※首都ビエンチャンに位置する「迎賓館(旧大統領官邸)」はラオスのシンボルの1つです。
ラオスは日本人にとって存在感の薄い国のようで、「タイの地方都市だと思っていた」という話をしばしば耳にします。
タイ、ベトナムなどの周辺諸国に比べると工業化が進まず、東南アジアをラウンドするバックパッカーや世界遺産巡りの短期旅行者が立ち寄る程度で、お世辞にも観光立国と呼べるほどではありません。
しかし、東南アジア諸国から姿を消しつつある「ユルい空気感」が色濃く残され、訪れた旅行者からは「ラオス結構良いかも!」という評価を得ています。
2000年代初頭からラオスに魅了され、現在移住10年目となる私の目に写る「ラオスの豆知識」を紹介します。
ユル~く流れるラオスタイム、合言葉は「チャック・ノーイ(もうちょっと)」
※ラオス人は大の宴会好き!宴会の誘いにはチャック・ノーイとは答えません!
多くの旅行者はラオスに足を踏み入れた途端に、ガックリとスピードを落とす時間の流れに驚くようです。時間に対するラオス人の感覚は日本人とはかけ離れていて、彼らの体内時計は非常にゆっくりと時を刻みます。
待ち合わせの約束の時間が過ぎてから出かける準備を始めることなどは当たり前で、結婚式なども招待状に明記されてる開始時間から2時間遅れで始まれば早い方です。
旅行者を運ぶ交通機関もユル~く運航?焦っても仕方ない、ゆっくり行きましょう!
※出発時間を過ぎているのですが、ドライバーが登場してくれません。
※というより、乗客のピックアップにまだまだ時間がかかりますね、こりゃ。
近年、旅行者を運ぶツーリストバスや列車などの旅客車両は、ルーズな東南アジアで運航されていても比較的時間に正確になってきたと言えます。
かつて、ラオスの首都ビエンチャン直近の国境の町ノンカイとバンコクを結ぶタイ国営鉄道東北線などは、4~6時間遅れが当たり前で「運航しているだけでも上出来!」という感じでしたが、近年は驚くほど遅延が少なくなってきています。
ラオス国内の主な公共交通機関はバスや飛行機ですが、特にバスは正確に運行されることはまずないので、時間どおりに出発するつもりの旅行者とのトラブルが絶えません。
運航している側が「2~3時間の遅れなんか問題ないでしょ」という気持ちで運航していますので、ドンドン予定はズレ込んでいきます。飛行機のフライトなどに絡む移動は、前日に行うのがおすすめです。
子供が運転?ラオスのユル~い法律の実態とは?
※バイクonバイク!大胆な運送方法ですね!
※よく見ると運転しているバイクにナンバープレートが見当たりませんね。
しばしば「ラオスには細かい法律が存在しない!」と豪語する旅行者や在住者に遭遇しますが、間違いです。ラオスも法律が存在する法治国家のひとつです。
ただ、法律は存在してもラオス人の生活に与える影響は極めて少なく「笛吹けど踊らず」の状態だともいえるので、無法国家に見えるのも致し方ない側面があります。
旅行者の皆さん!ラオスにも各種法律は存在しますから注意して下さい!
※前方の白い車にはナンバープレートが付いていません。新車なんでしょうね。
旅行者の目にラオスが無法国家と映ってしまう原因のひとつに「道路交通法が遵守されていない点」があるでしょう。
ラオスにも運転免許制度は存在しますし、車検制度やオートバイ乗車時のヘルメットの着用義務などを定めた法律は存在します。
しかし実際に町中では小学校高学年に見える子供たちが器用にオートバイを操っていますし、ヘルメットの着用率も高くありません。
オートバイや車にナンバーが付いていない状態で普通に公道を走っているのを見ると「ラオスには法律が無い!」と感じるかも知れませんね。
ですがここで取り上げた行為は全て違法行為ですから取締りの対象になります。ラオス人が平気でやっているからといって外国人旅行者が真似をすると、サックリ捕まって結構な額の罰金(賄賂)を請求されますから気を付けて下さい。
海外メディアがラオスを訪れて撮影を行う場合などにノーヘルや子供の運転、オートバイの3人乗りなどラオスの日常風景がカメラに映りこむと撮影を止められ、写った画像の処分が求められます。
対外的にはラオス国内のユル~イ法施行の実態を知られたくないというのが政府の本音なのでしょう。
違法薬物の売買や所持、使用も摘発の対象となりますので、絶対にやめてください。捕まってから「助けてください!」と泣き付いてくる旅行者がいますが、私はこの手の話には一切関わらないことにしていますので毎回スルーしています。
確かにかつてラオスはゴールデントライアングルの一端を担っていた国ではありますが、それは過去の話で現在は無法地帯ではなくなっています。
「ケシ畑を見てみたいのですが、何とかなりませんか?」という相談が時々あるのも事実です。もし仮に国内法で違法行為であり国際的にも非難されるケシの栽培を行っている場所があるとすれば、気楽に入れる場所ではないことは間違いないでしょう。
例え入ることができたとしても、その場所から出ることはさらに難しいのではないでしょうか?
