ミャンマーの最大都市ヤンゴンにあるシュエダゴン・パゴダ。ミャンマーを訪れるなら一度は参拝してほしい仏教寺院です。黄金の板で覆われたパゴダ(仏塔)、そしてパゴダの先端部分には4,351個ものダイヤモンドが散りばめられています。
シュエダゴン・パゴダの荘厳さを一言で表現するのはとても難しいです。個人的には「とにかく、美しい。見る者の心を穏やかにしてくれる。」そのように思います。
今回はシュエダゴン・パゴダの紹介と参拝のマナーについてレポートします。
シュエダゴン・パゴダ参拝【基本5原則】
※座っている方々はミャンマーの尼僧です。青い民族衣装の女性は一般の参拝者と思われます。
シュエダゴン・パゴダは「寺院」である
シュエダゴン・パゴダは上座部仏教の歴史ある寺院です。ミャンマー国民の90%が上座部仏教の信徒です。早朝から夜遅くまでシュエダゴン・パゴダを参拝する人は絶えることがありません。
ミャンマーの隣国、タイを始め、海外から「巡礼の旅」としてシュエダゴン・パゴダを参拝する信徒も多く見られます。
外国人はパゴダの入場口で拝観料を支払います。拝観料を支払うと「拝観料支払い済」のチケットやステッカーを渡されますので、なくさずに持ち歩きましょう。
ステッカータイプのものは上着やバッグなど目立つ位置に張り付けるといいでしょう。
入場口から中に入っていくと広い円形の広場につながります。ここがシュエダゴン・パゴダの境内です。黄金のシュエダゴン・パゴダを中心にぐるりと1周できる広場を人々は参拝します。
境内には大小様々な仏像が安置されており、信仰の対象となっています。大きな菩提樹の木、瞑想を行うスペース、休憩所もあります。
必ず裸足になること
シュエダゴン・パゴダに限らず、ミャンマーではパゴダに入るときは必ず裸足になります。土足はもちろんのこと、ストッキングや靴下を履いて中に入ることも許されません。参道から裸足にならなくてはなりません。
「靴を脱ぎ、裸足になるように。」という注意書きが書かれた看板が置かれている場所もありますが、中には注意書きの看板が置いておらず、どこからが参道なのかわかりにくいところもあります。
パゴダ参拝に観光ガイドが同行する場合は問題ないかと思いますが、個人でパゴダ参拝をする方は注意してください。
どこで裸足になったらいいのかわからない場合は、必ずパゴダの係員や警備員に確認を取りましょう。
このようなことから、パゴダ参拝の予定がある場合は男性も女性もサンダル履き(特に素足で!)で出かけることをおすすめします。
脱いだ履物はビニール袋などに入れて他の荷物と一緒に持ち歩き、パゴダ参拝終了後に履きなおします。車で出かける方は車内に履物を置いていくと荷物が少なくなるので便利です。
パゴダ参拝後、足の裏の汚れが気になるようでしたら、ウェットティッシュや濡らした雑巾などで足の裏の汚れをふき取ると良いでしょう。
服装について
これはパゴダを参拝する外国人が気になるところではないかと思います。Tシャツ、スーツなどの洋服での入場は問題ありません。外国人であればパンツスタイル(ただし、ロングパンツ)でも問題ありません。
しかし、肌の露出度の高い服装は男性も女性も避けましょう。ハーフパンツ、タンクトップ、ミニスカート、キャミソール、透け感のある服装、身体のラインがはっきりと出る服装は好ましくありません。
また、宗教的なメッセージ、宗教的シンボル、仏教に関連するモチーフが使われている服を着て入場することは禁止されています。
タトゥーにも気を付けまけしょう。タトゥーのある方は周りの人からタトゥーが見えないように隠すと良いでしょう。
服装について迷ったら、男性なら日本の会社員の「クール・ビズ」のようなファッションなら問題ないと思います(例:上は半袖シャツでノーネクタイ。下はパンツスタイル)。
女性の服装も同じです。シャツやスカート、パンツ丈と透け感に注意すれば問題ありません。
私はパゴダ参拝の予定がある場合はできる限り、ミャンマーの伝統衣装ロンジーを履いて出かけています。外国人参拝者にロンジー着用の義務はありませんが、個人的にパゴダとミャンマーに敬意を表したいので、そうしています。
私は洋服でパゴダに参拝するときはいつもロングスカートを履いていきます。トップスはTシャツかブラウスです。羽織ものは夏用のカーディガンやストールがおすすめです。
