海外生活を不平不満なく満喫するには、1つ大切な「秘訣」があると思います。それは自国との違いを楽しむこと、そして慣れるように努力することです。
私の住む中国広東省広州市も、日本の常識とはかけ離れた考えを持つ人や習慣で溢れています。
中国生活1年目の時は、「何で並ばないの?」「何でそんなに大きな声で話すの?」「何でバスの中でイヤホンしないで音楽聞いてるの?」「何で……?何で……?」と正直イライラしたこともたくさんありました。
しかし、それでは自分が疲れてしまうことに気付き、考え方を変えました。そう、違いを「楽しみ、慣れる」ことにしたのです。それ以降、毎日目にするものや体験することが新鮮で面白く思えるようになり、イライラすることも大分減りました。
華南地方である広州市において、私達日本人が慣れる必要がある要素はたくさんあります。中国の「標準語」である普通話とはかけ離れた方言の広東語、偽札、ネット規制、反日感情、気候などです。
この記事では中国・広州の気候について取り上げたいと思います。どの様に日本とは大きく異なるのでしょうか?どのような備えをすべきなのでしょうか?早速ご紹介したいと思います!
広州市は四季ではなく「二季」
春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の雪といった具合に日本は四季がはっきりしています。しかし華南地方にある広州市は「季節は2つしかない」と言っても過言ではありません。夏か冬、それだけです。
春や秋といった、過ごしやすい季節は期間が短すぎて、事実上存在しません。その年にもよりますが、3月末から半袖を着る人が出始め、5月から10月まで日本の夏のように暑い日が続きます。
広州市の夏は本当に暑いです。湿度が非常に高く、不快度数がものすごいです。
そうかと思っていると、11月ぐらいに突然寒い日がやってきたりします。「おっ、いよいよ冬が始まるのか」と冬物をゴソゴソ取り出すと、また夏のように暑い日になったりします。
思春期でもないのに毎朝その日何を着ようか、悩む必要があります。
こんな風に毎日気温が異なる日が続き、そのうちしっかり寒い冬になります。寒さを1ヶ月半程耐えると、また暑い日々の始まりです。
日本から来た人はまずこの気候に慣れる必要があります。広州生活が数年経っても、この気候に体が合わず苦労している友達も何人かいました。
洗濯物が全然乾かない「回南天」
毎年広州市は3月から4月にかけて、回南天(フイナンティエン)という気象現象に悩まされます。
これは、日本で言う梅雨に当たるのですが、初めてこの「回南天」を経験する人は、梅雨とは比べものにならない程の不快感を経験すると思います。湿度が本当にハンパじゃないんです!
あっちもこっちも結露だらけ
まずショッピングモール、地下鉄、マンションの廊下の床という床が、グチャグチャに濡れます。清掃員のおばちゃんが頑張って拭いているのですが、拭いてる先から濡れてしまいます。
さらにひどくなると、家の中の壁にも水滴が付き始めます。これも、拭いても拭いても切りがありません。
そして大量のカビが発生し始めます。水廻りはハイターなどで対処できるのでまだ良いのですが、壁にカビが発生してしまった場合、カビ取りハイターをぶっかけるわけにもいかないので、本当に厄介です。
当然、洗濯物も2、3日干していても、全然乾きません。どんどん着られる服がなくなっていって困ります。
対策としては、エアコンをつけて乾かす方法が1番良いと思います。しかし一日中付けっぱなしにしていないと、すぐに湿気が部屋に侵入して来て意味がなくなってしまいます。この季節は電気代がいつもの何倍もかかりそうですね。
人の体の中も結露だらけ!?
