中国に次いで世界第2位の人口を誇るインド。近いうちに、中国を超えて世界第1位になるのではといわれています。
近年はITの分野でも頭角を表している大国インドで働きたい、暮らしてみたいと思っている人もいるかもしれません。しかし、そもそも仕事を見つけないことには始まりませんよね。
日本人が、文化も環境もまったく違うインドで働くにはどうすればいいのか。仕事の探し方や気になる給料相場、仕事環境など、インド就職のために必要な情報をまとめました。
- インドの就職状況・特徴を知る
- 英語を勉強し幅を広げる
- インドで働く自分をイメージする
- インド就職のメリット・デメリットを知る
- 転職サイトを利用する
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日本人がインドで働く理由
なぜインド?
数ある世界の国の中からインドを選んで働く理由は人によって様々です。
- インドが好きだから
- 英語に触れられるから
- 勢いのある国で働きたいから
では、インドで働くことにはどんな魅力や価値があるのか具体的に見てみましょう。
インド就職の魅力
- 国とともに自分も成長していける
- 新しい価値観に触れられる
- 英語を使って仕事ができる
インドで働くことの最大のメリットは、発展していく経済の中で自分も成長していけるという点です。勢いがあるとはいえインドはまだまだ途上国で、日本人にとってはびっくりするようなことも多いです。
そんな環境で視野を広げながらインド人と仕事をするのは非常に面白く、刺激を受けながら働くことができます。もちろんデメリットもありますが、感じ方は人それぞれ。もしかしたら、マイナス面はあまり気にならないかもしれません。
また、英語を使った仕事にも挑戦できます。英語力を高めながらスキルアップしていける環境がインドなのです。
大切なのは行動力
日本とは文化も環境も違うインドへの就職・転職は、時に楽しく、時に厳しく、チャレンジしがいがあります。
インドで働くために必要なものは行動力です。インドに住みたいという動機であれば、「どんな仕事ならインドに住めるか」という方向から考えるのも一つの方法です。
インドで働くメリット
英語力が向上する
インドで働く上で逃れられないのが英語です。インドへ渡航する前に英語力に磨きをかけることを強くおすすめします。なぜなら、社内では常に英語でコミュニケーションを取る必要があるからです。
実際に私がインドで働いていたときは、1日の労働時間の7割は英語を使用していました。
もちろん最初は、インド訛りの英語がさっぱり分かりませんでした。そこで、学生時代に使用していた英単語帳や参考書を日本から送ってもらい、再度勉強し直すことにしました。
自分の実力不足に気づく
勉強を再開してから数ヶ月程経って気づいたのですが、インド人の話す英語は発音がインド訛りなだけであって、文法や単語は何も間違ってはいないのです。
つまり、ただ単に私の英語の勉強が足りなかっただけだと反省しました。しかし、お陰様で英語力をアップさせることができました。
日本にはない海外駐在員とのご縁
インドで働くと、間違いなく日系企業の駐在員の方と交流する機会がたくさんあります。
インドではどこに行っても20代の私が最年少だったので、駐在員の方々に大変可愛がってもらえました。と同時に、仕事に関することでも様々なアドバイスを頂くことができました。
インドはこれから、ますます発展していくことでしょう。そんな成長途上の国に派遣される駐在員のほとんどは、日本で実績を上げた優秀な方です。そういった「できる人」から様々なことを学ばせてもらい、その経験が現在でも生きています。
もしもずっと日本で働いていたら、そういった方々とは一生お会いすることがなかったかもしれません。インドで働くことを選んだ結果、たくさんのご縁に巡り会えたのだと思います。
インド人と仕事をするコツを知れる
インド人と一緒に仕事をする上で重要なことは、英語力以上に「確認」です。非常に細かな確認が不可欠になります。
例えば、あるプロジェクトに必要な機械の納期が3ヶ月後としましょう。それまでに、機械メーカーとの打ち合わせや見積書の作成等、やるべきことがたくさんあります。
それをインド人にできそうかどうか聞くと、恐らく「No problem sir !」と返事をされると思います。しかし、納期1ヶ月前になって「やっぱり難しいです。助けて」と言われることがあります。
そうならないように、必ずまめにコミュニケーションを取り、現状を把握することが必要です。
要領さえつかめばうまくいく
最初はあまりにも適当すぎて何度もインド人スタッフと口論になっていましたが、うまく付き合っていくコツをつかめば人種や国が違ってもスムーズに仕事をすることは可能だと学ぶことができました。
インドとの付き合い方が見えてくる
