スペイン料理と言えばパエリヤやエビのアヒージョ、スペイン風オムレツ(トルティージャ・デ・パタタ)を思い浮かべる人が多いと思います。
私の住むアンダルシア地方では、これらの一般的な「スペイン料理」のイメージとは異なる家庭料理が食べられています。
アンダルシア以外の地域でも食べられているものですが、アンダルシア在住のスペイン人から教えてもらった家庭料理とそのレシピをご紹介します。もちろんここで紹介する中にはバルで食べられるものもあります。
記事の目次
エンサラディージャ・ルサ(Ensaladilla rusa)
エンサラディージャ・ルサ(Ensaladilla rusa)はポテトサラダのような料理です。ルサ(rusa)はスペイン語で「ロシアの」という意味で、オリジナルはロシアの料理です。
日常的に用意している家庭もあれば、クリスマスや誕生日などのパーティの際に大量に作る家庭もあります。エンサラディージャ・ルサはバルの人気タパスでもあります。
材料(4人分)
- ジャガイモ 大2〜3個(400g〜650g)
- にんじん 2〜3本
- 卵 2個
- グリーンピース 1缶
- ツナ缶 2缶(オリーブオイル漬けのもの)
- パセリ 適量
- 塩 適量
- 黒コショウ 適量
- オリーブオイル 50ml
- マヨネーズ 350ml(自家製で用意する家も多いです)
ジャガイモとにんじんは簡単に洗います。
2つの鍋に水を用意し、温めて沸騰させます。1つの鍋には卵を入れてゆで卵を作ります。もう一つの鍋には皮がついたままのジャガイモとにんじん、塩適量を入れます。ゆで卵はおおよそ10分程度で出来上がるので、卵を取り出して殻をむきます。
にんじんは熱湯に入れてから20分が経過したら取り出して皮をむきます。ジャガイモは30分が経過したら様子見し、まだ固いようだったらさらに10分茹でます。火が通っている場合は30分で取り出して皮をむきます。
皮をむいたジャガイモとにんじんは、サイコロ状に切ります。
ボウルにジャガイモとオリーブオイル50mlを入れてよく混ぜてから、にんじんとツナ、グリーンピース、卵、パセリ少々、マヨネーズ350mlを入れて、卵をほぐしながら混ぜます。よく混ざったら黒コショウをして出来上がりです。
バルでは、茹でた海老を加えて混ぜてある場合もあります。なお、名前にルサ(rusa)が付いていない場合、その地域特有のエンサラディージャが出てきて、全く異なる形式の場合があります。
例えばEnsaladilla Malageña(マラガのエンサラディージャ)は、タラ、ジャガイモ、ゆで卵とオレンジが入ったマリネのようなサラダです。
アホ・ブランコ(Ajo blanco)
アホ・ブランコ(Ajo blanco)はアンダルシアの主にグラナダ、ハエン、マラガ、コルドバ、アルメリアなどで食べられる冷製のスープです。
アホ(ajo)はにんにくのことで、にんにくとアーモンドが材料となっています。一般的にはブドウ、またはメロンと一緒に食べられることが多いです。
材料(4人分)
- アーモンド 200g
- にんにく 3片
- パン 200g
- オリーブオイル 適量
- ビネガー 適量
- 塩 適量
パンを冷たい水に10分浸して柔らかくします。鍋にお湯を沸騰させ、アーモンドを入れて数分茹でます。アーモンドを取り出し、冷めたら皮をむきます。
ボウルやコップにパンとアーモンドと少し水を入れて、撹拌機で撹拌します。粉状になってきたら、ゆっくりと水、にんにく、オリーブオイル、ビネガーを加えてサラサラなクリーム状になるまで撹拌します。味を見てお好みで塩を入れます。
冷蔵庫に入れて2時間以上冷やします。コップにスープを注いだら、ブドウやメロン、生ハムなどをトッピングして一緒にいただきます。よく冷えていないと美味しくないので、できる限り冷蔵庫で冷やしておくようにしましょう。