ロングパンツでパゴダに出かけたこともあります。外国人女性であればパンツスタイルでの参拝が認められています。身体のラインが出るスキニージーンズ、透け感のあるパンツスタイル、カジュアルすぎる服装を避ければ特に問題ないと思います。
服装に問題があると最悪の場合、パゴダ参拝が叶わないこともあります。パゴダ参拝前に資料等で最新情報を確認しましょう。
一部女人禁制エリアあり
シュエダゴン・パゴダ境内のパゴダ(仏塔)の中心部付近に「女人禁制エリア」があります。この場所には男性しか入ることができません。
最近では内部の様子が外部に設置されているモニターに映し出されるようになりました。女性はモニターを通してお祈りをすることができます。
パゴダは時計回りで参拝
シュエダゴン・パゴダを中心に東西南北にそれぞれに入り口があります。パゴダは時計回りで参拝します。どの入り口から入っても時計回りで境内を歩きます。
シュエダゴン・パゴダ参拝の時間帯【午前編】
午前中にパゴダを参拝する方には早朝参拝をおすすめします。理由は早朝ならば出勤ラッシュを避けることができ、それほど暑くないからです。早朝は参拝客も少なめなので、ゆっくりと時間をかけてシュエダゴン・パゴダ参拝ができます。
日中、特に暑い時期の参拝はあまりおすすめしません。裸足で境内を歩いていると大理石やコンクリートの床から体に直接、熱が伝わってきます。
屋外での行動になりますし、急な温度の変化に身体がついていかず、熱中症になる可能性もあります。常に飲み物を携帯し、水分補給をしましょう。
境内の中には屋根のある休憩スペースもあります。疲れを感じたら無理をせず、日陰の休憩スペースで休みましょう。
シュエダゴン・パゴダの境内の床には主に白い大理石と黒い大理石が使われています。日が昇ってからは黒い大理石の上を歩くことは避けましょう。
黒い大理石は熱を吸収しているため、とても熱いです。足裏の皮膚が弱い方はやけどに注意してください。
よって、シュエダゴン・パゴダ参拝時はなるべく白い大理石の上を歩きましょう。白い大理石の床はひんやりと冷たく心地良いです。
大理石の床は大変すべりやすくなっています。特に雨が降った後の参拝、水たまりのある場所の周りを歩くときは注意しましょう。
シュエダゴン・パゴダ参拝の時間帯【午後編】
※夕暮れのシュエダゴン・パゴダ。
シュエダゴン・パゴダを午後に参拝する場合は暑さが弱まる夕方がおすすめです。ヤンゴン市内の夕方の帰宅ラッシュを避けてシュエダゴン・パゴダを参拝した後、外食するコースがいいと思います。
夕方から夜にかけてシュエダゴン・パゴダはライトアップされます。ライトアップされたシュエダゴン・パゴダは神秘的です。昼間とは違った荘厳さが感じられ、なぜか身の引き締まる気持ちがします。
夜のシュエダゴン・パゴダの境内は少々暗いので足元に注意してください。
暗闇に紛れてスリや置き引きが出没することがあります。シュエダゴン・パゴダ内は常に警備員が巡回していますが、被害に合わないように貴重品や身の回りのものに注意しましょう。
写真中央がライトアップされたシュエダゴン・パゴダです。参拝者はパゴダに近い場所でお祈りをしたり、参拝者用の休憩スペースで静かにパゴダを見つめていたり、記念撮影をしたりしています。
外国人参拝者がシュエダゴン・パゴダで忘れてはいけない大切なこと
日本でも観光地における外国人観光客のマナーが問題になることがあります。民主化を果たし、外国人観光客が増えた分、ミャンマーでも日本と同じような社会問題が生まれています。
私は今回の旅行中、マナーを守らない外国人を数名見かけてきました。
- シュエダゴン・パゴダをはじめとする宗教施設で旅行仲間と大声で騒ぐ人々。
- セルフィ―に夢中で隣でお祈りをしている人々に気づかない観光客。
- 仏像やお供え物に近すぎる距離での写真撮影。
- 寺院の壁の落書き。
そのような人々を見かけるたびに私はとても残念な気持ちになりました。これらの行為はとても恥ずかしいものです。特に宗教施設での行動には注意してもらいたいと私は考えています。
一部の観光客の勝手な行動がその観光客の出身国のイメージにつながり、誤解や偏見が生まれます。残念ですが、それが事実です。
