フリーランスの身分で働いていると、本来の「仕事」以上の作業があります。「仕事」を探して契約、その「仕事」をこなせば、一番重要な請求書を作成したり相手方へ発送したり。そうやって、やっとギャラが手元に届くのです。
私はドイツの建設現場でフリーランスとして働いています。仕事としては短期契約、中期契約、長期契約といろいろあります。
ここでは、ドイツからスウェーデンに11日間出張に行ったときの話を、フリーランスの収入事情なども交えてご紹介します。
※1ユーロ=約133円
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ドイツのフリーランスの給料・税金事情
まずは、お金にまつわることからお話します。
フリーランスのギャラはどれくらい?
報酬についてはよりどりみどりな自営業、でも、やっぱり高いに越したことはありません。私は建設系技術系の免許は持っていませんが、時給15ユーロ(約2,000円)以下では働きたくないと勝手に設定しています。
免許もないのにずいぶん強気だと思われそうですが、実働以外に諸々の書類関連もすべて自分でやらなければいけないのが自営業。そのすべてを仕事時間として換算すると、15ユーロは10ユーロ(約1,300円)前後になってしまうのです。
ドイツでも給料は銀行振込が一般的
実はドイツの主要銀行では、口座維持費なるものがかかります。口座開設するだけで毎月5ユーロから15ユーロ(約700〜2,000円)くらいかかるのです。それでは、なぜみんな口座を持っているのでしょうか。
もちろん、お金が管理しやすく便利で安心だからです。給料も銀行振込が一般的で、今のところ私はドイツで現金支払いの話を聞いたことがありません。
口座維持費のかからないインターネットバンクも人気ですが、大手銀行だとテレフォンバンキング対応があったり、何か不具合が生じた時に直接カウンターで対処してくれたりするので安心なんだと思います。
フリーランスの税金はどれくらい?
ドイツの税金、正直に言うと私も完璧には理解していません!ちゃんと知っておかないと……と夫に話を聞こうとするも、「なんだかんだコロコロ変わるから」と逃げられてしまいます。ということで、ごめんなさい詳細が書けません……。
自分で納税額を算出して確定申告する方も大勢います。でも餅は餅屋、私たちはドイツ認定の日本人ファイナンシャルアドバイザーでもある税理士さんに任せています。
お金や税金のことなどが分かりやすく解説されているブログ(https://dj-finanz.de/)をよく拝見しています。われわれ夫婦にとって、ありがたい存在です。
ドイツからスウェーデン出張、1日の報酬は?
今回のスウェーデンへの出張は短期契約、しかも出発前1週間を切る突然のヘルプ要請でした。
- 突然
- 超短期
と、ガテン系では高給になるポイントが2つもありますね。実際、日給210ユーロ(約27,000円)という契約でした。夫婦で出張なのでこれはラッキーです。
ドイツからスウェーデン出張、交通費や出張滞在費は?
交通費は自腹
安く済ませられるよう、出張先が同じ人たちがいれば声を掛け合って相乗りで行きます。料金は割り勘+車の維持費としてキロごとに設定された値段分を車の所有者に払います。
維持費は1キロ30セント(約40円)くらいに設定する人が多いです。スウェーデンへは1,000キロほどだったので、300ユーロ(約4万円)を同乗の5人で割り勘、という感じです。
滞在先の手配・滞在費負担は発注先
国内の場合は自分たちで手配しますが、国外の仕事は宿泊先を用意し滞在費も支払ってもらうことを契約条件にします。
行き先はたいてい聞いたこともない小さな町です。治安や距離、利便性などを調べる時間があるなら、請求書の作成やドイツ語の勉強に充てたいからです。
なお、ドイツ国内には短期〜長期の主に建設業者出張用のホテルがあります。簡易台所とリビング、ベッドのみの宿ですが、格安で泊まれるので、出費を抑えたい出張者には便利です!
ドイツからスウェーデン出張、事故にあったら?
自営業なので、何かあっても自腹です……。
実は出張先で事故りました。華麗に飛んで巨石に着陸したので、車内で床が持ち上がるのを感じました。クレーン車で回収してもらい、車は廃車です。
違反代、クレーン車代、廃車代と、締めて1,200ユーロ(約160,000円)ほど。各種保険にはちゃんと入ってからフリーランスになりましょう!
ドイツからスウェーデン出張、気になる収支は?
- 収入:210ユーロ(約27,000円)×11日で2,310ユーロ(約300,000円)
ここから、以下を引きます。
- ドイツ・スウェーデン間のフェリー代:往復250ユーロ(約33,000円)
- 車代:合計400ユーロ(約53,000円)、5人1台で行ったので1人80ユーロ(約10,000円)
- 諸費用:200ユーロ(約27,000円)。一度だけ町で買い出し&食事に行き、物価の高さに驚愕
結果、1,780ユーロ(約23万円)が手元に、と言いたいところですが、ここから税金がたんまりと取られます。
国外出張の生活費は免税
しかし、ここで税理士さんが活躍。さすがはプロ、制度をよくご存知です。ドイツ国外で仕事をした場合、その国での生活コスト分の税金は支払わなくてよいそうです。
スウェーデンでの1日の生活コスト免税額は168ユーロ(約22,000円)という設定があり、「168ユーロ×11日」で1,848ユーロ(約240,000円)も還付されました!
あれ、稼ぎより多くない?と思われるかもしれませんが、確定申告で還付されるのです。やっぱり費用を払ってでも、税理士さんやファイナンシャルアドバイザーに依頼する必要はあるなと思います。
ドイツ建設業のフリーランス生活、自由とリスク
仕事計画もギャラ交渉も自由
フリーランスの魅力はやはり自分で何もかも計画を立てられるということです。半年みっちり働いてオフシーズンに休暇に出る、なんてこともできます。
仕事を毎回選べる上、ギャラの交渉も気軽にできます。
収入にまつわるリスク
- 税金
やっかいなのが税金。納税に関わることは私たち夫婦の最も苦手とするところで、これは前述通り専門家におまかせです。
- 何かと出費が多い
建設業のフリーランスは確かに、短期でしっかり稼げます。でも、工具や作業着など仕事のために必要なものへの出費がかなり多いです。
- 収入が2カ月後
仕事を終えて請求書を提出しても、ギャラの入金は8週間後、早くて2週間ほどです。基本的には今日の仕事は2カ月後の収入と考えて行動しなければいけません。
- 発注元に何かあれば収入ゼロ
一番悲しいパターン、発注元が破産してしまうことです。「まさか、小説の中の話?」と思うようなことがあるんですね。6週間分の仕事の報酬がゼロ、いや、なんとマイナスになったこともありました。
督促を弁護士に依頼したところ、750ユーロ(約10万円)かかった挙句「取り立て不可」のペラッとした手紙となって戻ってきました。痛い人生勉強と言いたいところですが、どう考えても悔しいです。
まとめ〜フリーランスを選ぶなら交渉術を身につけよう
フリーランスに限らずドイツでは、ギャラや給料は交渉するのが当たり前です。謙虚にやっていると「この人はこれで満足なんだ」と思われてしまいます。「この仕事をして生活するにはこれくらいないと困る」という額を見極めて、強気で交渉に挑みましょう。
かなり計画的な人でないと貯金はできませんが、そこは「しっかり」が特徴のドイツ人、生涯フリーランスの人も大勢います。
建設業系のフリーランス生活に飛び込んだら、先達を見て、交渉術や節約術を身につけていきましょう。
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