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スウェーデンの治安とは?安全とされる国のリアルな治安情報を現地在住者がお届けします

スウェーデン

ヨーロッパ北部のスカンジナビア半島に位置するスウェーデン。デンマーク、ノルウェーなどの福祉国家として知られる国々に囲まれ、スウェーデン自体も人々が安心して暮らすための様々な社会制度が整った福祉大国です。

社会的にも安定しているスウェーデンは、ヨーロッパの中では安全な国だと言われています。しかし、そんなスウェーデンでも楽しく快適に滞在するために気をつけるべきことがあります。

今日はスウェーデン在住の私から、スウェーデンや首都ストックホルムの治安についてお話ししたいと思います。

目次

スウェーデンは本当に安全なのか

スウェーデンの警察

テロは少ないがないわけではない

イースターやクリスマスの時期、大々的なデモが行われるときなどは、スウェーデンの日本大使館からテロに警戒するよう促す「注意喚起メール」が送られてきます。

スウェーデン在住3年で、日本人が巻き込まれた犯罪に関する注意喚起はこれまでにありません。

ストックホルムで起きたテロ事件

2017年4月、ストックホルム中央駅周辺の繁華街で、トラックがデパートに突入するというテロ事件が発生しました。

事件直後は、ストックホルムの街中は恐々とした雰囲気でした。街の中心部は警察によって封鎖され、ストックホルムの全ての公共交通機関は運行を一時停止。しかし警察の素早い対応で、事件は比較的早い段階で解決しました。

それ以後、ストックホルムでは大きな事件などはなく落ち着きを取り戻しています。ただ、世界情勢としてはいつどこでテロが起こるか分からないので、常にまわりの状況に気を配ることが必要です。

犯罪は近年、増加傾向

スウェーデンに実際に住んで、犯罪に巻き込まれることはもとより、身の危険を感じたこともほとんどありません。他の国より比較的安全だと感じています。

しかし、政府統計によると、安全と言われることが多いスウェーデンの治安にわずかながらも変化が生じてきていることが分かります。

被害者の数は年々「右肩上がり」

スウェーデンの政府機関、スウェーデン国家犯罪防止協議会(Brottsförebyggande rådet)の調査によると、2015年に暴力、脅迫、性的犯罪、強盗、詐欺などの犯罪被害にあった人は全回答者の13.3%でした。

また、2016年度は前年度よりも増加し15.6%という結果が出ました。2005年〜2014年は11.3%〜13.1%で推移していました。

この調査から、わずかながらも近年、犯罪被害件数が増加傾向にあることが分かります。

スウェーデンの治安と移民の関係は?

スウェーデン

スウェーデンは移民受け入れ大国

スウェーデンは、外国出身者、移民2世が全人口のおよそ25%を占める移民大国です。

中東や北アフリカなどから逃れてくる人々が急増した2015年欧州難民危機で、スウェーデン内の移民の数は劇的に増えました。このとき多くの難民が、受け入れに寛容なドイツやスウェーデンを目指したと言われています。

スウェーデンは、この欧州難民危機でおよそ15万人の難民を受け入れ、結果的に人口比ではヨーロッパで随一の移民受け入れ国となりました。

徐々に厳しくなる政府の対応と国民の目

しかし急激な移民増加を受けて、政府は難民危機のあった2015年の終わりには受け入れに慎重な姿勢を取り始めます。2018年現在では、難民申請で滞在許可を得た人に対し、スウェーデンへの滞在可能期間は3年間となっています。

仕事を得るなどの自立した生活ができない場合には出身国に戻らなくてはいけないなど、難民危機を境にこの3年間でかなり厳しい対応が取られるようになりました。

また近年、犯罪が増加傾向にあることと合わせて移民問題が国民の間で議論されることが少なくありません。

スウェーデンでは、犯罪者の民族的なルーツに関しては公式な統計は取っておらず、犯罪増加と移民増加は直接関係づけられていません。しかしながら現実には、国民の中にその関係性を疑う人が少なからずいます。

