スペイン・バルセロナの治安事情(スリ・置き引き)

バルセロナ スペイン生活・移住

人生で一度は見てみたいガウディ建築のサグラダ・ファミリア、グエル公園など見どころ満載のスペイン、バルセロナ。

新鮮な魚介類やイベリコ豚の生ハムなど食事も充実していて夢のような国です。ですが、実はバルセロナは「スリ」や「置き引き」の犯罪が多発しており、かなり注意が必要です。

私がバルセロナに滞在して、実際に体験した現地の治安事情や対策をお伝えします。これからスペインへ旅行される際は、事前に防犯対策をしっかり立てて楽しく過ごしてください。

*1ユーロ=124円

バルセロナってどんな街

サグラダ・ファミリア

バルセロナとは

スペインの首都マドリードに次いで大きいのがカタルーニャ州の州都であるバルセロナです。気候は地中海性気候のため冬でも温暖であることや、美食の街で観光スポットもたくさんあることからヨーロッパ屈指の人気観光地となっています。

世界遺産であるサグラダ・ファミリアを代表とするガウディ建築、世界中にファンを持つFCバルセロナのホームスタジアムであるカンプ・ノウ、市内に無数にある美味しい料理を提供するバルやレストランと魅力に事欠きません。

ですが、あまりに観光客が訪れすぎて、年間の観光客数は約3200万人とバルセロナの人口約160万人に対し20倍にもなっています。

観光地として有名なランブラ通りには、1年間で延べ1憶人が通行しているという事態にバルセロナ市長のアダ・コラウ氏が2020年に向けて観光客数を削減する方針を打ち出しているほどです。

観光客だらけのバルセロナでスリが横行する事態となっているようです。

バルセロナでスリ、置き引きの被害件数が多い場所

駅

犯罪状況

外務省の海外安全ホームページによると、スペインでの邦人の犯罪被害はバルセロナでの発生が55%を占めています。そのうちの約81%はスリ、または置き引きによる被害です。

犯罪の起こりやすい場所

公共交通機関の車内や構内、観光地、ホテル・ロビー、飲食店等での被害報告が多数あり、また、路上、ブティック、スーパーマーケットも油断できないとしています。

実際に被害が頻発しているのは、

  • サンツ駅およびカタルーニャ駅などの地下鉄駅構内および車内
  • 北バスターミナル
  • ランブラス通り
  • カタルーニャ広場周辺
  • プラット空港
  • ホテル・ロビー
  • サグラダ・ファミリアやグエル公園などの観光地
  • カテドラルを中心としたゴシック地区
  • カンプ・ノウ・スタジアム周辺
  • モンジュイックの丘などの観光地

です。

ポイント

特に注意が必要なのは「地下鉄駅内のエスカレーター」「電車内の扉付近」「ショッピング中」「行列の中(バス待ち、信号待ち、レストランでの座席待ち)」です。

本当にふとした瞬間に、スリとは思えないような人が盗みを働きます。日本ではないという自覚を持って行動することが大切です。

バルセロナ旅行中、実際に危険を感じた場面(3件)

券売機

実際に私が旅行中に体験したスリなどのトラブルについて紹介します。

すべて未遂で終わったのでとても幸運だったと思いますが、目の前でスリ犯を目にすると、「バルセロナはスリが多い」というネット情報や友人からの忠告は本当だったのだなと怖くなりました。

トラブル1:地下鉄でのスリ

地下鉄を利用し、電車から降りた時にスリ犯に狙われました。

駅のホームに待ち構えていたスリ犯3人にターゲットにされた私と夫はホームからエスカレーターで改札階に上がっている時に後を付けられました。そして、改札を出ようとする時に彼らは私達の真後ろに来ていたのです。

異変に気が付いた夫が壁際によって立ち止まると、スリ犯たちもしばらく立ち止まっていましたが、私達が一向に動かないので先に行きました。

改札を出て地上に上る通路を進んでいたところ、一味がまた待ち伏せをしており、私達が側を通り過ぎると足を地面で強く踏んで大きな音を出して脅かしてきました

それ以上は付いてくることはありませんでしたが、とても怖かったです。

ポイント

地下鉄を拠点にしているスリ犯はホームや改札、切符売り場でターゲットを待ち伏せしています。怪しい人がいたら立ち止まって、自分が狙われていないか確かめましょう。

トラブル2:ショッピングモール前の信号でのスリ

スリ

カタルーニャ広場にある「エル・コルテ・イングレス El Corte Inglés」という巨大ショッピングモールに通じる道で信号待ちをしている時に目の前でスリ行為を目撃しました。

