スウェーデンの職場では、フィーカという1日2回のコーヒータイムがあります。
開催は10時と15時の各20分前後。それは、職場仲間との重要なコミュニケーション機会として、勤務時間内での開催が約束されています。
”Ska vi Fika ?(フィーカの時間にしない?)”という掛け声で、従業員は集うのです。フィーカはスウェーデン文化、人との絆を大切にする精神性を表しています。
ここでは、スウェーデンで働く魅力や就職をめざすために役立つ情報をご紹介します。※1クローナ=約11円
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スウェーデンで働く魅力とは
健康管理能力が高まる
スウェーデン人は健康意識が非常に高く、ジムやヨガ教室など費用の一部を非課税扱いの手当(Friskvårdsbidrag)として企業が支給します。
20歳以上の年間医療費上限も900クローナ(約9,900円)と安いのですが、これは病院にかかることがまれだからです。
病院での待ち時間が非常に長く、予約を取るのも難しいという医療体制上の問題があるのですが、その分、国民は「心身共に健康であること・余暇や家族との時間を慈しむこと」を大切に、自己管理を徹底しています。
未病(病気になる前に防ぐ)、ワークライフバランスなど健康的で充実した暮らしです。
子育てと仕事の両立
社会福祉が充実するスウェーデンは「夫婦で協力した子育てと働き方ができる環境」が整っています。
母親には産前産後に各7週間の母親休暇(mammaledighet)の取得が義務付けられているほか、両親は子どもの誕生後から480日間の育児休業(両親休暇:föräldraledighet)が認められています。
休業期間中の390日間は給与の80%が支給されるため安心して子育てに専念ができます。
復帰後の環境も整っており、子連れ出勤・リモートワーク・短時間勤務・父親の育児休業は当たり前。
夫婦どちらかに頼りがちな日本とは異なり、協力して子育てできるので子育て世帯にとっては大きな魅力といえます。
スウェーデンで働くデメリットとは
英語力は最低必須条件
スウェーデンの第一外国語は英語です。
英語学習は、小学校低学年から始まり、大学進学時には相当の英語力が身につく教育システムとなっています。そのため、若い世代で英語を流暢に話すのはごく自然なことであり、スウェーデン語と英語はできて当然と考えられています。
この常識は外国人がスウェーデンで仕事に就く場合でもしかり。「英語力を活かして海外で働きたい」という理由に加え、英語力プラスアルファの能力や経験が求められます。
税金が高い
高福祉国家であるスウェーデンでは、収入の約80%近くが税金として徴収されます。
その分、生涯、国が面倒をみてくれるだけでなく、出産・育児・進学といったライフイベントの際にも、国民の負担を最小限にする(大学に至っては公立でも私立でも学費がかからない)社会システムが機能しています。
これはメリットでもありますが、一生懸命労働をした分だけ重税となることが労働者の意欲を低下させるだけでなく、国外への人材流出の要因ともなっています。
スウェーデンの産業や企業
主要産業
スウェーデンの主要産業(主な輸出品目)は機械・輸送・電気機器分野、その他燃料や素材となっています。
国土の7分の1が北極圏にあり、ほとんどの地域が冷帯に属することから、耕作可能地域は限られてはいますが、国の工業化が農業の生産効率を後押しし、食料はほぼ自給しています。
また、ストックホルムに次ぐスウェーデン第二の都市ヨーテボリには、産官学民が連携しながら最先端技術の研究開発や社会実験を行う「サイエンスパーク」が設けられ、世界のイノベーションを牽引する都市のひとつとして数えられています。
現地の大手企業、有名企業
スウェーデンの人口は2019年時点で1,026万人、国内消費の拡大には限界があります。それゆえに、海外に市場を求める世界有数のグローバル企業を育ててきたといわれています。
スウェーデン発の大手企業の中には、日本でおなじみのメーカーやブランドもあります。例えば、家具メーカーのIKEA。品質やデザイン性が高いだけでなくDIYを楽しめることから日本でも急速に拡大しました。
このほか、H&Mが有名です。20代の顧客を中心に、最新トレンドをお手軽価格で購入できるファストファッションは日本人に限らず世界中で人気となっています。
