クリスマスとお正月が終わり、すっかり日常に戻ったここイギリス。
日本では「正月三が日」といって、最低でも1月3日くらいまで、長ければ1週間ほどは街も人もお正月気分ですが、イギリスでは1月1日ですらほとんどお正月気分はありません。1月2日なんて普通の日です。
なぜならイギリス人は、12月25日のクリスマスに全精力を注ぎ込むからです。そもそもお正月に焦点をあてているのはアジア圏のみという気がしますが。
とにかくイギリスでのクリスマスはどの家族にとっても一大イベントです。
以前から何度もイギリス人家庭でクリスマスを迎えたことがあったのですが、今回は初めて子供がいるクリスマスを体験し、大人だけで迎えるクリスマスとは全く違うとても素敵な体験ができたのでご紹介します。
クリスマス準備(飾り付け・アドベントカレンダー・プレゼント)
12月に入るとヨーロッパでは一気にクリスマスムードが本格化します。
まずイギリスでは公式にクリスマスのライトアップがスタート。有名なところでいうと、毎年ノルウェーから送られる高さ25メートル、樹齢50年〜60年の本物のもみの木のクリスマスツリーのライトアップの点灯式がトラファルガー広場で行われます。
この点灯式を皮切りに、街中のクリスマスのライトアップが一斉にスタートし、それまで暗くどんよりとしていた街も一気に華やかで美しい佇まいに様変わりします。
一般家庭でも同時に、クリスマスツリーを出してきてツリーと家の中の飾り付けをスタートします。そして昨今日本でも少しずつ浸透してきている『アドベントカレンダー』をこの日からクリスマスまで1日ごとに開けていきます。
アドベントカレンダー
『アドベントカレンダー』とは24個の小窓がついたカレンダーで、その小窓の中にはチョコレートやキャンディーなどが入っており、毎朝それを1つ食べながらクリスマスをカウントしていくという、ヨーロッパに古くからある伝統的なカレンダーのことです。
本来は子供の為にあったそうですが、最近では大人用も沢山販売されていて、小窓の中には小さなプレゼント(コスメなど)が入っていたりするものもあります。大人も子どもと同じようにワクワクしながらクリスマスを迎えるんですね。
そして街ではクリスマスセールがスタートします。本格的なクリスマスセールは後に説明します『ボクシングデー』なのですが、どのお店もクリスマスショッピングのこの時期から少しずつセールを実施し始めます。
日本ではなかなかクリスマス前にセールなんてないので、これはとてもいいなと思いました。なぜなら、プレゼントを買う量がイギリス人は半端ではないからです。
日本では大抵親から子供(高校生くらいまで?)へと、カップル同士がプレゼント交換するくらいだと思いますが、こちらは家族全員分、近くの親戚、会社の同僚などと幅広く贈ります。
しかも家族に関しては1人1個ではないんです。1人に対して何十個とクリスマスプレゼントを買うのが普通なのです。そうなると出費は大変なことになります。ですので、クリスマスセールを早くしてもらえると経済的に大変助かります。
クリスマス前日
今回3歳と8歳の子供がいる義理の妹家族と一緒にクリスマスを過ごしたのですが、それはそれはとても手が込んだクリスマスでした。
まず12月に入って直ぐに家に「エルフ」がやってきます。「エルフ」とは、サンタクロースの手助けをする小さな妖精のことで、12月にはいると子供たちがおりこうにしているかサンタクロースの代わりにチェックしにやってくると言われています。
そしておりこうにしていないとサンタクロースからクリスマスの日にプレゼントがもらえないんです。なので12月はどの子供たちもとてもおりこうでよく言うことを聞くらしいです。
義理の妹もエルフから子供たちへの置き手紙をちゃんと準備し、ちょっとしたお菓子を用意していました。
クリスマス前日(クリスマスイブ)から私達夫婦と義理の両親は、2人子供がいる義理の妹夫婦の家に泊まりに行きました。なぜならクリスマスの朝がとても大切だからです。
12月24日は子供たちを早く寝かせます。子供たちも早く寝たがります。なぜなら次の日起きたらサンタクロースが来て、プレゼントを置いていってくれていることを知っているからです。
子供たちが寝たのを確認するとそこから大人たちは大忙しです。
まず全てのプレゼントをツリーの下まで持ってきます。こちらは日本のようにラッピングのサービスなんてありませんから、全て自分たちで包装します。私が最も驚いたのがそのプレゼントの量です。
小さな子どもがすっぽり入れてしまいそうな程の大きな袋にそれぞれの子供の名前が書いてあり、その中にぎっしりプレゼントが入っています。
そして入りきらない大きなプレゼントはクリスマスツリーの周辺に置かれたのですが、ざっと数えても60個以上ありました!
