
最高21%
ベルギーの消費税は品物やサービスによって4段階に分かれます。0%、6%、12%、そして一番高い税率は21%にもなります。21%と聞くと少し驚きますが、実際には6%の税率が一番多く生活に関わります。
ベルギーでは消費者に対する表示価格は「税込み価格」と定められています。そのためか、普段の生活では消費税自体の高さを実感することはありません。レシートでは税抜き価格と税金が別々に表示されることもあります。
各税率の代表的な物
(税率:製品・サービス)
- 0%:新聞、雑誌、リサイクル製品
- 6%:食料品、テイクアウトのご飯、ソフトドリンク、本、水、薬、ホテル、コンサートチケット
- 12%:レストラン(飲み物以外)
- 21%:上記以外のもの全て(洋服・アルコール・車など)
ベルギーの所得税と年金、どのくらいお給料から引かれるの?
給料の40%、ボーナスの60%
ベルギーで働くとなったときに気になるのは、お給料から引かれる税金です。引かれる項目には、所得税と社会保障費(年金・雇用保険など)がまとまって含まれています。税率は累進課税で、年間の課税所得に応じて段階的に決められています。
計算は少々複雑なのでざっくりいうと、月給からは約40%、ボーナスからは約60%引かれているように感じます。年に1回確定申告があるので、最終的な税率はその際に計算されます。
年間課税所得と税率の関係
(年間課税所得:税率)
- 10,860EURまで:25%
- 10,860EUR〜12,470EUR:30%
- 12,470EUR〜20,780EUR:40%
- 20,780EUR〜38,080EUR:45%
- 38,080EUR以上:50%
※2017年申告分の課税率の情報です。税率は毎年見直されます。
ベルギーの納税、会社勤務でも自分で確定申告するのが義務
ベルギーでは、企業に勤める社員でも自分で確定申告を行います。確定申告は義務です。必ず行う必要があります。
日本から採用された人たちが「なぜ会社が確定申告してくれないの?」とよく不満を漏らしますが、ベルギーでは当たり前のことです。
ただし、心配は要りません。副業していない、家などの固定資産を持っていない、という人なら確定申告はとても簡単です。
税務署から送付される申告用紙に必要情報(1年の総収入と支払った税金)を記入すれば、税務署が税金を計算します。追徴課税か払い戻しなのか税務署から連絡があります。
私は毎年250ユーロ(約3万円)ほど、追加で払うか返してもらうかのどちらかです。
※1ユーロ=約122円(2017年3月現在)
ベルギーでたくさん払う税金、日本人も恩恵は受けられる?
ベルギーでも税金の使い道は日本と変わらず、公務員の給料、公共施設の維持・管理、公共事業、警察や救急といったところに使われています。
高速道路が無料
生活に直結して最も恩恵を感じていることは、高速道路が無料ということです。通勤で毎日高速を利用しても無料ですし、車での旅行にも気軽に出かけられます。
教育費が無料
子どもがいる人は教育費でも恩恵が受けられます。ベルギーでは基本的に学費は無料で、教科書代や給食費などだけ払えばよいのです。
国防費
2016年のベルギー空港テロ後、警察や軍隊による警備が厳しくなりました。もちろん警備費用にも税金が使われています。テロ対策や国の安全のために税金が使われるのであれば大歓迎です。
医療費は2~5割負担
残念ながら、これだけの税金を払っても医療費は無料ではありません。病院や診察の内容にもよりますが、2~5割は自己負担です。
ベルギーで払う社会保障費、日本人は払い損にはならない?
ありがたいことに、ベルギーと日本の間では社会保障協定が結ばれています。ベルギーで年金を支払った期間は日本での受給資格期間としてカウントされます。
例えば、日本で22年間年金を払い、ベルギーで3年間年金を払った場合、日本の年金受給資格期間は合算した「25年」です。日本では年金受給要件として最低加入年数が定められていることを考えると、とてもありがたい制度です。
なんとベルギーでは、年金を受給する条件に最低加入年数がありません。一度でも年金を支払うと受給資格を得られます。受給資格年齢になれば、支払った金額に応じた年金を受け取ることが可能です。
ベルギーの法人税
もちろん、ベルギーで税金を払うのは個人だけではありません。日本と同じくベルギーの企業も法人税を支払います。
ただ、企業に採用されて働くのであれば直接支払うことがないので、この税金はほとんど関係ないと考えていいでしょう。
参考までに、標準課税率は33.99%で、課税所得によって軽減措置もあります。
まとめ〜税金使途確認はどこで働いても大事なこと
お給料から半分近く引かれた上、消費税は最高21%。日本と比べ、非常に高いベルギーの税金。
税金の仕組みは分かったとしても、果たして正しくかつ有効に使われているのかどうかは謎のままかもしれません。ベルギーに住んでいる誰もが、税金の使い道については疑問に思っています。
もともと移民や失業者が多く、問題を抱えていたベルギーです。そこに最近では、テロ対策や難民受け入れなど新しい課題が増えてきています。現在の税金・税率は受け入れざるをえないとして、今後はこれ以上税金が増えないことを祈るばかりです。
※この記事の内容は2017年3月現在のものです。
- 第一弾:ヨーロッパで働きたい人へ!ベルギーで働くメリット・デメリット
- 第二弾:ベルギーの生活費はどのくらい?貯金はできる?現地採用社員の1ヶ月の生活費
- 第三弾:ベルギーは働く人にやさしい!ベルギーの勤務時間とお休み事情
- 第四弾:ベルギーのIT営業として働く。とある1日のタイムスケジュール
- 第五弾:(この記事)ベルギーはお給料の半分が税金!払うからには知っておきたいベルギーの税金事情
- 第六弾:知らないと大変!ベルギーで働くための滞在ビザ・労働許可・居住許可の取得方法