日本の首都・東京で社畜生活を送っていた日々。始発で出勤、終電で帰宅し、お日様もしばらく見ていませんでした。
そんな生活から一転、東南アジアの発展途上国カンボジアに転職。待っていたのは容赦なく照りつける太陽と、カンボジア人の屈託ない笑顔、そしてサバイバル生活と言っても過言ではないほどの刺激的すぎる毎日でした。
私がカンボジアに転職し、現地の人と悪戦苦闘する今の生活にたどりつくまでの経緯をお話ししたいと思います。
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カンボジアで働く前は日本でポジティブ社畜
誰よりも早く出勤、誰よりも遅く退勤
日本では大手アパレルブランドの仕事をしていました。いわゆる「社畜」です。といっても決してマイナスの意味ではなく、自ら進んで長時間労働を引き受けるポジティブ社畜。
店舗の運営をしていたのですが、どのスタッフよりも早く到着し、どのスタッフよりも後に帰途に就くという職場大好き人間だったんです。始発で出勤し、終電で帰宅、という日々を送っていました。
太陽を見る時間も寝る時間もない生活
日の出と共に家を出て、帰宅する時はもう真っ暗。日中は屋内にいたため、しばらく太陽を見ていませんでした。
天気だって、よく分からない状態でした。店舗に来るお客様が傘を持っていれば、ああ雨が降っているのね、汗をかいていれば、ああ今日は天気が良いのね、そんな感じです。天気予報もしばらく見ていませんでした。テレビを見る時間なんてなかったからです。
睡眠時間は3時間あれば良い方でした。そんな生活をしばらく続け、さすがにちょっと疲れちゃったかもと、思った時はすでに遅く、心も身体もボロボロでした。
ふとした瞬間によみがえった海外への思い
2月のある晴れた休日。久し振りに太陽が見たくなって、公園へ。
ホットコーヒーを飲みながら日比谷公園の心字池をボーっと眺めている時に「あ、そうだ。私は海外で働きたいんだった。もっと太陽を見ていたい。よし、カンボジアに行こう」と思い立ちます。
学生時代に初めて訪れて以来、ずっと心の奥に隠れていたカンボジアへの思いが、ふとした瞬間に再登場したのでした。
カンボジアを目指して転職活動
コネもなくいきなり途方に暮れる
カンボジアを目標に転職活動を始めたものの、現地にはコネもなく、知り合いもほとんどいません。どうやって仕事を見つければいいの……?方法が全く分からず、転職活動の序盤で途方に暮れます。
相談する相手もおらず、「カンボジアへの転職なんて可能なの?」と、お先真っ暗に。どうしよう、どうしよう……。よし、分からないことは分かる人に聞こう。
「オッケー、グーグル。カンボジアに転職」
日本人向け転職サイトを利用し一気に前進
出ました!「カンボジア 転職」で検索すると、なななんと日本人向けの転職サイトがあるではありませんか。そうしたサイトに飛びつき、そこからは割とトントン拍子でした。
もちろん、周りには内緒で事を進めます。
仕事の合間にSkype面談を受け、メールベースで日本とカンボジア間でやり取り。担当者の方は、なんとカンボジア在住の同世代女性ということもあり、非常に親身になって話を聞いてくださいました。
ブレない決意が必要
複数の日系企業と面談をする中で一番深掘りされたのが、「なぜカンボジアなのか」ということ。
- カンボジアで何をしたいのか
- 日本でのキャリアをストップさせてまでカンボジアに来る意味はあるのか
- 後悔はしないか
などなど。
私にはカンボジアでやりたいことが明確にあったので、ブレることなく決意できました(その話はまた別の機会に)。しかし、中にはやはり内定が決まってから辞退する方もいる様子。
並々ならぬ決意、一生をかけた覚悟。そんなに重々しく考える必要はないのかもしれませんが、やはり海外で働くことは、生半可な気持ちでは実現できないのかもしれないと思いました。
カンボジアへいざ!仕事も住居も全てリセット
私が求めるものは日本にはない
もちろん、そのまま日本で継続的に働き続けて、同じ企業文化の中でキャリアアップを図ることもできました。経済面から考えれば、確実にその方が安定した生活を送れます。
でも、私が求めているのはそういうものではないということが分かっていました。そう、お金じゃない、安定じゃないと思っていたのです。
できることが増えることへのワクワク
都内の賃貸アパートを解約し、たくさんあった荷物も家具も断捨離し、最終的にはスーツケースひとつにまとめました。モノにあふれる生活にピリオドを打つこととなりましたが、そんなに寂しい気持ちにはなりませんでした。
大好きなあのブランドの服がしばらく着られない、お気に入りのレストランに行けないなど、確かに渡航することでできなくなることは多いかもしれません。
でも、今までの自分とオサラバすることで、新しい私にコンニチハできます。できるようになることの方が多い、それに気づいてからは、ワクワクが止まりませんでした。
帰る日の決まっていない渡航
渡航準備期間、といっても、消化できていなかった有休を使った数週間でしたが、日本国内の会えるだけの恩人・友人に会いに行き、食べられるだけの日本食を食べ、これでもかというほどアクティブに動き回りました。