インドは近いうちに中国の人口を抜くといわれている、急速に経済が発展している国です。近年では農業や工業といった第一次産業や第二次産業よりも、IT産業のイメージが強くなってきています。
バンガロールを代表とするIT都市が、インドでは非常に増えてきています。日系企業はやや遅れていますが、欧米の大企業はこぞってバンガロールなどに自社のIT拠点を置いたり、インドのIT企業と協業を進めていたりします。
実際にインドで働いてみることで、今後日系企業がインドとどのように付き合っていけばよいのかということが、見えてくると思います。
インド人との働き方を体得する
インドはいわゆる発展途上国なので、なかなか整備が行き届いていないこともあります。
前述のとおり、最近ではIT大国という比較的よい印象がインドについていますが、やはりプロセスの遅さやコミュニケーションの取りづらさなど、インド人と協業する上で困難を感じることはあります。
インド人と実際に働くと、インド人との働き方を体得することにつながりますし、あなたの会社が今後インドやほかの国と付き合っていく上であなたの経験が非常に役立つといえます。
グローバルな英語を通してコミュニケーション力が上がる
日本人は英語というとアメリカやイギリスなどネイティブの英語を思い浮かべる傾向にあります。しかし、グローバリゼーションが進んでいる現代においては、非ネイティブの英語話者と話すことが多くなってきています。
そんな中、「癖の強い英語」という印象があるインド英語を話す人々と仕事を進めていくことは、グローバル社会で活躍するために非常によい経験となります。
ある程度訛りの強い英語に慣れることで、インド以外の様々な地域の人々と英語でコミュニケーションする際も、その人の英語の訛りに比較的早く適用する能力が身に着きます。それに加え、TOEICなどのテストにおいても、綺麗な英語だけを聞いてきた人よりもリスニング対応力がついてきていることを実感できるかもしれません。
インドで働くデメリット
日本よりも不便
日本が便利すぎるということありますが、インドはまだまだ発展途上国といわれる国なので、日々の生活では不便を感じることが多いでしょう。
なかなか日本食が手に入らないことはもちろん、公共交通機関があまり整備されていない地域も多いので、電車やバスを使うのは大変ですし、タクシーを使うにしても、道路が非常に渋滞していて移動がスムーズにできないことも多いです。
そういったところでストレスを強く感じないようなマインドセットを持つことが、インドでよりよく働くことの鍵となります。
貧しさから発生する治安の悪さ
インドで生活していると、日本では目にすることがない光景に直面しなければいけないときがあります。
現地の人からすれば私は外国人です。道を歩いていると、たくさんの貧しい家庭の子供たち、いわゆるストリート・チルドレンが寄ってきてお金を求められます。また、身につけている時計やネックレス、そして財布までも盗もうとしてきます。
そのため、外に出るときは高価なものは身につけないことを強くおすすめします。現金も最低限の金額を持ち歩くようにしましょう。
また、彼らの貧しさに同情してもお金は絶対に渡さないようにしましょう。そのお金では彼らを救うことができません。私はお金ではなく、食べ物やスナックを買って子供たちにあげていました。
ぼったくりが多い
タクシーやオートリキシャ(三輪車)を道端で拾うときは、基本的にぼったくりの金額を提示してくるので「メーターを使用してください」とお願いしましょう。
おそらく相手は「今、機械の調子が悪い」とか「インドではそんなもの使わない」と見え見えの嘘を並べてくるので、そんなドライバーは見限って他を探しましょう。
駐在員には1人に1台、車とドライバーが配置されるため、そういった目に遭う機会は少ないと思いますが、現地採用者だと状況は違います。自分のために交渉する力が必要になってきます。
自分で信頼のできるドライバーを見つけ、連絡先を交換すると、その後が便利です。
食にまつわる問題
日本人にとって、「食」はインドでの大きな問題の1つです。
高価な日本食
日本食を提供するレストランは増えてきましたが、現地採用者は毎日口にすることができません。その理由は、単純に高いからです。
例えば、日本の100円回転寿司のクオリティーで10貫3,000円くらいします。
毎日スパイス漬け
私は結構なカレー好きで、日本にいた頃はよくカレーを食べていました。そのため、「インドに行って毎日カレーでも余裕だろう」と思っていました。
実際、在住3ヶ月目までは毎日朝昼晩、美味しくカレーを食べていました。しかし、在住4ヶ月目から途端に食べたくなくなったんですね。不思議なのですが、スパイスを使った料理から逃げたくなります。
それからというものの、市場で食材を買い自炊するようになりました。スパイスから逃れられた上、自炊するようになって食費もかなり減りました。
仕事のやり方に戸惑う
