オーストラリアの大学生活はどのようなものか知っていますか。毎日パーティ?アルバイト?課題に研究などなど様々なイメージがあると思います。
今回は実際のオーストラリアでの大学生活をご紹介します。
オーストラリアの大学
オーストラリアの大学は文系学部で3年〜、理系学部で4年〜になります。2期制のところが多く、日本との大きな違いの一つとしてオーストラリアの大学は一学期で4つの授業のみになります。
日本の大学だと週1回90分の授業を10個ほど取るのが一般的ですよね。オーストラリアでは授業数が少ない代わりに、大学にもよりますが1授業は2時間の講義(Lecture)と、1時間のゼミのようなチュートリアル(Tutorial)の合計3時間という構成です。
Lectureはとても大きい講義室のようなところで大人数で講義を受けます。Tutorialの少人数クラスではディスカッション(討論)やプレゼンテーションなどをします。
Tutorialは先生と生徒との距離が近く、講義(Lecture)でわからなかったところなどの質問をしたりもします。
大学での成績のつけ方
成績は、基本的にはAssessment(課題)とテストで評価されます。大学によって相対評価のところもあり、生徒間の競争が激しいところもありますが、私の大学は絶対評価で比較的のんびりとした校風です。
成績の付け方の例として、Essay 25%, Presentation 25%, final exam 50%といったように各課題の成績における割合があります。
この場合だとFinal Examが最も重要な課題になり、そのテストの出来次第で成績が多く変わってきます。
また成績は85%以上でHigh Distinction (S), 75-85% Distinction (A), 65-75% Credit (B), 50-65% Pass (C), と50%以下のFail(失格、つまり単位を落としたということ)として評価されます。
(例)Essay(筆記課題) 25%, Presentation 25%, Final exam 50%の場合
- Essayの評価が70/100 だった場合 0.7×25=17.5 ポイント
- Presentationの評価が85/100 だった場合 0.85×25=21.25 ポイント
- 期末テストの点数が 60/100 だった場合 0.6×50=30 ポイント
そしてこの合計ポイント、つまり
17.5 + 21.25 + 30 = 68.75 ポイントになるのでこれを成績評価にすると日本でいうB評価のCreditになります。
Assessment(課題)
課題はよい成績を取るのに最も重要です。現地の生徒も苦労するほど時間がかかったり、難しかったりするときもあります。
課題の種類
<ライティング課題 >
ライティング課題と言っても種類がありエッセイ、レポート、ジャーナル、ビブリオグラフィーなど異なった内容になります。また文章の長さもBachelorの場合だと1000語〜3000語ほどが多いです。
・エッセイ
エッセイは基本的に調べたことと自分の意見を論理的に書いていく、小論文課題のことです。 正しい情報元を使い、一貫した意見がまとめられていることが求められます。
私個人としては、この課題が一番時間がかかるものなので、あまり好きではありません。
実際に課題として出された問題は、
- モルトンソルトというオーストラリアの塩の会社は塩を製品として取り扱っているが、どのように食用だけではない様々な製品を作り続けているか述べよ。
これはブランド管理の授業で出された課題です。この課題を行うに際し、まずは会社について調べ上げました。
その次に授業の内容や教科書から使えそうな学説を見つけ、その学説に関しての有用な情報を参考書籍として使うために探し、それから論理立てて書いていきました。
- エドワードスノーデンというアメリカ人男性は、働いていた国の組織を裏切ってまで国の秘密を暴露した。このことを倫理的観点から賛成か反対か立場を明確にした上で議論せよ。
これは倫理の授業で出された課題です。インターネットで検索すれば簡単に出てくる有名な事件です。
このことに関して倫理の学説に当てはめて書いていくのですが、”Discuss”つまり議論するのがこの課題なので、賛成意見と反対意見を比べた上で自分の意見を書きます。
・レポート
レポートも自分の意見を書いていくことには変わりはありませんが、見出しをつけるので小論文ではなく報告書という形になります。そのためエッセイよりも書かなければならないことが決められている場合が多く、それにしたがって書き進めていけばいいので比較的簡単だと思っています。
・ジャーナル
私は一度だけしか書いたことないのですが、そのときの課題は私自身がオンライン・マーケティングから影響されたことを二つ以上あげて比べよ、というものでした。
私は時系列にして何が起きたかを書き、その上で比べて良い点や改善点を、また同じように参考文献を探し当てはめながら書いていきました。
・ビブリオグラフィー
これは日本語でいうと文献目録なのですが、簡単に言えば、課題にそった文献を複数探し要約してまとめるという課題です。
私が実際に書いた課題は、国際リーダー論についてある文献を5つ集めまとめよ、また評価せよというものでした。
この課題の難しさはまず引用のルールに従い要約すること、そして学者の書いた文章を評価しなければならない点でした。
プレゼンテーション
多くの場合が3-4名でのグループプレゼンテーションです。時間は各大学、各授業によって異なると思いますが私のここまでの経験だと平均して20分間のプレゼンを4人ですることが多くありました。
