※桃源郷に例えられるバンビエンの景色はため息が出るほど美しいものです。
ラオスの首都ビエンチャンから北に約150キロ、古都ルアン・パバーンからも南に約170キロという中間地点に位置するのがバンビエンです。
ベトナム戦争時代には米軍の基地「リマ・サイト6」が置かれ、2000年代初頭には手頃な価格で泊まれるゲストハウスが増え始め、一部の旅行者たちからは「バックパッカーの聖地」と呼ばれていました。
この町は景勝地としても有名で、ドラゴン・ボールの景色がある町としても知られています。
そんな旅行者が多い町バンビエンを紹介します。
バンビエンが旅行者が多い町になった理由とは?
※パンクで車両がストップするは日常の風景です。
私が初めてバンビエンに足を踏み入れたのは2000年7月でした。ラオスを訪れた理由は「バンコクを基点にインドシナを反時計回りに回るルート上にラオスがあったから」程度のものでした。
南ラオスにエントリーし、首都ビエンチャンで数日過ごした後ルアン・パバーンを目指して北上するためにバンビエンに立ち寄ったのが最初です。バンビエンに立ち寄った理由も「バスが止まるから」でした。
現在はビエンチャン~ルアン・パバーン間の直通バスが運行しているのですが、2000年当時はビエンチャン~バンビエンが約8時間、バンビエン~ルアン・パバーンは約12時間のバス移動でした。
未舗装路が多く、バスも動いているのが不思議なくらいの骨董品揃いでした。
上り坂は歩く方が速い?のではないかと思う程のスピードしか出ないという交通事情もあり、中間地点のバンビエンには好む好まざるを問わずに1泊せざるを得なかったのです。
こうしてラオスを北上する旅行者も、南下する旅行者も共に集まるのが当時のバンビエンでした。
2000年代初頭のバンビエンとは?
2000年当時のバンビエンは町中に舗装道路が無く、街灯も皆無で15軒弱のゲストハウスと20軒程度の食堂があるだけの小さな田舎町でした。
20:30~21:00には町中のお店が閉店し、ゲストハウスのパブリックスペースで集まって酒盛りをしていても22:00にはビレッジ・アーミーと呼ばれる武装した自警団が巡回で回ってくるので強制終了になります。
外で集まっている我々に「もう部屋に戻って寝てくれ!」と警告し巡回を続けます。警告を聞かずに宴会を続けると3度目の警告辺りで、自警団が自動小銃に手を掛け「ガチャリ、もう寝ろ!」と最終勧告を受けて座はお開きになる毎日でした。
当時は山賊や反政府ゲリラの襲撃が起きていたので、自警団が朝まで町中の巡回をしている状況でした。
桃源郷!?バンビエンの魅力とは?
※竹で作られた橋は川の水が少ない乾季限定です。安全基準は?誰も特に気にしていません。
強制的にお開きになった宴会の後はやることも無く、寝るしかありません。日本での生活では考えられない程の早寝をすると、翌朝信じられない時間に目が覚めてしまうものです。
持ってきた小説も何度も読み返してしまい部屋の中では退屈でしょうがないので、朝日が昇り始めるタイミングで外出します。
現在はラオス人も随分と宵っ張りの朝寝坊になりましたが、2000年当時は日の出前から町が動き始めていました。
現地人のお母さんたちが集まるマーケットを冷やかしながらしばらく歩くと対岸の山が見えるのですが、暑い時期には濃い朝靄がかかって視界が良くありません。
朝日が昇ってくると朝靄がサッと晴れ多くの旅行者が「ドラゴン・ボールの景色」と表現する山々が姿を現します。
バンビエンの魅力とは?素朴な住民たち!
特別これといった産業がある訳でもないラオスですが、バンビエンには中国資本で建てられたセメント工場(5,000キップ札の裏面に印刷されている)があり、地元での雇用が発生しています。
また観光業の収入もあるため、田舎の割には比較的裕福なエリアだと言えます。自分たちが食べる分の主食のもち米は自分の田んぼで収穫できる家庭が多いことで、気持ちに余裕があるラオス人が多いようです。
これが理由なのかは定かではないですが、バンビエン人はビエンチャンやルアン・パバンのラオス人よりも摺れていないように感じます。典型的ラオス人気質というのか、とにかくノンビリとしていて気の良い人間が多い気がします。
このバンビエンの魅力に惹かれて、何度もバンビエンに足を運ぶ旅行者も多いようです。
バンビエンへのアクセスは?
2000年初頭のラオス国内は道路や車両の状況も悪く、移動には絶望的に長い時間が必要でした。近年道路は舗装化が進み、コンディションの良いバスの中古車が韓国から輸入され、ラオスの移動が快適かつスピーディーになりつつあります。
ビエンチャン方面からのバンビエンへのアクセスは?
