海外でのボランティアや寄付活動などの社会奉仕活動はそれぞれの国の宗教の教えがもとになっている場合が多くその活動は義務化されているのではなく毎日の祈りと同じく自然に行われています。
イギリスではキリスト教の教えの一つであるチャリティー文化が根付いているためボランティアは教会や学校などの身近な施設で行われていることが多く、人種、国籍を問わず誰でも気軽に参加することが可能です。
中東ではイスラム教の教えのもと寄付活動は盛んです。イスラム教徒が必ず行わなければならない五行の中の一つにザカートというものがあります。富めるものは貧しいものに富を分け与えよという喜捨の教えがあるのです。
これらの2つの国に住み、生活の中に寄付活動が浸透していることを感じ自分でもできるボランティアや寄付活動に積極的に参加してみようと思ったのです。
キリスト教のチャリティー
キリスト教徒が多くを占めるヨーロッパ等ではキリスト教が伝えられる前から病人や貧困などで弱い人を扶助する考えなどがありましたが、キリスト教が伝来すると隣人を助けるという教えのもと教会などで積極的にボランティアや寄付活動が始められ盛んになってきました。
ロンドンにはほとんどの家から歩いていける距離に教会がありそこではさまざまなボランティア活動が行われています。子供たちが無料で外国語等を習うことができたり、不要なおもちゃなどを集めて寄付したりしています。
また、ロンドンの街では各町のメインストリート沿いでチャリティーショップを1,2軒見つけることができます。心臓病の人への寄付や親がいない子供たちへの寄付、ホームレス救援、ガン患者への救済などが目的のチャリティーショップです。
有名なチャリティーショップでは
- Oxfam(貧困層を救うための国際団体)
- Cancer reserch UK(がん患者のための研究費救済)
などがあります。
これらのショップには一般の市民が不要なものを寄付し、その不要品を中古品として安く販売しその収益をそれらの団体に寄付することにより市民全体がボランティアに参加していることになるのです。
日本で言うリサイクルショップと似たような感じで、不要品を持ち込む点では同じですが、その収益はすべてそれぞれの団体に寄付されるという点が大きく違うのです。
チャリティーショップで働いている人は一部の運営スタッフをのぞいてほとんどの人がボランティアです。
チャリティーショップに持ち込みできない人のために地下鉄や鉄道の駅近くや大きなスーパーの前などに靴、洋服や布、本や段ボール、ガラス瓶、電化製品のコレクションボックスが設置されています。
イギリスでは普段の生活ゴミは日本ほど細かく分類しなくても大丈夫です。燃えるゴミ、ペットボトル、ビニールなど全て一つの袋に入れて出すことが可能です。
同じマンションの人達は、段ボールや本などコレクションボックスがあるものは自発的に会社に行く前や学校に行く途中などにそのボックスに入れる姿を見て我が家もそのようにすることにしたのです。
ゴミとして出しても特に注意されることはなく強制ではなく自発的に行っているのです。
イギリスの現地校でのボランティア
イギリスの現地校ではさまざまなボランティアやチャリティーの催し物が開かれます。1年に4、5回開かれるチャリティーに関する催し物は子供たちの楽しみと合わせて開かれることが多く、自然に寄付活動に参加するよい機会となっています。
例えば、自分が使っていたおもちゃをきれいにして学校に持ち込み病気で入院している子たちや親のいない子たちへのクリスマスプレゼントとして届けたり、サイズが合わなくなった制服を学校で販売します。
そして、その収益として寄付したり、イベントの際に手作りのお菓子等を売った収益を寄付するなど、楽しんでボランティア活動ができるような催し物になっています。
イギリスの誰でも参加できるボランティア
誰でも参加できるボランティア活動も多くあります。イギリスにはリメンバランス・サンデーという戦没者の慰霊のための日があり、募金をしポピーの花やブローチなどを身につけるチャリティーがあります。
この時期になるとお店の入り口やホテルのロビーなどにポピーが置かれます。子供向けにはストローにさした折り紙ポピー、大人向けにはブローチやキーホルダータイプなどがあり多くの人が寄付をしています。
