公立大学の学費が無償化されているブラジルでは、例年、年齢や経歴を問わず、学費を払うことが出来ない貧民層の人や、国内トップクラスの大学への入学を目指す多くの人たちがセンター試験に挑みます。
ですが、まだブラジルに馴染んでいない人は、試験を受けてみたはいいものの、試験当日に何をもって行ったらいいのか、試験結果をどう活かしたら良いのか分からない、と情報不足だったり、上手く利用できないことも少なくはありません。
2016年のセンター試験は11月5日と6日。今回は大イベントについて、申し込み方法から試験当日の様子、また試験結果の活用についてお伝えしたいとおもいます!
ブラジルのセンター試験(ENEM)とは
日本でのセンター試験にあたる「Exame Nacional do Ensino Médio(ENEM)、全国中等教育試験は「大学への入り口」と呼ばれていて、ENEMの結果次第でProuniとFIES、の2つの奨学金のうちどれか一つ、もしくは両方を受けることが出来ます。
さらに公立大学ではENEMを入学試験として採用していたり、試験結果がブラジルから海外への留学生を選考する基準ともなっているので、留学希望者の再受験などもあり、応募者は2011年からは例年500万人以上、2014年に至っては過去最多の約950万人と大勢の人がチャンスを得ようと受験しています。
申し込みは毎年5月に行われていて、その頃になるとテレビでも申し込みを呼びかけるCMが流れるので、申し込み期間を逃さないように、また、試験で出題される時事問題に備えてしっかりニュースなどを見るためにも、毎日テレビをチェックするのをオススメします。
ブラジルのENEM申し込み方法
ENEMの申し込み期間は2週間ほどで、公式サイトに氏名や住所、国民ID、メールアドレスを記入し、基本的なアンケート(世帯収入や生活レベルなど)を答え、申し込み料金の支払いをすることで、オンラインで申し込みできます。
さらに、 貧しさから予備校や進学塾に通えない人たちも多いので、ENEMの公式サイトではビデオ授業や問題集が公開されていてます。
ただ、オンラインで手軽に申し込みできるため、毎年「後でやればいいかな」と先延ばしにしてしまい申し込みを忘れてしまう人や、申し込み期間の最終日にはアクセスが殺到してサーバーが落ちてしまったりとトラブルが多いので、ENEMを受けるなら、期間の最初の1週間のうちに申し込みを済ませておくのが大切かもしれませんね。
ENEMの試験の様子
試験会場は申し込みの際に指定した都市の大学にランダムで選ばれるので、サイトで確認します。
試験自体は10月か11月の土日の2日にわたって行われ、開始時刻はブラジリア時間13時30分。13時には正門が閉じられてしまい、それ以降は絶対にあけてくれません。
遅れてやってきた参加者が正門の前で泣き崩れているのはもはや風物詩としてテレビで生中継されます。そうならないためにも、ブラジルは国内で時差があるので時間の確認は絶対にしてください……。
持ち物は 軸が透明のボールペン(黒インク)、身分証(オリジナル)、水やビスケットなどの軽食です。
鉛筆、消しゴムは持ち込みが禁止となっています。ビニール袋に入れた後自分の机の下に置いていい事になっていますので、注意しましょう。
ENEMの試験科目
1日目の試験時間は4時間30分で、自然科学(生物、物理、化学)と人文科学(歴史、地理、哲学、社会学)の試験が行われ、2日目の試験時間は5時間30分で言語学(ポルトガル語と英語かスペイン語かのどちらか)と数学、小論文の試験が行われます。
小論文以外の問題は全部マークシート式で180問、全科目を受験することが必須です。唯一選択できるのは英語かスペイン語の外国語だけです。ちなみに小論文で「基本的な人権」を尊重しなかった場合、失格とされてしまうので注意が必要ですね。
ENEMの試験はぶっ続けで行われる
試験は一度始まると休憩をはさまずに行われるので、受験者は試験中にビスケットやチョコレート、ペットボトルの水などの軽食をとることができます。
トイレに行く場合はスタッフの付き添われ、金属探知機を使って通信機器を持っていないかチェックされます。
ちなみに携帯電話や腕時計、また金属探知機で探知されてしまうものは持ち込みが禁止されていて、試験会場に入ると同時にわたされるビニール袋にまとめて入れて、試験監督に提出しなければいけません。
科目ごとの休憩時間がないENEMで大切なのは、全問目を通せるように時間配分に気をつけることですね。
筆者が受験した年には、小論文に時間をとられてしまい、数学の問題を全問空欄のまま提出してしまった、と泣きながら会場を後にする方もいました。
ENEMの試験結果の発表時期
試験結果は小論文は1000点、各科目990点~1010点を満点としていて、1月上旬に発表されます。
ENEMの試験結果の中で一番重要なのは小論文の得点です。もちろん他の科目の得点も大切ですが、もし小論文で文法の間違いが酷かったり、「基本的な人権」を尊重しなかったりなどで0点と評価されてしまった場合、まず入れる大学はなくなってしまいます。
ブラジルの大学から海外の大学へ留学する際のボーダーラインも、小論文で450点以上とれたかどうかです。
日本から来て、まだポルトガル語は得意ではないという人も、ブラジルの高校教育の数学や自然科学のレベルは高くないので、是非ポルトガル語の学習時間を多めに割くといいかもしれませんね。
Prouni、Sisu、FIESについて
Prouni(Programa Universidade para Todos)とは、大学卒業資格を持っていない人に限定して私立大学の学費全額、もしくは半額を免除する奨学金制度です。
Sisu
Sisuは、希望の公立大学にオンラインで入学を申請できる制度です。大学と学部を選択して、申請期間終了までに自分の順位が定員を下回らなければその大学への入学が認められます。
国内トップのサンパウロ大学でも採用された制度で、Sisuを通しての定員は1500人でした。
FIES
そして、FIESはProuniで半額免除された学費のもう半分を国が負担してくれる奨学金制度です。
このように、1月上旬からは結果発表や奨学金制度の申請期間の発表など、すべて登録されたメールアドレスに通知が届くので、せっかくのチャンスを逃さないように、毎日メールボックスを確認することをおすすめします。
まとめ
誰にでもチャンスがある、というのは学費が払えるか不安だという人はもちろん、ブラジルに移住してまだ日が浅く、ポルトガル語が苦手で大学に進学できる自信がないという人も例外ではありません。
前述したとおり、ブラジルの理系分野においてのレベルは高くないので、日本での義務教育を受けてきた人なら、理系科目で高得点をとることは難しくないからです。
これから試験を受ける人は、あまりネガティブにならずに、リラックスして挑めるといいですね!それでは、Boa Prova!(良いテストを!)
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