ラオスで働いていると、日本ではあり得ないトラブルが本当によく発生します。私もラオスに住み始めた当初は「なに考えてるんだ!」とか「お前が間違っている!」とラオス人によく腹を立てたものです。
しかし「暖簾に腕押し」、「蛙のツラに小便」で相手は全く動じないですし、全然響いていないのが現実でした。唯一の解決策は「こちらが歩み寄る」ことだと気が付き、最近は腹が立つことは深く考えないようにしています。
今回は私が数多く体験した、ラオスのありえないトラブルやエピソードを紹介しながら、日本とラオスの違いを紹介したいと思います。
これがラオスレベルなのか!?残念な建築現場の人々!
あなたがラオスでのスローライフを始めたときに、もしかしたら一番耳にする言葉が、「チャックノーイ(後で)」かも知れません。
因みにこのチャックノーイは数秒後から数年後、「もしかしたらやらないかも知れないかも?」のニュアンスを含む非常にユースフルな言葉なので、覚えておくとよいかも知れませんよ。
ラオス人でもボーペンニャン(問題ない)とは言えなかった工事現場を発見!
チャックノーイ(訳:後で)、この言葉を建築現場や工事現場でもよく耳にするのが恐ろしいところです。
実際3~4ヶ月かけて地面を掘り返していたホテルの基礎工事現場ですが、基礎や支柱の鉄筋を組み終わったもののコンクリートを打ち始めるのがチャクノーイになり、雨季に突入してしまいました。
突貫工事でコンクリートを流し込んだのですが、雨が降り続き排水ポンプの設置もチャクノーイにしたため、現場がプールのようになりました。
ようやく重い腰を上げて排水作業(こちらも1週間ほどかかったのですが)を終らせると、すっかりセメント分が流れ出してしまい再工事不能の状態に。
再度、現場に重機を入れての撤去作業を監視する施主のラオス人は、さすがにボーペンニャン(訳:問題ない)の雰囲気ではなく、まさに「鬼の形相」で作業員を怒鳴り散らしていました。
私の店舗にも降りかかった災難とは?
店舗の賃貸契約が完了して改装工事を始める段階で、外注の大工を辞めさせた話は既に以下の記事の「ラオスで起業した理由」部分で紹介しました。
実はその後に、もう1度違う業者を頼もうとしたことがあったのです。予定よりも工事が進まず、店の土間コンクリートを打ち直すために頼んだのですが、やはり大失敗でした。
作業内容は8m×20m程の店内の床の全面に、5cm程の厚さで新たにコンクリートを敷設することでした。
床を水洗いしたときに水が入口に流れ出るように、店の奥側から入口に向けて水勾配を付けた施工の注文です。材料はこちらで準備する、単純に作業費だけの話でした。
相談した親方には「まず5人で3日間の工事、4日間の乾燥期間後に化粧仕上げをするのに、やはり5人で2日間必要だから、合計5日間の工事で延べ25人工の作業」といわれました。
当時の作業員の標準日当が50,000kipでしたから1,250,000kipと考えたのですが、「セメントを練って運んでの重労働だから」と日当は100,000kipを要求してきます。
侃々諤々やりあった末に全工事費で1,500,000kipに決着しました。しかし、実際着工当日に現場に来たのは親方と息子の二人だけでした。
現場の床に砂とセメントの小山を作り、そこでセメントを練って広げるだけの簡単作業で1日で全面施工が作業完了しました。どう見ても5cmの厚さはありません。
たくさん残った砂とセメント袋の山を指差し「なんでこんなに残ってるんだ?」との私の問いに、親方は「薄塗りを繰り替えすのだ。2日後にまた来る。」と言い残して帰りました。
2日、3日、4日と待っても結局姿を現さず、5日後の昼前にまたしても2人で現れ「丁度良い!」と現場を見回したあと、何事も無かったように作業を開始します。
「これ仕上げじゃないの?」と私が作業内容を指摘すると「薄塗りを繰り替えすのだ。」と前回と同じ回答で夕方には作業が終了しました。
そこで親方が「2日後にまた来るが、2日も仕事しているから支払いをして欲しい。」と言い出し、当時まだラオス人の扱いに慣れて居なかった私は渋々支払いを済ませました。
結果は当然、何日待っても現場に彼らが現れることはありませんでした。
作業1.5日間、総作業員数3人で作業10日間、総作業員数25人の賃金が手に入った親方は笑が止まらなかったでしょう。タップリと残っている砂とセメント袋の山は、別の部分の自分で片付けた工事で使いました。
店内の水勾配は見事に逆に取っていて、雨が降ると店内に流れ込む素敵な仕上がりになっていたことは言うまでもありません。
ラオスでは後払いが鉄則です。うっかり支払うと、それっきりになりますから注意して下さいね。
別に外国人だけが被害に遭うわけではない!
