料理人としての技術を海外で試してみたいと思ったことはありませんか。
天ぷら、焼き鳥、寿司などの和食を現地の人に振る舞ったり、フランス料理やイタリア料理などを本場で学んだりしながら海外で働くという貴重な経験を得ることは、非現実的ではありません。特に、料理人としてのスキルと経験がすでにあるなら、語学力が高くなくても海外での仕事は比較的見つけやすいです。
ここでは、料理人として海外就職を狙うために役立つ情報をまとめてお届けします。
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海外で需要が多い日本人料理人の職場は?
料理の分野で海外へ行く日本人には、西洋料理の料理人として腕を上げることを目的とする人が多いです。
しかし、海外で日本人の就職の需要が多いのは日本食レストランです。寿司職人としての求人もあります。
日本食レストランの市場は世界的に拡大しています。農林水産省の発表では、2019年の日本食レストランの数は2017年に比べて世界で30%増えてました。アジア、北米、ヨーロッパの順に店舗数が多く、増加率はアジア、アフリカ、オセアニアで特に高くなっています。
- 参考:農林水産省食料産業局 https://www.maff.go.jp/
海外で料理人として働くメリット・デメリット
メリット
日本料理に携わるなら、海外で働くことで逆に日本文化の良さに気づいたり、異文化の中で新しいアイデアを得たりできるメリットがあります。
また、西洋料理の料理人であれば、本場で腕を認められることで、帰国してから高く評価されるでしょう。
両者に共通しているのは語学力を磨けることと、国によっては料理人から永住権への可能性が開かれることです。
デメリット
日本料理は、その国でどんな日本食がブームになっているかによって求められる技術が変わります。昔は日本食といえば寿司を握ることでしたが、今はラーメンや焼き肉などその時々の流行に合う料理を提供する必要があります。
一方、西洋料理の本場で働くのであれば、アジア人ということで腕を認められるまでにかなり苦労する場合があります。たとえ日本で経験を積んでいたとしても、現地では皿洗いや後片付け、まかない料理から始めなければならず、重労働となる可能性があります。
海外で料理人として働くために必要なスキル
資格
調理の仕事をするために挙げられる資格に調理師免許がありますが、日本の調理師免許は日本の資格なので、海外で料理人として働く場合に必ずしも必要というわけではありません。
ただ、国によっては日本の調理師免許に該当する資格がない場合もあります。そんな時、日本の調理師免許を持っていることで、海外で料理人として働くために必要なビザを取得しやすくなる可能性があります。
また、日本食レストランなら調理師免許を持っていると採用に有利になることもあります。
経験
ワーキングホリデーなどを利用し、見習いとしてレストランなどで働くのであれば、未経験者でも仕事はあります。
しかし、正社員として料理人や寿司職人の仕事をする場合は、就労ビザの取得のため国によっては日本での職務経験が10年くらい必要です。取得に必要な経験年数は国によって異なります。
ビザ以外にも、日本での経験年数が長い方が有名なレストランに採用されやすかったり、待遇がよくなったりするなどのメリットが考えられるでしょう。
なお、アジアの国々では未経験者でも応募可能な求人が出ていることがあります。
語学力
要求される外国語力は働く環境によって異なります。中には語学力不問、日本語で勤務可能な日本食レストランや日本人経営のレストランもあります。
ただし、日本食レストランでもお店の経営も任される場合、またヘッドシェフとして他のスタッフの教育も行う場合は語学力が求められます。
また、西洋料理の修業に行くのなら、他のシェフからの指示を理解して自分の腕を認めてもらうためにも語学力は必要です。
海外で料理人として働く方法
現地採用社員になる
海外現地の外食企業やレストランなどの求人に応募し、現地採用されて働く方法が一つです。
求人は日本の転職エージェントなどでも見つけることができます。エージェントが間に入って連絡をしてくれたり、手続きを代行してくれたりします。
行きたい国が決まっているのなら、現地の日本人向け情報サイトなどにも求人が載っていることがあるので見てみましょう。
例えばオーストラリアでは、求人を出している日本食レストランの中にはビザのスポンサーになってくれるところもあります。ただし、ビザの手続きなどは個人でしなければならない場合もあります。
日本企業の駐在員になる