日本人とインド人では考え方が違うことも多いです。日本人には日本人のペースがあると同時に、インド人にはインド人のペースがあります。
そこで日本人のペースをインド人に押し付けると、軋轢が生まれるばかりか、仕事がスムーズにいかなくなってしまうでしょう。
そのため、日本でのやり方は念頭に置きつつも、インド人の仕事のペース(例えば、チャイ休憩は長めなど)を尊重して受け入れる姿勢が必要です。
本社と現地の従業員の板挟みに遭う可能性がある
これはインドに限ったことではないですが、駐在員は本社と現地の人々の板挟みになる可能性があります。
特にインドでは商習慣や文化が違うことも多いので、インドの商習慣や文化を理解しない本社と、折り合いがつきづらいこともあるでしょう。
このような異文化マネジメントの経験を積むことは非常によいことだと思いますが、あまりにも困難が続くと、心が折れてしまうかもしれません。
インドで就職する方法
現地採用になる
「何が何でもインドで働きたい」という人には現地採用がおすすめです。
日本人としてのビジネスマナーや日本語能力を活かせる仕事がインドにもあります。現地採用の求人サイトで求人を探しましょう。
そして、信頼できるエージェントにご自分を推薦してもらいましょう。管理職でなければ、給与や待遇は日本の一般的な大卒水準だと考えられます。
上記のように門戸が広い印象の現地採用ですが、日本から駐在員が派遣されてくるような企業では、単純作業ばかりやることになったり、現地のインド人と日本人駐在員や本国の社員との板挟みになったりしてしまい、「思い描いていた海外就職とは違う」という結論に至ってしまう可能性もあります。
日系企業以外の企業に入りたいなら、直接企業に連絡を取るかそういった企業に強いエージェントに相談しましょう。
日系企業駐在員になる
よい待遇を受けながら、幅広い裁量権を持ってインドに仕事をしたいという人には、日系企業のインド駐在員がおすすめです。
しかし、駐在員になるには、インドに進出しているようなそれなりの規模の日本企業(大手なら三菱商事などの総合商社や日立などの大手メーカー、保険なら東京海上日動など)で採用され、少なくとも数年は日本で実績を残す必要がある場合が多いです。
インドはあまり人気がないので、手を挙げれば比較的赴任しやすい場合も。
また、駐在員といってもインドのどこに派遣されるかで大きく生活環境は変わるので、特に工場勤務の人などは、不便な生活であっても耐えられる覚悟が必要です。
その代わり、プール付きのタワーマンションに住めたり、専属の運転手がつく車をあてがわれたりする人もいます。海外赴任手当も魅力的ですね。
インターンシップを利用する
インドでインターンシップをすることも可能です。
インドに進出している日系企業や日系企業以外のグローバル企業、大使館等の公的機関やインドのスタートアップ、またはNGOなどの非営利機関で働くという選択肢もあります。
条件は様々で住居費や給料が出るようなインターンシップもありますが、ほぼ手当がないというようなインターンシップもあります。
もちろんお金をもらえた方が嬉しいですが、インドでインターンシップをするという経験は、仕事の面においても、人生観の面においても、非常に大きな収穫となるでしょう。
ワーキングホリデーの制度はない
インドでワーキングホリデーを考えている人には残念な話ですが、2022年現在、インドは日本のワーキングホリデー協定国ではありません。
どうしてもインドで働きたい場合は、主に三つの方法があります。
一つめは、インドで現地採用として採用される、二つめは企業の駐在員として派遣される、3つめは難易度が高いですがインドで起業するという選択肢もあります。
また、仮にインドでワーキングホリデーができたとしても、インドでの現地の賃金は日本と比べてかなり低いので、貯金をすることは難しいでしょう。
インドの産業と日系企業
主要産業
外務省によると、インドの主要産業は農業、工業、鉱業、ITとなっています。
主要貿易品目は石油製品、宝石類、機械機器、化学関連製品、自動車です。インドはIT大国として有名ですが、特に著名なIT企業として、タタ・コンサルタンシー・サービシズ、インフォシス、ウィプロの3つがあります。
この三社は様々な国々に進出しており、日本でもビジネスを行っています。また、インドにおけるスズキの乗用車販売子会社であるマルチスズキもインドでは非常に有名です。
大手企業
インドで有名な企業には、
- 石油関連のリライアンス・インダストリーズ、石油天然ガス公社(ONGC)、インディアン・オイル
- 天然資源のベダンタ
- 石炭のコールインディア
- 重電のバーラト重電
- 鉄鋼のタタ製鉄
- 金融のHDFC、インドステイト銀行、ICICI銀行
- タバコのITC
- 通信のバルティ・エアテル、アイデア・セルラー
- 建設・エンジニアリングのラーセン・アンド・トゥプロ
