ベルギーで働くための労働許可・滞在ビザ・居住許可の取得方法

パスポート ベルギーで働く

ベルギーで働き暮らすためのビザや許可証の取得には、誰もが苦労します。手続きが複雑なため、必要な書類を準備する方法を調べるだけでもかなりの時間が必要になります。

詳しくは知りませんが、イギリスもビザを取るのがとても大変なんだそうです。逆に、ドイツは滞在許可の取得がとても簡単でした。同じEU、ヨーロッパとはいっても、国によってまったく違うみたいです。

ベルギーで働くためにこれから渡航される方が少しでもスムーズに手続きを進められるよう、ビザや許可証の取得方法をご案内します。

※この記事は筆者の体験に基づくものです。最新情報とは違っている可能性があるためご注意ください。

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ベルギーでの居住が許可されるまでの苦労

私がベルギーへ渡航したのは2010年。当時は必要な書類の集め方に関する情報がインターネット上にもほとんどありませんでした。在日ベルギー大使館に何度も連絡をしたり、読めないフランス語のページを解読してみたりと、本当に苦労しました。

一体いつになったら最終的な許可がもらえるのか、不安になることもありました。書類を集め始めてから最終的にベルギーに住んで良いという許可証をもらえるまで、私の場合半年近くかかったのです。

ベルギーでは2016年に空港や地下鉄で爆破テロが起こりました。これにより審査が厳しくなるかもしれない、手続きが一層複雑になるかもしれないという心配もありましたが、テロによって手続きが変更になることはありませんでした。

ベルギーの「ビザ」と2つの「許可証」取得の流れ

取得

ベルギーでは、「ビザ」は一定期間の滞在を許可しているだけであり、労働や居住を許可しているわけではありません

ベルギーで働きベルギーに住むには、ビザに加えて労働許可証・居住許可証という2つの「許可証」が必要になります。

申請順序 申請書類 申請のタイミング 準備・申請の所要期間(目安)
1 労働許可証 渡航 2ヶ月
2 長期滞在ビザ タイプD 渡航もしくは渡航 1〜2ヶ月
3 居住許可証 渡航 2〜4ヶ月

また、申請書類の準備にも時間がかかります。ベルギーへの渡航が決まったらすぐに準備に取り掛かりましょう。

ベルギーの労働許可証の申請方法

チェックリスト

ベルギーで働くために必要な労働許可証。これが発行されなければ次のステップに進むことができないので、一番に手続きを開始します。

必要な書類は次の通りです。書類によっては、ベルギー大使館や外務省でのアポスティーユ(公印確認)が必要になります。アポスティーユがないと、いくら完璧な書類をそろえてもベルギー労働局に有効な書類として受け付けてもらえません

労働許可証申請に必要な書類と集め方

1. 英文の卒業証明書原本

最終学歴を証明する英文の書類が必要です。出身校へ問い合わせて用意してもらいましょう。

2. 労働許可証申請用紙

ベルギーで勤務する会社より配布されます。名前、生年月日、家族の情報、最終学歴など、基本的な情報を入力します。

3. パスポート申請用サイズの証明写真

4. 雇用契約書のコピー

5. ベルギー指定病院での健康診断証原本 + ベルギー大使館でのアポスティーユ

  1. ベルギーが指定する病院で健康診断を予約します。日本では、全国の日本赤十字病院および東京の聖路加病院が指定病院です。予約の際に、ベルギー渡航のための健康診断であることを必ず伝えてください。
  2. 専用の健康診断用紙をベルギー移民局のウェブサイトより入手します。用紙は健康診断前に病院に提出します。
  3. 健康診断を受けます。内容は、血液検査、尿検査、レントゲン、心電図です。保険適用外となるため、費用が3万円ほどかかります。健康診断用紙は1〜2週間後に受け取ります。
  4. 在日ベルギー大使館にて、健康診断用紙にアポスティーユを捺してもらいます。
    ※アポスティーユをもらった健康診断用紙は、カラーコピーを1部とっておきましょう。渡航後、居住許可証を申請する際に提出を求められる場合があります。