幸運にも未遂に終わりましたが、スリはどこででも起こることを実感する出来事でした。

基本情報

  • 名称:エル・コルテ・イングレス El Corte Inglés
  • 住所:Pl. de Catalunya 14
  • アクセス:1/3号線カタルーニャ駅から徒歩1分
  • 営業時間:9:30~21:30 休み:日祝(営業する日もある)
  • 電話番号:93-3063800
  • 公式サイト:https://www.elcorteingles.es/

トラブル2の詳細

当時の状況は、中国人カップルが先頭で信号待ちをしており、その後ろに全身をブランドの偽物で身を固めた夫婦と子供がいまいした。

私はそのスリグループの左横にいました。たまたま、バルセロナにはいろんな国の人がいるなぁ、と興味深く周囲を見ていると、前方のお喋りに夢中になっている中国人カップルの女性が担ぐリュックのファスナーに男が手をかけました

あまりに自然すぎて最初はカップルの男性が女性のリュックのファスナーを閉めているのかと思いましたが、もちろん、スリ犯の仕業です。

思わず驚いて「え?」と言ったせいか、それとも違和感を覚えた女性が後ろを振り返ったせいなのか、スリ犯はそれ以上何もしませんでしたが、代わりに腹いせなのか私の足元につばを吐きかけてきました。

そして、信号が変わってもスリグループは信号を渡らず次の獲物を待っているようでした。

ポイント

人混みの中で信号待ちをするときも、身の回りに注意を配りましょう。路上ではお喋りに夢中にならず隙を見せないこと。リュックの場合は前に担ぎましょう。

トラブル3:偽札トラブル

ゴシック地区にある食器屋さんに寄った時に、またもや被害未遂にあいました。今度はスリではなく、偽札トラブルです。

15ユーロ程度の食器を購入し、50ユーロを出しました。すると、店主がその50ユーロ紙幣にマジックで何やら試し書きをし、「この50ユーロは偽物だ」というようなことを伝えてきました。

そして、突然「隣の店に行って確かめる」と言ってアッという間に店を出ていったので、私はあっけにとられてしまい何もできませんでした。

帰ってきても「偽物だ」と主張し、50ユーロ札を放そうとしない店主に、持っていた10ユーロ紙幣と小銭で支払い、試し書きをされた50ユーロをひったくるようにして返してもらい店を出ました。

私を不安にさせて50ユーロを巻き上げるつもりだったのだと思います。同じEU圏内のベルギーで暮らしていて、支払いの際に偽札ではないかと疑われたことがなかったので、かなり驚きました。

その後、デパートで問題の50ユーロ紙幣を使えるか試しましたが、何の支障もなく使えました。

その他、バルセロナで頻発している被害

スリや置き引き以外にはどのような被害にあうのかを、事前に下調べしたところ「ケチャップ泥棒」「偽警官」といった手口で被害にあう方が多いようでした。

「ケチャップ泥棒」はターゲットの洋服や身体にケチャップなどつけ、その後、あたかも親切な人を装って、「何かついてるよ」と教えてくれます。

そしてターゲットが自分のカバンから目を離したすきに、財布を抜き取ったり、そのままカバンそのものをひったくっていくようです。

また、「偽警官」はパスポートの提示を要求し、それと共に財布を見せろと言ってきて、あっという間に気が付かないうちに、現金を抜き取るようです。

基本的に人混み、もしくは人通りが途絶えたようなところで声をかけてくるような人は怪しい人だと思って、無視してしまった方が良いでしょう。

ポイント

高額紙幣はショッピングモールや大手スーパーなどで使い、個人商店ではなるべく小額紙幣を使う方がスムーズに買い物ができます(高額紙幣を受け取ってくれない個人商店も多いです)。

そして、このような状況では、「商品なんかいらない」と言ってお金を返してもらいお店を出るべきだったなと私自身反省しています。

また、店主がお店を出て行ってしまった時に、もし偽札にでもすり替えられていたらと自分の行動を後悔しました。

スリ、置き引き対策

カバン

「日本とは違う環境にいる。何が起こるか分からない」と、まずは防犯意識を高めましょう。常に緊張感を持っていないと、普段何気なくしている動作や行動が犯罪者たちに狙われる元となります。

たとえば、友人などと旅行する場合に、お喋りに夢中になってカバンから目を離してしまうとそこを狙われます。

服装

観光客だと一目でわかるような恰好を避けることが好ましいと言われています。バルセロナに住んでいた友人からは、冬のバルセロナでは帽子をかぶっている人はいないから、帽子をかぶるとかなり目立つと言われました。

また、夏は日よけ傘や日差し除けのアームグローブをつけると一発で観光客であることをアピールしてしまいます。

できるだけ、現地の人に馴染むような恰好や行動を取ると、犯罪者に狙われにくくなります。

スリ対策(カバン)

