インドは南アジアの大国です。インドの人口は13億人を超え、中国につぐ世界第2位の人口を誇っています。インドに進出する日系企業も毎年増えており、今後ますますインドで働く日本人が増えることが予想されます。
今回はインドへ移住したらどんな暮らしになるのかを含め、移住を始めるために知っておくべきことをご紹介します。
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※1ルピー=約1.4円
インド暮らしの概要
物価
インドの物価は日本に比べるとかなり安いです。
一般的なレストランで食べれば、1人150~300ルピー(約210~420円)で1食分は十分に食べられますし、バスの初乗りは7ルピー(10円)くらいだったり、映画は1回200~500ルピー(約280〜700円)くらいだったりとかなりお手頃です。
また、住居費も安く、プールとジムがついているようなコンドミニアムでも、1カ月10万円以下で住めるようなところは多いです。
しかし、日本食を食べようとするともちろん日本より高く、日本と同じような生活をしたい人にはインドは物価が安い国とは言えません。単純に物価が安い国であれば、東南アジアの方が日本人としては住みやすいと思います。
住環境
インドの住環境は、一般的に日本と比較するとよくないと言えます。
もちろん、高級コンドミニアムなどに住めばよい環境で生活できますが、一般的なアパートでは日本人としては不便を感じる可能性が高いです。
また、ある程度高級住宅街でも、周辺は交通量が多くて空気があまり良くなかったり、野良牛や野良犬や野良ヤギが歩いていたりします。道はガタガタしていて汚いなど、住環境が決して良いとは言えません。こういった環境に耐えられない人にはインドでの生活はおすすめできません。
治安
場所によりますが、インドの治安は日本人が思っているほど悪くはないと思います。もちろん、日本に比べると治安は良くないのですが、観光地以外ではだまされることは少なく、比較的穏やかな人が多いです。
インドでは強姦などが多いイメージですし、実際に数も多いのです。が、一般的に外国で気をつけるべき「人気のない場所に行かない」「真夜中に出歩かない」をしていれば、危ない目に遭う確率は低いです。
むしろアメリカなどの方が銃による犯罪のニュースをききますし、インドよりも事件に巻き込まれて死亡する可能性は高いのではないでしょうか。
食べ物
インドでの食べ物は地方によってもさまざまな特徴があります。非常に安い値段で食事ができるのでありがたいです。日本人がよく食べるインドカレーとナンの組み合わせは主に北部の食事です。
日本人の中には日本で食べるインド料理が好きな人もいると思いますが、本場で食べると口に合わないかもしれません。やはり、現地の料理はスパイスが強かったり、より脂っこかったりするので、日本人の体に合わないことがあります。そのため、インドで胃腸を壊す日本人は多いですね。
また、南部では米もよく食べられますが、日本米とは違いパサパサしています。旅行程度ならいいかもしれませんが、中長期でインドに滞在する人は食が合わなくて苦労することがあります。
医療
インドの医療に関しては、大都市なら比較的日本人も安心できるのではないかと思います。一般的なインドの病院に比べ値段は高くなりますが、インド人の富裕層や外国人がよく行く病院があります。
日本語で診察を受けることは難しいですが、英語で診察を受けられることも魅力です。現地語を理解する必要はありません。
とはいえ、医療用語は難しいと思うので、しっかり理解したいときは医療通訳がいると安心です。また、大きな手術などは日本で受けるか、近隣のバンコクやシンガポールに行った方が安心かもしれません。
気候
インドの気候は地域によって違いますが、基本的には暑い所が多いです。北部のデリーなどではある程度四季があり、冬は寒くなります。一方、南部のチェンナイなどでは時期により気温差があるものの常夏で、雨期と乾期に分かれています。
旅行するなら、気温は高いものの乾期の方がおすすめです。比較的過ごしやすい場所だと、プネやバンガロールといった高原の都市が挙げられます。また、北部のヒマラヤの方は山岳地帯なので、特に夏は過ごしやすいでしょう。
インド移住のメリット
メリット1. エネルギッシュ
非常に発展している、エネルギーのあるインドという国を肌で感じることができます。インドは1つの国ですが、かなり多様性に富んでおり、1つ隣の州に行けば言語や文化がかなり異なってきます。
そんな国が豊富な若い労働者と、資源、農業、そして一部の優秀な人々の力を持って、近年は大躍進を遂げています。シリコンバレーなどで起業したIT企業家がしのぎを削っているのです。