- 自動車のタタ自動車、バジャジ・オート、マヒンドラ・アンド・マヒンドラ、ヒーロー・モトコープ
- 情報技術のHCLテクノロジーズ
- 電力のインド国営火力発電公社(NTPC)、PGCIL、タタ電力
- 医薬品のルピン、ドクター・レディーズ・ラボラトリーズ、シプラ、サンファーマティカル・インダストリーズ
- 塗料のアジアンペインツ
- 日用品のダブール・インディア、ゴドレジ・コンシューマー・プロダクツ
- エンターテインメントのジーエンターテインメント
- 食品のユナイテッド・ブルワリーズ
などがあります。
インドの大きな財閥はタタ・グループ、リライアンス・グループ、ビルラ・グループの3つ。これらの他にコールインディアなど国営企業も目立ちます。
他にも、インドはIT立国としてIT産業やそのエンジニアの育成に力を入れています。そんなインドを代表するIT企業「BIG3」がTATA Consultancy Service、Infosys、Wiproの3社。これらの会社で働くことは、多くのインド人にとって一種のステータスです。
進出している日系企業数
在インド日本国大使館とジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)の発表によると、インドに進出している日系企業は2018年10月時点で1,441社となっています。
- 「インド進出日系企業リスト」在インド日本国大使館、ジェトロ(2018年12月)
インドのほぼ全域に日系企業があります。経済成長の著しいインドには毎年多くの日系企業が進出しており、日本人に対する求人需要も増えてきています。
求人の特徴とは。インドで多い日本人向けの業種・職種
求人の特徴
インドでは製造業を中心に、IT、広告、商社、金融やコンサルティング会社、建築・不動産、など、幅広い業種で日本人人材を募集しています。
日系企業のインド法人は、その他の国々の法人と比べてまだまだ歴史が浅いケースがあります。そんな発展途上の現地のオフィスで働くという経験は、あなたのキャリアにもきっと役立ちます。
必要な語学力
多くの人はインドで働くためには英語力が必要、という印象を持っているかもしれません。
ところが、リクルート系の人材サービスなどの求人を見てみると、必ずしも英語力が必要な求人ばかりではありません。
むしろ日本人としての価値を求められている場合は、正確な日本語が使える方が、より重視される可能性があります。
もちろん、英語はできた方がよいですが、その前にビジネスの場面でも恥ずかしくない日本語力を身につけておきましょう。
必要スキル/経験
リクルートやパソナのインド求人情報を見ると、社会人経験3年以上とある程度の社会人経験を求めていたり、インド人との会話ができる程度の英語力を求めている求人は多いです。
日本人としてインドで働くということは、インドと日本の間に立って調整をしたり、様々なバックランド持っている人々のハブのような存在になることを期待されてもいます。
そのため、ハードスキルだけではなく、異文化コミュニケーションのようなソフトなスキルが求められる傾向にあります。
日本人向け求人の多い業種
- 製造業
- 建設業
- 物流
- 勝者
- 貿易
- 金融
- コンサルティング
- 広告
- IT
- 不動産
製造業では品質管理者やエンジニア、保険や物流ではセールス(営業)などの求人が一般的です。また、カスタマーサポートなどの求人もあるので、いろいろな仕事に挑戦できるでしょう。
日本人向け求人の多い職種
- マネージャー
- エンジニア
- 技術者
- 営業
- マーケティング
- 事務
- カスタマーサポート、コールセンター
数は多くないですが、翻訳や経理、会計の求人も見かけます。
未経験でもできる職種
職種未経験からでもできる仕事は事務や営業です。また、新卒で応募できる求人もあり、日本での職務経験を経ずに就職することも可能です。
インドへの就職・転職活動を上手に進めるために
インドで働くための求職活動は他の海外地域に比べて大変です。その理由の一つとして、就職・転職情報が少ないことが挙げられます。
情報が少ないため、例えば提示された給料が相場として正しいのか(安いのか高いのか)の判断もしにくくなります。
日系転職エージェントを利用する
そこで、まずは日系の転職エージェントに登録し、話を聞いてみることをおすすめします。(おすすめの転職エージェントは後述)
給料はいくらなのか、就労ビザは出るのか、不法に労働させられないかなど、海外就職を考えるときに誰しもが不安になったり、疑問を持ったりする点も、日本語で相談できれば安心です。
まずはとにかく情報を集めること、これが重要です。話を聞くだけでもインドで働く自分の姿がイメージでき、より具体的に何をすべきかが見えてきます。