素敵な親方との出会いで、完全にラオス人作業員不信に陥ってしまった私ですが、その数日後に隣のラオス人経営のゲスト・ハウスが発注した工事を覗き見して、仰天しました。
幅1.5m×奥行き1.2m、屋根の高さ2mほどの木造のコーヒースタンドで、多角経営を夢見たラオス人オーナーがコーヒースタンド製造の注文した業者の言い値が「納期3日間、作業費60,000kip」だったのです。
しかも材料は業者持ちで完全な「受け仕事」ではないですか。
(やっぱり外国人は不利だなぁ!)と落ち込んでいたのですが、こちらも蓋を開けてみれば作業は遅々として進まず、完成したのは約2週間後でした。
ラオス人オーナーと親方が難しい顔をして話し合っているので、覗きに行くと「思ったより難工事だったから、3,000,000kipは貰わないと合わない!」と主張している親方の声が聞こえました。
(見積もりの5倍かよ!)と驚いたのですが、ラオス人オーナーも頑張りに頑張って「1,8000,000kip」という見積金額の3倍で決着しました。
ラオスの建築、建設業の実態を垣間見た気がして、「今後の工事は全部セルフ・ビルドでやろう!」と固く心に誓ったのは言うまでもありません。
ラオス人スタッフの衝撃的な言動とは?
何とか店舗改装を完了し、スタッフトレーニングを始めてからも、ラオス人はコンスタントに驚かしてくれます。私が経験したスタッフの衝撃言動を紹介します。
預けたお金を全て使ってくるスタッフ!
店舗の改装工事も先が見え始めたので、他店から引き抜いたスタッフに召集をかけました。当初の予定より開店が遅れたのですが、100%の給与保障で約4ヶ月間、待機中のスタッフに他店の倍額近い給料を払い続けました。
その日は手伝ってくれる(数ヶ月に渡り工事を手伝ってくれていた)日本人1名と、私の昼食の買出しを頼み50,000kipを手渡しました。
「ご飯1人分3,000kipおかずは5,000kip分買ってきて。」と2人分16,000kipで頼んだのですが、お釣りは無いというのです。
確かにそこには尋常でない量のもち米と、何人分なのか判らない量の惣菜の山がありました。スタッフに「昼食まだだったら、一緒に食べよう。」と誘っても「食事は済まして来たから大丈夫。」と料理に手を付けようともしません。
「何でこんなに買って来たの?二人じゃ食べられないでしょ?」と訪ねると「残して捨てれば良い!50,000kip持って行ってお釣りくれなんて恥ずかしくて言えないよ!」とのことでした。
ちなみに通常ラオス人の買い物は、聞いているほうが引く程の激しい値切りをします。つまり「金持ち外国人の金だから、気前良く使っても大丈夫!」というのが本音なのでしょう。
その後も、彼女は仕入れに出るときにガソリン代を多めに渡すと、給油はせずに全て使ってくる豪傑でした。
開店後、1ヶ月で「こんなに忙しいのなら、この給料では合わない!」と言って消えました。全く働かないのに給与保障した4ヶ月で、堕落したんだと思います。
衝撃!「だったらお前がやれ!」
開店前のスタッフ・トレーニングでのことです。
何度説明しても上手く造れない料理があり、「これは造れないメニューだ!」と指摘されたので手本を示すと「お前が上手くできるのなら、お前がやれば良い!」と高らかに宣言されたことがありました。
私は一応、オーナーシェフなんですけどね、トホホな心境でした。
息をするように嘘をつくスタッフとは?