日本の外食企業が海外にある店舗の人材を募集しているので、そこに応募することもできます。調理担当としてだけではなく、海外店舗の店長として募集されている求人もあります。
勤務地があらかじめ海外の特定の場所になっている求人もあれば、入社後決定となっているものもあります。企業によっては、能力などに応じて勤務地が決められるところもあるので、特定の国を強く希望しているなら応募の際によく確認しておきましょう。
立場や店舗形態も多様
一口に料理人と言っても、その業務範囲や勤務先は様々です。
和食や西洋料理などを作る調理担当はもちろん、料理長のポジションに就くこともあるかもしれません。そうなれば、調理以外にもスタッフの指導やシフトの管理、食材の調達やコスト管理などもあわせて行う可能性があります。
また、独立した店舗やホテル内のレストランなど、職場もいろいろです。
海外での料理人の給与相場
日本人の料理人を募集しているウェブサイトを参考に、世界各エリアの給与相場をご紹介します(2021年7月確認時点)。
ただし、給与は料理人としての能力や経験によって大きく変わるため、求人には金額が示されていないこともあります。
東アジア
香港での料理人や寿司職人は年収が360万円から650万円くらいになります。料理長などのポジションに就くと年収680万円から900万円ほどです。能力や業務年数などによっては1000万円を超えるポジションもあります。
台湾や中国本土、マカオなどでは年収が200万円から400万円くらいの求人が多いです。しかし、レストランによっては600万円を超えるものもあります。また、給与に加えて住宅手当がつく場合もあります。
- 参考:Washokujob
東南アジア
インドネシアでは、マネジャーや料理長のレベルの年収が170万円から260万円ほどです。シンガポールやタイ、マレーシアでは役職のない料理人や寿司職人の年収が400万円から650万円くらい、シンガポールの料理長クラスでは年収900万円ほどになるものもあります。
職場によっては給与に加えて、社宅があったり住宅手当が出たりすることもあります。
- 参考:Washokujob:
北米
アメリカで焼き鳥やラーメン、その他の日本食の料理人や寿司職人として働いた場合、年収は少なくて500万円ほど、能力や経験に応じて700万円ほどです。これは働く地域によっても変わってきます。
料理長として働く場合や高級レストランであれば、年収800万円から高いと1000万円ほどの求人もあります。日本よりも料理人のランク分けがはっきりしているので、ランクが上がれば待遇もよくなります。
またカナダでは、日本食の料理人の年収は460万円くらいから経験などに応じて上がっていきます。
ヨーロッパ
国によって給与は変わり、年収は300万円から500万円ほどです。通常の調理人か、店長候補か、料理長かなどポジションによっても異なります。
個人経営のレストランではなく、高級ホテル内にある日本食レストランなどは給与が高い傾向にあります。レストラン以外では機内食を調理する仕事などもあり、年収は800万円ほどです。
海外での料理人の仕事は転職エージェント・求人サイトで探そう
希望の求人を見つけるには、やはりインターネットを利用するのが近道です。
特に、日本の転職エージェントでは求人情報を得られるだけでなく、海外で就職する上での一般的な相談から、応募書類の書き方のアドバイスやビザ取得のサポートまで、日本語で行ってもらえます。
料理人専門エージェント・求人サイト
海外で料理人として就職したいのであれば、WashokujobやFindChef-Agentといった専門の転職エージェント、グルメキャリーなどの専門求人サイトがあります。いずれも日本語対応です。
これらで募集が出ている求人は、主に和食の料理人の経験者向けです。
- Washokujob:https://washokujob.com/
- FindChef-Agent:https://www.findchef-agent.jp/
- グルメキャリー:https://www.gourmetcaree.jp/kaigai/
一般大手転職エージェント
海外展開している日本の外食チェーン店の人材募集は大手の転職エージェントに出ており、これらの中にはあまり職務経験が問われないものもあります。
以下に主なエージェントとその特徴をご紹介します。
doda(デューダ)
海外で料理人や寿司職人として働く求人を取り扱っています。料理人だけではなく、マネジャー職や店舗の広告活動に関わる仕事もあります。
