私は2006年から2008年初頭にかけて、モロッコのマラケシュでタイマッサージ師として働いていました。
マラケシュにあるタイマッサージのスパで働くことになったのも、さまざまなきっかけが重なりあったからです。マラケシュで出会った仕事と、雇い主の迅速な決断力は他の国では見た事のないものでした。
突き抜けるような青空と、プラスチック製品を数日でバラバラに分解する威力のある強い太陽光のふりそそぐマラケシュで、ダブルワークをすることになったきっかけとその探し方をご紹介します。
タイマッサージスパを履歴書持参で訪問
2005年にタイでマッサージ教師の資格のコースを終えて、すこしのんびりしようと2006年にモロッコのマラケシュに行きました。
すると、レストランでよく会うフランス人から、マラケシュ近郊にタイマッサージスパをオープンさせようとしているフランス人がいると聞き、これはチャンスかもしれないと思いました。
早速インターネットカフェで英語の履歴書を作り、卒業証明書を持ってオープン前のスパに行くと就業予定のタイ人女性とオーナーがおり、ものの30分で採用が決定。
まだ営業状況が分からないということで、とりあえず週末の午後だけの出勤となりました。完全歩合制で、1時間のマッサージごとに200DH (1USDは 約0.11DH2006年の平均値、だいたい日本円で2,300円位)でした。
休暇中の滞在先でも営業
働く事になったものの、週末の午後のみの仕事なので、大分ゆったりした生活でした。空いていた平日は、マラケシュ近郊にあるウーリカという村や、近郊の港町であるエッサウィラにちょっとした旅行をしていました。
エッサウィラは2001年に世界遺産に指定されています。かのジミ・ヘンドリックスが滞在したこともあるという、音楽に関わりの深い土地柄で、美しい港町なこともあって、観光客がとても多く、ホテルもたくさんあります。
新しい仕事場から名詞を作ってもらっていたので、マラケシュのマッサージスパのフライヤーを観光客が集まるホテルやカフェに置いたり名詞を置いたりしていると、直接マッサージの依頼が来る様になりました。
マラケシュにいなくとも仕事ができることがわかったので、オーナーと連絡をとりつつ、旅行先で滞在を伸ばしながら営業をしていました。
1度旅先でマッサージをすると、口コミで次々予約が入ったり、マラケシュ在住でエッサウィラで休暇を過ごしていた外国人が後日マラケシュのスパに来てくれたりしたので、仕事の成果を感じられてとても嬉しかったです。
時間の上手な使い方を計算
マラケシュの活力には目を見張るものがあります。
毎日繰り出されるマーケットや夕方になるとごった返すジャマエル・フナ広場にでかけたり、近所の人懐っこいくったくのない笑顔の子供たちと戯れているとあっという間に1日が過ぎて行きます。
しかし、週末の午後のみの仕事ではさすがに時間がありあまり過ぎてちょっともったいないと感じる様になりました。
それから1ヶ月ほど、平日にお客さんが多くて緊急で呼び出される回数を平均して見てみる事にしました。水曜は割と1日中スパにいることがわかったので、月火木でできるなにかを探す事にしました。
自分のスキルをリストアップ
副職をしていいか、オーナーに確認を取った後、仕事ができる時間が分かったので、自分のできることをリストアップしてみました。
日本語、英語の通訳はできても、モロッコで観光業をするには免許が要ります。日本語が達者なモロッコ人も多いですし、なにせ私はモロッコを案内するには到着してから日が浅すぎるので、案内はできそうにありません。
ボランティアは各分野で募集があったものの、せっかくなので実入りのする仕事がしてみたかったので、それも見送りました。
一応大学も文学部を出ているし、日本語教師はどうだろう、と思いついた時、自宅からスパの間に語学学校があることを思い出しました。
あっさり一件目で決まったダブルワーク先の語学学校
毎日通る道でもいきなり露店がでていたりするのもマラケシュの良い所です。いろいろな職業があるのだな、私もチャレンジしてみよう、という気になります。
マッサージの仕事に少しなれてきた3ヶ月目の水曜、スパに緊急で呼ばれた帰り道にお目当ての語学学校に寄ってみました。日本語のコースがあるか受付で尋ねると、丁度学校長がいるから少し待つように言われました。
とても気さくなモロッコ人の学校長は、開口一番で「じゃあ来週月曜から週4日、2時間ずつで」と言いました。
1時間160DH×2時間、生徒は実はもう集めてあって、どうしようかと思っていたそうです。
自己紹介を終え、一応日本語教師は初心者だということを伝えましたが、「モロッコ人の自分より日本語について知っているだろう?」と言われYesと答えると「じゃあよろしく」と笑顔で言われ、思わずこちらも笑って了承しました。
その日からインターネットで日本語初級講座を必死に調べ、晴れて翌月曜日には先生と呼ばれることになりました。
2週目には生徒が56人に!
1クラス目の生徒の内、2人は学校長のお子さんでした。14歳と17歳の2人とも漫画が大好きで、日本語講座を設ける様に父親にずっと頼んでいたそうです。
モロッコの口コミの威力はゴールデンタイムに流すCM以上です。口コミで日本語講座が始まったと広まったそうで、7人だった生徒が2週目にはなんと56人になりました。
授業の準備、テストの作成と、スパの仕事とのかけもちで、一気に自由時間はなくなりましたが、現地の人とより深い交流ができるようになったので、とても充実していました。
まとめ
海外で働くまでは、日本以外で働くには色々な準備や手続きがあって大変なのでは、と想像していました。実際働いてみると、言語や文化の違いこそあれ、仕事は仕事、やるべきことをこなして行けば感謝とお給料が貰えるんですね。
モロッコでの仕事を思い出すと、モロッコ人たちの気ままな仕事の仕方から、むしろ日本で仕事をできていたらどこの国でも通用するのでは、と思う事も多々あります。
思い立ったらすぐ行動、面接に行くだけでも異文化に触れることはとても刺激的で、よい思い出となります。旅先で気になる仕事を見つけたら、とりあえず話だけしに行くのもその後に繋がる良いきっかけになると思います。
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