オープニングスタッフに恵まれたお陰で、「もう絶対ラオス人は雇わない!」と決めたまま、開店から5年が経過しました。本格的に人手が欲しくなり、懲りもせず求人をかけた私ですが、知人の紹介で来たスタッフも強烈でした。
「近くのリゾートホテルのバーを1人で回していた!」との御大層な触れ込みでしたが、初見で「こりゃ無いな!」と感じるほど「仕事できないオーラ」が漂う彼女でした。
ラオス語での会話は饒舌で「英語で仕事しているから帰宅してもラオス語が出てこない!」などとほら貝を吹き鳴らしていたのですが、実際営業が始まると欧米人とのコミニケーションが全くといっていいほど取れず、オーダーを取ることさえも怪しい感じでした。
猫の手も借りたい心境だったので「そのうち慣れるだろ!」と働いてもらったのですが、ミスオーダー連発で「オーダー時にはこう言っていた、あの欧米人は嘘つきだ!」と居直る始末で、全く使えません。
キッチン補助に配置転換したのですが、大量の仕込みの前日に「明日は10:00に来てね」と伝えても、出社するのは15:00過ぎで「弟が具合が悪くなったから」と一言で終わります。
何度も「遅れるなら電話して!仕込みの予定が狂うから!」と言い含めても変化はなく、「13:00には行けません、14:30になります。」と12:50に連絡が来る始末です。
15:30過ぎに顔を出して「ちゃんと14:30には家を出ました。」と痺れる言い訳をしてくれる彼女でした。近所のお土産屋の方が「楽で給料が良いから」と転職したのですが、10日間程で見なくなりましたね。
自称プロに任せたのが運の付きだった!
ラオスの生活にも慣れてきた在住5年目に、大きな節目を迎えることになりました。法人登記の手続きを行ったのです。
元々は自分名義で100%外資の会社にしようと考えていたのですが、必要な資本金が3,000万円~、出資率50%の合資でも2,500万円~と聞かされ断念しました。
そこで知り合いのラオス人の中で、最も信用できそうな人間の名義を借りてラオス人名義の会社で登記することにしました。知人の紹介で「法手続きのプロ」というラオス人エージェントを紹介され依頼しました。
当初知人には「登記手続きなんか、彼の手にかかれば3日で終わる!」と言われたのですが、手続きは全く進まず、活動用の経費だけが1,000ドル、1,500ドルと嵩んでいきます
名義を借りた知人は自分でいくつかの会社を経営してるので、尋ねてみると「通常1ヶ月で、代行費用を含めたコストは高くて1,000ドル程度。」とのことでした。
待ちに待った手続き完了の連絡が来たのは、手続き代行を依頼して8ヶ月後でした。
書類を確認すると、何度も念を押した社名が案の定間違って登記されていました。訂正手続きにかかる時間と費用が無駄に思えたので、そのまま使っています。
業務内容やビジネスプランも、私が指定したものと変わっていたのには驚かされましたが、それ以降の官庁手続きは、大工仕事同様に全て自分でやることに決め、法手続きに詳しくなれたので、授業料だと思って納得しています。
ちなみに代行してくれた彼には3,500ドルほど、それ以外に掛かった8ヶ月分の待機費用含めたコストは10,000ドル程度でした。
「ええ加減にせい!」突っ込みを入れたくなる業者たち
ラオスで仕事をすると、当然地元の業者との取引が発生します。彼らも不思議な思考回路で動いているので、しばしば目が点になってしまします。
油は切らしてるんだけど!