旅先で武勇伝を欲する旅行者は常に一定数存在しますが、海外での軽はずみな行動は命の危険を伴うことを忘れないで下さい。
実はラオスには日本には存在しない法律が存在する!
※ラオスでも司法警察はしっかりと機能しています。
国によって独自の様々な法律が存在します。
タイ国内で国王の肖像画を指差すことや、08:00と18:00に公共の場所で流される「国王賛歌」を耳にしても直立不動をとらないなど、王室に敬意を払わない場合は外国人でも不敬罪が適用されることは有名です。
ラオスにはその他に、次に挙げるような独自の法律が存在します。
橋や軍事施設は撮影禁止
軍事施設はなんとなく理解できると思いますが、ラオス国内に存在する橋も軍事施設として捉えられているために原則撮影禁止です。現状では摘発されることはまず無いと思いますが、万一摘発された場合は言い訳のしようがありません。
5人以上のグループ旅行は許可制
5人以上でラオス国内を旅行する場合は、外国人管理局の役人の同行や、訪問先を管轄する警察署への事前許可申請が必要となります。
これも現状ではグループツアーなどに適応される程度ですが、法が廃止されてはいないので念頭に置いておくと良いでしょう。
同棲罪
ラオスでは未婚の男女が一夜を共にすることは、違法行為となり同棲罪が適用されます。
旅先の開放感から娼婦を買ってしまう日本人男性をよく見かけますが、摘発され留置されたケースもありますので気を付けて下さい。売買春行為自体が法律で禁止されています。
政府批判は禁止
かつて書類不備で私が営業停止になった際に「書類不備があり、警察の指導により当分休業します」と書いた紙を店のシャッターに張り出したところ、警察が登場し「警察を批判した内容は政府批判になるから気をつけろ!」と張り紙が没収されました。
張り紙の写真を友人の政府関係者に見せたところ「あー、これはグレーゾーンだけど現場がそう感じるのであればダメかな」と言われた経験があります。「警察の指導で休業」の部分に問題があったようです。
ラオスはまだ戒厳令下にある?
ラオスでは内戦時代に出された戒厳令が正式には解除されていないそうです。このため22:00時以降の外出は原則禁止となっています。政府直轄地である首都ビエンチャンの飲食店などの閉店時間が異常に早いのは、この影響だと考えられます。
一部の観光地では深夜でも外国人観光客が大騒ぎしていますが、戒厳令が正式に解除されていないために、政府の都合でいつでも摘発できる状態だと考えた方が良いでしょう。
ラオスでは自国のことを「ラオス」とは呼ばない?
※2018年はラオス観光年です!ぜひラオスに遊びに来てくださいね!
日本では自国の国号の読みが「にほん」であったり「にっぽん」であったりします。NHKでは正式な国号として「にっぽん」を採用しているようですが、英語ではJapanですし、中国や韓国では日本(りぃべん・いるぼん)と呼びます。
ラオスのことを日本人はラオスと呼びますし、英語表記の場合もLaosでやはりラオスと呼んでいます。
なぜラオスの国号がラオスなのか?
※ラオスでは、水道施設が普及する前は素焼きの壺に雨水をためて使っていました。この壺は大型で高さが1.8メートルほどあります。
かつて欧米列強が植民地政策をとり、東南アジア諸国の多くが支配下に置かれていました。中でもフランスはフランス領インドシナとして現在のラオス、カンボジア、ベトナムの3国を支配していたことで知られています。
王朝時代のラオスはルアンパバン王朝、ビエンチャン王朝、チャンパサック王朝3つの小国で成り立っていました。
ラオ族と言う民族が圧倒的多数を占めていたことから、これを統治するためにフランスがラオ族の複数の国が存在する場所として「Laos」と呼び始めたのが現在の国号の起源だと言われています。
ラオス人にとってラオスの国土は例え3つの王朝が存在していたとしても、同じ民族が治める場所ですから複数形の「s」は必要ないと考えるようです。
ラオスの国号を「パテート・ラオ(国家・ラオ)」や「ラオ」と呼び、ラオス人のことを「コン・ラオ(人・ラオ)」、言葉は「パサ・ラオ(言葉・ラオ)」と表現します。
ラオス人との関係を深めるためには食事を共にしよう!
※旅行者に人気の高いラオスフードのセット、竹籠に入っているのは日本風に言うと赤飯ですね。
※友人のラオス人宅の夕食、左に見えるのはサーモンの刺身(ラオス人やタイ人はサーモン大好きです)
日本でも「同じ釜の飯を食った仲間」は特別な存在ですが、ラオス人は一緒に食事をすることを非常に重要視します。
宿泊先のゲストハウスが家族経営である場合は、家族の食事に混ぜてもらうことができると、宿を運営している家族との距離が急速に近くなります。
宿を経営しているラオス人であればある程度の語学力も期待できるので、お互いの文化について語り合う文化交流ができるのは魅力的ではないでしょうか?
「キン・カオ!(食べる・飯)ご飯食べよう!」と言われた場合は?