ラオスの首都ビエンチャンからバンビエンへは非常に多くのバスが運行されています。
ローカルバスを利用する場合、ビエンチャン空港の北側にある北バスターミナルからバンビエン迄のバスが出ています。
路線バスは1日6本程度(2017年11月現在の運賃:40,000キップ)運行されていますが、乗客が少ない場合便数が減ることもあります。
ミニ・バンと呼ばれるワンボックスカーの乗り合いタクシーは、乗客が集まり次第の出発ですが20~30分に1本程度(2017年11月現在の運賃:50,000~60,000キップ)の割合で運行しています。
旅行者にとって最も使い勝手が良いのは、ツーリストエリアの旅行会社が運行しているツーリスト・バスでしょう。午前便と午後便の1日2便(運賃:50,000キップ程度)を2~3社が運行しています。
ツーリスト・バスはビエンチャン~バンビエンを3.5~4時間で結びます。
ルアン・パバーン方面からのバンビエンへのアクセスは?
ラオスの古都ルアン・パバーンからもバンビエンに向かうバスが数多く運行されています。
3.5~4時間で結ぶミニ・バンは4年ほど前に開通した新道を利用し、VIPバスと呼ばれる大型バスは旧道を利用するので7時間ほど時間がかかります。
ラオスの景色を眺めながら移動を楽しみたい方にはVIPバスがおすすめです。道中幾つもの少数民族の集落を通り抜けながら走ります。
ルアン・パバーンは一大観光都市なので、運賃が乱高下し安定しないのでここではふれません。サッカリン通りのツアーデスクや宿泊した宿で手配してもらいましょう。
バックパッカーの聖地からネイチャー・リゾートへ、バンビエンの観光情報
バンビエンには博物館やナイトバザール、モニュメントなどの特別な観光スポットが存在しません。
バンビエンにあるのは雄大な自然と、体を使って自然の中で楽しむアクティビティで、近年はバックパッカーの聖地から「ネイチャー・リゾート・バンビエン」へと徐々に変化しています。
町の中心を流れるナム・ソン(ソン川)を挟んで見る雄大な景色は一見の価値がありますし、古くから伝わるアクティビティ「チュービング」はバンビエン名物といえるでしょう。その内容は次の項目で詳しく説明します。
ネイチャー・リゾート・バンビエンではなにをして過ごすか?
※観光気球テイクオフです。風に乗って進むので気球の中は無風なんですよ。
近年数多くのアクティビティが登場しネイチャー・リゾートに変貌しつつあるバンビエンで楽しめるアクティビティは次のとおりです。
チュービング
トラックのタイヤに使用する大型チューブをナム・ソンに浮かべ、チューブに乗って5キロ程川下りをします。
川の水量が少ない10月下旬~4月中旬の乾季には3時間程掛かりますが、4月の下旬~10月上旬の雨季には水量が増えるため同じコースを数十分で流れ落ちます。
「これをやらないとバンビエンは語れない」と言われるほどの、バンビエンの名物です。
- 参加料金(参考価格):55,000キップ(約7ドル)+デポジット60,000キップ(約7.5ドル、チューブを無くさなければ返却されます。)
- 料金に含まれるもの:チューブレンタル、スタート地点までのトランスポート
トレッキングツアー
ソン川を挟んだバンビエンの対岸に見える山でトレッキングができます。半日コースから2泊3日のキャンピングコースまでコースは様々で、体力と旅程に合わせたコースを選ぶことが可能です。
- 参加料金(参考価格):1名参加30ドル、2名参加@19ドル×2
- 料金に含まれるもの:昼食、おやつ
カヤッキング
ソン川をカヤックで下ります。コースによっては25キロにも及ぶロングコースでバンビエンの自然を満喫することもできます。トレッキングとカヤッキングをパッケージにした1日コースもあり、人気が高いようです。
- 参加料金(参考価格):7キロコース1名参加15ドル、2名参加@13ドル×2
- 料金に含まれるもの:スタート地点までのトランスポート
ロック・クライミング
ラオスの桂林と呼ばれる景勝地でもあるバンビエンでは、そそり立つ岩山を利用してロック・クライミングを楽しむこともできます。経験がない方でもロック・クライミング・スクールに参加すればクライマー・デビューすることができますよ。
- 参加料金(参考価格):全日30ドル、半日25ドル
- 料金に含まれるもの:ギアレンタル費用、クライミングポイントまでのトランスポート
サイクリングツアー
自転車好きな欧米人観光客が多いせいか、バンビエンはレンタル自転車が豊富です。気軽に乗れるシティー・サイクルから本格的なマウンテン・バイクまで選べます。大自然の中をサイクリングするのは気持ちの良いものですよ。
- 参加料金(参考価格):25ドル
- 料金に含まれるもの:自転車レンタル費用、指定洞窟入域料
バイク・ツーリングツアー
自分の足でバンビエンの自然を走破するのも気持ちいいですが、交通量の少ないラオスでバイクに乗るのも良いものです。
南に25キロ程走ればナムグム・ダム湖畔の漁師町、北に75キロほど走れば知る人ぞ知る温泉(ぬるめですが)があります。バイクでなら足を延ばすことができる場所だと言えますね。
- 参加料金(参考価格):35ドル
- 料金に含まれるもの:バイクレンタル費用、燃料代、指定洞窟入域料
ケイビング
バンビエンには観光開放されているだけでも、30近くの洞窟が存在します。その洞窟を探検するケイビングは欧米人旅行者に人気のアクティビティです。サイクリングやバイク・ツーリングがてら洞窟を回るのも楽しいものですよ。
- 参加料金(参考価格):2ドル(1洞窟、1名)
観光気球
バンビエンの雄大な景色を大空から見下ろす大パノラマは壮観です。観光気球にありがちな地上とロープで繋がったアドバルーン的な気球では無く、風を探して上下する本格的な気球フライトを楽しめます。
サンライズ・フライトとサンセット・フライトの1日2便、最大4つの気球が上空に出現します。
- 参加料金(参考価格):1名90ドル(飛行時間40~50分)
パラ・モーターやモーター・グライダー
気球は進路が風任せな面がありますが、パラグライダーやハングライダーにエンジンがついたものなら自由自在に飛ぶことができます。
パラ・モーター、モーター・グライダー共に熟練インストラクターが操縦しますので、乗客は上空からの航空写真を取っていればOKです。
- 参加料金(参考価格):1名90ドル(飛行時間30~40分)
このようなアクティビティがバンビエンで待ち受けています。連泊しないと全てのアクティビティを制覇することはできません。ジックリとバンビエンと向き合ってみるのも良いのではないでしょうか。
ネイチャー・リゾート・バンビエンの宿泊施設の状態は?