その時ほど、普段は当たり前過ぎて感じられない、生まれ育った国への愛を感じたことはありません。
学生時代、そして社会人になってからも時々、いろいろな国や地域をバックパックひとつで周りました。東南アジアをはじめ、東アジア、アフリカにも行きました。でもそれは、あくまで旅行。帰る日程の決まっているものです。
海外就職・海外生活では、帰る日なんて決まっていません。カンボジア出発の日の朝。片道航空券を手に、成田へ。その時、バスの窓から見た朝焼けを私は一生忘れません。
いざ、カンボジアへ。
カンボジア人と働いてみて日本人との違いを実感
首都プノンペンでカンボジア人と一緒に仕事をしてみて、彼らのことを宇宙人かと思いました。何を考えているのか、何をしたいのか、全く分かりません。予想すらつきません。
でも、すぐに気付きました。おそらくカンボジア人にとっても、私は宇宙人に見えるんだろうなと。
カンボジア人のゆったりペースに違和感
つまり、カンボジア人と仕事をすることは、宇宙人と仕事をすることと言い換えてもいいかもしれません。全く異なる環境下で生まれ育ち、全く異なる価値観で物事を考え、全く異なるパターンで行動する彼ら。
一緒にご飯を食べに行く、一緒に遊ぶというのなら大丈夫。でも、一緒に仕事をするとなると少し話が違います。
正直、なかなか慣れませんでした。ましてや日本でポジティブ社畜をしていた私としては、多くのカンボジア人が積極的に無意識的に実践しているゆったりまったりペースに、全くついて行くことができませんでした。
でも、慣れとは怖いもので……。今ではむしろ、自分の感覚が日本社会への復帰に困難を来すだろうと感じています。
みんな違って当たり前
外国で、外国人と、外国語を使って、外国文化の中で仕事をする。我ながら、なかなかすごいことをしているなと思う時も多々あります。
決して一括りにすることはできませんが、仮に日本人枠とカンボジア人枠の2つがあるとしたら、その2つの枠が完全合致することはないと思います。
お互いに認知することはできても、完全に理解することは難しいのかもしれません。相互理解をするには、あまりにも2つの枠は中身が違い過ぎます。
無理に理解しようとして結果的に理解不能に陥るよりも、根本的に異なるものだと認知しているくらいがちょうどいいのかもしれません。どうしても受け入れるのが難しいことというのはお互いにあると思うので。みんな違って、みんな良いんです。
何事もやってみなければわからない
海外旅行と海外生活の違い
海外旅行はその国の良い面を知る経験、海外生活はその国の悪い面を知る経験というのはよく言われることです。確かにそうかもしれません。生活するということは、良いことばかりではありません。旅行者が見なくて済む場面を生活者は受け入れる必要があります。
しかし、逆に考えれば、その国のことをそんなに深く知れる機会なんて他にありません。ガイドブックの情報よりもリアルな情報を身をもって知ることができます。こんな貴重な経験を日常的にできるなんて、この上ない幸せだと思いませんか?
体験してみて初めて分かる「無理」「最高」
カンボジアのような東南アジアの発展途上国での生活は、ある人にとっては「無理ー!」となってしまうかもしれません。私の周りにも、もちろんそうなってしまった友人はいます。彼らは生まれ育った国へ戻って行きました。
でも、それはそれで良いと思うんです。なぜなら、実際にやってみて「無理」ということが分かったのですから。何事もやってみなければ分かりません。
反対に、「無理ー!」と思いつつやって来た人が、「最高ー!」となるケースもあります。自分の中の未知の部分を知れたような気がして、なんだか面白いですよね。
半分カンボジア人になりつつある私
ちなみに私の場合は、「最高ー!」になると信じて来て、実際に「最高ー!」です。本当に、来て良かった。決断して良かった。今となって振り返って見ると、そんなに大きな決断ではなく、必然だったのかもしれませんけどね。
そろそろ、カンボジア在住3年目に突入しようとしています。住めば住むほど、この国の魅力にハマっています。
もちろん、時には生まれ育った故郷を恋しく思うこともあります。でも、少なくとも今は、できる限り長くこの国で、この街で生きていこうと思っています。そう、半分日本人、半分カンボジア人になりつつある状態です。
まとめ~日本では経験できない何かがある
日本の首都でポジティブ社畜を経験した私が、カンボジアの首都でゆったりまったりローカル社員達と一緒に仕事をする。前者も良い経験でしたが、後者もなかなか悪くありません。
発展途上国への転職はあまり良いイメージがないかもしれません。給料は下がり、インフラには満足できず、生活する上で色んな我慢をすることになります。
でもここカンボジアには、ずっと日本にいたら絶対に経験することのできない何かが確実にあります。その何かを経験するのか、それともしないまま終わるのか、どちらになるのかはあなた次第です。
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