「常春の国」と言われながら、実際はトロピカルな熱帯性気候から肌寒い高山まで、気候・文化のバリエーションに富むグアテマラ。昔々はマヤ文化が栄えていたこともあり、大自然の中に数々の遺跡が眠る神秘的な地でもあります。
グアテマラの人々は人懐っこく、とてもフレンドリーです。物価も比較的安いため、移住しやすい国の1つです。
私もグアテマラの魅力に魅せられたうちの一人ですが、長期滞在時に考えなければならないのが「ビザ」の問題です。私の場合、ビザ取得まで一筋縄ではいかず、大苦戦しました。グアテマラでのビザ取得の体験記・役立つ情報をお伝えします。
グアテマラにビザなしで滞在できる期間は?
グアテマラでは日本のパスポートを持っていれば、ビザを持っていなくても90日間の滞在が可能です。期間が切れる前に、首都にあるイミグレーションで1回のみ延長手続きができるので、ビザ無しで最大180日間滞在できます。
その後、グアテマラ国外に出国し、最低72時間後に再入国すると、また改めて90日間滞在できます。
グアテマラに長期滞在している人の多くは、面倒で時間も費用もかかるビザの手続きを避けるため、この方法を使っています。
ただし、グアテマラ・ホンジュラス・エルサルバドル・ニカラグアの中米4か国は協定を結んでおり、1つの国とみなされ、滞在期間は4か国合計でカウントされます。
この4か国内での移動は国外とみなされない点も要注意。滞在期間延長のために、近場のメキシコやベリーズに出国する人が多いです。
グアテマラでビザを取得するメリット
パスポートだけで滞在できるなら、わざわざビザを取得しなくてもいいのでは?と思う方もいることでしょう。
ですが、ビザを持っている最大のメリットは、「ビザを持っていることで一気に信用度が上がる」ということでしょう。出入国の時、空路でも陸路でも、イミグレーションをすぐに通してもらえます。
グアテマラは、コロンビアなど南米からの麻薬密輸ルートになっています。頻繁に他の国に出入国していると、怪しまれてなかなか通してもらえないことが多々あるようです。知り合いで、別室に連れていかれて2時間以上尋問された人もいます。
他のメリットは、日本や他の国からグアテマラに片道の航空券で行く際も、ビザを持っていれば問題なく搭乗できます。
ビザが無いと、必ず復路のチケットを確認され、復路のチケットを持っていない場合、係りの人によってはその場で購入させられることもあります!
ビザがあると自由に行き来ができるようになるので、出入国の際の余計なストレスから解放されます。
グアテマラのビザ取得の流れ
グアテマラのビザにはいろいろなタイプのものがあります。
- グアテマラ人との結婚によるもの
- 年金受給者などリタイアメント用ビザ
- 学生ビザ
- 芸術や学業の分野で優れた成績のある人が申請できるビザ
- 投資者用ビザ
- 宗教ビザ
などのカテゴリーがあり、その他の目的で長期滞在するためには一時居留ビザというカテゴリーでの申請となります。
グアテマラへの移住を希望する人はまずこの一時居留ビザを取らなくてはいけません。一時居留ビザは1年のもの、2年のものがあります。
2年の一時居留ビザを取得後、1年経過すると、5年ごとに更新できる永住ビザ取得の手続きを始めることができます。私の場合、一時居留ビザからの永住ビザ手続きにチャレンジしました。
全ての手続きは、首都のイミグレーションで行います。
- 名称:Dirección General de Migración
- 住所:6ta. Avenida 3-11 Zona 4 Ciudad de Guatemala
- アクセス:トランスメトロ「プラサ・デ・ラ・レプブリカ」駅下車、徒歩約6分
- 営業時間:8:00 a. m. - 4:45 p. m.
- 電話番号:(502) 2411-2411
- 公式サイト:http://igm.gob.gt/
グアテマラで信頼できる弁護士を見つけよう
まず、必要な書類を集めて……の前に!ぜひおすすめしたいのが、信頼できる弁護士を探すことです。必要書類の多くに、弁護士の公証が必要なので、ビザ取得のプロセスのどこかでは必ずお世話になります。
外国人のビザ取得のケースを扱ったことのある弁護士さんと、ビザ関係には全く関わったことのない弁護士さんがいます。
前者の方だと、必要書類やプロセスを知っているので、とてもスムーズなお仕事をしてくれます。後者の場合だと、かなり手こずることに。
パスポートや必要書類の記入以外、イミグレーションとのやり取りなどすべて代行してくれる弁護士さんもいます。ただ、手数料はかなり高いとか……。
私は、なんと知り合いの弁護士さんがビザ取得を助けてくれるという、なんともラッキーな展開になりました。ただ、イミグレーションとのやり取りなど、自力でするにはかなりハードルが高く、大変でした。
ちなみに、近所の弁護士事務所に尋ねたところ、書類のサイン1枚ごと約10ケツァール(約143円/2018年3月現在)のようです。
意外に安い!?と思いがちですが、パスポートの全ページのコピー各ページにサインが必要だったり、別途証明書等書類を公証する費用を考えると、書類作成だけで最低でも5万円近くはかかりそうです。
グアテマラのビザに必要な書類
一時居留ビザと永住ビザの必要書類はほぼ同じで、永住ビザの場合は一時居留ビザの提出が求められます。
- 申請書
- 証明写真(白黒、マットタイプ)
- パスポート原本と全ページのコピー(弁護士の公証サインの入ったもの)
- パスポート証明
- 過去5年間の無犯罪証明(警察証明)