サルモレホ(Salmorejo)
サルモレホ(Salmorejo)、正式にはコルドバのサルモレホ(Salmorejo Cordobes)と呼ばれる料理はコルドバが発祥のトマトの冷製クリームです。
夏にアンダルシアでよく食べられる似たような料理にガスパチョ(gazpacho)というのがありますが、サルモレホは砕いたパンを混ぜるので、ガスパチョとは異なりもっとクリーミーなテイストをしています。
サルモレホとガスパチョ、どちらも夏のアンダルシアでは欠かせない料理で家庭で用意される他、バルでもよく食べられる料理です。
材料(4人分)
- 完熟トマト 1kg
- パン(白いパン) 200g
- にんにく 1/2〜1片
- オリーブオイル 適量
- 塩 適量
- 卵 1個
- 生ハム
沸騰させたお湯に殻つきのまま卵を入れて、10分ほど茹でて固めのゆで卵を作ります。ゆで卵は後でサルモレホのトッピングとして利用します。
トマトは熱湯に入れてから湯むきをします。一口サイズにトマトを切ったらボウルに入れて撹拌機で撹拌します。
トマトが撹拌できたら、パンを一口サイズに切ってにんにく(適当なサイズ)、オリーブオイル適量を一緒にボウルに加え、さらに撹拌します。オリーブオイルの量は大きめのボウルで3回し程度です。
柔らかくなるまで撹拌できたら冷蔵庫で1〜2時間程度冷やしておきます。食べる前にゆで卵と生ハムはみじん切りにしておき、サルモレホを器によそったら上に卵と生ハムのみじん切りをトッピングします。
トマトの味が出来を左右するので、よく熟れたおいしいトマトを利用するようにしましょう。
パパ・コン・チョコス(papas con chocos)
パパ・コン・チョコス(papas con chocos)は、一年を通してアンダルシアでよく食べられる家庭料理です。
パパ(papas)はジャガイモで、チョコス(chocos)はイカのことで、つまりジャガイモとイカの煮込み料理です。イカの出汁がよく効いていて大変おいしい料理です。
材料(4人分)
- ジャガイモ 大4個
- イカ(コウイカ) 大1匹
- 玉ねぎ 1個
- ピーマン 1個
- にんにく 2〜3片
- トマト 大1個または中2個
- ローレル 1枚
- 白ワイン 125ml
- オリーブオイル 適量
- 水 50ml
- 塩 適量
- ウコンまたはサフラン 適量
玉ねぎ、ピーマン、にんにくはみじん切りにします。トマトは湯むきにし、種を取り除いてみじん切りにします。ジャガイモとイカも一口サイズに切ります。
大きい鍋にオリーブオイルを熱し、玉ねぎ、ピーマン、にんにくのみじん切りを入れ、塩とローレルを加えて中火で15分ほど炒めます。野菜に火が通ったらトマトを加えてさらに10分ほど炒めます。
イカを入れて鍋の中で少し混ぜた後、白ワインと水を入れて15分ほど煮込みます。15分経過したらジャガイモと色付けのためのウコン、またはサフランを加えて30分ほど煮込みます。ジャガイモが柔らかくなって火が通ったら出来上がりです。
イカはコウイカと呼ばれる種類のものを使います。スペインで購入する場合はchocos(コウイカ)を買いましょう。
プチェーロ(puchero)
アルゼンチンのシチューとも言われる「プチェーロ」ですが、スペインのアンダルシアでもよく食べられる家庭料理です。ガルバンソと呼ばれるひよこ豆と、米または細いパスタを入れるケースが多いです。
豆料理はエネルギーを保持してくれると言われていて、特に寒い冬に好んで食べられる料理です。
材料(4人分)
- ひよこ豆 300g
- 米 150g またはパスタ 150g
- 鶏もも肉 1枚
- 牛肉 400g
- 豚バラ肉 1ブロック
- 生ベーコンの塩漬け 1ブロック
- 長ネギ 1本
- セロリ 1本
- ハッカの葉