これはサンタクロースからだけの分で、その他私達大人からのプレゼントは更にそれぞれの子供に50個以上あります(ほとんどが彼らの母親と祖母からです)。
ヨーロッパの子供たちってクリスマスにこんなに甘やかされているものなのでしょうか?少し異様な光景のようにも見えましたが、そのプレゼントの中にはもちろん靴下だとか下着だとかの日用品やお菓子も含まれてはいます。
それでも大半がおもちゃと服です。すごく贅沢だなと思いました。サンタクロースからのプレゼントの移動が全て終了すると、次はサンタクロースが実際に来た証拠を残します。
義理の妹の家には煙突がないので、庭の窓からサンタクロースが来ることに毎年なっています。ちゃんとサンタクロース用の鍵が用意されていて、子供たちが寝る前に毎年指定の位置に置いておくのです。
その鍵を使ってサンタクロースは家に入ってくるのですが、庭からキッチンを抜けてリビングに来るまでの道に、薄力粉でサンタクロースの足型をつけていきます。初めて見た時はとても可愛い演出だなと感心しました。
全ての準備が終了してから大人たちも就寝します。
クリスマス当日
子供たちはもちろんいつもより早起きです。でも自分たちだけでツリーを見に行くことはせず、ちゃんと両親を起こしに来ます。それからみんなで一斉にツリーを見に行きます。
そして大量のサンタクロースからのプレゼントに大興奮し、開封セレモニーが始まります。1人60個以上もあるので、実に2時間以上の作業になります。
途中からプレゼントの中身より、包装紙をビリビリ破いていくことの方が楽しくなっているようにも感じました。一通り終わると次は大人たちから子供たちへと、大人同士のプレゼント交換になります。
クリスマスショッピングはなかなかストレスフルな作業ですが、いざこうやって交換すると、相手が喜んでいるのを見るのはもちろん嬉しいですし、自分がもらったプレゼントの中身は何かとワクワクしながら開けるのは想像以上に楽しかったです。
義理の両親からは沢山プレゼントを頂きました。どれも欲しいなと思っていたり買わなきゃと思っていた日用品ばかりだったので、とても有り難かったです。
このように午前中はプレゼント交換と、子供たちのプレゼントのおもちゃの遊び相手で終わり、気づけばお食事タイムです。
イギリスではお昼すぎから全員揃ってターキーを食べ、夜ご飯は昼の残り物や軽くつまめる物を食べます。大人たちはもちろん昼からお酒を飲み、夜までずっと飲んでいます。午後3時からエリザベス女王のクリスマススピーチを皆で見ました。
とにかく1日中みんながリラックスしてニコニコしていました。特に子供たちのテンションが高く、そんな子供たちを見てここまで盛大ではなかったですが、自分の子供時代のクリスマスを懐かしく思い出しました。
ちなみに12月25日はイギリス全土、ほぼ全てのお店はお休みになります。そして交通手段も全くなくなります。初めてロンドンでクリスマスを迎えた年、その事実に大変驚きました。バスも電車も運転休止です。日本ではまずあり得ないですよね。
何も知らずもしクリスマス当日にイギリスに到着してしまったら、交通手段はタクシーのみです。が、その数も殆ど無い状態で、もし見つかってもあり得ない程高額な料金です。
そしてヨーロッパの人達はクリスマス前には家族の元に帰ります。この時期に日本から留学などでこちらに住んでいると、友達はほぼ国にホリデーで帰ってしまう為寂しいクリスマスになってしまう確率は非常に高いです。
街は閑散とし、とても寂しく感じます。
ボクシングデー
クリスマスが終わると次の日は「ボクシングデー」です。この日から一斉にセールが始まります。日本で言えば1月2日から始まるお正月セールです。
最近ではインターネットでのショッピングが主流なのでそこまでお店が混むこともないのですが、少し前までは朝から長蛇の列のお店が沢山ありました。
毎年ある洋服ブランドのセールが朝の6時からスタートするのですが、義理の妹はそのセールに行く為に朝4時に起きて早朝から並び大量の子供服を買ってきます。これでほぼ1年分の服が格安で買えてしまうそうです。母は強しですね。
普通の大人たちはたいていこの日は二日酔いか、のんびりまったりだらだらと過ごす日になります。大抵のお店はもう開いています。ボクシングデーが過ぎると、すっかり日常に戻ります。こちらは日本のようにお正月を家族で迎える風習はありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
こちらのクリスマスを何度か体験して思ったことは、「昔の日本のお正月の風景に似ている」ということです。
私が子供だった頃は、お正月の為に母は31日までに買い物を済ませおせちの準備をし、元旦は家族や親戚が集まり、子供たちはお年玉をもらったり、大人と一緒になってゲームなどをして楽しんだりしていました。
お店も全てお休みで、街全体になんだか特別な空気感があったように思います。
今はなくなってしまったように感じる古き良き日本のお正月の光景が、この遠い国イギリスのクリスマスにはまだ感じられ、そんな伝統的な光景が少し羨ましく感じました。
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