広州人が言うには、この季節は人の体の中にも湿気が溜まるそうです。体が重く、今まで感じたことがないような怠さを感じたり、頭がボーっとしたりしたら要注意です。きっと体の中に湿気が溜まってしまっています。
その湿気を出さないと、冴えない日が何日も続きます。湿気を体外に出す必要があるんです。
広州の人達は、どうやって体の中の湿気を外に出すかというと「特製スープ」や「凉茶(リャンチャー)」を飲んで湿気対策をします。
中国人の友達がさまざまなスープの作り方を教えてくれるのですが、面倒臭くて作ったことがありません。1度挑戦してみようとは思っているのですが……。
スープは美味しいものが多いのですが、リャンチャーはメチャクチャ苦いです。しかも熱々で大きなお椀に入って出てくるので、一気に飲み干すのは不可能です。一口一口ゆっくりと飲む必要があります。
ゴクリ、と一口飲むたびに、あまりにも不味くて鳥肌が立ちます。覚悟して飲んでください。
リャンチャー専門店には、その苦いお茶を飲んだ後のお口直しに、柑橘系の果物の皮の干したものが置いてあります。でもこれもそんなに美味しくはありません。
ある友達が苦いリャンチャーを飲んだ後、あまりにも不味くて、思わずコンビニでチョコレートを買って口直しとして食べていました。
中国人の友達が言うには、そうするとリャンチャーの効果が台無しになるので、やめた方が良いそうです。勇気がある方、ぜひ苦い苦いリャンチャーに挑戦してみてください。
広州市の冬がとっても寒く感じる理由
私は東北地方出身なので、寒さには基本的に強いはずなのですが、広州市の冬はとても寒く感じます。冬になっても気温は大して低くはなりません。特に寒い日でも、5度とかそれくらいです。
午後になって、お日様が出てくると外はポカポカ暖かいのですが、室内がメチャクチャ寒く感じます。その理由は2つほどあります。
暖房が無い
1つは、基本的に室内に暖房が備わっていないということです。興味深いことに広州市で家を借りる場合、基本的に家具を買う必要はありません。冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ベットは大体大家さんの物を使うことができます。
しかし、暖房はありません。なぜなら上でも紹介したように、必要な期間がとても短いからです。
「期間は短くても寒くて耐えられないよ!」と思う人には、小さな電気ストーブやハロゲンヒーターを買うことをおすすめします。エアコンを購入する際に、暖房機能付きにするという手もあると思います。
一方華北のマンションは、全館暖房が備わっている家が多いようです。
以前冬に、中国の北の方にいる友達の家に遊びに行ったことがあります。外は雪がシンシンと積もっていて寒かったのですが、家の中は24時間暖房が効いていて、ポッカポカで半袖で過ごせる程でした。
華北と華南の家の構造の違い
2つ目の理由は、家の造りにあります。華南地方は夏が長いので、風通しの良い家が多いです。室内にいても、どこからともなくスーっと風を感じることがあります。
南の人は風通しが悪い家を「通风不好(トンフォンブーハオ)」と言って、異常なまでに嫌うからです。風通しを良くするためか、玄関のドアを含め全てのドアの下に少し隙間があります。
ここからゴキブリなどの虫が入って来たりするので、私は塞いでいます。風通しの悪い家より、ゴキブリがいる家の方がはるかに嫌です。
話が少しそれますが、ゴキブリを全く怖がらない人も、ここ中国南方にはそれなりにいます。
以前友達の引越しの手伝いをしている時に巨大なゴキブリが出現しました。
ゴキブリは屋外にいて、遠くでガサガサ這いつくばっていたので、それを遠巻きに見ている分には、ちょっと気持ち悪いなと思うぐらいで大丈夫だったのですが、あろうことかその巨大ゴキブリがバサバサと音を立てて飛び始めたのです!
