海外で長く生活していると、思いもかけないトラブルやハプニングに遭遇します。フィリピンの英語学校で働く私も、日本では考えられない数多くの“事件”にあってきました。
そのほとんどは、日本人とフィリピン人の考え方や価値観の違いが原因なのですが、誰が悪いという問題ではないので、なんだか笑ってしまうようなものばかりです。
ここでは私が経験したものの中から、特に印象的でかわいらしいエピソードをいくつかご紹介します。
フィリピン人は職場であっても行事が大好き
私が働く語学学校では、定期的に出し物が行われます。内容は、英語でのプレゼンテーション大会やスポーツ大会など様々です。これらの出し物を考えるのは全て講師に任されており、月に1回の頻度で開催することになっています。
しかし、楽しいことが大好きなフィリピン人なので、気がついたら2週間に1度のペースで何かが行われるのが通常となってしまいました。お陰で学校はいつも賑やかで活気にあふれています。
フィリピン人らしいと思ったエピソードです。
フィリピン人が企画した会社のパーティーは規模が桁違い
つい2ヶ月前に私の勤める会社が4周年記念を迎え、大きなパーティーをすることになりました。
3周年記念のパーティーは日本人マネージャーが全ての流れを考え、一流ホテルで行いました。しかし、なぜか今回の4周年記念はフィリピン人マネージャーに一任することが社内で決定します。
予想外のスケールに
先の項目で述べたように、フィリピン人はイベントが大好きで、お祝い事も大好きです。いつも全力で楽しみ、子供のようにはしゃぎます。そんなフィリピン人に頼んだので、パーティーは予想を大幅に超えて、かなり大掛かりなものになってしまいました。
参加者は社員だけでなくその家族も含めた200名ほどで、料理はプロのシェフを呼び寄せたブッフェスタイル。カラオケ大会やダンス大会もありました。結構な費用がかかってしまいましたが、社長もこれには文句を言えず、苦笑いです。
遊ぶ時は全力で遊ぶのがフィリピンスタイル。シャイな日本人とは異なる点です。
フィリピン人は仕事よりも人間関係が大事
ある日、フィリピン人講師10名以上が昼食休憩から15分経っても帰って来ないことがありました。生徒さんが授業を待っており、何か事件に巻き込まれたのではないかと、こちらは大パニックです。
結局、彼らは20分以上遅れて戻って来ました。事件にあったような感じには見えません。「どうしたの?」と聞くと「渋滞で帰って来られなかった」
でも、いくら渋滞で時間がかかろうと遅刻は遅刻です。きちんと時間内に帰って来ないといけないじゃないかと怒ろうとすると、「今日はこの子の誕生日で、そのお祝いに昼食をショッピングモールで一緒に食べていた。だから仕方ない」
怒るに怒れない雰囲気
すると、周りにいたフィリピン人講師やオフィス内のフィリピン人も「なんだ、それなら仕方ないか」という雰囲気に。もうこうなったら怒るに怒れないムードです。
仕事よりも重要な人間関係と、自分たちではどうしようもない渋滞による遅刻は、彼らにとって叱られるような行為ではなかったようです。
ここで日本の価値観を押し付けることもできますが、言い争いをしたところで彼らの根底の考え方は変わりません。そのため、今後は遅刻はしないようにと釘を刺すのみで終わらせました。
フィリピン人にとってクリスマスは1年で最大のイベント
「Ber Month」という言葉を知っていますか?これは、英語で9月から12月の○○ber(September等)がつく4ヶ月間を指します。フィリピン人にとってこの「Ber Month」は「クリスマスシーズン」を指す言葉として使われます。
フィリピン人にとってクリスマスは1年の最大行事です。なんと「13ヶ月目の給料」として、12月には2倍の額の給料が支給されるほどです。
それだけ大きなイベントなので、「Ber Month」に入るとフィリピン人は何だか上の空でそわそわしています。ショッピングモールにはカウントダウンの日にちが貼り出され、クリスマスまで100日を過ぎると彼らの話題はどんなパーティーをするかで持ちきりです。
怒る理由もクリスマス?
ある「Ber Month」の時期、私が仕事で大きなミスをしてしまいました。全社員が集められ、状況と対応の説明がありました。
するとフィリピン人全員から、「Ber Monthなのに何をやってるんだ、クリスマスパーティーに影響したらどうするんだ」と、予想外の理由から激しく怒られたのです。もうそれは、今までの彼らとは比べものにならないくらいの怒りでした。
私はもちろん反省していましたが、「あぁ、なんだかフィリピン人らしい怒り方だな」と第三者的な目線でいたのを覚えています。
“トラブル”を引き起こすのはフィリピン人だけじゃない
最後に、フィリピン人ではなく英語を勉強しに来ている生徒さんによる困ったエピソードをご紹介します。
私の働く語学学校では、生徒さんの多くが初海外や初フィリピンの人ばかりです。その慣れない環境で英語を勉強しているとやはりストレスを抱えるようで、中には泣きながらオフィスに駆け込んでくる生徒さんもいます。
よくよく理由を聞いてみると、英語が分からなくてショッピングモールで何も買えない、怖くてどこにも外出できないなど、英語が原因の問題ばかりです。
スタッフの私たちが買い物について行くわけにはいかないので、「ここは英語の国で、英語ができないと生きていけません。強くなりましょう」と励まします。
まとめ~お互いに認め合い理解し合うことが大切
海外では、現地の人にとってOKであることが日本人にとってはタブーなこともたくさんあります。逆に、日本人はついやってしまうけれども、その土地の人にとっては絶対にしてはいけないようなこともあります。
そういったバックグランドの違いから生じるトラブルに直面した時は、ぶつかり合うのではなくお互いに理解し合うことが大切です。さらに、会社としてはどちらの価値観で行動するのかを決め、全員に周知することが重要だと私は思っています。
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