今、私が住んでいるのは高福祉国として知られているスウェーデンです。高税率ながら、税金がきちんとした形で社会に還元され、安心して暮らせる国だと住んでみて実感しています。
またスウェーデンといえば、可愛らしい雑貨・家具などを生み出す北欧のデザイン大国としてイメージする方もいるかもしれません。
ここでは、そんなスウェーデンに家族で移住した私が仕事を見つけるまでの経緯と苦労、そして実際に働いてみて感じたことをご紹介します。
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スウェーデンへの家族移住を決意したわけ
- 子供に海外での教育の機会を与えたい
- 家族が一緒に過ごせる時間を大切にしたい
これらは、結婚し子供が生まれてから私と夫に共通する思いでした。
子供には自己表現が上手にできるようになってほしい、そのためにはアクティブラーニングが盛んな海外で就学するチャンスを与えてあげたいと考えていました。
また、夫は深夜までの残業や土日出勤も当たり前の生活で、子供達と過ごす時間があまり取れません。
このような思いや状況から私達は、いつしか生活拠点を海外に移すことを目標としていました。
未知の国での暮らしに不安
日本在住時からスウェーデン企業に勤めていた夫がスウェーデン勤務の機会を得たことがきっかけで、目標だった海外移住の話は急速に進み始めます。夫は日本支社を退職し、スウェーデンでの現地採用という形でポジションを得ました。
とはいえ夫も私もスウェーデンで暮らしたことはなく、スウェーデンについては全く知らない状態だったので、決断するのには少し時間を要しました。
子供を連れての海外生活、しかも行ったことがない国であり、さらに駐在ではなく現地採用という雇用形態。即決するには勇気がいりました。
ポジティブなイメージが決め手に
スウェーデンと言って思い浮かべるのは「男女平等先進国」「働きやすい社会」「国を挙げての子育て支援策」「自然が豊か」などのイメージ。これらから受ける印象は、家族が暮らしやすい国ということでした。スウェーデンが社会的に成熟していることも後押してくれました。
これらを踏まえ、私達はワーク・ライフ・バランスが実現しそうな国、スウェーデンに移住をすることを決意したのです。
スウェーデンで第二のキャリアを築くことを考える
私は日本の大学を卒業後、イギリスの大学院で修士号を取得しました。日本に帰国後は多文化の中で働きたいと考え、外資系金融機関で秘書の仕事をしていました。英語と日本語の両方を使う職場です。
結婚し子供が生まれてからは働き方を変えました。在宅ワークやパートタイムなど時間的に余裕を持てるワークスタイルで、仕事の内容は英語教育関連やオフィスワークなどでした。
スウェーデン移住が決まる前は、日本でセカンドキャリアスタートのため積極的に就職活動を行っていましたが、10年近くも第一線を離れてしまった私を採用してくれる企業はなかなか見つからない厳しい状況でした。
ブランクに寛容な社会での再就職を目指す
子育ても落ち着いて、そろそろ本格的な仕事復帰を目指していた矢先のスウェーデン移住。
「言葉のハンディがない日本ですら再就職が難しかった私が、スウェーデンでセカンドキャリアをスタートさせられるのか?」
これが一番の不安要素でした。
しかし、スウェーデンは社会的にもとてもオープンな国。女性だけでなく男性の育児休暇の取得率も高い国です。
「誰だって、ライフスタイルに合わせてスローダウンするときがある。職歴にブランクがあるのも当たり前のこととして見てくれるのではないだろうか?」
と、前向きに捉えてくれる風潮があるのではと考えました。そして、スウェーデンで再就職活動をがんばってみようと決めたのです。
スウェーデンでの言葉の壁はどうするのか?
海外で仕事をするに当たり、一番の問題となってくるのが言葉の問題です。
スウェーデンの公用語はスウェーデン語。しかし、外国人にありがたいことに、特に首都ストックホルムではかなりの確率で英語が通じます。スウェーデンはバイリンガル人口がとても多い国なのです。
しかし、大体のことは英語で何とかなるといえども、実際に生活をする上ではスウェーデン語ができる方が良いに決まっています。
スウェーデンに移住してきた外国人の間では、
- スウェーデンではスウェーデン語ができなければ就職ができない
- 仕事がない状態でスウェーデンに移住してきたならば、スウェーデン語を習得することが最優先
など、スウェーデン語ができることが生活の基本だと言われています。
まずは英語でできる仕事を探す
スウェーデン生活で基本中の基本であるスウェーデン語は、私にとっては未知の言葉でした。正直なところ、スウェーデンに来るまで聞いたこともなく、どのような言葉なのかも全く知りませんでした。
何のバックグラウンドもない私がスウェーデン語を習得し、スウェーデン語で働くまでには相当な時間と苦労を要するだろう。そう判断した私は、まずは英語で働ける仕事から探すことにしたのです。
スウェーデンでの仕事・求人の探し方
職探しにおいて、スウェーデンでは人とのつながりが何よりも重要視されます。スウェーデンでは、それまでの仕事や学校などで築いたネットワークの中から求人を探すのが一般的です。
しかし、スウェーデンに来たばかりの私は職探しに有力なコネクションを持っていませんでした。
そこで私が頼ったのは、SNSなどの情報共有サイトです。外国人向けの英語を使う仕事のサイト、日本人コミュニティの掲示板などを常にチェックし、少しでも気になる求人があればすぐに応募していました。
職を得るために大切なものはスピード
スウェーデンでは、職を得ることに対して早い者勝ちの一面があることは否めません。