※ナム・ソン沿いの高級ゲストハウスです。右側のコンビニチックな売店は日本のコンビニとは異なります。
2000年には15軒ほどしか無かったバンビエンの宿泊施設ですが、現在300を超える宿が存在します。リゾートホテル、エコノミーホテル、高級ゲストハウス、ドミトリー宿など全ての種類の宿泊施設が揃っている状態です。
ビエンチャンやルアン・パバーンと比べると、各施設共にリーズナブルな金額で利用できます。来訪者数に対して宿泊施設が完全に供給過剰な状態なので、旅行者にとってはお得な環境になっています。
宿泊代金はリゾートホテル60ドル~、エコノミーホテル30ドル前後、高級ゲストハウス25ドル前後、ドミトリー宿7ドル前後だと考えれば大丈夫です。
予約サイトは確かに便利ですが、ウォークインで部屋の状態を確認してから直接交渉することをおすすめします。よりお得に利用出来る可能性がありますよ。
ネイチャー・リゾート・バンビエンの御食事処の状態は?
※鶏の丸焼きです。1羽10ドル程度で食べられますが、1人では持て余しますね。
町中の至るところに飲食店が存在するバンビエンで、食事を取るのは難しいことではありません。ナム・ソン沿いの大型レストランは朝食や昼食時の利用が良いでしょう。雄大な景色を楽しみながら食事をすることができます。
夕食時は川が近いことから蚊や色々な虫が、店の照明に引き寄せられて集まるのでおすすめできません。
バンビエンではイタリアン、フレンチ、インディアン、中華、韓国料理などが楽しめます。
ローカルレストラン風の食堂も沢山あります。味付けはどの店も同じようなものなので、大失敗することは無いですから、安心して下さい。
変り種では豚やアヒル、鶏肉を炙ったバーベキュー屋さん、早朝から町の中心部で売られている朝粥、バンビエン名物と言えるほどに普及したフランスパンのサンドウィッチでしょうか。
少々値段が安いからと言って流行っていない店を選ばない限り、お腹を壊した話は耳にしません。
多くの旅行者のお腹の調子が悪くなるのは「不衛生な食べ物だなぁ」と思いながら食べる神経性のものや、唐辛子タップリ(ラオス人は激辛好きが多いので)のものを食べて刺激が強すぎた場合が多いようなので気を付けましょう。
ネイチャー・リゾート・バンビエンの楽しみ方とは?
※入浴中の水牛たち!気持ちよさそうですね!!
ラオス全般に言えることですが、特にバンビエンは博物館やアミューズメント・パークなどの施設がないので「受身の旅行」では楽しめないかもしれません。
日中は積極的にアクティビティに参加して、クタクタになるまで遊びまわるのがバンビエンの楽しみ方です。この町に来たからには童心に返らないと損をします。
ゆっくりと過ごしたい方は、眺めの良い宿を取りましょう。自室のテラスから望む景色は写真ではなかなか伝わらないので、スケッチブックにスケッチしてみては如何でしょう。
実際に「社会に出てからは忙しくて筆を持つことが無かったけれど、ここの景色は是非描きたい。」と画材を持って再訪し、何度もリピートする定年退職した日本人男性もいます。
激しい動のアクティビティと、ゆったりとした静のアクティビティ、どちらを選ぶにしろ自分の興味のある物事に対して「攻めの旅行」にする必要がありますね。
まとめ
バックパッカーの聖地からネイチャー・リゾートへ、大きく変貌しようとしているバンビエンを紹介しました。2000年代初頭と比べると町は大きくなり、近代化が進んでいます。
それでも町の中心を離れると素朴な村の面影が色濃く残っています。バンビエンは宝探しの町のようなものです。
自分の目で確かめながら歩くことで、きっと自分だけの素敵な風景を見つけることができるでしょう。是非バンビエンに足を運んでみてください。
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