ドイツの劇場でオペラ歌手として働く私のお給料事情

ドイツ ドイツで働く

海外での就職を目指すなら、その国の物価や治安、お給料の相場など、知りたいことはたくさんありますよね。

私はオペラ歌手という職業柄、選択肢として考えられる国の数が多くはなかったため、大した下調べもせずにドイツで就職してしまいました。ですが、今から就職・転職活動をする人は少しでも詳しい情報がほしいところだと思います。

ここでは、ほんの小さな情報源として、ドイツの劇場で働く私のお給料事情をご紹介します。少しでも誰かの参考になれば幸いです。

※1ユーロ=約132円

ドイツでの私の仕事:合唱歌手とソロ歌手を半分ずつ

私は2014年からドイツの市立の劇場で合唱歌手として働いています。それまではソロのオペラ歌手としてのキャリアを目指して各国、各地を奔走していましたが、年齢的にも生活の安定を手に入れるべき時期だと思い、ドイツの劇場付合唱歌手として就職しました。

ただ、50%の労働を提供するという契約なので、年の半分はソロ歌手としての活動に時間を割くことができます。例えば1シーズンに合唱が必要な企画が6つあれば、私はそのうちの3つに参加します。残りの3つの企画に同僚たちが励んでいる間、私は休みになります。

もちろんお給料も通常の合唱歌手の半分になるのですが、一人慎ましく生活していけるだけの額はもらえます。ソロ歌手としてのギャラも不定期に入るので、貯金もできます。

ドイツの劇場での合唱歌手としてのお給料

合唱メンバーとしてのお給料は月給制で、額面上は1,306ユーロ(約17万円)。手取りは基本的に月々950ユーロ(約12万円)ほどです。

100%の契約で働いている同年代の同僚たちは、倍の2,612ユーロ(約34万円、額面)ということになります。勤務年数が増えるのにともなって、若干ではありますが昇給があります。

お給料は毎月末に銀行に振り込まれます。ドイツの銀行であれば特に指定はありません。

ドイツの劇場での特別手当

ドイツ

ソロ手当

先に述べたように、私は劇場での合唱を基本に、ソロ歌手としての活動もしています。時には、合唱歌手として契約しているその劇場でソロ歌手として役を任されることもあり、その場合、合唱メンバーとしてのお給料にソロ手当が上乗せされます。

直近のソロ手当をご紹介すると、稽古に従事した分の手当300ユーロ(約4万円)、以降公演ごとに300ユーロ。公演は全部で5回あったので、300+300×5で合計1,800ユーロ(約24万円)でした。

プロジェクトの稽古は複数が同時進行で行われます。このソロ手当でどのくらいの期間働いたのかはっきりとは数えられないのですが、初日前の約1カ月ほどはほぼ毎日このプロジェクト関連の勤務でした。

ダンス特別手当や外国語手当

また、オペレッタなどの舞台でダンスをすることになると、特別手当が付きます。踊って手当がもらえるというのは失笑ものですが、私たちはあくまで歌手として雇われています。そのため、ダンスは専門業務外とみなされて特別手当が支給されるのです。

その他、ロシア語などのあまり馴染みのない言語での企画に従事すると外国語手当が付きます。

手当の額はその都度違い、何を基準に決められているのか詳しくはわかりません。劇場の経済状況も考慮しつつ、劇場側と合唱代表の話し合いで金額が決まるようです。

ドイツの劇場で働くことで優遇されること

チケット優待料金

ドイツの劇場に勤めることのメリットの一つが、ドイツ国内すべての国公立劇場のチケットが格安になること。

値段設定は劇場によって異なるのですが、私たちにとっては高くても正規の値段の半額です。通常は10ユーロ(約1,300円)も払わずに公演を観ることができます。自分が勤めている劇場での公演は、それぞれのプロジェクトにつき1回は無料で鑑賞できます。

交通費の優遇や各種手当も

住宅手当はありませんが、徒歩圏外に住む従業員には交通費の優遇があります。公共交通機関やパーキング料金の割引制度などです。私は徒歩通勤なので詳しくはわからないのですが、正規の値段と比べると相当な割引値だとか。

その他、クリスマス手当、夏のバカンス手当があり、それぞれ200ユーロ(約26,000円)が振り込まれます。100%雇用の人は400ユーロ(約53,000円)になります。

ドイツの劇場の福利厚生

ドイツ

健康保険料は半分を劇場側が負担し、残りの半分は年金や税金と一緒にお給料から自動的に引かれます。

外国人の従業員に限っては語学学校の費用を雇い主側が負担する制度があり、中級レベルまでのコースが対象です。

産休は前後6週間が100%のお給料支給という規定です。それ以上の期間を育休として休む場合はそのパーセンテージが下がっていきますが、最長2年まで延長可能です。

労働組合には任意で加入できます。私は合唱とオーケストラのメンバー専用のものに加入し、毎月組合費13ユーロ(約1,700円)を支払っています。契約トラブルなどの際に大いに力になってくれるので、入っていてよかったなと思う場面もありました。

まとめ〜お給料は安くても生活には困らない

私の勤め先の劇場は、ドイツ国内でもランクの低いところなので、お給料も劇場のレベルに合わせてあまり高くはありません。とはいえ、手当や優遇制度や福利厚生があり、従業員をきちんと守ってくれていると感じます。

それに、ドイツは生活費が安いため、合唱のお給料だけで充分に生活はできます。

ソロのオペラ歌手としての収入は変動が大きいため記事にして紹介はできませんが、合唱メンバーとしてのお給料事情から、ドイツの職場事情が少しでも伝わればと思います。

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記事を書いた人

オペラ歌手・メッゾソプラノ 2013年よりドイツ・トリーア市在住 イタリア、フランス、ドイツを中心に活動中

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