バイク(オートバイ)で世界一周するのに必要な時間とお金とは

バイク ライフスタイル

少し前にバイクで世界一周、64か国を訪れる旅行をしました。良く聞かるのは「どれくらいの時間がかかったか」「どれくらいの費用がかかったか」です。

ひとことにバイクで世界一周といっても、ルートや訪問大陸/国数によって大きく変わります。今回は少しでも興味がある人向けに、おおまかなイメージが持てるよう、コース別にご説明します。

そもそも、世界一周の定義とは

日の出

「世界一周した」というと、たまに「えっ、全部の国を訪れたんですか?」と聞かれることがあるのですが、さすがに200近くある国すべてを通ることは不可能です。

基本は日本を起点に西、または東回りにぐるっと地球を回ることを指すのですが、これだとユーラシア大陸の横断+アメリカの横断でも「世界一周」になります。

そこで、バイクよりはるかにキツい自転車での世界旅行者が集まるJACC(ジャパン・アドベンチャー・サイクリスト・クラブ)では、以下のように「世界一周」を定義しています。

赤道を通過し大西洋をはさむ2大陸以上を走破したもの、もしくはそれに値する行程のものを世界一周という」

JACC:http://www.pedalian.com/

バイクの分野でも、これを参考にする人が多いです。

バイクで通れない国

ポリス

国によっては、国外からの乗用車やバイクでは陸路で入国できないところがあります。ここではすべての国を列挙しませんが、大陸ごとにネックとなる国を挙げます。

ユーラシア大陸:中国、ミャンマー

中国は外国人旅行者に未開放の地域もあり、バイクの持ち込みができません。政府公認のガイドを雇ったり、伴走車をつけるなど手段はあるのですが、個人旅行者には現実的ではありません。また、ミャンマーも陸路では入れません。

中国、ミャンマーが通れないので、ユーラシア大陸ではロシアを通過するのが一般的です。夏の間は日本とロシアをつなぐフェリーも運航しています。

ロシアを抜けてそのままヨーロッパまで一直線に向かうコースと、途中からカザフスタンなど中央アジアの国々に入ってトルコに抜け、それからヨーロッパに入るコースとに分かれます。

ヨーロッパまで行ってしまえば、ほぼすべての国は問題なく旅行できます。

アフリカ大陸:アルジェリア、リビア、スーダン、南スーダン

アフリカは世界の中でも最も難易度の高い大陸です。情勢の不安定な国が多く、国境を通れても危険すぎて進めない、という国もあります。

常に最新の情報を収集する必要があり、旅行中に急変した場合は引き返す勇気も必要です。ユーラシア大陸を横断してからアフリカに向かう人が多いので、ここでは北アフリカから南下する場合についてご説明します。

北アフリカで通過できない国はアルジェリアとリビアです。よって、モロッコから西アフリカを下るコースと、エジプトから東アフリカを下るコースに分かれます。

前者はコンゴおよびコンゴ民主共和国、中央アフリカなど情勢不安定な国が多く、難易度が高まります。状況は刻々と変わるので、場合によっては途中の国からアフリカの南部まで、バイクを貨物船で送ることも考える必要があります。

東アフリカを下るルートでネックになるのはスーダンと南スーダンです。西アフリカに比べれば安定はしているので、この2国さえ通過できれば、東~南アフリカは日本人が想像するより観光地化され、車で縦断する旅行者も多いです。

ただし、ヨーロッパから東アフリカに下る場合、中東のシリアとイラクが通過できないので、エジプトまで渡る手段を考えねばなりません。

北~南アメリカ大陸

中米の情勢がやや流動的ですが、おおむね問題なく通過できる国ばかりです。

ただ、注意が必要なのはパナマ(中米)とコロンビア(南米)の間。両国は陸続きなものの、深いジャングルに阻まれて道路はつながっていないので、この間は貨物飛行機でバイクを輸送するのが一般的な方法です。

かつてはフェリーもありましたが、だいぶ前に廃止されています。

オーストラリア大陸

情勢は安定しており、問題なくバイクで旅行が可能です。隣国のニュージーランドも問題ありません。

冬や雨季をさけてスケジュールをたてる

バイク

当たり前ですが、情勢や法律の上で入国が可能な国でも、シーズンを外せば積雪や、雨でドロドロになった道に阻まれ、先に進めません(あえてオフシーズンに挑戦するツワモノもいますが、難易度は格段に上がります)。

日本は四季がはっきりしているので想像が難しいかもしれませんが、世界には一年中気候が変わらない国や、雨の多い雨季と、ほとんど降らない乾季に分かれる国があります。

また当然ですが、南半球は日本とは季節が逆になります。バイクで世界一周を計画する場合は、予算や政治情勢、治安のほかに季節も考慮に入れなければなりません。季節を外せば半年~一年間足止めを余儀なくされる場合もあります。

