スイスといえば、アルプスの少女ハイジの世界そのままの、山の上の牧場に牛やヤギがのんびりと放牧されているイメージをお持ちの人が多いのではないでしょうか?
実際そのイメージ通り、夏には至る所で本保苦衷の牛やヤギなどの家畜を見ることができます。大自然の中でのびのびと暮らすことのできる動物たちは、まさに幸せそのもの!
そんな牛やヤギからとれた乳でつくった乳製品は本当に絶品!スイスの名物料理に乳製品を使ったものが多いのも当然ですね。しかし乳製品以外にもスイスには定番の家庭料理がいろいろあります。
少ない材料の中でスイスの人々は多様な料理を作り出してきました。定番のものから郷土料理まで幅広くご紹介していきます。
チーズフォンデュ
スイス名物といえばまずはチーズフォンデュと言ってもいいほど、スイスの代表的な料理です。村のチーズ屋やスーパーマーケットなどで、手軽に作れるチーズフォンデュミックスを買う事ができます。それを鍋にかけて作るのですが・・・。
実際の家庭では、フォンデュミックスではなく自分で好みのチーズを削って作ることも!好きな味のチーズを2,3種類混ぜて削ってコーンスターチをまぶし、白ワインとニンニクを入れて火にかけるだけ。ワインが苦手な方は、ワインの代わりにリンゴジュースで。
それぞれの家庭で味が違って、レストランで食べるチーズフォンデュとは全く違う印象です。
スイスのスーパーではどこにでも、上の写真の小さくて手軽なチーズフォンデュを買うことができます。このパッケージのまま電子レンジで加熱すれば自宅ですぐに食べることができます。
しかし中には白ワインの味が強いものがあるので、お酒に弱い方・お子さんがいる家庭では要注意です。
ラクレット
スイスの名物料理としてチーズフォンデュと共に紹介されているラクレット。
ラクレットチーズというとろけるチーズを、熱でとかして野菜にかけて食べる料理です。家庭ではラクレット用のホットプレートを使います。
じゃがいも、野菜のピクルスがラクレットの定番付け合わせですが、家庭によって様々な食べ方があり面白いです。
バナナや洋ナシをラクレットの付け合わせとして出す家庭も。これが意外にチーズとの相性抜群で美味。
そうでなくとも最近日本で一つのブームになっていますね。このラクレットはスイスの食べ物です。チーズフォンデュと同じく冬によく食べられます。
「ラクレット」とは正式には料理名そのものを指しているのではなくチーズの種類の事を指します。ラクレットをいう名前はフランス語で「そぎとる」という意味です。大きなラクレットチーズを溶かしてそぎとって食べる様子からきているようです。
ラクレットチーズを溶かすには、上の写真のようにチーズを専用の器具の中に入れ熱で温めます。上の部分はホットプレートの様になっており、チーズをかけて食べる野菜を焼くことができます。
この器具は、大阪の人が一家に一台たこ焼き器を持っているように、スイスではどの家庭でも見かけることができるそうです。
ビールとよく合う 焼きソーセージ
お隣の国ドイツの影響もあり実はスイスでもソーセージが有名です。その上ソーセージは生肉よりも保存が利くため、スイスで重宝されているのではないでしょうか。
スーパーに行けばかなりの種類のソーセージが売られています。街ではソーセージを焼いてパンに挟んで売っている屋台をよく見かけます。
スイスで最もポピュラーな種類はザンクト・ガレン産の赤い粗挽きソーセージ「シューブリック Schublig」と、白い仔牛肉ソーセージ「カーブスブラートヴュルスト Kalbsbratwurst」です。
スイスに来たらビールを片手にソーセージの食べ比べをしてみてはどうでしょう!
ケーゼシュニッテ
パンをキルシュというサクランボのシュナップスに付け込んで、チーズをのせてオーブンで焼く名物料理です。玉ねぎなどの野菜やベーコン、目玉焼きなどを入れる事も。
もともとは古くなって硬いパンを何とかして食べようと思いついた料理とか。確かに硬いパンを液体につけるとやわらかくなりますね。
レストランではキルシュ漬が定番ですが、家庭ではキルシュの代わりにリンゴジュースで漬け込んでお子様向けにしたり、思い思いの野菜を入れたりとバリエーションが広がります。
スイスのソウルフード ルシュティ
4つ目はスイスのソウルフード「ルシュティ Rösti」をご紹介いたします。これは初めて耳にする方が多いと思います。
こちらは簡単に言うと、スイス風ハッシュドポテトです。じゃが芋の細切りをバターで炒め焼きにしたもので、チーズや目玉焼き、ベーコンをのせて食べます。
ソウルフードということもあり、スーパーには焼くだけで簡単に作れるルシュティが売られています。自分でじゃが芋を細切りにしたり茹でたりするのは面倒なので大変助かる商品です。
これを買って日本に帰ればいつでもスイスの味を思い出すことができますね。
レバーヴルスト・ブルートヴルスト
レバーと血から作ったソーセージです。・・・と言ったら美味しくなさそうですが、これがとっても美味。冬しか味わえない名物料理です。リンゴのムースをソース代わりに食べます。
血のソーセージは世界各地で名物料理としてありますが、その製法は様々。スイスではRahmblutwurst(ラームブルートブルスト)という、牛乳と生クリームを使った滑らかな舌触りが特徴。血の臭みや味は全くなく、とても食べやすいです。
Schweinefilet im Teig 豚肉のパイ包み
豚のヒレ肉丸ごと一本をパイで包んだ名物料理。スイスのとっておきのごちそうです。
ヒレ肉と一緒にプルーンなどのドライフルーツを入れ、ベーコンで巻いたものをパイで包んでオーブンで焼きます。
中に入れるものは家庭によって違います。
カットした時にじゅわーっと出てくる肉汁が感動的な、とってもおいしい家庭料理です。
スイス人の究極のごちそうとは?
