近頃テロが絶えないヨーロッパ。ここベルギーでも、2016年3月22日に空港と地下鉄で爆破テロがありました。当時私が住んでいた最寄り駅から5つ目の駅、そしてちょうど2日前に利用した空港でのテロでした。
ベルギーの治安の悪さは十分知っていました。そうは言っても、まさか自分の生活圏内でテロが起こるとは思っていませんでした。この時はショックを隠しきれませんでした。
残念ながら、テロに関しては個人レベルで取ることのできる決定的な対策がありません。ただし、テロはもちろんスリのような軽犯罪を含め、ベルギーの治安や注意点に関する情報を知っているだけでも被害にあう確率を低くすることができます。
そこで、ベルギーを旅行したりベルギーで生活する上で、気をつけたいことを体験談も交えてご紹介します。
これからベルギーに渡航される方は、ぜひ1度は目を通してみて下さい。
ベルギーの玄関口。主要空港・駅の治安は?
ブリュッセル国際空港
ベルギーの空の玄関口であるブリュッセル国際空港は、2016年のテロ以降、警備が強化されました。だからと言って、「また同じテロが起こる可能性は無い」とは言い切れません。
テロの直後は、空港にやって来る旅行者の荷物がきちんとチェックされていましたが、半年ほどで終了しました。現在は、また誰でも爆弾や銃が入ったスーツケースを空港に持ち込むことができる状態に戻っています。
空港ではチェックインを済ませたらすぐにセキュリティーチェックに向かうようにしましょう。到着時も、空港からはできるだけ速やかに離れるようにしましょう。
ブリュッセル・シャルルロワ空港
ブリュッセル国際空港とは別に、もうひとつブリュッセル空港と呼ばれている空港があります。LCC専用の空港である、ブリュッセル・シャルルロワ空港です。
「ブリュッセル・シャルルロワ空港」という名称ですが、実際はブリュッセルから車で1時間ほどのシャルルロワという街にあります。遠いため不便ですが、格安のフライトが充実しているので多くの人が利用します。
LCC専用ですので、客層がブリュッセル国際空港とは少し異なります。ビジネスパーソンはほとんどおらず、利用する人たちは必ずしも裕福そうな人ばかりではありません。
またシャルルロワは、ベルギーではブリュッセルに次いで犯罪が多い街です。空港ではスリや置き引きなど、十分注意が必要です。
ブリュッセル北駅
ドイツやオランダ方面からの国際列車が停車するのがブリュッセル北駅です。ヨーロッパ内の高速バスの発着所ともなっています。主要駅ですので広さはありますが、とても殺風景です。
そして、北駅はスリが多いことでも有名です。貴重品や手荷物の管理に十分注意しましょう。
ブリュッセル中央駅
空港行きの電車をはじめ、ベルギー国内鉄道の旅の拠点となるのがブリュッセル中央駅です。ドイツやオランダからの列車は、中央駅にも停車します。ブリュッセルの北駅や南駅に比べると雰囲気は良いのですが、安心はできません。
もともと中央駅の通路にはホームレスが多かったのですが、ここ1年でさらに増えています。恐らく難民受け入れが影響していると思われます。
今後もその状況が続いていくとさらにホームレスが増えることが予測され、治安の悪化も懸念されます。
ブリュッセル南駅
ロンドンへのユーロスターやパリへのタリスといった国際列車が発着するのが南駅です。陸路でのベルギーの玄関口になっています。そのため、到着したばかりの旅行者や出張者を狙ったスリが多発しています。
実際に、駅構内では旅行者でも誰かの迎えでもないのにウロウロとしている人を見かけます。また、長時間の電車の旅を終えてホッと一息、外でタバコを吸おうとすると「タバコをくれないか?」と、知らない人がたくさん声をかけて来ます。
南駅に到着したら、すぐにホテルなど目的地に向かうようにしましょう。
日本人が特に注意したい治安の悪いエリア
ベルギーの中でも一番犯罪が多い街はブリュッセルです。日本人の盗難被害のほとんどが、ブリュッセルで発生しています。
テロリストの温床とも呼ばれたモーレンビークをはじめ、治安が悪い地域がブリュッセルにはたくさんあります。しかし、多くの場所は旅行や普段の生活で日本人が立ち寄ることはありません。
そこでここからは日本人が行く可能性がある、特に注意すべき地域をご紹介します。
ブリュッセル南駅周辺
ブリュッセル市内で一番気をつけたいのはブリュッセル南駅周辺です。
狭い路地に入ると、窓ガラスが粉々に割られている建物、落書きだらけの壁、信号待ちで止まる車に声をかけるジプシーの物売り…。どことなくスラム街のような雰囲気がしています。
パリやベルギーのテロで利用された爆弾や銃の一部が、ここブリュッセル南駅周辺で調達されたと言われています。スリのような軽犯罪だけでなく、もっと重い犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
ブリュッセル北駅周辺
南駅周辺ほど雰囲気は悪くありませんが、まるでアラブの国に迷い込んだかのような地域です。モロッコやトルコのレストランやお店がズラッと並んでいます。道行く人もアラブ系の人ばかりです。
また、昼は人通りも多く比較的にぎやかですが、夕方になると街の雰囲気が一気に変わり飾り窓(風俗)の営業が始まります。
イロサクレ
ガイドブックにも載っている観光地のレストラン街です。確かにたくさんおいしそうなレストランが並んでいますし、実際においしいレストランもたくさんあります。しかし、残念なことにぼったくりを行うレストランも多くあります。
見分けるポイントは、客引きです。客引きをしているレストランには絶対に入ってはいけません。
私も1度、客引きをしているレストランに入ってしまい、見事にぼったくられました。
メニューでは70ユーロほどのシーフードの盛り合わせを食べたのですが、支払いは250ユーロ。標準のメニューにいろいろとトッピングを加えてくれたそうです。そして、私たちは気付かず食べてしまったので、支払わないといけませんでした。
ベルギーのホテルで注意したいこと
ホテルの場所選び
観光の便利さを考えると中央駅周辺、グランプラス周辺のホテルが良いでしょう。
北駅周辺には安いホテルもありますが、治安の悪さからおすすめできません。
南駅周辺には大手チェーンホテルがあり、イギリスやフランスへの出発が早朝の場合に利用することがあるかもしれません。もし滞在することがあっても、ホテルの周辺は絶対に出歩かないようにしましょう。
安心できないベルギーのホテル。盗難に注意!