今後ビジネスの世界で活躍したい人は、インドで一定期間修業したり、インドで起業したりするというのもいいでしょう。
メリット2. 視野が広がる
当然ですが、インド国内を旅行しやすくなります。国土はただただ広いので、電車やバスを使うと時間がかかり大変です。が、飛行機も利用すれば、効率的にさまざまな観光地へ行くことができます。
インドは本当に多様な側面を持っています。1つや2つの土地だけではなく、多くの都市や世界遺産を巡ると非常に視野が広がり、価値観も大きく変わってくる可能性があります。また、スリランカやアラブ諸国も近いので、週末に旅行することも可能です。
メリット3. 多岐にわたる教育環境
日本人が多く住むエリアであるニューデリーやムンバイには日本人学校があります。そのため、インドにいながら子どもに日本式の教育を受けさせることができます。
インド各都市ではインターナショナルスクールも充実しています。英語を身につけさせたかったり、より国際的な感覚を養ってもらいたかったりすれば、インターナショナルスクールも有力な選択肢になります。
高等教育だと、インド工科大学やインド経営大学といったインド人の中でも一握りの優秀な人だけが入れる大学もあります。そういったところを目指すのもいいでしょう。
私が感じるインド移住のデメリット
デメリット1. 国民性の違い
インド人の国民性が合わない場合、インドでの生活は非常に大変なものとなるでしょう。インド人は穏やかな人や、おせっかいなほど優しい人が多いので、一緒にいると気楽と思える人も多いでしょう。
しかし、日本のようなきっちりした感じをインド人に求めることは難しいです。神経質な人はインドにはあまり向かないと言えます。
道を聞いても悪気なく適当な道を教えられることもあります。配車アプリUberでタクシーに乗ろうとしても、ドライバーに「現金払いにしてくれ」などの要求をされることもあります。こういった日常的なトラブルに耐えられない人には、インド移住はおすすめできません。
デメリット2. 料理に飽きる
日本人の中には、インド料理が好きな人も多いと思います。でもインドに暮らしているとほとんどの人がインド料理に飽きたり、日本食を切望したりするようになります。やはりインド料理が合わないことが多いです。
インド料理以外を食べたいと思っても、インド風にアレンジされていて結局はインド料理を食べているような感覚になることもあります。
例えばハンバーガーはスパイスが効いていたり、牛肉ではなくよくわからない揚げ物が挟まっていたりします。そのため、日本食料理屋が家の近くにあるといいのですが、インドではそんなに多くないですし、値段も高いです。また日本の食材は希少です。
デメリット3. 煙害がひどい
インドは大気汚染が深刻なことでも有名です。やはり開発途上国なので、工場の煙や自動車やバイクの排気ガス、そして焼き畑農業によるばい煙の被害は深刻です。
特に首都のデリー近郊では焼き畑農業が盛んで、冬は空が真っ白になることもしばしばです。そのため、肺の病気で亡くなる人も多くいます。
インドに移住する場合は、都会でも郊外や海の近くに住むと比較的空気がきれいです。デリーなどで外出する際は、マスクをした方が無難です。また、部屋にシャープなどの空気清浄機を置く人もいます。
インド移住の一般的な1カ月の生活費
1カ月の生活費は、どういった環境でどういった暮らしをするかによります。
家は安いところで1カ月7千ルピー(約1万円)のところから高いと7万ルピー(約10万円)、14万ルピー(約20万円)といった高級コンドミニアムもあります。
食事ももちろんレベルにより、安いと1食70ルピー(約100円)もしないで食べられますが、一般的には150~200ルピー(約200~300円)、日本食を食べると1食700~1,400ルピー(約1,000~2,000円)はかかります。
娯楽はそんなに多くないですが旅行をしたりすると、日本にいるときぐらいのお金はかかりました。
インド移住に必要なビザの種類
インドでは多数のビザがありますが、日本人が中長期で滞在するために取得するビザは、主に以下の4つです。
- 就労ビザ
- ビジネスビザ
- 学生ビザ
- 家族滞在ビザ
中でも大概の人が持つのは、駐在員や現地採用として働くための就労ビザです。そしてインドで働く人々に帯同してくる家族は、家族滞在ビザを取得することになるでしょう。
他の国と同じくインドでもビザを取得するには時間がかかるので、しっかり日程的な余裕をもって計画を立てましょう。もし不安であればビザの手続きを代行してくれるエージェントに頼むと安心です。
インド移住に必要な英語力は?
