大学進学率がたった1割!?スイスの学校システムとは

スイスの学校 スイス生活・移住

スイスでの義務教育は日本と同じで9年間です。

幼稚園も義務教育化されているので、それを合わせると10年または12年になります。(幼稚園の義務期間は州によって異なります)

学校卒業後の進路は将来何をやりたいかによって決めなくてはいけません。大学に行く人の割合は全体の1割ほどと少なく、それぞれの職業に見合った職業訓練学校に進む人がほとんどです。

そこでレーレと呼ばれるシステムで3年または4年学び、その後就職するかまたはFachhochschule(ファッハホーホシューレ)という職業専門学校でさらに学びます。

また、全く違う業種に転職したい場合は、新たにその職種の専門学校に入りなおし勉強する人が多いため、学校では様々な年齢の生徒がともに学んでいます。

今回はそんなスイスの教育システムについてご紹介します。

スイスの教育制度

義務教育は9年間

日本の小学校に匹敵する学校は、Primarschule(プリマールシューレ)と呼ばれる学校で、5年または6年通い、その後Realschule(レアルシューレ)と呼ばれる日本の中学校に相当する学校へ進みます。(州によってRealschuleへの切り替え時が違います)

Realschule在学中には一年ごとに成績の見直しがあり、成績がいい生徒はSekundarschule(セクンダールシューレ)と呼ばれる進学校に転校できます。

転校と言っても同じ学区内または同じ校舎内にある学校同士なので、日本の感覚でいうところの成績別クラス分けという感じです。

そしてくどいようですがこのシステムも州によって違ってきます。

究極のゆとり教育

学校は週5日制で、なんと午後の授業がある日は週に2日ほどという、究極のゆとり教育!

しかもランチはお弁当でも給食でもなく、家に帰って食事をとります。

午前の授業は地域によって差があるものの、だいたい8時から12時でお昼いったん家に帰り、午後の授業は1時半または2時頃から。

お昼時は通学路で一目散に家に帰る、おなかをすかせた子どもたちを見かけることができます。

学期は2学期制

1学期は8月~1月、2学期が2月~7月の2学期制です。昔はこの学期の開始月が州にしょって違ったというので、転校する場合などとても不便だったようです。

現在でも、PrimarschleからRealschuleの切り替え時期が州によって違うので、州をまたぐ転校は子どもにとって難しいようです。

長期休暇

9月後半の秋休み、クリスマスから年明けまでの冬休み、2月のSportwoche(スポーツヴォッヘ=スポーツウィーク)と呼ばれるスキー休暇、4月の春休み、6月後半から8月新学期までの夏休みと、2学期制なのにも関わらず年に5回も長期休暇があります。

2月のSportwocheは、その名のごとくスポーツをするための休暇というのが面白いですね。その時期のスキー場は家族連れでにぎわいます。

スイスの公立学校は学費が無料!

インターナショナルスクールなどの私立高を除き、スイスでは公立の学校は学費が無料です。

しかも教科書も無料配布なのが驚きです!

スイスでは中学校で将来の進路を決める

スイスの学校

スイスではRealschuleに通う間に、将来の進路を決める必要があります。

学校卒業後に、大学進学のための高校、またはレーレと呼ばれるシステムで、働きながら学ぶ職業訓練学校へ進むためです。

しかも、レーレの場合は「何の職業に就くか」という事を考えて、学校を選ぶ必要があります。

小学校を卒業したばかりなのに、真剣に将来について真剣に考える姿勢は頼もしいものがあります。

大学へ行くための高校

将来大学へ進みたい場合は、Sekundarschuleを卒業後にGymnasium(ギムナジウム)と呼ばれる日本の高校に相当する学校に進みます。

スイスでは大学進学率が低く、約1割強だといわれています。

しかし、職業専門学校のシステムが大変優れているために、大学の重要性は日本の感覚とは少し違います。ここスイスでは本当に何かを研究したい人が大学へ進学します。

スイスのレーレとはどんなシステム?

レーレとは実際に働きながら、職業専門学校に通って学ぶシステムです。Lehrstelle(レアシュテレ)と呼ばれる、学校に通いながら働くシステムを各職場が提供しています。

学校を決めると同時に、このレアシュテレも自分で探さなければいけません。

学校に通う日、働く日は職業によって変わってきます。週4日働き1日学校というスタイルが多く、学校よりも労働時間が多いことが驚きです。

レーレの期間は当然お給料が発生し、だいたい月に1000フラン(約11万円)前後を支給されます。

また、レーレを始める前にSchunupperstelle(シュヌッパーシュテレ)といって、職業一日体験をすることができます。そこで向き不向きを見極めることができるので、とても便利なシステムです。

Schunuppernとはドイツ語でにおいを嗅ぐという意味ですので、このシステムにぴったりの名前ですね!

スイスで就職後に転職する場合

一度就職して職業が合わないと感じたり、また他の職業に就きたくなったりした場合は、Ausbildung(アウスビルドゥング)といって、他の職業専門学校に入り直すことが可能です。

この場合もPraktikum(プラクティクム)と呼ばれる職業訓練期間があり、実際に職場で研修を行います。

まとめ

大学進学率が約1割と低いスイスですが、職業訓練校がこれだけ優れているのでそれも納得です。

日本の小学校5,6年生に相当する年齢から、自分の将来についてしっかり見据える姿はとても頼もしいものがあります。

授業時間だけを考えたら超ゆとり教育なスイス!

とはいえ、その授業内容はとても充実していて、子どもに自分で考える力をつけさせる教育方法を採用しています。

「教える前に、まず考えさせる」というわけです。日本の「まずは教えて、その後応用させる」とは全く逆のシステムです。

この基本的な教育方針があるからこそ、小さいころから積極的に将来を見据える力がつくのかもしれませんね。

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