スイスで国際結婚、プロポーズを受けてルンルン気分はほんのつかの間です。あれやこれやと必要なことを考え始めたら、心配でマリッジブルーになったり。
日本人同士で国内で結婚する場合でもそうですから、外国人と外国で国際結婚となったら幸せよりも心配が大きくなって当然だと思います。
とくにスイスでは州ごとに滞在許可申請の方法が異なります。
そこで今回はスイスでの国際結婚の前に必要な滞在許可の申請についてご紹介します。
グーグルも知らない、スイスの滞在許可申請システム
結婚が決まったら、まずは滞在許可の申請が必要です。
以前はパスポート(観光ビザ)で入国し、滞在許可の申請なしに入籍することができました。
しかし最近のスイスでは、就労目的の偽装結婚を防ぐ為、まず滞在許可の取得が必要になることがあります。(後述しますが、州や自治体により異なります)
とは言っても、どこにどうすればいいの?教えてグーグル先生!
「スイス 婚約 ビザ」で検索したはいいものの、出てくる検索結果はアメリカの婚約者ビザ申請の事ばかり。肝心のスイスはイマイチこれといった正解が出てきません。
しかも、こっちの人がこう言ったと思えば、あっちの人は別の事を言っていたり……。
州ごとに違う滞在許可の申請
スイスの滞在許可関係は26ある各州、さらに自治体ごとに管轄が違い、それによって手続きの順序や必要書類などが変わってきます。
そんな背景から、在日スイス大使館経由での事前申告は受け付けていない状態で、現地スイスのゲマインデと呼ばれる、居住地の役所で申請する必要があります。
滞在許可の目的
スイスでは公式に「婚約者ビザ」という名目では滞在許可は出していません。そのことが事態をさらにややこしくしているのです。
少しわかりにくいかもしれませんが、例えば結婚することが決まっているならば「結婚準備をするために滞在したい」という事を申告します。
それに対する許可を決定するのは州の入国管理局で、「婚約者と結婚準備のため」の有効期間が半年の滞在許可であったり、「婚約者と生活を共にするため」の有効期間1年(婚約関係が続く以上は更新可能)のものであったりと、どんな許可が出るかは許可されるまでお楽しみと。
結婚準備のために申請したら、普通に生活・就労、そして更新も可能な滞在許可をもらってしまって、急いで結婚する必要がなくなったという人もいます。
そして本来の目的通り「婚約者と結婚準備のため」という滞在許可が発行された場合、有効期限内に婚約者と婚姻を成立させる必要があります。
滞在許可の申請に必要書類は?
さて、申請のために役所(ゲマインデ)に出向きます。その際の手続きや必要な書類はその州によって違いますが、一般的な一例をご紹介します。
滞在許可の申請をしたい旨を伝えると、窓口の職員が必要事項を質問し記入していきます。(州によっては申請用紙を自分で記入するところも)
申請に必要な書類は州によって違いますが、とりあえず以下の物をもっていきましょう。
- 有効なパスポート
- 写真
- 銀行の口座残高証明書※スイスの口座がなければ日本の口座の物を。翻訳して発行してもらえます。
- 健康保険の加入証明書
- 滞在目的を手紙形式で文章にしたもの
健康保険の加入証明書とは?
スイスでは全国民そして長期滞在者に健康保険の加入義務があります。滞在許可の申請には健康保険加入が条件になります。
しかし、健康保険の加入に滞在許可証の提示が必要という矛盾がありますので、保険会社に事情を話して見積もりを出してもらいそれを添付するようにしましょう。
滞在目的を手紙形式で文章にしたものとは?
ここスイスにおいて手紙は、求人に応募する際も応募の動機を一枚の立派な手紙に仕立てて履歴書に添付しなければいけない程、重要なツールです。
特別なフォーマットはありませんが、署名・日付・場所の明記が必要です。パートナーにも連名で署名してもらいましょう。
申請用紙に記入する内容
- 一般的な個人情報(名前、生年月日等)の他
- 両親の名前(母親に至っては旧姓まで聞かれます。)
- 滞在の目的
- 犯罪経歴の有無
- 宗教の有無
です。
スイスではキリスト教信者は納税の義務があり、その為に宗教の有無を記入します。
そして最後に、滞在許可申請の目的を記入して完了です。
どこにも書かれていない、滞在許可取得のために絶対に持って行った方がいい書類とは?
さて、無事に申請が終わりあとは待つのみ。しかし待っても待っても何も音沙汰がない、仕事が遅い、大忙しのスイスの入国管理局。
そして待ちに待った入国管理局からのお手紙!やったー!と封を切ると
「滞在許可の申請を受け付けただいま審査中ですが、日本の犯罪経歴証明書が必要なので至急追加で送ってください」
なんですと!?すでにこの時点でパスポートで滞在できる3カ月を超過!もっと早く知りたかったこの犯罪経歴証明書の存在!
しかも既にスイスに来てしまっていて、この証明書海外からどういう風に申請するのでしょうか?
犯罪経歴証明書とは?
犯罪経歴証明書(はんざいけいれきしょうめいしょ、英: Certificate of Criminal Record)とは、各都道府県警察または警察庁が発給する、ある人物について犯罪経歴が無いまたは有ることを証明する公文書である。日本語に加えて、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語によって犯罪経歴の有無が記される。一般的には無犯罪証明書、警察証明書などと呼ばれている。(引用:Wikipedia)
スイスでの申請方法
在スイス日本大使館で手続きが可能です。手続きに必要な書類はパスポート、そして犯罪経歴証明書を必要とする機関からの手紙になります。
指紋を採取するために、ベルンの警察署に予約を取り向います。指紋の採取に65フラン(約7300円)が必要です。
そして、手続きから発給までの期間なんと2、3カ月かかります。
国際結婚の必要書類でも、滞在許可の必要書類でも、グーグル先生に聞いても出てこなかったこの犯罪経歴証明書。
スイスで滞在許可を申請する予定がある人は、必ず日本から持っていきましょう!
日本での犯罪経歴証明書の申請方法
住民登録のある場所の警察本部鑑識課で申請が可能です。申請から発給までは、なんと驚きの速さで1週間程度です。
指紋を取って照会するので、必ず本人が出向く必要があります。
発給に必要な書類
- パスポート
- 住民票の写し
- 犯罪経歴証明書を必要とする機関からの手紙
超重要なプライベート情報なので、必要ない場合はやたらめったらに発行しないというわけですね。
スイスの滞在許可は日本からの事前申請はほぼ不可能に近いです。という事はこの入国管理局からのお手紙を事前に入手することも不可能。
残念ながら犯罪経歴証明書の入手はスイス渡航前は難しいと思われます。
もちろん、スイスでこの手紙を受け取り日本へ一時帰国して入手するのが一番の近道ですが、何しろ先立つものが……。
お金を取るか、時間を取るかの究極の選択を迫られます。
まとめ
州単位、役所単位で違うスイスの滞在許可申請システム。そんな背景があるので、大使館としても必要書類や手続きを公式に名言していません。
ただし、州や役所(ゲマインデ)によっては、事前に必要書類や手続きを親切に教えてくれる場合もあるので、まずはスイス入国前に問い合わせしてみるといいでしょう。
取得までとても長い道のりですが、出来ることといえば待つことしかありません。せっかくスイスに来ているのですから、大自然を楽しみながらのんびりと待ちましょう。
無事に滞在許可を取得ができたら、さあいよいよ結婚準備ですね!