スペイン国内を電車で移動する場合、中距離〜長距離の移動になると国鉄の「RENFE」を使うことになります。
メトロ(地下鉄)がある都市であれば、市内の移動はメトロを使うことができます。
スペイン国内は日本と比べると鉄道が全国を巡っていないので、鉄道駅がない街へ行く時は、バスで行く必要があります。バスは小さい街でも走っています。
今回はスペインでの電車のチケットの買い方から乗り方に着いてご紹介します。
長距離の移動は高速列車「AVE(アベ)」を利用しよう
スペインの国鉄RENFEが提供している「AVE」(Alta Velocidad Española)やその他の高速列車では、長距離の移動ができます。日本の新幹線と同じです。
「AVE」はスペインの高速列車の中で一番速く、最速300km/hで運転されています。その他の高速列車は「ALVIA」「EUROMED」「ALARIS」等で、速度や提供サービスによっていくつかの種類があります。
マドリード〜バルセロナの移動や、マドリード〜セビリアの移動にはこれらの高速列車を使います。
あまり長くはない距離を高速で走っている「AVANT」、在来線特急列車の「TALGO」というのもあります。
同じ目的地でも、複数の列車が走っています。東京から大阪へ行く時に「のぞみ」でも行けるし、「こだま」でも行けるというのと同じですね。
また、「ALVIA」は「AVE」よりも長距離を走っているケースがあります。
例えばマドリード〜カディスへ行く時、「AVE」だとマドリッド〜カディス間の途中にあるセビリア駅で止まって、他の列車に乗り換えをしなければなりませんが、「ALVIA」だと直通で行くことができます。
中距離の移動は「Media Distancia(メディアディスタンシア)」を利用しよう
RENFEが提供する中距離の電車は「Media Distancia」と呼ばれています。日本で言うJR東海道線のようなイメージです。
速度は車両により異なりますが、最速160km/hでその名の通り中くらいの(media)距離(distancia)を走っています。
例えばアンダルシアだったらセビリア〜カディス間、セビリア〜マラガ間等です。
1〜2時間に1本くらいの割合で走っていることが多いです。
近距離の移動は「Cercanias(セルカニアス)」を利用しよう
近郊線としてRENFEが提供しているのは「Cercanias」です。
速度は車両により異なりますが、120km/h程度で近郊(cercania)を走っています。東京の中央線のようなイメージです。
「Cercanias」が走っている地域は、
- Asturias(アストゥリアス)
- Barcelona(バルセロナ)
- Bilbao(ビルバオ)
- Cádiz(カディス)
- Madrid(マドリード)
- Málaga(マラガ)
- Murcia/Alicante(ムルシア/アリカンテ)
- Santander(サンタンデール)
- San Sebastián(サンセバスティアン)
- Sevilla(セビリア)
- Valencia(バレンシア)
- Zaragoza(サラゴサ)
です。
Media Distanciaが停まらないような、小さい駅に停車します。30分に1本くらいの割合で走っています。
長距離高速列車とMedia Distanciaのチケットの買い方
長距離高速列車とMedia Distanciaは駅の窓口、またはインターネットでチケットを購入する必要があります。
チケットは全席指定
長距離列車、中距離のMedia Distanciaのいずれも全席指定です。
希望の列車の指定席が売り切れているとその列車には乗ることができません。日本の新幹線のような「立って乗れる席」はありませんので、ご注意ください。
売り切れている場合、次の列車に乗るか、別の地域を経由して遠回りするしかありません。
Media Distanciaの車内でたまに立ちで乗っている人がいますが、車掌に見つかって降ろされているのを見たことがあります。なお、無賃乗車は処罰の対象となりますので、絶対にやらないようにしましょう。
予定が事前に決まっている方は、乗車日より前に購入することをおすすめします。
チケットの種類
長距離列車は1等(preferente)と2等(turista)等の等級の種類があり、AVEの1等は時間によって食事や軽食が出ます。
1等、2等の中でもいくつか種類があります。
- 往復で購入すると安くなるタイプ
- 列車の変更は手数料なしでできるタイプ
- 列車のキャンセルは40%の手数料が差し引かれ残りは返金されるタイプ
などです。
料金は上記のどのタイプを選択するか、どの時間帯に出発するのか等によって異なります。
例えば3月の日曜日にマドリードからバルセロナへの片道切符を購入する場合、2等の一番安い時間帯で変更がきかないタイプだと50ユーロ台、1等で手数料なしで変更可能でキャンセル時は5%の手数料のみ請求されるタイプだと200ユーロを超えます。
日によって条件が異なるので、乗る予定日の便を複数調べて比較すると良いでしょう。
空席があれば列車の変更はスムーズにできることが多いので、変更の可能性がある場合は、手数料なしで変更できるタイプにしておくと便利です。なお、列車の変更は発車前に手続きをする必要があり、発車後は無効です。
Media Distanciaは等級はありませんので、チケットは1種類です。
往復で買うと20%割引になります。
列車の変更は発車時刻前であれば可能です。
回数券、定期券があります
長距離列車、中距離列車のどちらも回数券、定期券があります。
- 1ヶ月フリーで乗ることができるタイプ(定期券)