日本でごちそうといって思いつくのは、高級霜降り肉や回らないお寿司といったところでしょうか?
ここスイスでも、高級霜降り肉や回らない寿司屋は当然とても高級なごちそうなのは間違いありません。
……が、そんなものよりもっと究極のごちそうがあります。
クリスマスやイースターの親戚の集まりでふるまわれることの多い、スイス人のとっておき究極のごちそう。
それは….。
ハムとジャガイモサラダとZopfと呼ばれるパン
スイス人のソウルフードと言っても過言ではないこの3品。
どこの家庭でも親戚の集まりなどのホームパーティーでは、作るの面倒くさいから簡単にできるとっておきのごちそうメニューとして振る舞います。
Zopfとは三つ編みのバターパン。週末パンとも呼ばれ、もともとはキリスト教の安息日の日曜日にしか食べていなかったごちそうパンです。今もパン屋によっては週末にしか売っていないところも!
ハムはBurehamme(ブレハンメ)と呼ばれる蒸しハムを豪快に切りわけます。お肉屋さんで切り分けてもらったのを買う事もできます。
またレストランでは、ベルナープラッテというベルン州の名物料理の盛り合わせを注文すると、ブレハンメも味わえます。
地方限定 クーゲリパステーテ
こちらはスイスの中央部にあるルツェルンという街の郷土料理です。クリームとキルシュ酒で煮込んだ仔牛肉シチューをパイ生地に入れ、オーブンでこんがり焼いたものです。サクサクのパイとこってり目のシチューとの相性は抜群です。
基本情報
- 名称:ズンフトハウスレストラン フィステルン(Zunfthausrestaurant Pfistern)
- 住所: Kornmarkt 4 CH-6004, Luzern
- アクセス:穀物市場からロイス川岸に下りる階段に入り口あり
- 営業時間:毎日9:00~24:00(日曜23:00)
- 電話番号:041-410-3650
- 公式サイト:https://www.restaurant-pfistern.ch/
上記のお店で美味しいクーゲリパステーテを食べることができるので、ルツェルンを訪れる際はチェックしてみてください。
健康的な朝の供 ミューズリー
スイス人は朝ごはんにハム、ヨーグルト、チーズ、オレンジジュースなど手間がかからないものを食べます。スープや卵料理などの火を使う料理を朝に食べることはありません。
ミューズリーはシリアルの1種で、ヨーロッパの定番朝ごはんです。そのミューズリーの発祥がなんとスイスなのです。
元々は羊飼いが山へ持っていく携帯食として食べられたことが始まりです。その高い栄養価にスイスの医師が注目し、病院に取り入れられ、広まったそうです。手軽に栄養をとることができるので非常に便利な食品です。
おまけ
上の写真をよーく見てください。なにかおかしなところに気づきましたか。正解は料理の絵と日本語がずれています。店主は間違いに気づいていないのでしょうか。
このお店では今回ご紹介した、スイスの伝統的な料理を食べることができます。この絵から日本人に来てほしい!という気持ちが伝わってきますね。味は抜群なので興味がある人は訪れてみてください!
基本情報
- 名称:Restaurant Le Mazot
- 住所:Bärenplatz 5, 3011 Bern
- アクセス:ベルン駅から旧市街方面へ徒歩10分 ベーレン広場の一角
- 営業時間:月曜日~土曜日 8:00~23:30、日曜日 9:00~23:30
- 電話番号:+41 031 311 70 88
- 公式サイト:http://www.mazot-bern.ch/
まとめ
スイスの定番料理のチーズフォンデュやラクレットも、家庭の味になるとまたガラリと印象が変わり、まるで違う料理のようになるから不思議です。
スイスには今回ご紹介した以外にも様々な名物料理があり、特に秋はWild(ヴィルト=野生)料理がおすすです。ジビエといった方が日本人にはなじみ深いかもしれません。狩猟の解禁と共に、シカやイノシシなどを使った料理を楽しめます。
それにしても、とっておきのごちそうがジャガイモサラダとハムとパンというのは、スイス人の謙虚な一面を垣間見る事ができますね!