国政選挙で反移民の極右政党が躍進

2018年9月に行われたスウェーデンの国政選挙では、極右政党、スウェーデン民主党(Sverigedemocraterna)がどれだけ議席を確保するかが焦点となりました。

スウェーデン民主党は、反移民政策を柱に移民や難民の祖国への帰還、スウェーデンのEU離脱などを支持する政党です。

近年、スウェーデン民主党に賛同する人々が増えてきています。2018年の選挙活動では、これまで以上に国民にそのインパクトの強さを示しました。

スウェーデンの国政選挙は4年に1度行われます。スウェーデン民主党は、2014年総選挙での49議席獲得に対し、2018年度総選挙では62議席と着実に議席数を増やしました

今後も注目される移民排斥の動き

移民問題で世界が揺れる中、2018年度のスウェーデン総選挙は世界からも注目を集めていました。

選挙結果では、スウェーデン民主党は議会の多数派になることはありませんでした。しかし、スウェーデン国会内で第3党となっており、今後の動きに注目が集まります。

他のヨーロッパ諸国同様、スウェーデンでも移民に関する議論は大きく取り上げられています

スウェーデン人の穏やかな気質が安定した治安に貢献

スウェーデン

スウェーデン人は日本人と似ているところがあります。基本的にスウェーデン人は真面目でモラルを大切にし、温和な人が多い印象を受けます。

たとえば、地下鉄で母子が立っていると、子供だけでなく母親にも快く席を譲る親切なお国柄です。列に並ぶ際にも、スウェーデン人の気質を垣間見ることができます。ストックホルムでは夕方のスーパーは大混雑していますが、スウェーデン人はレジ待ちの列にも不満を言うことなくじっと待ちます。

他にもスウェーデンでは待たされることが多くありますが、人々にはそれを黙って受け入れる辛抱強さがあります。このような真面目な国民性が、国の治安を守ることにも活かされていると言えそうです。

スウェーデン警察が出動した、ちょっと意外な例

スウェーデン警察

ストックホルム中心にある公園を訪れていたときのことです。突然、大声が聞こえてきました。スウェーデン人は穏やかな性格で、声を荒げる人はそう多くはありません。

しかし、そのときは数名の男性が大声を出して男性1人を地面に倒し、押さえ込んでいました。何事かと心配で見ていると、数分後にパトカーがやって来ました。

騒動のきっかけは犬でした。その押さえ込まれた男性は、公園で女性が散歩させていた犬に暴力をふるったのでした。

動物を守る成熟した社会

スウェーデンの警察は、車上荒らしがあっても出動しないときがあるのだそうです。警察に電話すると、オンラインで被害レポートを提出するように言われ、それでおしまいなのだとか。

そんなスウェーデン警察なのに、犬への暴行ではすぐに出動してきたのです。

この件では、動物愛護や暴力に対して毅然と対応するスウェーデン人の姿が見てとれました。動物への虐待事件で警察がすぐに動くことからはある意味、それだけスウェーデンは社会が成熟している平穏な国だという印象を受けます。

スウェーデンで多発する携帯電話のスリ

スマホ

スウェーデンのフリーの大衆紙『Metro』によると、警察がまとめた統計で、年間およそ125,000台の携帯電話の盗難・紛失届けがあるそうです。首都ストックホルムでは、1日およそ100件以上の届け出があるとのこと。

安全なイメージがあるスウェーデンでも、実際に頻繁に耳にするトラブルが「携帯電話のスリ」です。私のまわりでは、残念ながらこの被害にあわれた方が少なくありません。以下に、実際に身近で起きた携帯スリについてまとめてみました。

