ニューヨーク・タイムズ紙で「行きたい国No.1」に選ばれたラオス。
タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、中国と多くの国に囲まれた東南アジア唯一の内陸国です。手付かずの自然が多く、穏やかな人々が暮らすラオスへ移住したい人のために、知っておきたいことをご紹介します。
ラオス移住の概要
外務省によれば、2017年の時点でラオスに在留する日本人の数は863人。2016年より51人増えています。
ラオスは、世界で53番目に日本人が多く住んでいる国。
世界全体では約135万人の日本人が海外に住んでいて、1位はアメリカで約42万6,000人、2位は中国で約12万4,000人、3位はオーストラリアで約9万7,000人です。
ラオスの在留邦人863人という数字は、同じ東南アジアであるタイの72,754人、シンガポールの36,423人、マレーシアの24,411人などと比べるてもかなり少ないです。
ASEANの中では、ブルネイの170人に続いて下から2番目の数字です。
ラオス移住のメリット
実際にラオスに住んでみて感じる、ラオス移住のメリットはこちら。
- 物価が安い
- ラオスの人々は人柄が良い
- 時差が少ない
- 時間がのんびり流れる
ローカル店では1食200円程度で食事ができるラオス。輸入品を避け、国内の農作物で自炊すればかなり低く食費を抑えることができます。人柄が良いのも暮らしていく上で魅力的ですよね。
また、日本との時差は2時間なので、日本と関係する仕事をする場合もそれほど支障にはなりませんし、日本にいる家族や友達とのやりとりも難しくありません。
デメリット
ラオス人は、
- 嘘をつく
- 謝らない
- 接客態度が日本と全然違う
などの文化の違いが挙げられます。これは理解したり、受け入れたり、慣れたりすることで少しずつ気にならなくなるでしょう。
遊ぶところがないというデメリットもありますが、自然やのんびりした生活が好きな人にとってはむしろ好都合だったりします。
都会の雰囲気が好きな人は、タイ、ベトナムなどに定期的に遊びに行くことでバランスをとっています。
ラオス移住の条件
ラオスに移住するなら、長期・短期にかかわらずビザが必要です。
日本のパスポート所持者に対しては「15日間以内のビザなし滞在」が認められています。
ただし隣国との行き来をする「ビザラン」に関してはタイが陸路越境を年間2回までと規制しているので、何度でもビザなしで出入国できるのは現在は中国のみです。
ラオス移住に必要なビザ
ラオス移住のためには、ビザが必要です。
ラオス移住のための主なビザの種類は以下の通りです。
- 観光ビザ
- 就学ビザ
- 就労ビザ
- 結婚ビザ
外国人が働いて収入を得るためには、「ビジネスビザ(就労ビザ)」「ワークパーミット(労働許可証)」「ステイパーミット(滞在許可証)」の3つが必要です。
就労ビザ
就労ビザはラオスに入国する時に「LA-B2」という種類のビザを取得し、首都ビエンチャンの外務省窓口にパスポート、ワークパーミット、ステイパーミットの3点を提出しビジネスビザに切り替えます。
ワークパーミット
ワークパーミットは申請者の勤務地を管轄とする労働省の出張所で申請手続きと発行をします。
ステイパーミット
ステイパーミットは首都ビエンチャンの外国人管理局で申請手続きと発行をします。ワークパーミット→ステイパーミット→ビジネスビザへの切り替え、の順に進めましょう。
どの書類も誤植があると後々トラブルになる可能性があるので、受け取りの際に係員に読み上げてもらう、ラオス語の読める人を連れて行くなどして、チェックを怠らないようにすることが大切です。
ビザの情報は予告なく変更される場合がありますので、取得の際は大使館への確認をお忘れなく。
ラオス移住の費用
- 下見をする費用
- 本移動の航空券
- 家を探すための、仮住まいの費用
- 住居契約費用
- 日本から荷物を送る費用
- 海外への引っ越しサービス費用
- 電化製品や家具の購入費用
- 生活用品等の費用
- 車の購入費用
- ビザ申請手続の代行費用
ラオスへ移住する場合、上記のような費用が見込まれます。
下見をしない人、引っ越しサービスは利用しない人、家具は部屋に備えつけのものを使用する人、車を購入しない人、ビザの取得は勤め先の企業で行ってくれる人など様々かと思いますが、参考にしてください!
ラオス移住までにしておくこと
お金・医療関連
- 移住費用や、初任給が入るまでの生活費を貯金する
- 日本で海外キャッシングができるクレジットカードを作っておく
- 歯の治療を済ませておく
- 予防接種を行う
- 英文予防接種証明書を発行してもらっておく
- 健康診断をして、何か見つかれば病歴や紹介状を英文で書いてもらっておく
- 自分にあった薬を日本で手に入れておく
手続き関連
- ビザ申請
- ビザ申請のための必要書類を揃える(英文の卒業証明書など)
- 海外転出届を役所に提出する
- 国民年金の手続き(将来のために支払いを続けたい場合は申請をする)
- マイナンバーを市町村へ返納する
- 国民健康保険証を返却する
- 住民税を支払う
- 確定申告の納税管理人(代理人)を届出をする
- 現地の社会保険証をもらえるまでの、海外旅行保険に加入する
- 運転免許を更新する
- 国際免許を取得する
- 旅行保険、パスポート、ビザなどのコピーをとっておく
事前学習
- 現地の法律やマナー、タブー、歴史、政治経済について知っておく
- 現地語を少しでも勉強する
渡航するまでにしておくべきことは、主に上記の通り。人によってやるべきことは異なりますので、近くにラオス移住者がいれば聞いてみましょう!