進出している日系企業(代表的な企業や数など)
首都のストックホルムにある日本商工会のリストをみると、これまでスウェーデンが進めてきた工業化に関連する企業が多く見受けられます。
鉄鋼では神戸製鋼、機械分野ではコマツやマキタなどBtoBの分野が目立ちます。一般消費者になじみある企業だとMUJI(無印良品)や日本航空などでしょう。
JETROの2019年度調査によると、現地進出済み日本企業の88.9%は今後1~2年間で事業拡大する方針のため、製造業では技術者の人材育成や増員を3割近くの企業が検討しています。
スウェーデンではテクノロジー分野の先端技術開発にも力を入れていることから、製造業やIT業等の新規進出に関しても今後期待できるでしょう。
スウェーデン求人の特徴
必要な語学力
現地企業の就職を希望する場合、応募要件の中に日常会話レベルのスウェーデン語ができることを掲げる企業がほとんどです。もちろん日系企業であっても現地の駐在や赴任を目指す場合にスウェーデン語ができるに越したことはありません。
とはいえ、日本国内でスウェーデン語を学べる教育機関は少なく、近隣諸国と比べて日本人の学習環境は不利といえます。
しかし、現地には市民大学(Folkuniversitetet)があり、スウェーデン語を英語で学ぶコースもあります。その為、語学を苦手に感じる人には、まずは長期滞在として入国し、仕事を探しながら英語とスウェーデン語を学ぶという方法も考えられます。
スウェーデンの就職採用情報
外国人の平均年収や目安給料
2018年度のOECD統計でみると、スウェーデンの平均年間給与は44,196USD(470万円程度)です。高福祉国家のスウェーデンでは、収入の約半分が税金として徴収されるため額面だけで給与条件がよいとは判断できません。
職種間の差も激しく、給与が最も高いといわれる医師は月収50,600 SEK(年収に換算すると660万円程度)、次いで弁護士や研究者などが40,000SEK前後(年収540万円程度)、牧畜や塗装業といった家業や伝統的な仕事に従事する人の場合は20,000~30,000SEK(250~400万円程度)が相場です。
社会保障が手厚いため将来に対する不安は少ないかもしれませんが、自由に使えるお金が多いとはいえない懐事情です。
ビザの取得要件
日本人がスウェーデンで正規就労する場合、就労ビザが必要です。申請は移民庁(Migrationsverket)の公式HPより申請から受給まで全てオンラインで完了できます。
スウェーデンの特徴として、申請時に「雇用先と住所が確定していること」が要件であること、さらに雇用主が作成した契約書や雇用条件書上で、13,000SEK(約16万円)以上の月給、企業が健康保険・年金費用が負担するなどの証明が必要です。
申請費用は2,000SEK(約2万円)でクレジット決済が可能です。電子化されているとはいえ所要期間は3カ月程度。そのため、就職先への勤務可能開始日については余裕をもって伝え、トラブルを回避しましょう。
年金
スウェーデンで働く場合、年金受給資格を得られる場合があります。年金はEU/EEA域内(またはカナダの一部地域)からの就労者か否か、前者の場合は在住社会保険に3年以上加入することで年金受給資格を得られます。
しかし、2020年5月時点で日本とスウェーデン間の社会保障協定は署名済み未発行の状態のため、日本人が貰える年金は所得比例年金(Notional Defined Contribution)のみになります。
受給条件は現地採用でも日本からの赴任でも変わらず、年間18,781SEK(約21万円)以上の収入がある場合は対象となります。受給開始は65歳から(61歳からの繰り上げも可能)ですが、受給時に帰国していたとしても日本の年金受取額に影響はありません。
※参考:https://www.pensionsmyndigheten.se/
スウェーデンの労働時間と休暇
勤務時間/残業
スウェーデンはOECD加盟国の中でも労働時間が少ないグループに入ります。
どれぐらい少ないかというと、日本の被雇用者の年間労働時間平均は1,680時間。対してスウェーデンは1,474時間と約200時間もの差があります。この違いを生み出す要因としては、残業がないことと短時間労働制の採用があげられます。
