ポートランドで日本人が仕事を探す方法やポイントは?飲食店に勤務する日本人が解説

ポートランド アメリカで働く

アメリカでの生活を夢見ている人は年齢性別問わずたくさんいるでしょう。

日本での会社勤めに疑問を感じたり、やりたい仕事が他にあったりと理由はさまざまだと思いますが、見飽きた風景や代わり映えしない環境から離れて、自分の目標に向かってみたいという思いは共通しているのではないでしょうか。

私も以前、ポートランドで働いていました。ポートランドでの就職を目指す人を応援する意味も込めて、今日は私の経験をお届けしたいと思います。

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ポートランド留学後、創作活動を続けるため働くことに

道具

少し古い話になってしまいますが、私は1992年からアメリカのウィスコンシン州に留学していました。その後、西海岸のオレゴン州ポートランド市に希望していたような大学を見つけ、引っ越します。

州立や市立の四年生大学とは異なり専門性が高い美術大学へ進学、卒業後はポートランド市内のギャラリーで小さな個展を開くなどして、細々と生活していました。

しかし、画材費や展示費用など、学生時代とは違い生活費以外のお金が必要になってくることに気づきました。さぁ困った、どうしよう……。

働くためのビザを取得

運よく、卒業した美術大学や周辺の教会関係者、ボランティアをしていた時の役員で在学中に交流があった方々から「レコメンデーション」という推奨書を発行して頂きました。

そして、大学が私のために移民局へ提出して下さり、「アーティストビザ」という2年間有効なビザを発行してもらうことができました。

国を越えて芸術家として活動するための、コミュニティに必要な存在であるという位置づけのビザです。とても光栄なことだと記憶しています。

レストランとカフェで勤務開始

その後、ポートランド市内にある日本食レストランと日系2世の方がオーナーを務めるカフェの2つのお店で働くことができました。扱いとしては、週40時間のフルタイム勤務ではなく、週に30時間程度ずつのパートタイムワーカーでした。

それからは仕事と創作活動とのバランスも整い、毎日とても充実した日を過ごしていたのを覚えています。

ポートランドで働きたい理由を確認しておく大切さ

カフェ

私が仕事を始めたのは、

  • 生活の基盤をしっかりと作りたかったから
  • 一番大切にしていた創作を続けるために材料を購入する費用が必要だったから

この2つがメインです。

仕事を始める前に6年以上はポートランドで生活をしていたので、「10年後の自分の人生のために」という野心が先行していたわけではなく、とにかく「生きていくために仕事に就いた」というのが正直なところです。

ただ単になんとなく「ポートランドで生活したい」からではなく、「目の前にある事柄をこなしていくために仕事をして稼ぐ必要があった」という具体的な理由がありました。ポートランドで働くことを選んだ理由は私の場合、至ってシンプルです。

目的が明確であれば今やるべきことが分かる

単に仕事をしたい!という気持ちだけで先走るのではなく、なぜポートランドで働きたいのか、その動機をしっかりと自分で把握していることで、事前にどれだけ深いリサーチが必要かや知っておくべき事項があるかが自然に分かってくるものだと思います。

どんな仕事でもいいということであっても、多少なりとも技術が無いとできない仕事もあります。私のケースでは、現場の先輩にあたる担当者から毎日少しずつ教えて頂き、数か月でフロントでサービスできる程になりました。

ここでコミュニケーション能力が試されますが、ポートランドに住むアメリカ人は異文化や外国人にとても寛容なので、親切丁寧にたくさんの技術を伝授して下さいました。そのことに感謝しています。

ポートランドでの仕事の探し方とポイント

寿司

通常、日本国内からポートランドでの仕事を見つける際は、アメリカ移住や職業斡旋をする代理店に相談する方法や、インターネットを介して自分で検索し仕事を探す方法があると思います。

また、実際にポートランドでの生活・就職経験がある友人から斡旋・紹介してもらえる場合もまれにあるのではないでしょうか。

元々ポートランドにいた私の就活方法

私は既にポートランド市に住みながら仕事を探したため、ポートランドの様子や客層、周辺環境を知ることができたのに加え、既に雇用されている方から話を聞くなど直接的なリサーチをすることができました。

何度もオーナーや関係者と会話をして、ここだったら技術が無い私でも受け入れてくれるだろうという自信が持てるまで通いつめたこともあります。その後、正式に採用願いを提出し、無事雇用されました。

自分なりの条件を決めていた

他にもポートランド市内には働き口の選択肢がいくつかあったのですが、当時は条件を決めて仕事を探していました。自宅からさほど遠くない区域にある日系人経営の飲食店で、スタッフが楽しそうに働いていて、活気があるということがその条件でした。

アメリカ人経営者のお店がダメだったということではありません。私の場合、日頃の創作活動をしている時は日本人がいない環境のため、ずっと英語に浸っていることになります。時々は息抜きをして、母語の日本語で会話をしたり、日本の礼儀や文化に触れていたい衝動がありました。

