ブラジル音楽といえばサンバやボサノヴァなどが有名です。
ですが、ブラジルはさまざまな文化や人種が混ざり合ってできた国。その他にも沢山の音楽のジャンルがあり、なかでも特にポピュラーなのがセルタネージョ(Sertanejo)と呼ばれるカントリー・ミュージックです。
このセルタネージョはカイピラ文化(Cultura Caipira)と呼ばれるブラジルの田舎風の文化の一部で、サッカーのネイマール選手がゴールを決めた際に踊っているのもセルタネージョです。
音楽のほかにも、そのライフスタイルや食文化はブラジル人の基盤といってもいいほどのカイピラ文化。
今回はそんなカイピラ文化についてご紹介します。
カイピラとは
カイピラ、という言葉は先住民(tupi族)の言葉で、「野に住む者たち」という意味があり、そのまま田舎者をさす言葉でもあります。
カイピラ文化とは、ヨーロッパ系の移民がブラジルを開拓する際にヨーロッパとはまったく異なる気候や風土のブラジル内陸部の大自然の中で作り上げてきた、ヨーロッパの宗教観に影響をうけた田舎の牧歌的な文化のことをさします。
代表的な行事だとアメリカの「カントリー」のようなロデオ祭りや、Festa Junina(フェスタ・ジュニーナ)とよばれるキャンプファイヤーの周りで歌い踊る宗教的なお祭りがあります。
「田舎」や「牧歌的」などの言葉を使うと若者に嫌厭されていそうなイメージがあると思います。
ですが、現代でもカイピラ風のお祭りはチェック柄のシャツやジーンズパンツ、ウェスタンブーツ&ハットに大きなバックルのついたベルトを身に付けた若者でいっぱいになるほど、とても身近で親しみのある文化です。
Festa(フェスタ・ジュニーナ)
ブラジルのFesta(お祭り)のロデオ祭りと6月のお祭りFesta Juninaはカイピラ文化の代表的なお祭りです。ロデオ祭りは市町村によって開催時期が変わってきます。
私の住んでいるところだと市の設立記念日に4日間にわたって開催されます。
日中は投げ縄、レース、牛追いなどの競技が行われ、ロデオ(牛乗り)は主に夜に行われて、競技の後はバンドや二人組の歌手によるライブが行われることが多く、若者の多くはライブ目当てでやってきます。
Festa Juninaはペトロ、洗礼者ヨハネ、パトヴァのアントニオの3人の聖人を祀るお祭りです。
開催されるのは公民館、学校、路上などさまざまです。
女性は大きな柄の生地の、少しダボダボしたワンピースをきてチーク強めのメイクをし、男性はわざと破いたようなジーンズパンツにチェック柄のワイシャツを着て、いかにも田舎!という格好をします。
そして、Quadrilha(クァドリリャ)と呼ばれる、Forró(フォホー)というタイプの音楽をかけながら男女ペアでダンスをします。
パトヴァのアントニオは結婚、縁結びの聖人でもあるので、ダンスには主役として新郎新婦役もいるのが見所でもあります。
屋台も充実
また、ロデオ祭りでは屋外バーでカイピリーニャ(ピンガというサトウキビの蒸留酒にレモンやライム、砂糖、氷を加えたカクテル)や、屋台でリンゴ飴やチュロスを売っています。
それから、ブラジルのファストフードであるパステウ(小麦粉で作った薄い生地にチーズやひき肉などの具材をいれるブラジル風春巻き)やタピオカなどを楽しめます。
タピオカとは、日本で有名な飲み物に入っているタピオカパールではなく、キャッサバを原材料とするデンプン粉を、なかにチーズや干し肉をいれてフライパンではさみ焼くクレープのようなものです。
Festa Juninaはブラジルの冬の行事なので、生姜のはいったホットワインや、トウモロコシやキャッサバを使ったブラジルの伝統的なお菓子を屋台で買うことができます。
音楽(セルタネージョ)
前述したとおり、セルタネージョはカイピラ文化を代表する音楽ですが、セルタネージョといっても昔ながらのものと、現代風のものがあります。
昔ながらのものは、田舎の生活や高原をイメージして作られたゆっくりした曲調のものが多く、対して現代風のものは「大学生のセルタネージョ」と呼ばれれ、恋愛について書かれた歌詞のアップテンポな曲が多いのが特徴です。
どちらもブラジル人にとっては馴染み深く、よく若者がマテ茶を友達と飲みながらアコースティックギターを弾きながら歌っていることがあります。
(マテ茶は、テレレと呼ばれるコップにマテの葉や枝を乾燥させたものと冷水をいれて、茶漉しのついたストローで飲む方法が一般的です。レモン汁やミントを入れたり、ブレンドされたものも多く、食物繊維が豊富なので肉食中心のブラジルではとても人気のあるお茶です。)
Festa Juninaで使われるフォホーもまた代表的なカイピラ音楽で、明るく楽しげな曲調です。
カイピラ音楽は、基本的に曲によって特徴的なダンスがありますが、ブラジル人はダンスは出来て当たり前、というようにみんな踊れて、ダンスの輪に引き込んでくれます。
Festa Juninaは日本でもブラジル人コミュニティ主催で開催されることもあるので是非ブラジルの伝統文化を体験してみてはいかがでしょうか?
食文化(パモンニャ)
フェイジョン(豆)、トウモロコシ、キャッサバはカイピラ料理を代表する食物です。
フェイジョンはブラジルの国民食でほぼ毎日食卓にあがります。
トウモロコシはパモンニャと呼ばれるお菓子やフバーとよばれる粉末にして主食やケーキに使われたりしてきました。
キャッサバもよく粉末にされ、ベーコンや野菜といためてフォロッファとよばれる料理にされる事が多いです。
有名なブラジル料理であるシュラスコ(塩でシンプルに味付けた大きな肉を炭火で焼くブラジル風BBQ)やフェイジョアーダ(豆を豚の耳や干し肉などと柔らかくなるまで塩味で煮込む料理)を食べる際に付けあわせとしてよく食べられます。
宗教観
カイピラ文化について語るときに欠かせないのは、その宗教観です。
ロデオ祭りの開催式にはお祈りの時間があったり、聖人を祀るための祭りであるFesta Juninaがあったり、曲の歌詞も宗教的なものがあったりと、キリスト教の教えを基本にしてできた文化です。
キリスト教徒でなければ参加してはいけない、というわけではありませんが、カトリックの多いブラジルでは大切なことです。
まとめ
この記事を読んで、カーニバル以外のブラジルのお祭りやセルタネージョに興味をもつ人が増えてくれたら嬉しいです!
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