揚げ物用の油を仕入にいった時の話です。
いつも仕入れている店の女将が「あー、油切らしちゃってるわ。」と言うので他店で仕入れようと店を出ようとすると、「ちょっと待って!油はないけど砂糖はいらないか?」と声をかけてくるではありませんか。
「油はないけど砂糖?」全く意味が判らないので振り向くと、満面の笑みで1Kg入りのグラニュー糖の袋を差し出して「10,000kipね!」と通常価格を示して来ました。私の返事は言うまでもなく「オフコース!いらねーよ!」でした。
俺の村に付いたから今日はここまで!
これは妻が経験した仰天エピソードです。首都ビエンチャンに出かけた妻ですが、帰りが遅くなりビエンチャンを出たのは16:00過ぎでした。
ロットゥー(トヨタ・ハイエースなどの1BOXを利用した乗り合いバスで一応公共交通機関です。)で帰ってきたのですが、その日は乗客が非常に少なくビエンチャンから120km、目的地の30Kmほど手前の町で停車「俺の村に付いたから今日はここまで!この先に行きたかったらもう100,000kip払ってくれ!」と宣言されたらしいです。
ビエンチャンと私の住む町の間の当時の料金は40,000kipでした。妻は猛烈に抗議したのですが、結局車は動かず後続のロットゥーへ乗り換えさせられ、到着は予定よりも2時間遅れの21:00過ぎでした。
妻は「確かに乗客は私だけだったけど、それは私の責任じゃないのに!」とプリプリ怒っていましたよ。
「お役所仕事ここに極まる!」ラオスの役所とは?
開放政策が進んだものの共産国家であるラオスは、公務員の力が非常に強い「役人天国」でもあります。基本的にノンビリしているラオス人が権力を持つと、そりゃあもう「勝手気まま」なものです。
毎回直前に来る会議への恐怖の召喚状とは!
私の会社は観光業のライセンスも取得してるので、地方政府の観光省の会議への出席が求められます。会場は私の町から約80Km離れた、県庁所在地にある大会議場です。
通常8:00から会議が開かれるので、私は6:00前には会場に向けて出発します。召喚状が私の手元に届くのは、必ず会議の前日の15:00~16:30頃です。毎回不意打ちに届くので、翌日の予定の調整に追われます。
私の町で開かれる会議もあるのですが、こちらは11:00頃に突然現れて「今日14:00から会議だから」と召喚状を置いていきます。
「どうしてこの国の人達は、予定を立てることがこんなに苦手なのだろう?」と私は毎回召喚状を眺めながら考えてしまいます。
アポイントメントって、意味知っています?
ラオスで会社を維持するためには、毎年結構な種類と量の書類の提出が必要です。渋々と書類を作成して提出するのですが、担当者のアポを取っていても訪ねてみると担当者不在なことがよくあります。
会議が急に入ることは私も経験しているので理解できるのですが、「アポイントメント」を取っている人間に対して連絡もなく不在にするのには、毎回腹が立ちますね。
時には電話で「明日の何時に来るように!」と向こうから指定しておきながら、不在なこともあるので本当に約束が当てにならないことを痛感します。
まとめ
この記事を書きながら私は「スローライフ」とは「適当に生きる」の同意語ではないかと錯覚しそうになりました。登場するラオス人たちが特別非常識なわけではなく、いたって普通のラオス人なのです。
移住して9年、ラオスとの付き合いは足掛け17年目に突入しますが、今でも時々「イラッ!」、「ムカッ!」とすることはあります。
それでもラオスで生きて行くことを決めた私は、やはりラオスやラオス人が大好きなのでしょう。文化や習慣の違いを乗り越える必要はないと思います。ラオスに生きる日本人としてこれからもこの町で暮らしていきます。
皆さんもぜひラオスを訪れてみてください。
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