アフリカの子供たちに贈るバックパックプロジェクトボランティアもあります。バックパックにスブーン、石鹸、ボール、サンダル、Tシャツ、パンツ、タオル、文房具などを詰め、何歳用、男女どちらか用と記載し団体に持ち込みます。
各家庭で子供と親が一つずつ吟味しながら詰めていきます。女の子のバックパックには自分が使っていた人形を入れたくなる子もいるはずです。またなぜお弁当箱は入れないのにスプーンだけを入れるのか疑問に思う子もいるでしょう。
人形をバックパックに入れられないのは輸入の際、検査が大変になり受け取りができなくなる可能性があるので決められたものしか入れられないこと、アフリカの子供たちは普段家で十分な食事をできず、学校の給食が唯一の食事という子たちのためにバックパックに入れるスプーンはアフリカの主食であるトウモロコシなどを煮たおかゆみたいなものを食べるために必要だということを話すと、驚く子供もたくさんいるのです。
このような話を子供としながら世界にはさまざまな境遇の子供たちがいることや食べ物等を無駄にしないということを自然に考えることができる良い機会だと思うのです。
イスラム教のザカート(チャリティー)
イスラム教では富めるものは貧しい人にその富を分配することが良いことだとされています。富裕層がモスクを寄付で建てたり、ラマダン月にはモスクで貧しい人々への炊出しが行われたりします。
サウジアラビア滞在時にボランティア活動などに参加したいと思っていましたがサウジアラビアでは女性の外出は厳しく制限されており、外での活動にも制限があります。
外国人である私達はモスクへの立ち入りはできませんのでこのような活動のお手伝いなどはできませんでしたが近くの居住区に住んでいるイギリス人の友人からの誘いでボランティアに参加することになったのです。
サウジアラビアでのボランティア活動
サウジアラビアにいる外国人はほとんどが3、4年で他の国に引越しをしその際たくさんの不要品やごみが出ます。サウジアラビアでは日本のようにゴミを捨てる際分別はほとんど行われておらず、そのゴミはすべて集めて砂漠の真ん中に捨てるということを聞きました。
私は日本でのゴミはすべて細かく分別していたので最初は抵抗がありましたが、せめてごみを少なくすることには努力しようと思っていました。
私がサウジアラビアを離れる際は、近くのシリア難民に物資を届けるというプロジェクトがあるということを聞きそちらに寄付することにしたのです。
外国人が住んでいる何か所かの居住区に、国別に代表者が声をかけてたくさんの洋服やおもちゃなどが集められました。それらを大人、子供、男女、年齢別に分ける作業を時間がある時、できる人がするというボランティアです。
夕方学校帰りの子供も参加できたので、私も子供を連れて何度か分別作業に参加することができました。
声をかけてくれたイギリス人は、物資を集めるだけではなく、これらを届けるルートも探していました。
当時シリアは今のような戦乱状態ではありませんでしたが、国境付近は緊張状態であったため女性が行ける場所は限られており、現地のNGOに連絡を取り物資を届ける計画を綿密に立てていました。
個人でできることは限られると思いがちですし、特に女性が行動するのが難しいサウジアラビアではアラブ人の男性の力が必要なのではという人もいましたが、みんなできると信じ行動していました。
その信念を持っていたことで、最終的には大きなトラックでみんなが集めた物資をシリアの国境まで届けられたのだと思います。
まとめ
海外では探さずともこのようなボランティアやチャリティー活動の機会はあちらこちらで見ることができます。またすぐに誰でも参加できることはとてもいいことだと思いました。
日本はなんでもすぐに安く買うことができます。またそれらの品質はとてもよく、簡単に壊れたりしません。その上、修理して使うより買ったほうが安いという風潮があります。
不要なもの、まだ使えるものを丁寧に梱包し恵まれない人に譲るという活動を通し、自分たちのことだけではなく世界の様々な国の子供たちのことを考えることは大切ですし、社会に奉仕する(ボランティア)機会を作るという意味でも有意義なことだと思います。
海外求人
あなたの挑戦を待っている!あこがれの海外企業へ就職しよう(海外求人)
あわせて読みたい