福祉大国スウェーデンで働く時に覚悟すべきデメリットとは?

スウェーデン スウェーデンで働く

スウェーデンで働くと、柔軟なワークスタイルや私生活の充実など、得られるメリットがたくさんあります。

しかし一方で、仕事のやり方や日々の生活環境など、日本と違う部分でストレスを感じることが多いのも現実です。福祉大国として知られるスウェーデンでもそれは変わりません。

私はスウェーデンに移住し、アパレル関連のスタートアップ企業に約9か月間勤務しました。ここでは、実際に私がスウェーデンで働き生活してみて感じたデメリットについてお話ししたいと思います。

スウェーデンで働いてスウェーデン社会を知ることができた

スウェーデン

冒頭で述べたように、私はアパレル関連のスタートアップ企業に勤務していました。

マーケティング部門で主に日本マーケットを担当。自社製品のPR、カスタマーサービス、翻訳、その他日本に関連することが主な仕事です。

従業員構成は9割がスウェーデン人、1割が私のような外国から来た人という感じでした。

仕事を通じて見えたものがたくさん

実は、仕事を始める前は、スウェーデン社会について漠然とした知識しかありませんでした。スウェーデンは私にとって初めて住む国で、知り合いもほとんどおらず、土地勘なども全くありません。

しかし、スウェーデン企業で現地の人達に混ざって働いたことで、実際のスウェーデンの雇用のあり方や社会の仕組みなどを知ることができました。

仕事を通じて、スウェーデン社会の良し悪しを知ることができる機会だったと思っています。

では、スウェーデンで働き生活することの厳しい面を具体的にご紹介していきましょう。

スウェーデンには退職金がない

コイン

スウェーデンでは、同じ会社に長く勤めていても退職金は支給されないのが一般的です。年金や医療などの社会保障制度が整っており、退職金がなくても老後の生活に支障がないという前提があるためだと思います。

実は、私が勤めていたアパレル会社は予期せず廃業となってしまいました。しかし、そんな思いがけない状況でも予め契約書で合意した通り、解雇通知は「解雇される日の1か月前」でした。

突然の解雇でも1か月分のお給料が支給されただけで退職金はありませんでした。私だけでなく、他の従業員も同じです。

しっかりとした貯蓄が必要

会社都合での突然の解雇ということも十分にあり得るので、日頃から貯えておくことが重要です。

私自身は人生の中間地点、子育て世代と呼ばれる年齢でスウェーデンに移住してきました。退職金がないことを考えると、特にしっかりと経済設計を立てる必要があると感じています。

スウェーデン語ができないと安定した仕事に就きにくい

スウェーデンの風景

英語ができるのは大前提

スウェーデン人は英語に堪能な人が多く、たいていの場所では英語が通じます。生活面だけで言うならば、ほぼ英語で過ごせてしまいます。また、移民受け入れ大国でもあり、外国人居住者の占める割合が多い国です。

これらのことから「外国人でも仕事が見つけやすいのでは?」と思われがちですが、現実は大きく違います。スウェーデンで外国人が仕事を見つけるのは、必ずしも容易なことではありません

実際、スウェーデン人のほとんどが英語に長けているので、外国人が英語力を活かして仕事を見つけるのは難しいです。

外国人にも学ぶチャンスがある

スウェーデンに住む外国人で安定した仕事をしている人は、スウェーデン語能力があり、何かしら職に活かせる資格を持っている人がほとんどです。言葉に加え、スウェーデンで通用する資格がある方が仕事を得やすいです。

そこで、スウェーデンに来た外国人はまずスウェーデン語を習得します。その後は大学や専門学校で、仕事を得るのに有利な資格取得を目指す人が大勢います。

国籍、永住権の有無、VISAの種類などで条件は異なりますが、外国人でも無料でスウェーデン語学校、専門学校、大学などに通うことができます。外国人に対しても広く門を開いているのは、福祉大国ならではだと感じます。

母語でない言葉で何かを学ぶのは容易なことではなく、時間もかかります。しかし、仕事を見つけるために勉強した方が早いことも多いです。

スウェーデン語が話せなかった私の場合

私にとってスウェーデン語は初めて勉強する言葉なので、スウェーデン語で資格を習得するには相当な時間を要するだろうと考えました。そして、英語と日本語能力だけが必要な仕事を見つける方が早いのではと判断します。

しかし、これが思った以上に困難な道のりでした。英語と日本語の能力を必要とする仕事はほとんど募集がありません。しかも、スウェーデンでは日系企業でも現地の人を雇うことが多いので、日本人だからといって雇われることもほとんどないのです。

結局、私は仕事を得るまでに1年かかりました。

職を得るにはやはり勉強が必要

今考えると、当時スウェーデン語がほとんどままならず、スウェーデンで通用する資格もなかった私が1年で就職できたのは、運に恵まれたことが大きかったと思っています。

しかし今後、安定した仕事を得るためにはスウェーデン語能力と資格の取得は必要だと感じています。その方が、継続的に職を得られる可能性が高まるからです。

スウェーデンでは仕事の問題解決に時間がかかる

時計

仕事をしていて一番ストレスに感じたのは、スウェーデンでは問題解決にとても時間がかかることです。この国では、例え自分達の管轄内のことでも、面倒なことは後回しにしてしまう傾向があります。

そういう時は、自分自身も嫌になってしまうくらいしつこくかけ合わないと問題解決にたどりつけません。ある意味、どれだけの粘り強さがあるかで問題解決のスピードが変わってくるのかもしれません。