転職エージェントは大手が安心です。案件も多いので、いろいろな角度からアドバイスをもらうことができるはずです。後に紹介するおすすめのエージェントを参考にしてみてください。
現地エージェントや口コミより安心で効率的
もちろん、インドローカルの転職エージェントに登録することもできますが、日本人向けの求人を見ることはほとんどありません。
また、口コミで日本語教師として働かないかと声をかけられたりすることもありますが、そういった場合、たいていはボランティアでやってほしいというものでしょう。
インドで働くなら就労ビザが必要なため、きちんとビザを取得できる会社を見つける必要があります。また、今の時点でインドの人材紹介会社とやり取りできるほどの英語力があるなら、日系の転職エージェントで仕事を見つけてもらう方が早く確実です。
希望や目標を明確に
頼りになる日系転職エージェントですが、登録するだけでうまくいくわけではありません。インド就職を実現するには、ビジョンをしっかり持つことが大事です。
登録前に、まずは譲れない条件、希望の条件を箇条書きでもいいので書き出してみて「なぜインドで働きたいのか」を明確にしましょう。
日本企業なのか、ローカルのインド企業なのか、またどんな仕事をしたいのか、給料はいくら欲しいのかなど、最初にある程度希望を絞ってから探した方が効率的です。
エージェントも、あなたの希望がわからないことには求人の紹介ができません。どんな希望であっても正直に伝えることが大切になります。
インドを目指すためのおすすめ転職エージェント
では、おすすめの転職エージェントや転職サービスをご紹介していきます。
これらの転職エージェントは日系企業を多く顧客に持っているため、求人もたくさんあります。また、年一回の日本帰国手当など福利厚生もしっかりしているものが多く安心です。
転職エージェントの利用は全て無料です。登録したからといって必ずしも求人に応募する必要はありません。
リクルートエージェント
転職といえばリクルートエージェントです。非公開求人などが多数あります。海外求人数が一般の転職エージェントの数倍あるため、海外就職を考えている方はまず登録してみましょう。
他の転職エージェントと併用し比較しながら仕事探しをするのが上手な使い方です。
JAC Recruitment
海外求人を探すなら外すことができないのがJAC Recruitment。国内だけでなく、海外にも複数の拠点を持つ転職エージェントです。
海外での駐在から現地採用まで様々な求人があり、登録することで非公開求人を紹介してもらうことができます。30代以上で年収600万円以上の方ならぜひ登録しておきたいエージェントです。
リクナビNEXTで自己分析
リクナビNEXTには、無料の自己分析ツール「グッドポイント診断」があります。簡単な質問に答えていくだけで自分の強みが把握でき、履歴書の自己アピール作成の参考にすることができます。
こういった無料の転職サービスを上手に使いましょう。
日本にいながら職探しが可能
転職エージェントへの登録は日本在住でもできるので、日本にいる間に担当者と希望地や希望職種などをよく話し合った上で納得のいく仕事を見つけましょう。
英語力があると比較的紹介案件も増え、採用へのハードルが下がります。長期で探すのであれば、出来る限り英語力を伸ばしておきましょう。書類審査からなのでTOEICなど数値評価されているものがあると分かりやすいです。
インド就職までの流れと対策
インドの場合、実際に現地へ行っての求職活動や下見が難しいことも他国よりハードルが高い大きな理由です。
先にご紹介したように、日系エージェントを使えば日本からでも仕事探しは可能であり、さらに面接もオンラインなら便利ですが、その場合、これから働き生活する場所を一度も見ないまま就職を決めることになります。
インドに行ったことがある、またはすでに住んでいるのでなければ下見に行かない限り、就職が決まって初めて現地に降り立つことになるわけです。
では、インドに行けない状況で仕事を探す場合、選考はどのように進み、現地を知るために何をしておけばいいのでしょうか。
ここでは、留学先のオーストラリアから現地に一度も行かずにインド就職を決めた日本人の体験談をご紹介します。
就職面接はスカイプで
応募から面接までは、履歴書や職務経歴書、資格のコピーをメールで送り、書類選考に通れば面接という流れでした。
面接はスカイプを使って行われました。相手の人の顔は見ることができるものの、実際に会って面接をするのとは大きく違います。
実際に会社に行くわけではないため、会社の雰囲気を感じることはできません。頼りになるのは、相手から発信される内容や印象のみなので、不安はありました。
スカイプ面接の準備
- 服装は対面面接と同様に
スカイプとはいえ、面接には違いないので、通常の面接と同じような服装をしました。
- 音量や背景などを事前に確認
