日本では働き方改革が盛んに議論されています。
そんな中、モデルとしてしばしば登場するスウェーデンのワークスタイル。労働時間が短く、働き手のライフスタイルに合わせた、フレキシブルな働き方を実践している国を思い浮かべる方も多いと思います。
私は2016年にスウェーデンの首都ストックホルムに家族で移住しました。ワークスタイルのモデルになる国で働くのは、実際どんな感じなのでしょうか。
ここでは、スウェーデンで再就職した私が実際に感じた「ストックホルムで働く魅力」についてご紹介します。
スウェーデンには通勤ラッシュがない!
通勤しやすい街ストックホルム
ストックホルムは公共交通機関が発達しているため、通勤に電車やバスなどを利用する人がほとんどです。
「それなら普通に通勤ラッシュがあるのでは?」と思われるでしょう。実はストックホルムの人口は東京の10分の1ほどです。人口が少ないということもあり、混雑する時間帯でも電車やバスがすし詰め状態になることはほとんどありません。
私はストックホルムの中心地から電車で20分ほどの場所に住んでいます。朝の通勤時間帯はいつも座席を確保でき、快適に通勤することができます。
アートであふれる地下鉄駅
ストックホルム市近郊の地下鉄約100駅のうち90駅でアートが施されています。
地下鉄アートを広める動きが始まったのは1950年代。その時代から、地下鉄駅をアートで飾ろうという斬新なアイデアが生まれたのは、それだけ国が安定していたことを意味しているのかもしれませんね。
殺風景になりがちな地下鉄駅に、アートが施されていることで、通勤前や帰宅時の人々の心を楽しませてくれます。
首都でありながらも通勤ラッシュがなく、遊び心あるアートで人々の心を和ませてくれるのがストックホルムの公共交通機関。通勤ストレスを感じない分、職場についたらすぐに仕事に集中できます。
スウェーデンには残業がない!
がんばりすぎないのがスウェーデン流
スウェーデンでは夜まで会社に残り、残業をする人はほとんどいません。スウェーデン人は「仕事は最低限。プライベートの時間を優先すべき!」と考えている人が多いので驚きます。
では残業をするとどうなるのか?残念ながら「時間内に仕事を終わらせることができない無能な人」と思われてしまうのです。
スウェーデンでは、日本のように長時間働くことを良しとする文化はありません。「1つの仕事に時間をかけず、手順よくスピーディーに仕事を処理していく人」こそ高い評価を得ます。
私が以前勤務していた現地アパレル企業では、就業終了時刻前の夕方、早々と帰り支度を始める社員が結構いました。
就業終了時刻前に退社しても、やることさえしていれば咎められることはまずありません。自分の仕事が終わったら、さっさと帰宅する。むしろ、周囲には仕事を早く終わらせることができるすごい人物という印象すら与えるのです。
このように生産性の高い仕事をし、残業をなくし、その結果プライベートな時間も大切にできるのです。
残業に対する報酬の支払われ方
残業すること自体があまり一般的ではないため、残業代がつかない雇用契約をしている企業もあります。実際に私が務めていた会社でも残業代はつきませんでした。
通常勤務時間内に仕事をすることが当然との認識があり、残業が問題になることはありませんでした。
残業代が支払われる雇用契約の場合、雇用先や労働組合の規定によりますが、一般的には平日の20時までの残業は、残業時間×月収÷94で計算されます。
例えば、月収20,000SEK(約26万円)の人が平日の20時まで2時間残業した場合。残業時間2時間×月収20,000SEK÷94=426SEK(約5540円)となります。
※週末や20時以降の残業は、割る数字が72になります。
また、残業代をお給料としてではなく、お休みとして受け取ることも可能です。残業1時間に対し、1時間半のお休みとしてカウントすることもできます。上記の例の場合だと、2時間の残業で別の日に3時間のお休みがもらえる計算となります。
スウェーデンは国のサポートがしっかりしている!
働き手を支える制度の代表例とも言える育児休暇制度。スウェーデンでは、国から各それぞれの親に240日づつ、両親に480日の育児休暇が与えられます。なぜ両親に480日かというと、その内の300日はお互いに分け合うことが可能となっているからです。
育児休暇を取得している間は、休暇前のお給料の日額の8割が国から支給されることになっています。国が保証している制度なので、利用したいと申し出る従業員に対して、会社側は拒否することはできません。
徹底した男女平等を貫く先進国スウェーデンでは、男性による長期的な育休取得はよくあることです。各親に与えられる90日間は、譲渡が不可能なため、それぞれ親が消化しないと消滅してしまいます。
このような決まりからも分かるように、スウェーデン政府は男女関係なく育休を利用することを後押ししています。
「育休を取得したことで、休職期間のブランクが職場復帰に影響するのでは?」と思われる方も多いと思いますが、スウェーデンでは労働組合の存在が大きいということもあり、働き手の権利はきちんと守られています。
それゆえ、育児休暇後に不当に扱われることはまずありません。
ストックホルムの街中では、平日の昼間にもかかわらず公園に子供を連れて来ているお父さん達をよく見かけます。お父さんだって育休を取るのが当たり前なのです。
スウェーデンは長期有給休暇が取りやすい!
スウェーデンでは法令で年次有給休暇数はフルタイム勤務の場合、25日と定められています。
また、有休を取得することにより休暇手当が支給されます。法令では、1日当たり月収の0.43パーセントが休暇手当として支給されることが定められています。休暇手当が支給されることで、従業員の有休取得を促す仕組みとなっているのです。
加えて、6月〜8月の間に連続して3〜4週間の長期夏期休暇を取得する権利が法令により定められています。
「夏の間は、病気になってはいけない」とスウェーデンではよく言われます。それはお医者さんですら長期休暇を取ってしまうので、街からはお医者さんがいなくなり、治療を受けることができなくなってしまうからです。
夏休みの時期になると、ストックホルムの街では一気に人が少なくなります。長期で旅行に行ったり、夏の間中、別荘で過ごすのです。
法令でも定められているので、誰もが当然の権利として、気がねなく長期休暇をとることができるのです。
スウェーデンなら子育てと仕事の両立が可能!
男女平等の先進国スウェーデンでは、男女関係なく仕事をし、子育てもすれば家事も行います。共働きが主流ということもあり、育児や家事は夫婦で協力するという共通認識があります。
例えば、
- 子供の習いごとの送り迎えをするため早く退社
- 学校が休みのときは、子連れで出社
- 子供が病気になったときは、在宅ワーク
ある程度の節度を守り、自分の仕事をしっかりこなしていることが大前提ですが、これらは比較的許容範囲内です。
都会であってもストックホルムの人々の間では、子育てに対するネガティブなイメージはありません。子育てと仕事を両立させることが可能なのは、ここストックホルムならではのメリットだと感じています。
まとめ
スウェーデンに住んでいると、仕事と家庭を両立することはそこまで難しいことではないと感じます。
個々のライフスタイルを理解する土台があり、働き手に対する国のサポートも手厚いからこそ、人々は安心して仕事を続けることができるのだと思います。また街全体が子育てを応援してくれると感じるのも子育て世代にはありがたいところの一つです。
このように、仕事・プライベートとメリハリをつけた働き方が実現できるのが、何よりもストックホルムで働く魅力だと感じています。
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