日本で働くことと海外で働くことには違いがたくさんあると思います。
私はインドのローカルIT企業で社内日本語教師として仕事をしていました。生徒は、会社が選んだ8人のエンジニアの社員。日本語がビジネスレベルまで話せるようになると、日本で働くチャンスをもらえる人たちです。
私は社内でたった一人の日本人でした。その私の目から見たインドローカル企業ならではの文化や仕事スタイルをご紹介します。
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インド企業は勤務時間が長い
*インドの公園
私は社内日本語教師だったので、他の社員たちとは働く時間が違っていました。
私の勤務時間は午前9時から午後5時まで。9時から3時までは会社の会議室で授業をし、3時から5時まではオフィスの中の自分の部屋で事務作業などをします。
一方、ローカルスタッフは午前9時から午後6時半まで働きます。また、土曜日も時々出勤していました。
日本より勤務時間が長いので「働く時間が多いから大変ね」と生徒さんたちに聞いたことがあるのですが、みんな「どこもこんなものだよ」と笑っていました。
インド企業ではスマホは常に社員の手元に
仕事中でもみんなスマホは机の上、自分の手元に置いていて、メッセージが入るたびにチェックし返信しています。たとえプライベートなメッセージであっても関係ありません。楽しそうに返信したり、メッセージを見て笑ったりしています。
また、自分のスマホにかかってきた電話は、仕事中でもとりあえずは取っていました。
社員みんながそんな感じなので、あちこちでピコ、ピコと、メッセージのお知らせ音が鳴っていたりします。こうしたメッセージのやり取りが長時間勤務の息抜きになっているのかもしれません。
インド企業は宗教優先
*飾られたお花
ある朝出勤すると「今日はバラモン(ヒンドゥー教の僧侶)が来るからね」と、祭壇を作ったり、お花を飾ったり、部屋の装飾や食事の用意で慌ただしい様子。
しばらくすると、白い布をまとったバラモンの方が来られました。社内を一周し、お祈りを唱えながら花びらをまきます。
そのあと、社員全員一列に並び、バラモンがひとりずつ、その人の名前とともにお祈りの言葉を唱えていきます。終わると次の人へと、順番に行われます。自分にお祈りを唱えてもらっている間は手を合わせ、頭を下げます。
後片付けで一日が終了
私は初対面だったので、あなたのお名前は?と聞かれたのですが、日本の名前だからか、かなり違う名前でお祈りの言葉を言っていただいたのもいい思い出です。
まだ入社したばかりの頃だったので何のお祝いなのかはわからなかったのですが、この日は結局、後片付けをしているうちに一日が終わりました。
インド企業に存在するカースト制
インドでは、表向きカースト制度は廃止されていますが、実際には根強く残っています。職場においても同様で、日本人の私でもすぐにそれを感じることができました。
IT企業なので、社員はみんなパソコンに向かって仕事をしています。電話を取ったり、社員同士で世間話をしたりと楽しい雰囲気です。
しかしそこには、低いカーストの人たちがする仕事が存在していて、その仕事を彼らより上のカーストの人がすることはありません。
階級制を実感した職場での出来事
働き始めた最初の頃のことです。
社員の方のパソコンを借りて仕事をしていたとき、隣に積んであった山のような書類が崩れ落ちて床に散らばりました。「sorry(ごめんなさい)」と言って拾おうとすると、社員の方は「気にしなくていいよ」と言います。
初めは気をつかってくれたのかと思ったのですが、彼はすぐにひとりの男性を呼び、落ちた書類の山を拾うように言いました。床に落ちたものを拾う、そういった「床に近い場所での作業」が呼ばれた男の人の仕事でした。
上のカーストの人は床に散らばったものを自分で拾うことはありません。また、その場で私が知らずに拾ってしまっていたとしたら、それは彼の仕事を奪うことになっていたのです。
インド企業内にはメイドさんがいることも
*毎朝、新鮮なお花を飾ります
私が働いていた会社は1階が社長の家、2階と3階がオフィス、4階が私の自宅でした。社長が雇っていたメイドさんが社長の家とオフィスで仕事をし、私の住居へも掃除に来てくれました。
午後の授業が終わった3時にオフィスに戻ると、いつもそのメイドさんがコーヒーを入れて持ってきてくれるのですが、彼女は英語が話せないので「Thank you」と言ってもニコッと笑って出て行くだけ。
笑顔のみのコミュニケーションでしたが、ほとんど男性ばかりの社内で彼女の存在は私には嬉しいものでした。
まとめ~肌で感じたローカルな雰囲気
インド人と働くのは大変という声を耳にしたこともありますが、私の経験ではそういったことはありませんでした。
長時間勤務の上、ときには週休1日という条件にもかかわらず、みんなが楽しそうに働く職場。それまで日本人が働いたこともない現地企業で、インドのローカルな雰囲気や文化を肌で感じることができました。
ただし、どのように感じるかは人によります。大変か、それとも面白いかはご自身で体感してみることをおすすめします。
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