ポルトガルで生活するには欠かせない、銀行口座開設。短期滞在であれば必要ありませんが、給料や奨学金の振込にはポルトガルの銀行口座が求められることもあります。
2018年初めに法律が変わり、外国人が口座開設するのに必要な書類が変わりました。私は口座開設に苦労しましたが、私のような人を増やさないためにもポルトガルでの銀行口座の開設方法を詳しくご紹介します。
ポルトガルの銀行:NOVO BANCO(ノーヴォ・バンコ)
私はこの黄緑の看板が目印のNOVO BANCO(ノーヴォ・バンコ)で口座を開設しました。EUの教育機関から奨学金を受ける際に、大学から銀行の指定があったためです。
首都リスボンに本行を構え、2014年にできた新しい銀行です。ポルトガル全土に支店が数多くあり、ポルトガルで生活するのに困ることはありません。他にもスペインやフランスなどにもいくつか支店があります。
NOVO BANCO(ノーヴォ・バンコ)
銀行口座開設のための必要書類
必要書類
主な必要書類は以下の4点です。
- パスポートかポルトガルの住民カード
- マイナンバーカード
- ポルトガルでの住居証明
- NIF
「あれ?これだけ?」と思った方も多いと思います。
私は留学が始まってすぐに大学からもらった住居証明を提出しました。住居証明はポルトガルでの住居の領収書でも代用可能なので、口座開設予定のある人は早めにその旨を大家さんに伝えましょう。
マイナンバーカードの注意点
マイナンバーカードについてが、最近変更された部分です。日本にいるうちに通知カードから本カードに切り替えて持って来ましょう。
また、カードを英語もしくはポルトガル語に翻訳した紙の提出も必要です。きちんとしたところでの翻訳でないと認められないため、私は大学併設の語学学校に依頼しました。
私はこの変更について知らなかったため、マイナンバーカードを持っていませんでした。そこで日本に住む家族に頼んで「個人番号(マイナンバー)つき住民票」を役所で作ってもらい、それをポルトガルに送ってもらいました。
海外郵便は時間もかかる上なくなることも珍しくないので、必ずマイナンバーカードを用意して渡航しましょう。私の場合はこれだけで1か月かかりました。そのため留学前半は奨学金を受け取れずひもじい思いをしました。
NIFとは
NIFについて、聞きなれない方がほとんどだと思います。正式名称はNúmero de identificação fiscal(ヌメロ・デ・イデンティフィカサオン・フィスカル)で、「納税者番号」という意味です。
この番号はポルトガルに住む人なら誰でも持っていて、私のような留学生や、ワーキングホリデーで滞在している人も作らなければなりません。
大学受験など様々な場面で個人情報の1つとして聞かれるので、銀行口座を作らない人でもNIFは作っておく必要があります。
NIF「納税者番号」の作るには?
このNIF、作るのが少し大変です。前述のように大事な番号なので、入国してすぐに作るべきなのですが、ポルトガル人の保証人が必要になります。つまり来てすぐで誰も知らないときに作るのは少し難しいということです。
私の場合は運よく日本で知り合ったポルトガル人の友人がいたため問題ありませんでしたが、周りの留学生は苦労している人も少なくありませんでした。
そのような場合は、やはり留学生にとって最も身近な存在である大学の先生に相談するのも手です。学部によっては留学生の受け入れに慣れている先生もいるので、留学生をまとめてSEFに連れて行くのを見たことがあります。
NIFの発行
市役所の外国人担当課へ
保証人と一緒にSEF(Serviço de estrangeiros e fronteiras:セフ)という市役所の外国人担当課に行き、パスポートと住居証明を提出すればその場ですぐに発行されます。
大きな都市ではいつも窓口が混んでいて2時間待ちも珍しくありません。Webサイトから予約もできるため、朝一番で行くか、予約して行くのをおすすめします。
まず市役所に着くと、番号札を取るための機械があります。様々な部門がありますが、SEFを選びます。予約についての選択肢もあるので、予約してあれば予約ありのボタンを押して番号札を発行しましょう。
注意点
注意していただきたいのが、10時に予約したからといって10時に行けばいいわけではないということです。用件によってかかる時間が変わるため、自分より前の人が30分も手続きをしていることもあります。
そのため、予約なしであれば平日・朝一番、予約ありであれば予約の30分前に行くことをおすすめします。
NIFの発行自体はすごくシンプルで、必要書類を提出していくつか署名をするだけです。ポルトガル人の保証人が一緒にいるので、言葉の問題も心配ありません。
SEF(Serviço de estrangeiros e fronteiras)
銀行口座開設
さて、これですべての必要書類が揃いました。あとは実際に銀行に行くだけです。私は大学近くの支店を利用しましたが、基本的に窓口は空いているのでSEFのような心配はいりません。
ただ開設にあたり、銀行員の方と多く話すことになるので不安であれば誰かポルトガル人を連れていくことをおすすめします。だいたいの銀行員さんが英語は話せます。
質問されること
ここでは書類のチェック、署名、あとは両親の名前と携帯電話番号を尋ねられました。番号はポルトガルのものでないといけないので、こちらも口座開設の必要がある人は早めに取得しましょう。
またアプリの案内もされました。通帳がない代わりにアプリで残高が確認できます。
私は大学から指定されたカードを作りましたが、基本的にはデビットカードと同じ仕組みです。クレジットカードのようにカードで支払いが可能です。お金を使ったらすぐにアプリで確認できるため、使い過ぎを防げて便利です。
以上でこの日は手続き終了です。黄緑のファイルの中には、詳しいカードの使い方の説明や契約書類が入っていました。
キャッシュカードが届くまで
1週間程度で家にカードが届き、届いたらデポジットとして25ユーロを振り込めばあとは自由に使うことができます。ちなみに開設料は無料でした。
注意点は、日本のようにカードの4桁の暗証番号を自分で設定できないことです。カードと一緒にあらゆる書類が届くのですが、そこに自分の暗証番号の書かれた紙も同封されています。
ミシンで綴じられていて簡単には見られないようになっているのですぐにどの紙か分かります。
ポルトガルのATMの使い方
銀行内以外のATMにはすべてMultibanco(ムルティバンコ)の表記がされています。
ポルトガルのATMは日本のように銀行別ではなく、すべてMultibancoというシステムで統一されています。そのため、日本のように「このATMだと手数料がかかるからお金をおろせない」という心配がありません。
他に便利な点はどのATMでも英語が選択できることと、24時間稼働していることです。銀行内のATMを営業時間外に使うためには、キャッシュカードをドアの前でスキャンしないとドアが開かないため、セキュリティ面でも安心です。
ちなみにオンラインショッピングや大学の学費の支払いなどでもMultibanco払いができます。
まとめ
ポルトガルで銀行口座を開設とは、一見難しく聞こえますが、これを参考にきちんと準備して行けば簡単です。
日本のクレジットカードはたまに使えないこともありますが、現地のカードであればそのようなことはほぼありません。レジでカードを出すときも、「旅行者」よりも「生活者」という感じがして私は少しうれしくなります。
ちなみに私の大学の食堂やカフェでは日本のカードは使えません。しかし現地の口座を持っていれば、軽い外出であればポケットにカード1枚で身軽に出かけられます。そのためポルトガル人は鞄を持ち歩かない人も多いです。
ポルトガルで銀行口座を開設すると、便利なだけでなく「ポルトガル人っぽさ」も出せて楽しいですよ。
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