就職が決まっている場合は、同じ会社の人に確認するのが確実です。
ラオス移住後
ここからは、ラオスに移住した後のことについて、どんな仕事があるのか、お給料はどのくらいなのか、生活費はどうなるのか、日本の年金や保険はどうなるのか……気になるところを徹底解説します!
ラオス移住後の仕事
以前は、ラオスで働く日本人といえば自営業、政府関係、NGOやNPO関係の人が多く、会社員はほんの一握りでした。
しかし昨今は日本企業の進出が始まり、レストランマネージャー、寿司職人、不動産業の営業職、旅行会社のグランドオペレーター、縫製工場の工場長補佐などの募集が見られるようになりました。
給与相場は、
- $600~(条件や能力により昇給あり)
- $700~(語学力や能力により昇給あり)
- $1,200(経験者のみ)
- $1,200(ビジネス英語必須)
となかなか厳しい状況ですが、ラオスの物価が安いため、生活するには困りません。
良い条件の求人は公になる前にコネで決まることが多いので、ラオスでの就職を希望する人は現地に行ったり、インターネットで交流するなどして先にコネを作るのも手です。
ラオス移住後の生活費
ラオスで生活する場合、生活費はいくらくらいかかるのでしょうか。生活スタイルや住居によっても生活費は変わりますが、ここでは夫婦二人暮らしの例を見てみます。
- 住居費:200ドル(ファミリータイプのアパート・エアコン付き)
- 食費:100〜200ドル以上(飲み物代別)
- 電気代:205kwh:14.6ドル
- 水道代:7立米:3.3ドル
- 通信費:20ドル
- その他被服費、理美容費、交際費、交通費
などがかかります。
ラオス移住後の年金や保険制度について
ラオスに移住したら、日本で払っていた年金や保険はどうなるのでしょうか。
保険
まず、日本で海外転出届を役所に提出して移住してきた場合、健康保険は保険証を返納してきたはずですので、それ以上払う必要はありません。
その代わり、就労先の保険に加入したり、自分で保険をかけるなどして、もしもの場合に備える必要があります。
年金
年金に関しては、日本の年金は住民票を抜いて海外転出届けを役所に提出し、移住した場合は年金を納める義務はなくなりますが、任意で加入し続けることもできます。
詳しくは、日本年金機構のHPを確認しましょう。
ラオスの地域別移住
ラオスで日本人向けの求人が多いのはビエンチャン。自然と、ラオスに住む日本人もビエンチャンに集中します。ビエンチャンにはどのような特徴があり、どんな人にオススメなのでしょうか。
ビエンチャン
ラオスの首都であり最大の都市、ビエンチャン。首都ですが、百貨店も大型免税店もありません。高層ビル街もありませんし、スターバックスもありません。
全体的に低層の建物が多く、首都ではありますが、のんびりとした街並みです。
所々に、フランス統治時代の名残を感じさせる建物が残り、パリの凱旋門をモデルに作れられた大きな門もあります。
最近は大きなスーパーなどもでき、生活が便利になってきました。
ラオス移住で失敗を避けるために
実際に住んでみると、情報として聞いていたこと・最初に感じたこととは違うな、という点が出てくるものです。失敗を避けるために事前に知っておきたいことを紹介します。
- 停電や断水がよく起こる
- エアコンが強すぎる
- 音楽のボリュームが大きすぎる
- ものに対する所有権の意識が異なる
- 「何をおいても助け合う」ハク・ペン・カンの関係に注意
停電や断水、エアコンが効きすぎるなどの問題は途上国ではありがちです。
借りたものでも手にした瞬間に自分のものと認識するという所有権の意識や、ハク・ペン・カンと呼ばれる関係は、当事者同士に経済格差がある場合お金をくれという意味合いがある、ということなどはあらかじめ知っておいた方がいいでしょう。
ラオス移住に関する本
ラオス移住に興味のある人は、インターネットで情報を探すだけでなく、本を読んでみるのもオススメです。たくさんの知識にふれて、移住のイメージを描いていきましょう!
ラオスの基礎知識 (アジアの基礎知識)/山田紀彦 (著)・めこん・2018年
JETROの研究員であり、ラオス研究の第一人者である山田紀彦がまとめた、ラオスの全体像がつかめる初めての本。
特に政治・経済は最新のデータが豊富に紹介されています。民族、宗教、文化、外交関係、社会などにも多くのページを割いており、ラオスを知りたい人がまず手に取りたい一冊です。
まとめ
ラオスでの移住生活が具体的にイメージできたでしょうか? 東南アジアの桃源郷とも呼ばれ、のんびりした時間の流れるラオス。記事の内容を参考に、ラオスでの刺激的な移住生活を最高のものにしてください!