必要書類が全部揃ったら、ベルギーの勤務予定先に書類を郵送します。書類を受け取ると、会社がベルギーの労働局に許可証の申請を行います。

労働許可証の発行には2〜4週間かかります。日本ではただ待つのみですが、併行して長期滞在ビザ タイプD申請の準備を始めましょう。

ベルギーの長期滞在ビザ タイプDの申請方法

スタンプ

日本人が90日を超えてシェンゲン協定加盟国(ベルギーもその1つです)に滞在する場合は、長期滞在ビザ タイプDが必要です。以前はこれは必須ではありませんでしたが、2015年1月以降、必ず取得しなければいけなくなりました。

ベルギー渡航後に申請することも可能ですが、渡航前に日本で申請することを強くおすすめします。

ベルギーで長期滞在ビザを申請する場合、ビザが発行されるまでは仮の滞在許可証がもらえますが、ベルギー国内では問題ないものの、ベルギー以外の国ではこれが正式な滞在許可として認められない場合があるからです。

そのため、ヨーロッパの国を経由してシェンゲン圏を出入りする際に、稀にトラブルが起こります。事前に長期滞在ビザを取得しておけば、出入国時のトラブルを心配することもありません。

長期滞在ビザ タイプD申請に必要な書類と集め方

1. ベルギー労働許可証原本および裏表両面のコピー

労働許可証原本の受け取りがベルギー渡航後になる場合もあります。その場合は、労働許可が下りたことを証明する書類を代わりに提出します。

2. ビザ タイプD申請用紙 2部

ベルギー移民局のウェブサイトより入手し、必要事項を記入します。

3. パスポートおよび顔写真ページのコピー

パスポートは12ヶ月以上の残存期間が必要です。

4. パスポート申請用サイズの証明写真 3枚

5. 現在住んでいる国で発行された無犯罪証明書原本

申請書類の準備で一番手間となるのが、この無犯罪証明書です。労働許可証の発行を待たず、早めに準備を始めましょう。

以下にご紹介するのは日本で申請する場合ですが、無犯罪証明書は国によって申請手続きが異なります。日本以外にお住まいの方は各国の警察にお問い合わせください。

  1. 勤務する予定のベルギーの会社からベルギー大使館宛てのレターを準備してもらいます。レターには「名前・日本での住所・ベルギーでの会社名・無犯罪証明書の申請目的」を記載します。プリントアウトしたレターでも受け付けてもらえるので、ベルギーの会社からPDFファイルを送ってもらって印刷すると良いでしょう。
  2. ベルギー大使館から都道府県警宛てのレターを発行してもらいます。会社からのレターをベルギー大使館に持っていくと、警察宛てのレターを作成してもらえます。
  3. 警察にて無犯罪証明書の申請をします。申請は住民票がある都道府県の警察本部で、必ず本人が行う必要があります。無犯罪証明書の受け取りは2〜3週間後です。受け取りは本人以外でも可能です。
  4. 外務省でアポスティーユをもらいます。無犯罪証明書は封筒に入っていますが、絶対に封を開けてはいけません。中身を開けると書類が無効となります。外務省では封を開けますが、アポスティーユ後に封筒にシールが貼られます。

書類が揃ったら在日ベルギー大使館にてビザを申請します。年齢や職業によっても異なりますが、2〜3万円のビザ申請料が必要です。ビザは通常2〜4週間で発行されます。

ベルギーの居住許可証の申請方法と流れ

ベルギー

最後のステップは居住許可証です。この居住許可証の発行をもって正式にベルギーに住むことが許可されます。居住許可証はベルギーに渡航後、住む場所が決まってからの申請になります

