皆さんはカンボジアに行かれたことがありますか?都市部のみを観光された方はお気づきにならなかったかもしれませんが、実はカンボジアの建物は遺跡を除くと二種類に分けられます。
カンボジア独特のものとフランスの影響を強く受けたものの二つです。現在では西洋的な近代建築も見られますが、その工法はフランス植民地時代から続く伝統的なものです。
今回はカンボジアのそれぞれの住宅について、その特徴を紹介します。
カンボジア伝統の建築
カンボジア独特の建築は農村部に見られる高床式の住宅で、5m×10m位が基本的な大きさです。地面に2m位の高さの柱を立て、その上に住宅を建てるイメージです。
床下は台所兼休憩所などの多目的場所になっています。暑いカンボジアでは日除けが重要な意味を持ちます。
壁と屋根の材料を鉄板で仕上げると4千ドルくらいで作ることが出来ます。昔は壁はバナナの葉やココナッツの葉を使い、屋根は萱のような材料を使っていたそうです。
現在ではこの下の部分にレンガで壁を作り部屋にしている場合も見受けられます。この様式は蛇、ネズミ、蚊などから家族を守ることと、風通しがいいなどの利点があります。
家族が増えたり、米の脱穀などの作業場にする場合はこの家の壁から屋根だけを伸ばし、元の面積の二倍程度に広げている農家もあります。
敷地の周りには柵や塀を作り泥棒対策もしっかりしています。プノンペン市内にはこの工法の名残と思われる建物が一部に残っていますが、ほとんどが一階の壁をレンガ積んで改造した形式です。
二階が木造作りの家はその名残だと言われています。
フランス植民地時代に定着した建築様式
フランスの影響で作られるようになったと言われる住宅は間口が5m、奥行きが10〜15mのコンクリートの柱とレンガの壁が基本です。これを数十棟つながった建物をフラットと呼んでいます。
この建物は不動産業者が作って販売していますが、端の部分はほかの人が継ぎ足せるように壁から鉄筋が出たままになっていることがあります。
次に建てる人は隣の壁を利用して立てるので、建設費用が安くなるという不思議なことをお互いに了解しているのだそうです。
街中には間口が20mもあるような大きなお店もありますが、多くはこのタイプの建物の1階の壁を取り払い広く使っているので、店内には何本もの柱が立っていることがあります。
最近は内戦前の建物を壊して新しい建物が立ってきていますが、基本的にコンクリートとレンガなので、水回りさえ直せばまだまだ使えるので街並みが全部新しくなるにはまだ数十年かかるでしょう。
街のインフラ
市内はフランス植民地時代に水道と下水道が完備されているので、どんなに古い建物でも上水道と水洗トイレが使えます。
ただし、設備が古いので蛇口がガタついたり水漏れがあちこちにあります。洗面台の排水口の流れが悪くても、水道の出が悪くてもアパートの大家さんは知らん顔です。
完全に配管が詰まったりしない限り入居時に修理することはあまりありません。新築アパートが増え、古いアパートに空き室が目立つのもそんな理由かもしれませんが、住人がいない期間が長いほど修理しようとしない傾向があると思います。
部屋の電気のスイッチが壊れていたり、コンセントが使えなかったりすることは珍しくありません。古い建物で商売する方は少なからず火事の心配もあるようです。実際にコンセントからの出荷は火事の原因にもなっています。
これは、エアコンを使うことが前提に配線がされていないので細い線に負荷がかかりすぎていることが原因です。接触が悪いコンセントを空けてみたら中が焼けて真っ黒だったことがあります。
ニュータウンの造成
一方で最近は既存の幅5mにこだわらず、新たなデザインの家も増えています。特に戸建て住宅は日本で建てると数千万円では出来ないような大きな家があちこちに出来ています。
50万ドル以上の郊外型戸建て住宅街もあり、富裕層がこぞって買っているそうです。郊外には数万平方メートルの規模で高級住宅街が造成され、投資目的もあり売れていると聞きます。
投資が目的の場合は売れても人が住まないという事もあるそうです。しかし、基本構造は5mおきの柱と、レンガを積んだ壁です、地震がない国ならではの建築方法です。
市内には高層のサービスアパートや高級分譲住宅も建設ラッシュです。数年前までは7階から8階くらいが珍しかったのに、15階から20階以上の高層建築もあちこちで建設中です。
各階に5室から10室くらいで高さも7階から10階くらいまでが多いようです。一室数万ドルの分譲住宅から、月々の家賃が300ドル程度のサービスアパートまであるので、用途と生活レベルに合わせて選べます。
250ドルのフラットタイプのアパートの場合、電気量(カンボジアでは大家が決めます)が高いと300ドルを越えます。そのため、300ドル〜500ドルくらいのセキュリティー付きサービスアパートに人気があるようです。
不動産業界の情報が少ないので大家も値段の設定は自分で決めることが多く、相場感はありません。部屋を借りたい人は自分の足と知り合い情報でじっくりと探すのがいいでしょう。
まとめ
カンボジアの住宅は地域によりその作りには大きな違いがあります。一つは農村部と都市部。特に農家は日常の生活と農作業が密接な関係にあるので、古くからの高床式住宅が好まれます。
市街地では一階で商売、二階以上が住宅となることが多いので、フランス植民地時代の名残でフラットと呼ばれる長屋形式。
プノンペンなどの大都市は、近年の地価高騰の影響もあり高層化が進んでいますが、同時に郊外型の一戸建て(ヴィラ形式)の高級住宅街や一般市民向けのフラットタイプの大規模住宅街も造成されています。
建築方法は一部の高層ビルを除いて、コンクリートの柱と床を基本構造にして壁はレンガで作るというのが主流です。
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