1度だけ30分のプレゼンを3人でしたことがあります。
また、こちらの大学でのプレゼンは調べたことを発表するだけではなく、グループの考察や、また聞いている生徒たちに質問をしたり、ディスカッションを入れることを求められます。
その質問やディスカッション内容の質が評価に反映されるのです。
私が個人的に日本の大学と違うなと思ったのは、パワーポイントを作るときにアニメーションを入れてはならないことです。理由は、学問的ではないからとのことでした。
プレゼンテーションが終わったあとの質疑応答の際、先生からとても厳しく核心をついた難しい質問をされることがあります。そしてその答えも評価に大きく反映されます。
プレゼンが終わったあとにはその場で先生から良かったところと悪かったところに対してコメントがあることが多いです。
私が3人で30分のプレゼンをしたとき、私にピンポイントに質問がきてうまく答えられず恥ずかしい思いをしました。それだけではなく、とても低い評価だったという苦い経験があります。
コメント自体もあまり良いものではなく、ただそのような厳しい環境での勉強はとても勉強になります。
オーストラリアでの大学生活の苦労
グループ課題の苦労
グループで行うエッセイやプレゼンの場合、グループメンバーとのコミュニケーションが必要になってきます。
オーストラリアの学生たちはグループミーティングで自分からどんどん発言するので、黙っていると話が勝手に進んでいってしまいます。黙っていたために一番大変なところを押し付けられたこともあります。
またオーストラリアの子は本当にレイジー!ミーティングをすることなく、フェイスブックなどのSNSのコミュニケーションツールで役割を決め、会うことなくオンラインで課題を終わらせてしまおうとする人もいます。
他には、割り当てられた他の人の役割に関しては協力的ではない人もいました。
どうしても、英語ネイティヴではない生徒は英語力的にハンデがあるので、なかなか話に入っていけなかったりします。
ただそのような生徒たちはオーストラリアの子たちより必死に勉強しているので、一緒にグループを組むととてもやりやすいです。
情報を集める苦労
筆記課題にしても、プレゼンテーションにしても、正しい情報を正しい情報元から見つける必要があります。その中でもっとも適切な情報だけを使い、自分の意見を展開させていくのです。
その際に読む記事や、論文の量はとてもとても多いです。時間をかけて読んでも適切でない情報の時は使えないですし、良い情報元を見つけるのが簡単ではありません。
引用の苦労
苦労して見つけた情報を使って、さて書き始めようというときに苦労することは引用の仕方です。
オーストラリア大学にはターニティン(Turn it in)と呼ばれる課題提出用オンライン・システムがあり、これは生徒たちの文章の盗作、つまりコピペを防ぐためにあります。
課題ができ終わったら時間内にパソコンからそのシステムに提出すると、24時間以内に何パーセントが論文などからコピーされたのかが表示されます。
この割合が20%を超えてしまうと(各大学、授業によって異なる)その課題の点数は0点になってしまうので気をつけなければありません。でも適切な情報の書いてある一節を自分の文中にいれることは必須です。その際に必要なスキルが表現の仕方の変更です。たとえば、
People should live together with their partner before they get married.
(人々は結婚するまえに一緒に住むべきだ)
このような文章が論文内にあり、ぜひ使いたいと思ったとします。しかしこのまま使うとコピー率が上がってしまうときは、
It is necessary to live together for couple prior to their marriage.
(カップルは結婚するまえに一緒に住むことが必要だ)
このように表現を変える必要があります。
もちろん、この元の文章もそのまま使うことができますが、その際には引用のルールにしたがい、文のあとに
People should live together with their partner before they get married (Sasaki, 2017).
と引用元を入れる必要があります。
ディスカッションの苦労
オーストラリアを含め、外国人は自分の意見を積極的に言うことが得意です。また逆に、日本人はなかなか積極的に参加できない傾向にあります。
私自身もその一人で、自分から意見を言うことだけではなく、先生から意見を聞かれたときにもなかなかうまく答えられません。
たとえばある授業で、“結婚する前に同棲して事実婚を経験することに賛成か反対か”というディスカッションをしたことがありました。
その際、オージーの子達はほんとにどんどん賛成なのか反対なのかの意見が出てきますが、一方で私は賛成だけど、理由がなかなかうまくまとめられませんでした。みなさんは日本語でうまく答えられますか?
まとめ
海外の大学は入るのが簡単で卒業するのが難しいと言われていますが本当にその通りで、課題やテストなどに追われる日々になります。
しかし、いろいろな国からきた友達ができ、意見を聞くことで視野が広がります。苦労もありますがぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
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