日本では「仕事が終わらなければ残業して当然」とする暗黙の文化がまだ存在しますが、スウェーデンにはありません。加えて、2015年に一部企業で採用が始まった6時間労働制により、週30時間勤務を選択する労働者も増えていること。この2点が労働時間の少なさに影響しています。
ただし、他国と比較した際に生産性も高いかといえばそうでもないようです。
休日/有給休暇
スウェーデンで働く労働者には、年間5週間または25営業日の有給休暇を取得することが保障されています。これは、企業によって日数の違いははなく、法律(Semesterlagen)で権利が保護されています。
連続取得することも可能なので、ほとんどのワーカーは6月~8月の間に夏季休暇として1カ月程度の休みを取得し、都市を離れた郊外などで家族と過ごします。
この有給とは別に、体調不良時には有給(病欠: karensavdrag)を取得することができます。
休んだ初日の給与は全額カットされますが、病気が長期化した場合は2~14日までは休暇期間中の給与の80%が企業から、15日以降は企業ではなく社会保険局から日割りした給与の約80%が支給されます。
スウェーデンで働く方法4つ
現地採用として働く
現地採用とは、海外現地の日系企業や外資系企業、現地企業に直接雇用されることです。
求職者は働きたい国を自由に選び、現地スタッフとの交流が深まりやすいポジションに就くことができます。ただし、待遇は現地基準で決まるため、給与水準が低い国では見劣りすることがありますが、物価の違いを考慮すれば十分な額を得られます。また、キャリアは自分次第で決められます。
海外駐在員として働く
海外駐在とは、日本企業や外資系企業の日本法人に雇用され、海外拠点に赴任することです。
日本でキャリアを積んだ後に海外赴任が命じられることが一般的で、マネジメント業務を担うことが多いです。待遇は日本の雇用先の給与水準で決まり、海外赴任手当が支給されることが大半で、住居も会社が用意することが多いです。しかし、帰国時期や次の赴任国などは会社都合で決まるため、数年先のキャリアが見通しにくい状況があります。
インターンシップを利用する
日本語教育や文化交流を目的としたインターンだけでなく、数少ないですが英語を使用して業務を行えるインターンもあります。
中には、国際NGO(セーブザチルドレンや国際赤十字など)の現地支部に直接コンタクトしてインターンを獲得する人もいます。
現地のローカル企業の場合はスウェーデン語が必須です。インターンにはコネクションが求められることが多いので、ストックホルムの日本商工会の企業リストにインターンをさせてもらえないか打診してみるなど、つながりをたどってインターン先を探すことから始めるとよいでしょう。
カルチャー系であれば、iipなどの日系の海外インターンエージェントを介しての応募が簡単です。
ワーキングホリデーを利用する
2020年3月からワーキングホリデーの申請が可能になりました。
18歳以上31歳以下の日本人であれば現地で最大1年間、旅行費用相当額の範囲内で就労できます。スウェーデンは就労ビザ申請に非常に手間と時間がかかる国なので、こうした制度はぜひ活用したいところです。
年齢制限さえクリアできれば、
- 現地生活費用の15,000 SEK(約165,000円)の資金証明
- 帰国用チケット(または相当額の資金)を有すること
- 包括的医療保険に加入すること
といった基本項目に対応する準備を行えば、スウェーデン移民庁のサイトからオンライン申請が可能です。
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まとめ〜税制は助け合いを表わしている
ちなみに、消費税は25%ですが軽減税率が適用されます。食料品については12%、文化的価値の高い品目、書籍・新聞・美術館やスポーツ観戦チケットなどは6%。
所得税率は各自治体で定められ、市民税・県民税・埋葬料(共営墓地の管理費)で合計30~35%です。また、65歳以下の504,400SEK(550万円以上)の高収入者については国税が、収入額に応じて20~25%が課せられます。
スウェーデンは高福祉国家といわれますが、こうした働き盛りかつ収入が多い人から税金を多く徴収する仕組みが支えているのです。
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