寺院参拝の最低限のマナーは個人でもガイドブックやインターネット等を使って情報収集できると思います。事前に調べてから出かけることを強くすすめます。
それが異なる習慣の国からやってきた私たち外国人ができる、ミャンマーへの最大限の配慮なのではないかと思います。
もしも現地に行って、至らないところがあったり、何かを間違えてしまったりしたら、すぐに丁寧に謝りましょう。ミャンマー語でなくても、こちらが誠意をもって謝れば相手に通じると思います。
外国人観光者の一人一人が「パゴダという神聖な場所へお邪魔させて頂くのだ。」という謙虚な気持ちを忘れてはいけないと思います。
シュエダゴン・パゴダ参拝のポイント
ミャンマー式のお祈り(三礼方式)
まず、床の上に座ります。座り方は「正座」や「横座り(横に出す足は左右どちらでもOK)」のどちらでも可能です。
次に、座ったまま、床に額をこすりつけるように体を前に深く倒します。このお辞儀(礼)を3回行います。
3回礼をしたら顔を上げて、手と手を合わせて静かにお祈りをします。お祈りが終わったら最初と同じように3回礼をしてお祈りを終えます。
パワー・スポット「アウンミエ」
シュエダゴン・パゴダ境内の北西エリアに「アウンミエ」と呼ばれる場所があります。ここでお祈りをすると願いが叶うといわれています。いわゆる「パワー・スポット」です。そのため、アウンミエには1日中、多くの信徒が集まっています。
ご興味のある方はアウンミエで三方礼式のお祈りをしてみてはいかかがでしょうか?
年間を通じて行われる儀礼
シュエダゴン・パゴダでは仏教の祭日に特別な儀礼が行われています。季節ごとの儀礼に参加できることは大変幸運なことです。
ミャンマーの主な祭日
- ダバウン祭 3月の満月の日
- カソン祭 5月の満月の日
- ダディンジュ祭 10月の満月の日
- カテイン祭 11月の満月の日
私がミャンマーを訪れた10月にはダディンジュ祭がありました。ダディンジュ祭(燈明祭) は「天界から仏陀が地上へ戻って来る日」とされています。夕方以降、街中のパゴダの境内や周辺地域は燈明で囲まれます。
個人宅でもロウソクに火をともし、仏間や決められた場所に燈明を捧げます。そしてお祈りをします。
現地で出会った人の話によると、最近では祭日にシュエダゴン・パゴダを参拝しようとする人々が多すぎるという問題があるようです。
その人はある祭日にシュエダゴン・パゴダを参拝しようと現地まで行ったのですが、参拝客が多すぎて、中に入れなかったと言っていました。
出入り口から人があふれ出しており、このまま中に入るのは危険と判断して、参拝を諦めたとのことでした。
まとめ
シュエダゴン・パゴダでお祈りをしていた時の事です。
私の隣にいた若いミャンマー人が大きな声でお祈りの言葉を唱えていました。私は「ミャンマー人の熱心な仏教徒なのかな?」と考えていましたが私に同行してくれたミャンマー人の知人が静かにこう言いました。
「お祈りとは静かに行うべきものだ。最近はあのような人が増えてきているのでお祈りに集中できない。だから、私はシュエダゴン・パゴダへの参拝を躊躇うことがある。」
ミャンマー人の中でも仏教に対する考え方に世代間や価値観の違いが出てきているようです。お祈りは静かに、そして周りの方への配慮を忘れずに行いましょう。
基本情報
- 名称:シュエダゴン・パゴダ(Shwedagon Pagoda)
- アクセス:宿泊先に問い合わせるのがベスト。タクシー、車がおすすめ。
- シュエダゴン・パゴダ公式サイト:www.shwedagonpagoda.com.mm/
参考情報
- 野犬、野良猫等の動物に近づかない、触らない
- ガイド、通訳、占い師を名乗る怪しい人についていかない
- 参道の土産物店で買い物をする際は商品(品質、購入数等)と金額をしっかり確認する
- 夜間の一人歩きは極力避ける
パゴダ参拝時にあると便利なもの
- 飲み物
- 履物入れ用のビニール袋
- 傘(雨天兼用だと尚よし)、帽子、ストール、サングラス
- ウェットティッシュ
- 熱中症予防の飴、タブレット
※この記事は筆者の体験に基づき書かれています。
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