バイク世界一周の基本は西回りで6月スタート

フェリー

かつてバイクで世界一周といえば、貨物船でバイクをカナダかアメリカに送り、自身は飛行機で海をわたって東回りに世界を一周するというのが定番でした。

しかし2000年代の初頭にロシアが通過できるようになり、日本とロシア間のフェリーが運航を開始してからは西回りに、まずはロシアからスタートするというスタイルが主流になりました。

バイクと自分が一緒に移動できる、10万円かからずに日本海を渡れるというのが魅力です。

次に出発時期ですが、ロシアは基本的に寒い国です。夏の間、具体的には6月~9月ごろしか通過ができません(フェリーの運航も夏季だけです)。

ロシアの先、中央アジアやヨーロッパも暖かいうちに通過したい、ということを考慮に入れると、6月にフェリーでロシアに渡る、というのがベストです。

大陸別の所要時間

建物

途中で時間をかけようと思えばいくらでもかけられますので、ここでは一般的な場合を大陸別にご紹介します。

  1. ユーラシア大陸横断:3か月~6か月
  2. 北米~南米大陸縦断:6か月~1年
  3. アフリカ大陸縦断:6か月~1年
  4. オーストラリア一周:3か月

私の場合、アフリカはモロッコとエジプト、つまり北アフリカへ行き、上記1、2、4は経験しています。

ただし途中でスキューバダイビングにハマったり、気に入った都市では3か月ほど住んでみたりしたので、合計で3年半もかかりました。(当初の予定では2年でした)

バイクで世界一周するのに必要なお金

お金

3年半で約650万円

宿泊するホテルのランク、キャンプをするかどうか、食べる食事のレベル(外食か自炊か)によってピンキリですが、まずは私の場合をご紹介すると、3年半の旅行で使った費用は約650万円

これにバイク本体は含めませんが、宿泊費、食費、大陸間の輸送費用、ガソリン、タイヤなどの消耗部品が含まれます。一日あたり、ざっと5,000円。

物価の高いヨーロッパではキャンプ場を利用して自炊をし、物価の安い南米などでは格安のホテル、食堂を利用しました。他の人に比べても贅沢とは言いませんが、特にケチった旅行ではなかったと思います。

バックパッカーと比べて高いか?

よくバックパッカーの旅行と比較されるのですが、バックパッカーの場合、訪れる地域によっても違いますが、1日あたり3,000円~4,000円と言われます。私の場合は5,000円なので、数字だけ見れば高いのかもしれません。

しかし、私の場合は公共交通機関では立ち寄れないスポットや景色を自由に見て回っています。バックパッカーが同じことをタクシーでやろうと思えば、とても1日5,000円では収まらないでしょう。

なので、私は得た経験から比べると安くあがったと思っています。

時間もお金も、予定の1.5倍はみておく

世界一周中の風景

世界一周の予算を立てるとき、やりがちなのはルートから走行距離を割り出し、ガソリン、宿代、食費など一日あたりの費用を出して、それを期間の日数にかけることです。

しかし私の経験からいうと、最初にたてた予算の1.5倍は準備しておいた方が良いです。

というのも、現地に行ってみなければ分からないこと、日本では想像していなかったできごとが起きたり(トラブルだけでなくて、よいことも)、計画していなかったことにチャレンジすることが必ず出てくるからです。

そして当然、期間も長くなります。

ダイビングやトレッキングに挑戦してみた

たとえば、私の場合はダイビングです。カナヅチで、マリンスポーツにまったく興味が無かったのに世界の海の美しさに魅せられ、旅の途中でライセンスを取得しました。また、各地でトレッキングも楽しみました。

旅行で訪れた国の多くは、二度と行くことのない国ばかりです。「お金がないから、次にしよう」といっても、「次」はなかなか無いのです。

南極に行かなかったことを後悔

私の後悔は、南極に行かなかったことです。当時、アルゼンチンの南端から南極大陸まではロシア船籍の船で1,500ドルで行くことができました。1,500ドル!というと、高いと思うかもしれません。

私もそう感じ、あきらめました。しかしその後、年々と料金はあがり、南極も訪れる人数の制限が設けられ、今では7,000ドルくらいかけないと行けなくなってしまったのです。

人生において、アルゼンチンの南端へ行く機会が2回あるでしょうか?あそこでケチらなければ、私は南極大陸を経験できたのです。

まとめ

少しでもバイクでの世界一周に興味を持ち、やってみたいと思ったら、まずは経験者に会ってみることです。

ネットで検索すれば、いろいろな旅行者がHPで経験を公開しています。

コンタクトをとってみて、実際に会ってみると、「この人にできたんだから、自分にもできるだろう」と思うようになります。そしてもっと詳細な生の情報を聞くことができるでしょう。

人生で一度の大旅行、チャレンジしてみませんか?

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