基本的にスウェーデン人は、一つのことにじっくり時間をかけるタイプではありません。スピーディにどれだけの成果が上げられるかということを大事にする傾向があります。
採用に関しても同じことが言えます。時間をかけてたくさんの候補者を面接して選ぶより、先に応募してきた人の中から手っ取り早く良い人を見つける傾向があります。
もし採用した人が希望する人材でなかったら、また探せば良いと考えているのかもしれません。最初に好印象を与えた人が即採用なんてことも多かれ少なかれあるのです。
そのため、スウェーデンで仕事を得るには気になる求人があれば即応募すること。それが採用への一番の近道と言えるでしょう。
スウェーデンでの就活期間
スウェーデンに移住して生活の基盤が整い次第、すぐに職探しを始めました。英語で記載されている求人で、かつ日本語能力を必要とする仕事を中心に探しました。
というのも、仕事を見つける過程で一番需要がありそうだったのが日本語能力を必要とする仕事なのです。さらに、日本語がスキルとなる職種では「スウェーデン語能力不要」と記載されているものが多くありました。
スウェーデン語不要のポジションでは、英語がビジネスラングイッジとなります。応募書類は全て英語で作成しました。英語で仕事を探すというのは、スウェーデン語ができなかった私には好都合でした。
仕事を見つけるまでにかかった期間は1年
しかし、日本語が必要な職種の募集は限られており、競争率も高かったです。面接に行ってもなかなか採用まで至らないことが続きました。結局、仕事を得るまでに1年ほどかかりました。
仕事を見つけるのにかかった時間が1年というと長い期間に感じます。ですが、長年スウェーデンに住んでいてもずっと仕事を探しているという外国人はたくさんいます。
そういう状況を考えると、1年というのは早い方かもしれません。
スウェーデン語ができないと仕事に就けないと言われているスウェーデン。そんな国でのスウェーデン語能力ゼロの私の仕事探しは、実はかなり厳しいチャレンジだったと言えます。
スウェーデンで見つけた仕事はアパレル関係
私が採用されたのは、スウェーデンで設立されたばかりのアパレル関連の会社でした。日本マーケット担当として、自社製品のPRとウェブサイトの日本語翻訳チェック、カスタマーサービスなどを行うことになりました。
これまで自分が経験してきた仕事ではなく、全くの別の職種での再就職でした。
日本からスウェーデンに来てまだ日が浅かったこともあり日本の流行に明るかったこと、日本語ネイティブで英語で就業が可能だったことが採用された大きな理由のようです。
多文化の人が集まる働きやすい職場
従業員はスウェーデン人がほとんどで日本人は私1人だけでした。しかし、CEOはオーストラリア人、同僚はイタリア人、ロシア系イギリス人とマルチカルチャーな職場でもありました。
色々なバックグランドを持つ人々が集まっていて、スウェーデンで初めてオフィス勤務をする私にとっては居心地が良く働きやすい環境でした。
あいにく、この会社は設立から1年ほどでクローズしてしまいましたが、私はここで9ヶ月間働きました。
スウェーデンでの雇用形態・労働時間
初めの1ヶ月はパートタイム勤務でスタートしました。1ヶ月後に月給制に変わり、6ヶ月の試用期間を経て無事に正社員となります。
1日8時間、週40時間労働が基本となっていましたが、子供の世話や家庭のための時間も確保したかった私は、仕事に慣れるまで全労働時間の70%の勤務をしていました。
面接時にどのように働きたいかを聞かれたため率直に70%と伝えたのですが、子供を持つ親の当然の権利として会社側がそれを快諾してくれたのは新鮮に感じました。
スウェーデンで仕事をして良かった点
仕事を通じてスウェーデン文化を知れた
スウェーデンという国をよく知らないままスウェーデンに移住してきた私にとっては、仕事を通じてスウェーデン文化を知る機会ができたのが良かったです。同僚との日々の会話からスウェーデン料理・文化なども知ることができました。
ネットワークが広がった
仕事を通じてできた人脈は、スウェーデン在住歴が短い私にとってはとても貴重なものとなっています。
実はスウェーデンは「友達ができにくい国」ランキング堂々1位の国です(InterNations調査、2017年)。スウェーデン人はなかなか他人に心を開かない国民性だと言われています。そのため、友達になるには時間を要するのです。
しかし、仕事という共通点を持つことでお互いを深く知る機会を持てました。普通に生活をしているだけでは出会えない人達と仕事を通じて知り合い、ネットワークを広げることができたのはありがたいことでした。
働き手優先のワークスタイル
スウェーデンのワークスタイルはとてもフレキシブルです。子供が病気で学校を休んでいるときなどは在宅ワークを認めてくれ、子供の習い事の送り迎えで早めの退社をすることも可能です。
子育て世代には、仕事と家庭を両立できる働き方を実現できることはとても助かりました。
まとめ~ライフスタイルに合わせて新たなキャリアを築ける
私のような子育て世代でもセカンドキャリアを始めやすい国スウェーデン。人生のステージに合わせてフレキシブルに働くことが当然の権利として社会的に受け入れられています。
外国人としてスウェーデンで仕事をするに当たっては、言葉や人脈作りなど色々と難しい面もあります。しかし、雇い主が必要としているスキルと自分の持っているものがマッチすれば、私のようにセカンドキャリアをスタートをさせることもできるんですよ。
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