インドでは英語を話す人も多いですし、書類や町中の表示も英語が多いのでできると大変便利です。必ずしも流ちょうに話せる必要はないですが、あまりにも英語力がないと苦労するでしょう。目安としてはTOEICで600点や700点くらいあるといいのではないでしょうか。
もちろんTOEICの点数よりも英会話力が大事です。なので、テストの点数よりも実際に体当たりで、日本語ができない人と英語でやり取りする経験を積んでおくとよいです。
もしそういった経験がなかったとしても、インドで生活して頑張って英語を話していくうちに、だんだん慣れてくるでしょう。インド人も英語のネーティブではないので、英語が下手な日本人もそんなに臆せず話すことができるのではないかと思います。
インド移住後の就職難易度
インド移住後の就職難易度ですが、社会人経験が豊富だったり、英語ができたり、特定の分野、技術に強かったりすると重宝される可能性が高いでしょう。
日本人向けのフリーペーパーには、インドの現地採用を専門にしている転職エージェントが広告を出しています。
ほかに、現地の企業にホームページやLinkedIn経由で応募しても大丈夫です。しかし、ビザの関係などもあるのでインド移住前に就職先を見つけておいた方が無難と言えます。
インド移住で住みやすい都市
都市1. グルガオン
デリー近郊のグルガオンは日本企業が多く進出しており、日本人駐在員向けのコンドミニアムや日本食料理屋などもあります。だから日本人がインドに住むなら、グルガオンが一番快適なのではないかと思います。
首都のデリーにも近く、大使館で手続きがある場合や飛行機に乗って遠出したいときなども比較的便利です。
多くの日本人が住んでいるため、日本人会に参加して知り合いをつくったり、スポーツを楽しんだり、飲み会で日本のように騒ぐことも可能です。
駐在員の奥様は比較的時間を持て余してしまうことが多いのですが、グルガオンでは各種習い事も盛んです。結果、他の地域よりは楽しい生活を送りやすいと思います。
都市2. ムンバイ
インドの経済の中心であるムンバイは、グルガオンと同じように日本人駐在員が多く、日本人会の活動が盛んです。またインドの中ではかなり国際的な大都市のため、バーなど日本人を含む外国人がインドの裕福な人々とおしゃれに楽しめる場所も多いです。
豪華なホテルが多数あり、日本や欧米よりははるかにリーズナブルにアフタヌーンティーや食事を楽しめます。休日に宿泊して、インドのけんそうとはかけ離れた優雅な空間を満喫することもできます。
ムンバイには大きな国際空港があるので、インド国内はもちろん、日本をはじめさまざまな国々へのお出かけにも便利です。
都市3. プネ
プネはインドの経済の中心地であるムンバイから、車で3時間ほどの場所にある都市です。昔から学術都市であり、さまざまな大学があるほか、日本語を学ぶ人がインドで一番多い街として知られています。
最近では「東のシリコンバレー」と呼ばれ、多くのIT企業が外国からも多数進出してきており、日本人会も存在します。
ムンバイやグルガオンに比べると日本人コミュニティーが小さいため、そこまで恩恵を受けられないかもしれません。が、そのぶん濃いつながりをつくることはできそうです。また、プネには空港があるので、インド国内への各都市にはすぐ行くことができます。
都市4. バンガロール
バンガロールは「インドのシリコンバレー」と呼ばれているように、近年急速にIT産業で成長している都市です。欧米や日本などの超一流企業がバンガロールにオフィスや開発センターを持ち、さまざまな国籍の人々が働いています。
そのため、多国籍なレストランや高級ショッピングモール、きれいな家なども比較的充実。インドで暮らすなら快適な場所のひとつと言えます。また、バンガロールは標高がやや高めなので、そんなに暑くなく気候にも恵まれています。
インド移住前にすべき手続きと持ち物
インド移住前には予防接種を受けましょう。A型、B型肝炎や狂犬病などの予防接種を受けておくと安心です。
やはりインドは衛生的に問題があったり、道端で野生の動物がうろうろしていたりするような環境。ですから現地でそういったリスクに備えるとともに、事前に準備を怠りなくしましょう。
インドでは外国人登録を行う際に、日本の身分証明書が必要になるケースがあります。とはいえ制度は頻繁に変わる可能性がありますが、念のため免許証やマイナンバーカードを持っていきましょう。
インド移住で注意すべきこと
注意1. 決行前にもう一度熟考する
まず、本当にインドに住みたいのか再度確認しましょう。インドに一度も行ったことがないのにインド移住を決定するのはリスキーなので、おすすめしません。
例えば昔住んでいたことがあるとか、インドが好きで何度も行ったという人であれば、イメージがついているのとでいいと思います。
日本とかなり違う国なので、インドで住むことのメリット・デメリットをしっかりわきまえた上で決定しましょう。移住前は良い面ばかり見てしまうと思いますが、実際に住むとなると悪い面がより強調されてしまうこともあります。
注意2. 現地で頼れる人を探す
現地で信頼できる人を見つけておくのも重要です。外国ではよくわからないことが多いです。中でもインドでは制度が整っていないことが多いので、現地の人や現地に詳しい人にいざとなったら助けてもらえるように話しておくと安心です。
何も知らないままで行くと、悪い人にだまされてしまうこともあります。本来はそんなに難しくないことに多くの時間を取られてしまうなど、良いことがありません。友人や会社関係で信頼のできる人がいなければ、誰か信頼できる人に紹介してもらいましょう。
注意3. 常に警戒感を忘れない
どこの国でも言えますが、インドでも人気の少ない場所やスラムなど貧しい人が多い地域に行くこと、また真夜中の外出は控えましょう。
ただでさえ外国人は目立ちますし、日本人はお金持ちで気が弱いという印象を持たれているので、自分が思っている以上に身の周りには危険が多いと考えておいた方がいいです。
インドはそこまで治安が悪いわけではないのですが、用心するに越したことありません。
スリなどの軽犯罪は人ごみの中で起こり得ます。出かける際はしっかりと自分の荷物が視界に入っているようにしましょう。あるいは財布などはポケットの奥に入れて、簡単には取り出されないようにしておくことをおすすめします。
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