思わず「ギャー!」と大声で叫んで逃げてしまったのですが、それを見ていた中国人の20歳ぐらいの女の子が「何でにそんなにゴキブリが怖いの?」とクスクス笑っていました。
そしてその巨大ゴキブリはその女の子のおじいちゃんに素手で捕まえられ、踏みつけられてお亡くなりになりました。素手っておじいちゃん……。書いていたら光景を思い出してしまったので、この話はもう終わりです。う〜気持ち悪い。
さてさて、家の構造の話でした。華北地方の冬はとても寒いので、暖かい空気を逃さないように、隙間が少なく密度が高い造りになっています。
こうした違いから、華北は外は寒いが家の中は暖か、華南は外がポカポカで室内が寒いということになるわけです。
ちなみに広州市には、「一度も雪を見たことが無い」という人がたくさんいました。そう、1年前までは。昨年60年に1度だかの雪が降ったのです!雪が降ったと言っても、アラレが30分程チラついた程度です。
毎年冬になると雪が3メートル以上積もる東北で育った私に言わせれば、あれは雪ではありませんが、広州人は大喜びでした。
みんな生まれて初めて見る雪に大興奮で、夢中で道路に落ちているアラレ……ではなく雪を掻き集めて、雪だるまを作ったり、雪玉をぶつけ合ったりしてはしゃいでいました。
この30分間に外で起きている「60年に1度の大事件」に気付かず、屋内にいた人達は後でメチャクチャ後悔していました。
広州市で生活するにあたって、これら以外にも慣れるべき要素があります。それはスコールです。次にその点についてご紹介したいと思います。
昼なのに真っ暗!広州のスコール
皆さん、この写真は何時に撮ったものだと思いますか?早朝でも夕方でもなく、昼間の2時くらいです。この暗さ、この世の終わりか!と突っ込みたくなる程すごいですよね。
スコールの前は毎回この闇が街全体を覆います。街全体を見渡せる写真を比較すると、変化がどれ程大きいかが分かります。
※晴れているときの広州市の光景
※スコールが降ってくる直前の写真
雨が降ってくると普通、30分間は雨宿りが必要です。1メートル離れていたら会話は不可能なぐらいドバドバと雨が降ります。時々30分程度では収まらず、2時間以上降り続いて洪水に発展することもあります。
こんな風に水浸しです。
でも広州ではいつものことです。いい加減、排水整備を改善した方がいいのではないかと毎年思うのですが、今のところ特に対策はなされていないようです。
出かけようと思う時に限って、急に空が暗くなり、スコールが降ってくることが多いです。最近では、毎日午後の2時ごろになると決まってスコールです。
でも「今出なきゃいけないのにまたか!」とイライラしても雨が止むわけでもありません。このスコールも慣れるしかありません。
でも慣れるだけではなく、それなりの対策も必要です。私のスコール対策必須アイテムを紹介します!
折り畳み傘
いつスコールに見舞われるか分からないので、私は1年中折り畳み傘を携帯しています。
また広州市では夏の日差しが強いので、日傘としても活用しています。日本にいた時は、「男が日傘なんて……」と敬遠していました。
しかし広州市では、男性が傘をさしていても、誰も何も思わなそうなので、日差しが強い時は躊躇無く活用しています。
サンダル
サンダルといっても、私が愛用しているのは、かかとの付いていないつっかけのような物ではなく、ぱっと見サンダルと分からなそうなゴム製の靴です。中国語では雨鞋(ユーシエ)と言います。
今も履いているユーシエはもう買って5年経ちますが、未だに現役で使っています。これを履いていれば、雨宿りできない時や、水溜りがあちこちにできている時もザブザブ歩けてとても便利です。
こんな人はご注意
広州市の気候は、気圧の変化に敏感な方はしんどいかもしれません。事故でむち打ちになっていたり、頭痛持ちだったりする人は要注意です。むち打ちの知り合いが何人かいますが、皆口を揃えて広州市の気圧の変化は大変だと言っています。
さっきまでお日様カンカン照りだったのに、ものの数分で真っ暗になり、ザーっと大雨が降り、そしてまた強い日差しの太陽が出てくる…。そんな気圧の変化が目まぐるしい毎日だからです。
広州市にお仕事などで来られる予定で気圧に敏感な方は、事前にお医者さんに相談された方がいいかもしれません。
私は特に気圧の変化は何ともないのですが、時々体が怠かったり、夜眠れなかったり、何だか頭が冴えない感じがする時があります。こんな時、中国人の友達の多くは決まって私にこう言います。
「それはきっと天気のせいだ」。最初はみんな冗談を言って、私を励ましてくれているのかと思っていたのですが、実はそうではないようです。気候や天気は人体に大きな影響を及ぼす、ということを広州の地元民達は心得ているそうです。
ですので、広州の地元っ子は比較的若い人でも健康志向だったり、この時期にこの野菜を食べると良いとか、これとこれを一緒に食べると栄養があるとか、食べ合わせにも気を配ったりしています。
まとめ
海外生活には慣れるべきこと、また自国との違いを割り切って楽しむべきことがたくさんあります。
中国広州市の突然のスコールも、うだる様な暑さも慣れてしまえば、何とも思わなくなると思います。事実、以前ものすごい暑がりだった私が、広州に来て数年で、熱帯夜でもクーラー無しで眠れるようになりました。
人間の「慣れる」という能力はすごいですね。未だにゴキブリには慣れませんが……。
中国広州市に来られたら、日本との違いを楽しむ余裕を持って、楽しく刺激的な海外生活を送ってください。
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