相手から発信される印象を受けるのと同時に、こちらの印象も相手側に伝わるので、念入りに準備しました。
例えば、事前に画面の映り具合や音量などを何度もチェック。また、余計なものが映らずすっきりした背景になり、かつ自分の顔が暗く映らない場所を探してパソコンをセットしました。
スカイプ面接の内容
- 聞かれたこと
・どうして〇〇で暮らしていたのか
・留学の専攻
・業務経験
・英語力
・どうしてインドを選んだのか
・いつから働けるか など
- 応募者としてチェックしたポイント
・顔を合わせて行う通常の面接と同じように、きちんと質疑応答してくれているか
・会社や仕事について丁寧に説明してくれているか など
最後に何かありますか?と聞かれたときに、「社内の雰囲気がわかる写真やパンフレットがあれば見たい」とお願いしました。その会社のHPはありましたが、あまり写真は載っていなかったからです。
その後、メールで会社のイベントなどの写真を送っていただいたので、社内の様子がよくわかりました。
給料交渉
求人サイトに給料が書いてあったので、交渉はしませんでした。ただ、前もってインドの友人に、その金額でどの程度暮らせるものかと聞いてリサーチしておきました。
会社によっては希望の給料を聞かれることもあるので、その場合に備え、ある程度金額を決めておいた方がいいでしょう。
不安はできる限り解消
住居が用意されているなら、どんなところなのか、治安は大丈夫なのか、通勤にはどんな交通手段を使うのかなど、少しでも不安に思うことは、面接中でも採用が決まった後でも何度でもしっかり聞きましょう。
また、インド在住の日本人が集まるサイトなどを利用して情報を得るのも一つの方法です。
時間があれば下見に行くのが一番いいと思いますが、インドではビザによっては、入国してから次に入国するまでに数ヶ月空けなければいけない場合があるので、事前に確認することをおすすめします。
私の場合は、採用が決まってから契約までの間に、マネージャーがスカイプで社内の様子を映してくださったり、社長と話す機会を作ってもらえたりしたので、ある程度安心することができました。
インドで働く日本人の給料相場
日本人の平均年収や目安給料
インドで就職する外国人には年間1,625,000ルピー(25,000ドル)以上の支払いが義務付けられています。一般的にピザ基準と呼ばれる基準です。
日本円だと年収260万円くらいになります。日本の新卒とあまり変わらない給与水準ですね。日本人のインド就職に強いエージェントのミライストによると、新卒でインド就職を選ぶ人も最近では増えてきています。
やはり、インドの物価は安いので、支出が多くなりすぎなければ、ビザ基準であっても十分生活できる給与水準となっています。
現地採用者の月給の目安
年間25,000ドルなので、月給は約2,000ドル(約22万円)〜になります。会社や実務経験、スキルなどによって給料は変わります。
現地採用社員の給料相場(1ヵ月)
- セールス(営業):2,000ドル(約22万円)~
- マネージャー:2,500ドル(約28万円)~
- エンジニア:2,200ドル(約25万円)~
- カスタマーサポート、コールセンター:2,000ドル(約22万円)~
外国人の平均年収や目安給料
日本以外の国からインドに働きに来る外国人も、日本人と同様、ビザ基準の給与である年間1,625,000ルピー以上の給与を得なければなりません。
駐在員の月給の目安
海外駐在は、日本の企業に入社して現地の子会社へ派遣される働き方です。海外赴任手当や住居手当が手厚かったり、運転手付きの車が貸与されたりします。
日本の給料に海外駐在手当が上乗せされるので、非常に収入が高くなります。また、福利厚生も充実しているため、自信のある方は海外駐在員を狙ってみましょう。
インド駐在員の給料相場(1ヵ月)
- エンジニア:4,000ドル(約45万円)~
- マネージャー:4,000ドル(約45万円)~
※1ドル=112円
ビザの取得要件
インドの就労ビザ取得には、様々な書類が必要です。
パスポートや免許証か保険証といった身分証明書、ビザ申請書など、基本的な書類が必要なのはもちろん、インドの会社の採用通知書やインドの会社のプロフィール、インドの会社との雇用契約書等が必要です。
また、前職でインドの会社に勤めていた人は加えて、納税証明書及び退職証明書の提出が必要となります。
インドに限りませんが、大使館は書類の不備があると手続きしてくれませんし、差し戻しになると余計に時間がかかってしまうので、しっかり必要な書類を確認して提出しましょう。
なお、大手企業以外では決められた金額以下で日本人を採用していることもあるので、必ず事前にいくらもらえるのか確認することをおすすめします。
給料が安すぎるとビザ発給不可の可能性
実際に規定以下の給料で働いている日本人もいますが、規定以下の給料だとビザが出ないこともあり、不法就労になる可能性があります。違法な労働をさせられないよう注意が必要です。