直接かけ合って何とか対処した私の体験

実際に私も、業務でのトラブル解決に時間がかかり困ったことがありました。

担当の取引先(外国)に荷物を送った時のこと。先方には費用負担なく荷物が届く手配をしました。しかし、物流担当の手違いで先方に税金負担が生じてしまったのです。

本来ならば、担当部署で内部手続きをし、返金作業を進めるべきでした。しかし、何度訴えても、いつまでも状況は変わりません。最終的には、私の方で直接、社内の経理部にかけ合い、海外送金という形で問題に対処しました。

日本的な互助精神は存在しない

スウェーデンは個人主義が徹底している国です。チームワークなどはあまり期待できません。気遣いの仕方や互助の気持ちというのも日本とは違ってくるので、自分で問題を解決しなくてはいけない場面が多くなります。

問題が起きた時に、いかにうまく助けを求めるか、どれだけうまく人を動かせるかを心得ておく必要があると感じています。

スウェーデンは冬の生活が厳しい

スウェーデンの森

数年生活していますが、実はまだ北欧の冬に慣れません。

日照時間が短く気温も低い

スウェーデンは国土の一部が北極圏に位置している国です。緯度によっても違いますが、ストックホルムでも冬の間の日照時間は1日に数時間と短い日が続きます。

朝8時ごろにうっすら明るくなり、午後3時には真っ暗という具合です。 曇っている日も多いので、冬の間は太陽の光を浴びることがほとんどありません。そのため、体調不良になりやすく、気分がスッキリしないこともあります。

日本にいる時はほとんど意識しなかったのですが、スウェーデンに住み始め、太陽の光が人間の生活にとっていかに重要であるかを実感しています。

気温に関しても、真冬は湖が凍りつく氷点下の日々が続きます。冬の間は外に出るのが一苦労です。しかし、生活するには、寒いからと家に閉じこもっているわけにもいきません。

快適・健康に過ごすための工夫

スウェーデンでは、部屋の暖房はセントラルヒーティングがメインとなっており、室内は暖かく保たれています。しかし、暖房がつきっぱなしの状態が続くので室内は非常に乾燥しています

私の場合、それが原因で喉の調子が悪くなり、体調を崩してしまうことも少なからずあります。冬の間は、部屋の中をある程度、加湿することが不可欠です。

また、日頃から免疫力を高める食べ物を積極的に摂取し、風邪を引きにくい体質づくりを心がけています。

暮らしの中に楽しみを取り入れる

スウェーデンでは、ハロウィンが終わるとすぐにクリスマス一色になります。暗い冬を前に気分を盛り上げながら楽しく過ごす、北欧ならではの文化なのでしょう。

また、スウェーデン人は寒い冬、屋内でリラックスして過ごすためにキャンドルを上手に生活に取り入れています。私の勤めていた会社でも冬の間、デスクにキャンドルを置く人がいて、これもありなんだと驚いたのを今でも覚えています。

スウェーデンの人と同じように、クリスマスを楽しんだり、旅行の計画を立てたりして気分を盛り上げるのも、暗くて寒い冬を乗り切るには大事なことです。

スウェーデンでは病院にかかりにくい

薬

スウェーデンでは、18歳未満は歯科代を含む医療費が無料です。また、18歳以上は年間自己負担上限額を1,100クローナ(約14,300円)とし、これを超える場合は無料になります。

金銭的に補助は手厚いのですが、実は医療サービスそのものを利用するのが難しいのが現状です。 医療従事者の数が不足しているのも原因の一つだそうです。

また、合理主義のスウェーデンでは、患者の症状がどれくらい重いかで診察の順番を決める傾向があり、重病の患者や子供が優先的に診察に回されます。そのため、診察の待ち時間が6時間などは日常的なことです。

やっとのことで診察の順番が回ってきても、がっかりするほど簡単に済まされることもあるようです。

※1クローナ=約13円(2019年1月)

熱がある時は自宅で安静に

私は昨年の冬、インフルエンザらしき症状で1週間ほど寝込みました。スウェーデンには健康相談ダイヤルがあり、そこに電話をすると病気の対処法やどこの病院に行けば良いかなどを教えてくれます

高熱に苦しみながら電話しました。ところが、

「5日経っても熱が下がらなかったら病院に行って下さい。それまではゆっくり安静に」

と言われ、がっかりしました。

幸いにして、熱は5日で下がりました。熱が下がらなかった場合、高熱にも関わらず氷点下の中を病院に行き、診察まで長時間待つことになっていたかと思うと、回復して本当に良かったと思っています。

インフルエンザも自然治癒

聞いたところによるとスウェーデンでは、病院でインフルエンザの検査をしないそうです。服用後にすぐ効果が現れるインフルエンザ治療薬も容易に手に入れることはできません。

基本的には、インフルエンザも自然治癒力で治すしかありません。スウェーデンでは、何よりも健康体で生活することがとても大事です。

まとめ~努力することで困難を乗り越えられる

福祉大国と言われるスウェーデンでも、実際に外国人が生活する上では仕事を得にくかったり、文化的な違いへの戸惑いを感じたりすることが少なからずあります。

しかし、それらの困難は少しずつ行動すれば乗り越えることも不可能ではないと個人的には考えています。

スウェーデンは、育児休暇・雇用制度・教育など社会の仕組みがきちんと整っています。また、それらの社会保障制度は外国人にも平等に適用され、得られるメリットも多いです。そういった意味では、外国人にとっても比較的住みやすい国です。

海外での就職・生活にはハプニングやトラブルがつきものです。良いところだけでなくデメリットもあえて知っていただくことで、少しでも参考になればと思います。

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記事を書いた人
Micco

北欧流のんびり生活を求めて、家族でスウェーデンに移住したMicco(みっこ)です。北欧ライフスタイルのライター、海外育児をするワーママとして活動中。

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