皆さんにとってイギリスはどんなイメージの国ですか?
最近はイギリスのニュースが日本にもたくさん入ってきていますよね。例えば、去年6月にEUから離脱するかしないかの国民投票が行われたり、来月6月には解散総選挙が実施予定です。
今年3月には悲しい事に4名が死亡、20人以上が負傷する国会議事堂付近でのテロが起こりました。
また最近は母ダイアナ妃を失ったヘンリー王子がその時の苦しみを告白したりなど、身近に感じるロイヤルファミリーの話題もたくさんあります。
政治や事件のニュースが続いているイギリスですが、実はボランティアがとっても盛んな国なのです。例えば、内閣府NPOの寄付金の国際比較によると、日本が5,910億円のところ、イギリスは1兆812億円です(2007年)。
また、Institute for Volunteering Researchという慈善活動を調査する協会によると、イギリスの人口約6,500万人のうち41%の約2,600万人が2015-2016年に何かしらの形でボランティア活動に参加しています。
それでは早速、どのような感じなのか紹介していきましょう。
助け合いの国イギリス
なぜ、イギリスでは助け合いが盛んなのでしょうか?
これは「持たざる者に対する持つ者の責任」の精神からきています。「ノブレス・オブリージュ」と呼ばれており、貴族や裕福層の人などには身分に応じて果たすべき社会的責任と義務があるという道徳観です。
イギリスには約50万の慈善団体が存在していると言われており、そしてその対象も様々です。
例えば、
- 子供の権利の保護するため
- 貧困と不正を根絶するため
- 視覚障害者の支援
- ガン、心臓病や認知症他の患者への支援
- 動物保護
などなどです。
昨年、ウィリアム王子とヘンリー王子がメンタルヘルス慈善団体を立ち上げました。ダイアナ妃がなくなって20年、それを機に団体を設立、そしてヘンリー王子が母ダイアナ妃について自分の気持ちを告白したのでした。
そもそも、イギリスでは助け合いの精神は特別のものではありません。道を譲る、電車やバスで席を譲る、駅等の階段でバギーを押している人を見かけたらすぐにお手伝いを申し出る、などそこここで見かけます。
【よく読まれる人気記事】
ボランティアサイトDo-it
https://do-it.org(英語のみ)
イギリスには、ボランティア活動をしたい人とボランティアをしてくれる人を探している人・団体を繋ぐウェブサイト(登録無料)があります。それがDo-itです。
コンセプトは、
- Do-it for love
- Do-it for passion
- Do-it for pride
- Do-it for life
- Do-it for fun
- Do-it for change
- Do-it for good
- Do-it for friends
- Do-it for you
- Do-it for others
まずは、自宅のポストコード(日本でいう郵便番号のようなコード)を入力します。
そして次は、自宅でできるボランティアを探しているのか、自宅外の場合は自分が行ける範囲を0.5マイル以内(約0.80km)から50マイル以内(約80km)の中で選びます。
すると結果がいくつか出てきますので、そこから自分がしたいと思うボランティアを選び詳細を見ていきます。
どんな人がこのボランティアに向いているのか、どういった活動内容なのか、このボランティアをする事で得られるスキルが分かります。
そして最後に、自分が提供できる曜日や時間帯を選んで申し込みをする、というシステムです。
例えば、こんなボランティア活動があります。
- お年寄りのサポート(買い物や病院へ連れていったり、など)
- 慈善団体店舗でのサポート(レジや商品管理、など)
- 慈善団体の義援金集めのイベントお手伝い
- 小学校での本読みのお手伝い
- 心に問題を抱える学生達が集まる団体でのガーデニング
Do-itでは、現在、20万人の利用者、そして5万件のボランティア案件が掲載されています。
するかしないか悩んでないで、時間が少しでもあったら自分のできる範囲で行動してみよう!と思えるこのようなウェブサイト、一度始めてみれば世界が拡がるかもしれませんね。
コメディアンも大活躍 Red Nose Day
http://www.comicrelief.com/(英語のみ)
さて、チャリティに参加するのは企業や一般人だけではありません。イギリスではコメディアン達が大活躍です。
イギリス最大のチャリティイベントRed Nose Dayは、Comic Reliefという慈善団体が奇数年の3月、第2または第3金曜日に行っています。1988年、「笑いは最良の薬だ」という信念に基づいて、2人のコメディアンによって設立されました。
BBC(英国放送協会)ではコメディアンのショーも放映されますし、各地で赤い鼻をつけて寄付金集めが繰り広げられます。
チャリティ名にちなんで、赤色で面白い顔付きの鼻を購入する事ができます。この赤い鼻は毎年新しいデザインが販売(1つ1ポンド=約145円)され、この購入が寄付に繋がります。寄付金はイギリス国内やアフリカのために使われます。
2017年は73, 026, 234ポンド(約100億円以上)もの寄付金が集まりました。楽しみながら寄付ができるこの素晴らしいイベントは、すっかりイギリスに定着しています。
学校でもチャリティ活動
イギリスのボランティア精神は子供達にも根付いていて、年間を通して学校やPTA主催のイベントが開催されます。
例えば、小学校。イギリスのほとんどの小学校は制服がありますが、「Mufti Day」の日には私服で通学します。今日は自分の好きな私服で来ていいですよ、その代わり1ポンドを持ってきて寄付してくださいね、という風にです。
中学・高校になると、一定期間ボランティア活動をすると表彰されたり、また生徒達自身が慈善団体を選び義援金を集める活動をする機会もあります。
さらに、イギリスには「ギャップイヤー」という制度があります。高校を卒業してから大学に入る前の1〜2年間が休学期間と認められます。
これは社会的見聞を広めることが目的であり、その間に学生は国内や海外でボランティア活動をする人が多いのです。
ボランティア活動と関連してコミュニティ・サービスという言葉があります。市民がどんどんコミュニティに関係し自分達のコミュニティや生活をよくしていこうというアイデアです。
イギリスは異なる国籍や宗教を持つ人々が住んでいる国ですが、小さな頃からこのようにボランティア活動をして色々なコミュニティに参加する環境があります。
それらの活動を通して、助け合う精神や自分の社会生活においての責任を身につけていくのでしょう。
イギリスへボランティア留学
さて、イギリス国内のボランティアについてお話ししてきました。では、興味のある日本人の皆さんにはどのような機会があるのでしょうか?
一般の語学留学のように、「ボランティア留学」というものがあります。ヴィザが必要なため、イギリス内務省が認めているスポンサーの施設でなければいけません。
https://www.gov.uk/ (英語のみ)
ボランティアには様々なものがあり、英語に自信がある方はもちろん、無い方にもできるものがあります。ご自身で団体へ直接連絡をとるのも良いですし、エージェントを通すという方法もあります。
ボランティア活動は日本でも色々ありますが、ボランティアが盛んなイギリスで英語を使い、様々な国の人達と協力し合って得られる体験はまた違ったものになるでしょう。
まとめ
ここまでイギリスのボランティアについて紹介してきました。子供から大人まで、学校から企業・慈善団体、ロイヤルファミリーまでボランティアの機会がそこここにあるイギリス。
思い立ったらいくらでもできる事がありますし、ボランティアを受ける側も、ボランティアを受けるということを恥じなくてもよい環境があります。イギリス文化の素晴らしいものの代表だと言っても良いのではと思います!
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