- 出生証明
パスポート証明、警察証明、出生証明書は日本大使館で発行してもらえます。各書類とも、日本大使館に直接行って申請します。
警察証明申請の際、全ての指の指紋の採取があります。日本ではデジタル式での指紋採取ですが、グアテマラでは指にインクをたっぷり塗って、紙に転写するので、手が真っ黒に。親切な大使館の方がウエットティッシュをくれました。
ビザ用の警察証明には併せて印章証明書を添付する必要があり、警察証明と同時に日本大使館で申請します。私が申請した時、申請料は350ケツァール(5038円/2018年3月現在)くらいでした。
必要な情報を日本から取り寄せるので、日本大使館によると書類を受け取れるまで2,3か月かかるようです。ビザ申請を決意したら、早めに手続きしましょう。書類ができると、連絡をくれるので日本大使館に直接受け取りに行きます。
ビザの申請書は(igm.gob.gt/formularios-extranjeria/)からダウンロードできます。
在グアテマラ日本大使館
- 住所:Torre Internacional Piso 10, Av. Reforma 16-85, Zona 10, Ciudad de Guatemala 01010
- 営業時間:9:00~12:30 13:30~17:00 月~金曜日
- 電話番号:+ 502- 2382- 7300
- 公式サイト:www.gt.emb-japan.go.jp/
大変なのは保証人探し
個人の書類はこれだけ?簡単!と思った方!ビザ取得の第一関門は、保証人探しです。保証人になってくれる人がいなければ、何も始まりません。
この保証人、グアテマラ人なら誰でもなれるのではなく、グアテマラ人の中でも「かなりのお金持ち」に限定されています。会社や学校、財団などの組織も保証人になることができます。個人の書類に加え保証人の膨大な書類が必要です。
- 最新の納税証明書(IVA-ISR)のコピー
- 納税番号(NIT)のコピー
- 月ごとの収入・支出を証明できる書類
- 保証人本人の身分証明書
- グアテマラの経済に貢献している証拠になる書類※以上全て弁護士が作成し、公証したもの
なんと、本人の書類より保証人の書類のほうが重要のようです。保証人が見つからない場合、弁護士さんによっては手数料を払って探してくれる方もいます。
自分の書類、保証人の書類がそろったら、オレンジ色のペーパーフォルダーにすべてを挟んでイミグレーションに提出します。フォルダーはどこの文具屋でも扱っていて、15円ほど。
どうして「オレンジ色のフォルダー」が指定されているのかは今でも謎のままです。
グアテマラのビザ申請中に注意すること
グアテマラ外に出る際は「ビザ・シンプレ」を忘れずに!
一時居留ビザ、永住ビザを申請中、グアテマラから出る時は、ビザ・シンプレを取得しなければいけません。
私は日本に帰省するためにこのビザ・シンプレを取得しました。最大で90日間、グアテマラ外に出ることができます。首都のイミグレーションで発行してくれ、手数料は25ドルです。
グアテマラに残るために始めた手続きですが、今度は逆に出国できなくなるなんて……と複雑な気持ちになったのを覚えています。何はともあれ、せっかくの努力を無駄にしないためにも、手続き中の出国の際はビザ・シンプレを申請しましょう。
定期的なチェックを
必要書類を提出したら、終了……ではありません!グアテマラのお役所仕事は日本とは大違いです。常にイミグレーションに通い、「まだですか?私の書類はどうなってますか?」と、しつこく、しつこく言い続けていないと、なにも進展しません。
永住ビザの申請中、私は首都から離れたところに住んでいたので、イミグレーションに通い詰めるのはとても大変でした。窓口では、毎回違うことを言われ、書類がそろっていません、とまで言う人も。
何十回も確認した書類、そんなはずはない!と、私も負けていられません。毎回、窓口の人とのバトルを繰り広げていました。
交通事情の悪いグアテマラ、現地のおんぼろバスに何時間も揺られて、体力的にもきつい長旅を繰り返していました。最終的に、窓口の人の携帯番号を聞き出し、毎月電話で確認することに。
ちなみに、私の場合、申請してからビザの発行まで1年と2か月かかりました。グアテマラのビザはアメリカのようにシールタイプではなく、スタンプタイプで、見た目はかなりシンプルです。
グアテマラのビザ申請料
ビザが無事に受理されると、イミグレーション内の銀行でビザの手数料を支払い、そのレシートのコピーを提出するよう求められます。
2018年現在の手数料は
- 一時居留ビザ:1年ごとに150ドル
- 永住ビザ:500ドル
となっています。ドル・または現地通貨のケツァールでも支払いできます。
まとめ
グアテマラのビザ取得で一番苦労したのは、やはりイミグレーションとのやり取りです。分からないことはとことん質問する、無理と言われても食い下がるなど、ビザの手続きを通して精神的にもたくましくなった気がします。
永住ビザ取得後は、DPE(デーペーイー)という身分証明書の発行手続きをします。
このDPEがあれば無敵!ほぼグアテマラ人と同じように生活でき、グアテマラの生活を十分満喫できます。銀行の口座開設などもこのDPEのおかげで、とてもスムーズにできました。
魅力あふれるグアテマラに長期滞在を考えている方、ぜひビザの取得を検討してみては?
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