- 指定区間を10回乗ることができる(5往復)できるタイプ(回数券)
- 学生向けの割引が入ったタイプ
などです。
頻繁に移動が発生するようでしたら、定期券、回数券も検討してみましょう。
私は以前にセビリアとヘレス・デ・ラ・フロンテーラの間のMedia Distanciaの回数券を利用していました。
通常往復で購入すると18.95ユーロですが、回数券だと10viaje(5往復)で80ユーロ弱なので、1往復あたりが16ユーロ弱になり3ユーロ程お得です。
回数券には期限があり、45日間で10viajeを使い切る必要があります。
回数券を購入した場合、駅にある水色の機械に通して手続きをします。
希望の列車を選択すると、回数券に発車時刻と座席が刻印されるので、それを利用して乗車します。
駅の窓口でチケットを購入する場合
当日でなくても発売が決定した列車(おおよそ2〜3ヶ月前)は、駅の窓口で購入することが可能です。
窓口に列ができているケースもあるので、当日に購入する場合は、時間に余裕を持って購入するようにしましょう。
カウンターで駅員さんに行き先と人数、何日の何時の電車に乗りたいのか、チケットの種類を伝えます。支払いはクレジットカードか現金支払いが可能です。
インターネットでチケットを購入する場合
RENFEのホームページ(http://www.renfe.com)からチケットを購入することができます。
まず、画面左側にORIGEN(出発地)とDESTINO(到着地)を入力し、人数、日付(SALIDA:出発日、REGRESO:往復の場合の復路出発日)を指定して「COMPRAR」(購入する)を押します。
購入できるリストが時刻と共に一覧で出てきます。
乗りたい時刻の右側にある「+」をクリックすると詳細が選択できるようになっています。例えばturista(2等)の往復割引のもの、preferente(1等)の変更、キャンセルの融通が利くもの等です。
種類を指定して「SIGUIENTE」(次へ)を押すと、個人情報を入力するページに移るので、Nombre(名前)、Apellido1(苗字)、メールアドレス、個人を特定できるID(パスポートナンバーやN.I.E等)を入力します。
ELEGIR MODO DE PAGO(支払い方法)はクレジットカードかPayPalを選択して必要情報を入力し、右下の「COMPRAR」を押します。
購入完了後、以下の方法でチケット入手が可能です。
- 購入直後に表示されるページでiPhoneのPassBookにダウンロード用のメールを送り、Passbookに保存する
- 購入後に自動送付されるメールにPDFが添付されているのでそれを印刷する
- localizadorという予約番号を使って、駅の券売機でチケットを印刷する
なお、回数券、定期券はインターネットでは購入できません。
チケットの変更をする場合
チケットを変更する場合は購入したチケットを持って窓口で手続きをします。
変更したい電車を伝えて、その電車に空きがあれば変更してもらえます。
インターネットで購入してPassbookに保存しているチケットを窓口で変更する場合は、一度駅の券売機でチケットを発券する必要があります。この際、localizadorという予約番号を使って発券します。
オンラインで購入したチケットのみ、出発の15分前までオンラインでの変更が可能です。RenfeのHPの「CAMBIOS」(変更)のボタンを押し、必要情報を入力して変更します。
Cercaniasのチケットの買い方
Cercaniasは駅の券売機で購入します。片道なのか往復なのかを選択して、到着地を選択すればOKです。往復で購入する方が20%程安くなります。チケットはその日のみ有効です。
Cercaniaの乗車時は自動改札機にチケットを通して乗車します。自動改札機がない駅はそのまま乗車します。
乗車してみよう
AVE等の長距離列車に乗車する際は、セキュリティチェックがあります。飛行機ほどは厳しくありませんが、乗車の20分前には駅に到着していると安心です。
セキュリティチェックと合わせて乗車前にチケットの確認があります。Media Distanciaはセキュリティチェックがありません。
駅の掲示板を見て、該当の電車に自分で乗りましょう。移動中に駅員さんが車両に来てチケットをチェックします。
この際に、きちんとチケットを持っていないと次の駅で降ろされたり、その場でチケットを購入させられたりします。
必ずきちんとしたチケット(iPhoneのPassbook、PDFを印刷した紙、駅で発券したチケットのいずれか)を持っているようにしましょう。
たまにPDFを印刷せずにスマートフォンで見せようとしている人がいますが、厳しい駅員さんだとその場で再度購入させられているのを見たことがあります。気をつけましょう。
高速列車の車内
高速列車の車内には軽食が食べられるコーナーがあります。
bocadillo(バゲットのサンドイッチ)やスナック菓子が売られていますが、種類はあまり多くないので、移動がお昼をまたぐ際は、自分で好きなものを持ち込むと良いでしょう。
車両にはテレビが2つ程あり、映画が上映されています。車両員さんがイヤホンを配りにくるので、映画を見たい人はもらいましょう。
まとめ
スペインの鉄道の旅は意外と楽しいものです。車窓からの景色を見たり、車内で映画を楽しむのもいいですね。
高速列車、Media Distanciaではコンセントも使えます。事前に情報を収集して快適な鉄道の旅をお送りください。
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