※仏教行事には欠かすことができない米麺「カオプン」のスープを子供たちが配ります。
※カオプンの具には時計回りにキャベツ、バナナの花、ドジョウインゲン、タケノコが用いられます。
※中心に見えるのが米麺のカオプンです。見た目ほど辛くはないのでお試しあれ!
中国人が挨拶代わりに「吃饭了吗?(チィ・ファン・ラ・マ:ご飯食べた?)」と声をかけることはよく知られていますが、私の住むラオスの町では「キン・カオ・ラ・ワ?(ご飯食べた?の非常にくだけた言い回しです。)」と親しい人間に声をかけます。
そして「キン・カオ!」と盛んに声をかけられますが、「コップ・チャイ・スン・セーップ(ありがとう、美味しく召し上がれ)」と返すのがマナーとなっています。
タイ語やラオ語を覚えたての旅行者は「食事に誘われた!」と浮き足立つようですが、まずは「ありがとう、美味しく召し上がれ」と返して下さい。
それでも再三誘われた場合は社交辞令ではなく食事を共有しようと考えている証拠ですから、その場合はありがたくご相伴に預かれば良いでしょう。
このときに注意したいのが、食事をタカルのではなく自分でもおかずなどを買ってきて、彼らの食卓と共有することがポイントだということです。
バックパッカーを相手に商売をしているラオス人は、旅行者を食事に誘って自分たちの分まで全部食べられてしまった経験を少なからずしています。
だからこそ家族の食卓にプラスできる何かを提供すれば「この旅行者は他の旅行者とは違う」と思ってもらえます。
提供するおかずを購入する場所が判らなければ、ビールやデザートのお菓子でも大丈夫です。振舞われたらお返しをする気持ちを忘れないことが重要です。
日本語を流暢に操るラオス人が意外と多く存在する
※現在でもラオスには日本からの支援が存在します。ラオス人の生活向上のために日本の技術は欠かせない存在です。
一般的にはあまり知られていませんが、ラオスと日本は意外と密接な関係を持っています。
日本の海外支援の代表的なものに、海外青年協力隊などの活動で知られるJICAがありますが、JICAが発足し最初の支援国となったのがラオスです。
またラオスの電力供給を支えるナムグムダムのダムサイト開発や、タイ・ノンカイとラオスの首都ビエンチャン郊外を結ぶラオス・タイ友好橋の基本計画を、日本からの支援事業として挙げることもできます。
ビエンチャン市内の上水道敷設や浄水場管理、ビエンチャン国際空港の管理など、ラオスのインフラ整備は日本の支援無しでは実現しなかったと言っても過言ではありません。
日本語を話すラオス人の正体とは?
※ラオス国旗と日本国旗が並んでいるのが日本からの支援の目印です。
長い間ラオスを支援し続けた結果、日本はラオス人にとって憧れの先進国となったようです。穏やかなラオス人の気質と日本人の気質の相性が良かったことも影響して、多くの留学生が日本を目指します。
近年はオーストラリアや中国、韓国を留学先に選ぶラオス人も増加傾向にあるものの、日本が人気の留学先であることに変わりはないと言えるでしょう。
また現在のラオス政府が樹立するまでの内戦時代に、亡命先に日本を選んだラオス人も少なくないようです。
亡命ラオス人の2世や3世の中には祖国に戻ることを希望し、ラオスへの移住が始まっています。2世や3世の彼らは日本で生まれ育っていますから、ネイティブな日本語を話します。
留学経験者や帰国した亡命ラオス人の2世や3世の彼らは、比較的ラオス社会でもステイタスが高い傾向にあります。その特徴として日本人旅行者を見つけても、彼らから話しかけることは非常に少ないと思います。
一方で積極的に日本人旅行者に話しかける、日本語を操るラオス人も存在します。彼らは日本語教室や独学で日本語を身に付けたラオス人です。
中には「研修生として5年近く日本に住んだことがある」というラオス人も存在しますが、研修生制度で5年間日本に滞在し続けるのは現実的ではないと考えられます。研修先を逃げ出して不法滞在、不法就労を続けていたのではないかと推測されます。
日本国内にはラオス人コミュニティーがいくつか存在し、研修先を逃げ出したラオス人を受け入れ、仕事を斡旋しているという話を聞いたことがあります。
製造工場など、高い日本語力がなくても就業できる単純労働で金を稼ぎ、帰国すれば豪邸が建てられた時代もあったようです。
日本人旅行者に積極的に接触してくるラオス人の日本語のレベルは、残念ながら留学経験者などとは比較にならないほど幼稚なのが実情です。トラブルに巻き込まれる可能性も高くなることから、あまり深入りしないことをおすすめします。
まとめ
近年少しずつですがメディアに取り上げられる機会が増え、日本国内でラオスの知名度は少しずつですが確実に上がってきているようです。
東南アジア唯一の内陸国で、長い間農耕と狩猟で生活を営んできたラオス人たちですが、徐々に経済成長を始めたことでグローバリズムの波に巻き込まれようとしています。
文化や生活習慣の均一化が行われ、ラオスの豆知識が途絶える前に1度ラオスに足を運んで、実際にラオスを体験してみてはいかがでしょうか?
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