仕事は信頼できる人に紹介してもらうか、信頼できる大手の転職サイトを利用しましょう。
インドでの働き方
バンガロールの現地企業で日本語教師として働く日本人の場合を見てみましょう。
勤務時間
勤務は9時から17時まで。ただし、他の社員たちは9時から18時半まで働いています。
職場が徒歩圏であれば、朝は比較的ゆったりと過ごせます。ただし、インドの都市部の交通渋滞は凄まじいので、交通機関を利用する場合は早めに出発しなければなりません。
お昼休みは1時間なので、日本と同じ。残業することもなく17時で終業し、その後は家の前の通りにオープンする屋台で夕食を食べるなど、ゆったりと過ごせます。
なお、バンガロールと日本との時差は3時間半なので、日本の家族や友人と連絡を取るのもそれほど不便ではないそうです。
有給休暇
年間7日。連続で取得できるので土日をプラスすれば10日ほどになり、日本への一時帰国も可能です。
他の社員は勤務年数によって有休日数が増えていき、使わなかった分は翌年に持ち越しができるとのことです。
祝祭日
インドでは州によって祝祭日が異なります。また、ヒンズー教、イスラム教、シーク教など、それぞれの宗教の祝祭日もあります。
バンガロールの場合、年間20日ほどが祝祭日とのことです。休日が多いので、有給休暇が少なかったとしてもさほど気にならないかもしれません。
福利厚生
インドでの現地採用の場合、一般的に日本企業であるような福利厚生は期待できないと考えた方がいいでしょう。
駐在員であれば、日本にいたときの福利厚生が利用できる場合があります。リクルートの現地採用の求人を見ると、福利厚生という名でビザの取得費や外国人登録の費用、赴任時の航空券代を負担してくれる求人があります。
しかし、ビザの取得や外国人登録は非常に手間がかかる場合があるので、そのエージェント費用も負担してくれるかは確認しておくとよいでしょう。
産休・育休
日本人がインドで働く場合は、産休や育休は期待できません。
というのも企業はあなたが働くために就労ビザの支援をしているので、働けなくなってしまったら、ビザの要件を満たなくなってしまいますし、企業の負担になってしまうからです。
そのため残念ですが、産休や育休の可能性がある場合は、インドで働くことは延期したほうがいいでしょう。ちなみに、インドの文化としては、特にIT企業などでは産休・育休が一般的で、女性も働きやすい職場環境が整備されています。
残業
インドでももちろん必要に応じて残業があります。
しかし、日本ほど長時間残業をする風潮はありませんし、その後に上司や同僚と飲みに行くようなことも、日本人コミュニティ以外では少ないでしょう。
また、日本でも同じかもしれませんが、インドでは残業代が支払われないことも会社によってはあります。
そのため必ず残業代が払われると思い込まずに、就職前に残業代の有無についてしっかりと企業に確認しておきましょう。条件は交渉次第で変わる可能性があります。
インドでの生活費
インドは物価が安いと思っている人も多いかもしれませんが、日本人が日本人らしく生活しようとするなら、やはりコストはそれなりにかかります。
インドは格差社会で、全てのものの値段に激安から高級品までの幅があります。自分がどのグレードで納得できるかによって生活費は変わります。
- バンガロールで家族4人で生活する場合:月15万円前後(外食ほぼなし、学費含む)
- バンガロールで一人暮らしする場合:月約7〜10万円
詳しくは以下の記事でご紹介しています。
インドで働く場所としておすすめのエリア・日本人の多い地域
デリー(ニューデリー)
インドで日本人が圧倒的に多いのは首都デリー(ニューデリー)です。政治経済の中心地で、日本人以外にも外国人が多く住んでいます。
グルガオン
デリーから車で1時間ほどのところにあるグルガオンにも日本人が多く暮らしています。グルガオンは特にIT関連の中心地として発展しているので、この分野で就職を目指す人はグルガオンで生活する可能性が高そうです。
その他の地域
ムンバイ、バンガロール、チェンナイなどにも日本人が集まっています。
インド就職した日本人の体験談
実際にインドで仕事をしている人の経験談は非常に役立つもの。働いてみてどんなことを感じ、つらい時期をどのようにして乗り越えたのでしょうか。
企業文化の違い
インドの企業で働くと、日本との文化の違いを目の当たりにすることになります。
スマホをいじるというのは日本以外ならよくある光景かもしれませんが、それに加えてカーストによる仕事内容の違いがあったり、宗教が優先であったりと、日本では考えられないようなことがあります。
違った価値観を知ってそれまでの考えが変わるきっかけにもなり、人として成長できる環境です。
インド就職を支えてくれた言葉