自身の心に忠実に、「仕事を通して挑戦したいこと」と「馴染み深い空気に浸ること」のバランスを取りたかったんだと思います。

仕事を探す上で大切なこと

  • アクセスや地域柄、安全面で都合のいい・気に入る環境かどうか
  • 就職後も毎日向上できるようなサポート環境があるか
  • 自分が教えられることがあるか

この3点がポイントになると思います。

第一に、自分の長い人生の瞬間をどう生きていくかということが大事です。

2番目に、技術向上のために手伝ってくれるスタッフがいるか、そして最後に、人間同士のつながりで少しでも手伝いができ役に立つことで恩返しができるかを考えることで、おのずと就職先や雇用形態、理想とする職場の絵が見えてくると思います。

ポートランドで働いてよかったこと

カフェ

レストランとカフェで約3年ほど仕事をしました。その貴重な時間を振り返ると、よかったと思うことが多々あります。

常に先輩と職人さんに手助けを受け、毎日勉強させて頂きました。新しく覚えたり挑戦したりする機会を与えられたのも、当時ポートランドで仕事をしていたからであると感じています。

サービスの仕方が身についた

長い経験の結果、毎日数百名のお客様に対応することができるようになり、サービス業界の単語や会話の流れを学ぶこともできました。

また、毎日様々な感情で来店されるお客様へリズムよく話しかけながら商品を提供することや、時には一緒に席に座り気持ちをお聞きするなど、一人ひとりのお客様に細かい気配りをしながら対応することができるようになりました。

英語で食材の説明ができるようになった

ベジタリアンが多いポートランドでは、料理の中身の説明を求めるお客様がいらっしゃいます。日本食や中華で使われる「出汁」の概念がないポートランドの食文化なので、鶏肉や豚肉、魚や昆布を使った「出汁」の説明に苦労しました。

「ラーメン欲しいんだけど、その出汁ってのを取ってちょうだい」というお客様への対応も随分とこなしました(除くことは無理ですが)。

小麦、大豆、蕎麦など、日本国内では常識的なアレルゲンの英単語も、当時は必死になって暗記したものです。

独特の料理用語を習得できた

刺身包丁、研石、檜まな板、枡、蒸す、茹でる、揚げる、腐らせる、裂く、水を切る、燻製にする、漬ける、などなど。厨房内で聞こえてくる専門的な用語を、英語と紐付けしてフランス語で勉強しました。

腐らせる・寝かせるという文化がないアメリカの方に、納豆や鮪の漬けなど古来から伝わる日本食の制作工程を説明する立場でもあったので、聞かれた時はなるべく実演を交えて説明できるよう心がけていました。

また、コロッケという単語一つにもヨーロッパの歴史があることが分かりました。

チームの大切さを知ることができた

経済大国と言われるアメリカの労働環境で私なりに素晴らしいと思う点は、ワンオーナーやハウスオーナーと言われる零細企業であっても役割分担がしっかりと決まっていることです。

また、個人だけの成長ではなく、部署やスタッフ全員の成長を皆が常に望み助け合っていることで、しっかりと経験を積むことができました。

自分のできる範囲は狭くても、より深く探求し実績を残すことで評価してくれるため、モチベーションを維持することもできました。

ポートランドで仕事をすることのリスクと注意点

就労ビザ

ポートランドに限らず海外で働くことを考えた時、やはり就労ビザが一番気になる問題ではないでしょうか。

ポートランド市は移民も多く、政府の入国管理担当者が抜き打ちでIDやビザの確認に来店することがあります。この時に所持していないと雇用しているオーナーまで検査を受けることになるので、正規に取得したビザやIDは常に持ち歩くようにしましょう。

収入

大企業は別として個人事業主で開店している店舗で社員やパートタイムとして働く場合、最低賃金からスタートするケースがほとんどです。現地での経験値や語学力などで給与が変わってきますが、下積みとして数年はかかると想定してください。

長年、日本で技術者や開発者として従事していた人でも、日本での経歴が特別なものでない限り、入社当初は新人扱いされるケースがほとんどです。

ただし、日本の会社からの推薦状、公的機関からの紹介状などがあると給与も考慮されることがあるので、それらの書面などはいつも手元に置いておくようにしましょう。

まとめ~周囲の人に支えられて得た「見えない財産」

空港

アメリカ就職で大切なのは、明確な目的と事前の情報収集、働き始めた後は穏やかな立ち振る舞いと分からないことを聞く勇気です。自分がチームのメンバーとして必要とされていること、周りにはたくさんのサポーターがいることを忘れないで下さい。

現在は帰国し札幌市内で生活している私は、ポートランドで働いた経験を一生忘れないでしょう。全てはこの経験があったからこそ成り立っていると思います。

この貴重な「見えない財産」を大切に保ちながら、新しい自分を発見する旅を明日からまた始めようと思います。

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アメリカ・ポートランド就職。
平面アーティスト / アートディレクター。企業組織のブランディングや企画プロデュースを手掛けるブランディングテクニシャン。コンテンツのプロモーションは勿論、ブランディングをウエブメディアで促進させ、多種にわたるクライアントやユーザーへ繋げるスペシャリスト。

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