- にんにく 1片
- にんじん 1本
- ジャガイモ 1個
- 塩 適量
乾燥タイプのひよこ豆を使う場合は、前日に水に浸けてひよこ豆を戻しておきます。長ネギ、セロリ、にんじんは大きめにカットします。ジャガイモは一口大にカットします。
大きい鍋にひよこ豆、長ネギ、セロリ、にんじん、お肉類を入れ、材料が浸るまで水を入れます。強火にかけて沸騰するのを待ちます。アクが出てきたらアクと表面の脂分を取り除きます。
材料が柔らかくなってきたらハッカの葉を入れてさらに煮込みます。アクが出たらその都度取り除きます。
スープが白くなってきたら、塩(小さじ1.5程度)を振ります。塩漬けの肉を入れている場合は、塩を入れすぎないよう調整してください。
ジャガイモを入れて鍋に蓋をします。圧力鍋であれば30〜45分、普通の鍋であれば弱火で2時間ほど煮込みます。
時間が経過したら、お肉類と野菜をお皿に取り出しておきます。鍋にスープとひよこ豆が残った状態で、お米またはパスタを入れて10分ほど煮込みます。
鍋の材料とスープ、取り出しておいたにんじんを器に盛って食べます。お肉は器に一緒に盛る人もいれば、後でパンと一緒に別で食べる人もいます。お肉類はgallinaと呼ばれる雌鶏を投入する場合もあり、家庭によって違いが出る部分です。
プチェーロはたいていパンと一緒に食べます。家庭によってはゆで卵をトッピングする場合があります。
レンテハ(lenteja)
レンテハ(lenteja)もスペイン全土でよく食べられる豆を使った料理です。スペイン語でレンテハ(lenteja)はレンズ豆のことで、野菜やお肉、腸詰などと一緒に煮込んだ料理です。
豆料理であるレンテハは力がつくのでプチェーロ同様冬に食べるケースが多いですが、夏に食べる家庭もあります。しかし、スペイン人は豆料理が好きだなと思います。
材料(4人分)
- レンズ豆 375g
- 水
- チョリソ(豚肉の腸詰) 1本
- モルシージャ(ブラッドソーセージ) 1本
- 玉ねぎ 1個
- ピーマン 1個
- トマト 1個
- にんじん 1個
- ローレル 1枚
- ジャガイモ 1個
- にんにく 2片
- オリーブオイル 適量
- 塩 適量
- パプリカパウダー 小さじ2程度
レンズ豆は水で洗っておきます。玉ねぎ、ピーマン、にんにくは大きめのみじん切りにします。にんじんとジャガイモは一口サイズにカットします。チョリソとモルシージャは5cm程度の幅にカットします。トマトは湯むきして4分の1にカットします。
大きい鍋にオリーブオイルを熱し、にんにくと玉ねぎのみじん切りを入れて炒めます。にんじんとピーマンを加えて、さらに炒めます。
玉ねぎの色が変わったら、チョリソ、モルシージャ、ジャガイモ、ローレル、塩適量とパプリカパウダー小さじ2程度を入れて混ぜます。さらにレンズ豆を加えて材料が浸るくらいまで水を入れて強火にします。
チョリソとモルシージャに塩気があるので塩を振りすぎないようにご注意ください。
お湯が沸騰したら中火にし、30〜40分煮込みます。焦げないように途中でかき混ぜたりします。味を見て薄いようであれば塩を足し、濃いようであれば水を足して調整してください。材料に火が通ったら出来上がりです。
レンテハはお好みでクミンを入れる人もいます。
まとめ
アンダルシアでよく食べられている家庭料理の中に知っているものはありましたでしょうか。
夏のアンダルシアは40度超えの日々が続くこともありとても暑いので、冷製スープや作り置きしておける冷たい食べ物が好まれています。
冬はエネルギーを蓄えられる豆料理がよく食べられます。豆料理は時間がかかるものもありますが、作り方は意外と簡単なので気になる人は作ってみてください。
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