特に、人と違う道を選ぶ場合、誰しも不安に思うこと、迷うことはあると思います。そんな時に自分を奮い立たせ、困難に立ち向かう勇気をくれる言葉があります。
自分の本当にやりたいことをしなさい。何をしたって他人は文句を言うのだから。
(エレノア・ルーズベルト)
自分の信じた道を後押ししてくれる言葉の数々を以下の記事でご確認ください。
インドの税金
所得税
ジェトロによると、インドでは2020年の財政法により、新しい所得税制度が始まります。個人は旧制度または新制度のどちらを適用するか選択することができます。
インドの所得税は日本と同じように累進課税で計算され、所得が高くなるほど所得税も高くなります。
例えば、多くのインドで働く日本人が該当するであろう1,500,001ルピー以上の所得には、150万ルピー以上の部分に30%の税率が適用されます。インドでの納税はややこしいので、会社が納税のサポートしてくれるかを確認するのも重要です。
消費税
インドでは日本の消費税のような間接税としてGSTとVAT という税金があります。
GSTは「サービス」の消費に、VATは「モノ」の消費に課税されます。GSTは国の税金で4段階の税率がありますが、VAT は州の税金なので、州によって税率が異なります。
非課税から20%まで税率には幅があります。普段はあまり買い物の際にも意識しないGSTとVATですが、それなりのお店のレシートにはGSTとVATが何パーセントか記載されているので、確認することができます。
インド就職後の可能性
管理職ポジションを狙う
あなたが駐在員としてインドに派遣されれば、日本にいたときよりも会社での地位が上がり、業務の範囲が広くなる可能性はあります。
しかし、現地採用では比較的単純な業務を行うことがあるので少なくとも就職の段階ではキャリアアップが難しくなってしまいます。
インドでキャリアアップしたいなら、現地採用から入る場合でも駐在員に途中で変更されるような制度がある会社を選んで就職するのがおすすめです。
インドで管理職として経験を積めば、一般的に管理が難しいと思われているインド人をまとめてきたということで、評価されることもあるでしょう。
ビジネススキルをみがく
あなたが駐在員の場合は、インドの部下をまとめつつ、日本の本社との連絡や現地のお客様との調整も一手に担うことになるので、高いビジネススキルがつくと考えられます。
一方、現地採用の場合は、駐在員の補助的な立場であったり、事務作業をメインとする人もいるので、その場合は普通に日本で働くよりもビジネススキルが付かない可能性はあります。
また、日系企業以外で勤める場合は、語学はもちろん、グローバル(あるいはインド)の環境で仕事を進める力が身につきます。
いずれにしろ英語であったり、あるいは現地語のスキルは身に付くので、異文化で働くスキルは身につくと言えます。私はタミル語を学びました。
日本でグローバル人材になる
インドで勤務した後に日本にグローバル人材として帰ってくるキャリアは、もちろんあります。特に駐在員の場合は、本社から期待されてインドに派遣され、帰国後にバリバリ活躍してもらうキャリアが描きやすいです。
一方、現地採用の場合は、インドでいかに付加価値の高い経験を積み、ビジネスキルを上げることができたかによって、日本に帰国後どのような活躍ができるかが決まってきます。
ただ海外で働いたという経験だけではなかなか評価されないということは念頭に置きましょう。
転職してキャリアアップを狙う
インド勤務後に転職してキャリアアップを狙う道もなくはないです。ただ、駐在員の場合は転職せずに本社に帰って、そこでキャリアアップをする方がよいと考えられます。
というのも、インドでの経験が評価されたキャリアアップの転職となると、やはりインド系の仕事になる可能性があるので、それがキャリアアップとは必ずしも言えないからです。
現地採用の場合は、転職してキャリアアップしたいのであれば、インドにいるうちにほかの誰にも負けないようなスキルや経験を身につけておかなければなりません。
そうしないと、ただの日本で就業経験が短い人という扱いとなってしまい、むしろ転職時に不利になる可能性があります。
まとめ~見たことのない刺激的な世界へ
インド就職は「インドが好きだから」では気持ちが続かないことがあります。外に出ればインドの景色が広がり、顧客もインド人なのですが、インド人の仕事感覚に翻弄され、日本にいるのと同様に仕事で疲れ果ててしまうというのも本当によくあることです。
それでも、この刺激的で急成長する国を肌で感じたいと思う気持ちがあり、インドでの日常を楽しいと思える余裕を持てそうな気がするのであれば、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
そこには、日本にない世界が広がっていますよ。
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