ベルギーへの渡航から申請までの手順

1. 賃貸契約

居住する物件を決めて、賃貸契約を交わします。

2. 居住許可の申請

必要書類を準備し、日本の市役所や区役所に相当する、コミューンと呼ばれる居住地域のオフィスで申請します。申請手続きに予約が必要かどうかはコミューンによって異なります。事前にコミューンに連絡して確認しましょう。

居住許可申請に必要な書類

  • 労働許可証
  • 雇用契約書
  • 賃貸契約書
  • 長期滞在ビザ タイプDが添付されたパスポート
  • パスポート申請用サイズの写真 4枚

3. 警察による居住確認

居住許可の申請後、申請した住所に本当に住んでいるかどうかを確認するために警察が自宅を訪問します。地域によっては表札の名前だけを見て居住確認をしてもらえますが、ほとんどの地域では警察に直接会ってパスポートを提示する必要があります。

気になるタイミングですが、事前には教えてもらえません。一人暮らしの上、平日の日中働いていると、なかなか会うことができません。私はとにかくタイミングが悪かったようで、警察に会えるまでに4ヶ月ほどかかりました。

4. 居住が許可された旨の連絡

居住確認から約2週間後、コミューンから「居住許可が下りたのでコミューンに来るように」という案内が郵送で届きます。届かない場合、または急いでいる場合はコミューンに電話をして状況を確認すると良いでしょう。

5. 居住許可カードの申請

コミューンに行き、居住許可証(カード)を申請します。居住許可証の正式名称はフランス語でTitre de séjour、オランダ語ではverblijfstitelですが、通称IDカードと呼ばれています。居住許可が下りてもIDカードを手元にもらうまでは証明できる物がありません。

6. カードの受け取り

IDカードができると、暗証番号を書いた紙が自宅に郵送で届くので、それを持ってコミューンにカードを受け取りに行きます。

IDカードを受け取ると手続きは全て完了、正式にベルギーに居住できます。

ベルギーの労働許可証と居住許可証は1年ごとに更新が必要

時間と労力をかけて手にする労働許可証とIDカードですが、有効期間は1年です。そのため毎年、更新手続きを行う必要があります。

初回の申請ほど手続きは面倒ではありませんが、最低でも4回はコミューンに足を運ぶ必要があります。また、更新手続きには3ヶ月ほどかかるので、早めに準備を始める必要があります。

2つの許可証の更新手順

  1. 会社から労働許可証更新のための書類を用意してもらいます。
  2. コミューンで書類の記載情報を確認してもらい、確認印をもらいます。
  3. 書類を会社に提出、会社が労働局に労働許可証更新を申請します。
  4. 労働許可証の更新許可が下り、新しい労働許可証ができると、郵送にてコミューンから連絡があります。
  5. コミューンにて新しい労働許可証を受け取ります。同時に、「居住許可証を更新したい」ことを伝えます。
  6. コミューンがベルギー移民局に居住許可証更新可否の確認を取ります。確認には2〜4週間ほどかかるので、コミューンより再度連絡があるまで待ちます。
  7. 更新許可が下りたという連絡をコミューンより受け取ったら、コミューンに新しいIDカードを申請しに行きます。
  8. 約2週間後、暗証番号を書いた郵便物が届くので、コミューンで新しいIDカードを受け取ります。

まとめ〜コミューンの対応を含めた居住地選びも重要

私はマレーシアドイツでも同じように就労ビザで滞在しましたが、手続きはこれほど複雑ではありませんでした。大変ですが、書類の準備の仕方さえ把握できれば、後は根気よく必要な物を用意するだけです。

ベルギーでは居住許可証の申請や更新で、コミューンに行く機会が何度もあります。コミューンは地域によって対応がかなり違っています。ベルギーに渡航してすぐに嫌な思いをしないためにも、居住する地域を選ぶ際はコミューン対応の良し悪しを含めて検討することをおすすめします。

コミューンの対応が良いおすすめの地域はこちらの記事を参考にしてみてください。

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