カバンは必ずファスナーが付いているものを選びましょう。簡単には物を取り出せない状況を作ることが大切です。肩に斜め掛けできるバッグがおススメです。

ファスナー部分が自分の目に見える位置にカバンをかけ、さらに地下鉄などの人混みではカバンのファスナー部分を抑えてカバンに意識を向けましょう。

冬の場合は斜め掛けにしたカバンの上からコートを羽織れば、そう簡単には手を出されません。

カバンの中に物を入れる順番も工夫して、大事なものは真ん中に入れて上からも下からも取りにくいようにすると良いです。

リュックは両手があいて便利ですが、後ろからそっとファスナーを開けられたら分かりません。

使いたい場合は混雑している場所では前掛けにするか、ファスナー部分に鍵を付けるなどして隙を見せないようにすることが大切です。

スリ対策(貴重品の管理方法)

今回、私は海外旅行で初めて防犯用のウェストポーチを使いました。もう一度バルセロナに行くなら必ず持っていくと思うほどに、活躍しました。

貴重品は分散して持つことを心掛け、必要以上の現金は持ち歩かないようにしましょう。1日で使う現金を決め、残りのお金はホテルのセーフティーボックスにしまっておくことで、スリにあっても最低限の被害で済みます。

一番大事なパスポート、50ユーロ札などの高額紙幣、クレジットカードはウェストポーチに入れてお腹の中にしまい、街歩きでパッと使いたい時用に小銭入れを用意して5~20ユーロ札を入れて使っていました。

このように、貴重品を小分けにして持つことで、被害を抑えることができます。また、財布も派手なブランド物の財布より、盗まれても良いと思えるくらいの地味な財布を別に用意するとより安心です。

置き引き対策

スリに加えて置き引きの被害も多いバルセロナでは、レストランやカフェで座るときも適度に緊張感を持つことが大事です。

まず、荷物は背もたれにかけたり、背もたれの後ろに置いたりするのではなく、自分の目が届くところに置きましょう。

私は基本的に膝の上に置いてその上にナプキンを置いていました。足元に置く場合は、椅子に肩掛けの部分を通すと良いと現地の人にアドバイスされました。

私が入ったカフェでも、「自分の持ち物は自分で管理してください。当店は一切の責任は負いません」という張り紙がしてありました。

万が一、被害にあった場合

お店

残念ながら、警察に行っても盗まれたものが返ってくることはまずありません。悔しいですが泣き寝入りすることになります。

そのためにも上記でご紹介したスリ対策をしっかりして、すられても被害が最小限になるように貴重品の管理を工夫しておくことをおすすめします。

また、万が一被害にあった場合は、それ以降被害に関わる書類や領収書をすべて保管してください。

現金・カメラ・携帯電話などの携行品

盗まれてしまった場合、手元に戻ってくることはまずありません。携行品損害保険などに入っている場合は携行品の損失を保険会社に補填してもらえる場合があります。多くの保険会社が現金の損害の補償まではカバーしてないようです。

どこまでが保険支払い対象内なのか確認してください。また、被害状況に応じて補償されます。置き引きなど、自分に過失があるものは保険金が出ないようです。

また、補償されるために現地の警察への被害届を出してその書類を帰国までしっかり保管してください。後日保険の請求時に使うことになるでしょう。

クレジットカード

盗難、紛失に気が付いたら即座にクレジットカード会社に連絡をして停止してください。帰国後にカードを再発行することになります。事前にクレジットカード番号を控えておくと手続きがスムーズに済みます。

パスポート

大使館または総領事館に連絡して必要書類を確認・用意した上で、大使館または総領事館に行ってください。外務省のホームページによると下記の書類が必要なようです。

  • 紛失一般旅券等届出書 1通
  • 警察署の発行した紛失届出を立証する書類又は消防署等の発行した罹災証明書等
  • 写真(縦45ミリメートル×横35ミリメートル) 1枚
  • その他参考となる書類(必要に応じ、本人確認、国籍確認ができるもの)

まとめ

スリなどの被害にあうとそれまで楽しかった旅行が一変して事後処理のために右往左往することになります。

また、自分のどこが悪かったのだろうと自己嫌悪に陥ったり、悲嘆に暮れてしまったりすることになります。

ですが、事前に被害について調べて、ちょっとした対策をするだけで被害にあう確率がぐっと少なくなるはずです。

私自身も、運が良かっただけかもしれませんが、事前に準備をすることで、安全に旅行をすることができました。

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記事を書いた人

ベルギーのルーベン在住。
フィンランド・イマトラで、中学校、高校の日本語教師としてインターンシップを半年間経験。
海外にて英語のサブ・ティーチャーなど。

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