ベルギーではいくらホテルの中とはいえ安心できません。スリや置き引きには十分に注意して下さい。
被害が発生しているのは、個人経営の小さなホテルから大手チェーンホテルまで様々です。安心なホテルはない、と思っておいた方が良いでしょう。
また、ホテルの従業員も信用してはいけません。犯罪者の仲間である可能性があります。自分の貴重品はしっかり自分で管理しましょう。
チェックイン
チェックイン時も油断は禁物です。
私の知人が日本から出張に来た際、ブリュッセル市内の大手ホテルでチェックイン中に貴重品が入ったハンドバッグを盗まれました。チェックインに必要な情報を記入している際に、カバンをカウンターに置いていたそうです。
目の前にホテルの担当者もいたのですが、「気付かなかった」の一点張り。ホテルの担当者も仲間であった可能性を疑いきれません。
朝食
日本人観光客が一番多く被害にあっているのが、ブリュッセル市内のホテルでの朝食時と言われています。
朝食はブッフェ形式のホテルがほとんどなのですが、席に貴重品を残して朝ごはんを取りに行っている間に、置き引きにあってしまうようです。貴重品は必ず身につけておくようにしましょう。
Wi-Fiの利用
ホテルのWi-Fiに接続している時は、個人情報・パスワード・クレジットカードの情報などの入力は控えるようにしましょう。
私は、ホテルのWi-Fiに接続している時にApple社のApple IDとパスワードを自分のiPhoneで入力しました。危険かとは思ったのですが、どうしても入力する必要がありました。
嫌な予感は的中しました。その後Apple IDとパスワードを悪用し、高額の品物を購入されてしまいました。幸いすぐに気付いてクレジットカード会社へ連絡したので、支払いを止めてもらうことができました。
車を運転するのであれば注意したいこと
話しかけられても窓は開けない
車の外から話しかけてくる人がいても、決して窓を開けてはいけません。
私の知人が実際に被害にあいました。駐車場から車を発進させようとした時、男性が窓を叩いてきました。「車の下に何か動物がいるから注意した方がいい。見てみろ。」と親切そうに教えてくれたそうです。
知人はその言葉を信じて車を出て、車の下を覗いてみるも、何もありません。
不思議に思って車に戻ると、貴重品が入ったバッグが車内から盗まれていました。
駐車時は荷物を車外から見えるところに置かない
ベルギーでは路上駐車をする機会が多いですが、車を離れる時は外から見える場所に荷物を置いておかないようにしましょう。たとえ貴重品が入っていないとしても、車上荒らしに狙われる可能性があります。
知人は、黒のポーチを運転席と助手席の間に置いていました。貴重品は入っていなかったので、特に気にすることもなく、一晩路上駐車をしました。
すると翌朝、車の窓ガラスが割られていたのだそうです。何も盗まれてはいませんでしたが、貴重品が入っているかもしれないと思わせた黒のポーチが原因だったと思われます。
また、ベルギーでは車ごと盗まれてしまうこともあります。同僚のベルギー人は、車のスマートキー信号をコピーされ、車ごと盗まれてしまいました。盗難が心配な場合は、屋内の駐車場を利用することをおすすめします。
ノートパソコンやタブレットを置きっぱなしにしない
車上荒らしに関連していますが、少しでも車を離れることがあれば、ノートパソコンやタブレットは一緒に持っていくようにしましょう。ちょっと買い物をする間、ちょっとランチを食べる間と油断し、被害にあった日本人がたくさんいます。
外から見えないトランクに置いておけば大丈夫、というわけでもありません。ベルギーでは、トランクに荷物を積み込む時から目をつけられ狙われると言われています。
ベルギーでは空き巣対策も忘れずに
ベルギーでは空き巣被害も多発しています。空き巣は長期の旅行で家を空ける時に多く発生します。
そのため、ベルギーでは必ず「電源タイマー」を購入しましょう!電源タイマーとはタイマー付きの電源コンセントで、時間を指定して電源を入切することができます。
家を長期開ける場合は、この電源タイマーに室内ランプを接続して窓辺におきます。夕方18時〜22時頃まで電気が点くように設定します。夜に灯がつくため、まるで誰か家にいるように見せることができます。
ベルギーの家では、警備会社による防犯対策をとることは一般的ではありません。そのため、少々原始的ではありますが、電源タイマーが一番有効な空き巣対策と言えます。
まとめ
ホテルで貴重品を置きっぱなしにしたり、車のトランクに物を置きっぱなしにしたり、日本では当たり前にやっていることでも、ベルギーでは盗難などの被害に繋がることもあります。
そのため、ベルギー滞在前には治安や注意点に関する情報を知ることがとても大切です。
しっかりと情報を得て対策をとり、ベルギーでの滞在がトラブルなく楽しい時間となるようにしてください!
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