携帯電話スリの手口

買い物中の客をグループで狙う

繁華街にあるフランチャイズ系の雑貨屋の店内で起きたスリの手口です。

不審な人物があからさまに近づいてきて気を取られた瞬間、別の人物がポケットに入れてあった携帯電話を抜き取っていきました。グループで行われるスリの一例です。

電車を待っている人に声をかける

平日の夕方、地下鉄中央駅(T-Centralen)のプラットフォームで電車を待っていたときのことです。

知らない人物に携帯電話を見せるよう言われ見せたところ、そのまま手から奪われてしまいました。携帯を奪った人物は、停車中で扉が閉まろうとしている電車に飛び乗って逃げ去りました。

気づかれないように隠して持って行く

レストランやカフェなどで、テーブルに置いていた携帯電話がいつの間にかなくなっていました。

あとで考えてみると、知らない人が話しかけてきてトレイや新聞などを携帯の上に置き、隠しながら持って行ったようです。

特に携帯電話のスリが多い場所

ストックホルム中央駅周辺

ストックホルム中央駅

携帯スリの被害が圧倒的に多いのが、ストックホルム中央駅またはその周辺です。

ストックホルム中央駅は、ストックホルムの中心部にあるターミナル駅となっています。国内はもとより、隣国のデンマークやノルウェーとストックホルム間をつなぐ列車も行き交い、常に多くの人が集まります。

ここでは、観光客だけでなくスウェーデン在住者も被害にあっていると聞きます。このような事実を踏まえ、私も中央駅周辺に行く際は常に気を引き締めています。

旧市街(ガムラ・スタン)

映画『魔女の宅急便』のモデルになったと言われている旧市街(ガムラ・スタン)には、世界中から観光客が大勢集まります。その観光客を狙ってスリもやってきます

ガムラ・スタンでは、中世の面影を残す美しい街並みについつい引き込まれてしまいがちです。壮麗な景色を写真に収めようと、注意がそれてしまうことがよくあります。写真撮影の際には十分気をつけましょう。

スウェーデンで犯罪被害にあわないために

カバン

特に夏の観光シーズンは、観光客を狙った被害が多くなっています。トラブルを避けるために気をつけたいことをまとめました。

身のまわりの物はしっかり管理

スリは、被害者がどこに携帯電話や財布などを入れているかをどこかで見て確認しています。

電車のチケットを買った後は、財布は取り出しにくい場所に入れましょう。乗り換えなどを調べるためにスマホを使った後も、ポケットやカバンの抜き取られやすいところには入れないようにしてください。

また、バッグなどの持ち物は常に目の届くところで管理しましょう。

出歩くときは十分に注意する

「自分は警戒しているんだ」というそぶりを見せることで被害を抑止できます。

エスカレーター・電車・バスの中などでは、背後が死角になってしまいます。特にストックホルムでは、地下鉄構内に長いエスカレーターが多数あります。貴重品は取られにくい場所にしまい、なおかつ常に後ろに注意を払いましょう

むやみに物を置かない

レストランやカフェでは、テーブルの上など人目につく場所に携帯電話や財布などを置かないようにしましょう。

スウェーデンには素敵なカフェやレストランがたくさんあり、そのような場所で旅の思い出の写真を撮ることがあるでしょう。しかし、カメラやスマホで写真を撮った後はすぐに見えない場所にしまいましょう

まとめ~自分の身は自分で守り楽しい旅を

スウェーデンは自然が多く街並みがとても美しい国です。住んでみて、治安も比較的安定していると感じます。しかし、危険がないわけではないのは言うまでもありません。

スウェーデンを訪れたら上に挙げたこと以外にも、危険な場所に近づかない、夜の一人歩きを避けるなど、日本にいては忘れがちなことを意識してください。せっかくの滞在でトラブルにあってしまうのは、とても残念なことです。

安全対策を怠らず、より良い旅を楽しんでいただきたいと思います。

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この記事を書いた人

北欧流のんびり生活を求めて、家族でスウェーデンに移住したMicco(みっこ)です。北欧ライフスタイルのライター、海外育児をするワーママとして活動中。

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