勤務地はマニラ(フィリピン)やインドネシアなどです。現地の企業が求人を出している場合もあれば、日本の企業が海外で働く人材を募集しているケースもあります。
これらは一般に公開されている求人ですが、dodaは登録者に対して非公開求人の案内を行っています。また、求職者の技能や条件に合う求人元からスカウトされる可能性もあるので、選択の幅が広がるという特徴があります。
マイナビ転職グローバル
マイナビ転職とマイナビエージェントの両方から海外勤務の求人を効率よく探すことができます。実際に寿司職人としてシンガポールで就職した人がいるなど実績もあります。
和食や焼き鳥の調理担当などの求人があり、店長や料理長としてのポジションも募集されています。勤務地はアメリカ本土やハワイ、ベトナムなどさまざまです。日本食レストランだけでなく西洋料理の店での求人もあります。
現地発の日本語求職サービス
オーストラリア
現地の飲食店に特化して日本人の就職をサポートしてくれるHospitality Connectionというエージェントがあります。
また、シドニーであれば求人情報が掲載されたチアーズというサイトも見てみましょう。こちらは主にワーキングホリデービザなどで現地に滞在している人向けの求人です。
カナダ
人材カナダというサイトに料理人などの求人が多く掲載されています。求人情報だけでなく、英語で履歴書を書くための機能もあります。
Linkedin(リンクトイン)も使える
転職エージェントや求人サイトの利用以外にも、仕事を見つける方法はあります。
例えば、Linkedin(リンクトイン)はビジネスシーンに特化したSNSです。経歴を公開して人脈を広げ、世界中からチャンスを探せます。
海外で料理人として働く実感は?経験者の声
1. ニューヨーク
日本で寿司職人として働いた後、現在ニューヨークの寿司店に勤務する筆者の友人の男性は「アメリカ人はおいしいと思った時の称賛のジェスチャーが大きく、寿司を提供するのが楽しい」と感じています。
一方で、ニューヨークにある一流寿司店でも日本に比べると寿司のレベルが低いので、その称賛に甘んじてしまうと日本で働けなくなる不安もあると言っていました。
2. ポルトガル
ポルトガルの日本食レストランに3年勤務しているこちらも友人の男性は、日本にいる時よりも自分の意見をはっきりと言うようにしているそうです。なぜなら、日本ではなんとなく周りが理解してくれることでも、海外では伝わりにくいから。
日本の考え方を押し付けるのではなく、ポルトガルの文化も尊重して仕事をしているようです。
海外で働く料理人の一日のスケジュール例
日本の寿司チェーン店で働いた後、オーストラリアにある日本食レストランで料理人として勤務する男性の例です。
朝8時にお店へ行き、11時の開店までに魚をさばくなどの準備をします。オープン後はずっと寿司を握り続け、午後2時にランチタイムが終了。昼食を食べ、午後5時に夜の営業が始まるまで準備をします。
営業が再開され、注文に合わせて調理。ロールずしを作ったり、サーモンを使用したメニューを作ったりすることが多いです。
閉店は夜11時。後片付けを終えて店を出るのは午後11時半くらいになります。
海外で料理人(日本食)として働くなら備えておきたいもの
臨機応変さ
特に和食の場合は、臨機応変に対応できる姿勢が求められます。現地で手に入る材料で日本食を作ったり、お店の方針に従って現地の人が好む料理を作ったりすることもあるでしょう。
例えば寿司でもアボカド、ツナ、クリームチーズ、サーモンなど日本では主流でない食材を使用する機会が多くなります。現地の文化をうまく取り入れる柔軟性が必要です。
日本についての知識
日本食レストランで働いていると日本の文化について尋ねられる頻度が高いです。
お客さんと上手にコミュニケーションを取れる人は重宝されるので、日本文化について答えられるようにしておくといいでしょう。
最後に~資金の準備もお忘れなく
海外で就職先が見つかったとしても料理人としての修業の形なら、すぐにまとまった給与が手に入るとは限りません。また、仕事内容によっては語学力を磨くために現地の語学学校に通う可能性もあります。
つまり、ある程度日本で貯金をしておくことが必要です。
海外の料理人の求人を扱うエージェントには、ある国で就職したものの、給与が期日までにきちんと支払われなかったという相談も寄せられています。
どのくらいの資金を準備しておくべきかは状況によって異なるので、しっかり計画を立てましょう。
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