スペインのアンダルシア地方に点在する「白い町」をご存知ですか?
青い空に映える白壁の家が集まった美しい町のことで、ゆっくりとした時間が流れています。自然と静けさ、町そのものの佇まいが何よりの見どころ。6〜7月頃になると町の周りに満開のひまわり畑が広がります。
どの町もとても小さく、バスや車でしか行けない場所がほとんどですが、せっかくスペインを旅行するならぜひ訪れたいもの。そこで、たくさんある中から、スペイン在住の私が厳選した5つの白い町をご紹介したいと思います。
なぜ家が白いのか
「白い町」と呼ばれる理由は写真を見ても分かる通り、町の家の壁が全て真っ白であること。
段差の多い迷路のような道にその真っ白な家々が太陽の光を受けて輝き、鉄格子のついた小窓や青い鉢植えの色鮮やかなゼラニウムが彩りを添えます。
では、なぜ家の壁が真っ白なのでしょうか?
生活の知恵が詰まった白壁
その理由は、一般的には暑さを和らげることのようです。白い色は光を反射するので、室内への熱を和らげる効果があります。太陽の日差しが強いアンダルシア地方ならではの生活の知恵です。
その他の理由としては、伝染病が流行った時代、その予防のために「石灰」で壁を塗ったということです。
今では観光地化されている町もあり、「白い町」というブランドができていますが、その背景にはアンダルシアの人々が生活の中で培った知恵の歴史があるのです。
スペインの白い町1. アルコス・デ・ラ・フロンテーラ
最初におすすめするのは、アンダルシア地方カディス県にある人口3万人ほどの町です。
このアルコス・デ・ラ・フロンテーラは、ここから東のアルカラ・デル・バジェまでを結ぶプエブロス・ブランコス街道(白い町の街道)の玄関口になっています。
アルコスへの行き方
アルコス・デ・ラ・フロンテーラへは、ヘレスからバスで向かいます。1日の本数がとても少ないので注意しましょう。
その他にも、セビージャやカディス、ロンダからも訪れることができます。電車で行く方法もあります。
帰りは、アルコス発の最終バスの時間が目的地によって異なります。ヘレスまでであれば20時頃、カディスは18時頃、セビージャは15時頃までと、場所によっては最終の時間が早くなるので注意しましょう。
ですが、町自体はとても小さいので半日あれば十分に色々な場所を見て回ることができます。
車で訪れる際は、道が狭く車幅がギリギリなので、自信のない方は旧市街手前の有料駐車場に停めてタクシーで向かう方が無難です。
アルコスの楽しみ方
まずは旧市街地の中心、カビルド広場(Plado del Cabildo)へ向かいましょう。
バスターミナルからは坂を登って20分ほどです。広場の東側にある教会や古い家並みを眺めながら、気の向くままに歩いてみてください。
アルコス・デ・ラ・フロンテーラの町は広大な岩山の上にあり、展望台からの眺めは絶景です。断崖の下にはグアダレーテ川が流れ、その先には緑の雄大な大平原が広がっています。
おすすめホテル
パラドール(古城や宮殿などを改修したスペインの国営ホテル)があり、ロケーションがすばらしいので利用してみるのもいいでしょう。
食事は地元のスペイン料理でとても美味しく、ワインも質が良くリーズナブルです。カフェのテラスからの眺めも美しいので、お茶を飲みながらゆっくりと景色を楽しむのもおすすめです。
Parador de Arcos de la Frontera(パラドール・デ・アルコス・デ・ラ・フロンテーラ)
- 所在地:Plaza del Cabildo, s/n, 11630 Arcos de la Frontera, Cádiz
- 電話: 956700500
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アジア人が少ないのどかな雰囲気
私が訪れた時は町の人もアジア人が珍しかったようで、私を見かけた瞬間の子供たちのキョトンとした顔が忘れられません。
勇気を出して「オラ!」(スペイン語で「こんにちは」)と声をかけると子供たちがパッと笑顔になり「オラ!」と手を振って挨拶してくれました。それがとても嬉しかったのを覚えています。
人通りもあまり多くなく、とてもゆったりとした空気が流れていました。もう一度訪れたい町の一つです。
スペインの白い町2. ミハス
次におすすめする町はミハスです。
アンダルシア地方マラガ県にある人口7万人ほどの町で、「白い町」の代表的な町としてとても有名です。旅行雑誌にもよく出てくるので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
美しい町並みでとても人気が高く、外国人の別荘が多く立ち並びます。
ミハスへの行き方
マラガからバスで向かいます。フエンヒローラやトレモリーノスなど他の白い町からも近く、日帰りスポットとして人気があります。
バスの終点はビルヘン・デ・ラ・ペーニャ広場(Plaza Virgen de la Peña)で、可愛いおみやげ屋さんやレストランに囲まれています。
おみやげ店にはカラフルな雑貨や陶器、スペインならではの高品質なオリーブ製品などが並び、見ていると全部欲しくなってしまいます。
ミハスの楽しみ方
ビルヘン・デ・ラ・ペーニャ広場の先にはミハスの名物「ロバタクシー(Burro Taxi)」の乗り場があり、ロバが観光地を案内してくれます。珍しいのでとっても人気です。
さらにその先に行くとラ・ペーニャ聖母礼拝堂(Ermita Virgen de la Peña)があり、ここから別の白い町フエンヒローナの町並みと地中海が一望できます。
ミハスの町の西側にあるサンセバスティアン通り(San sebastian)はミハスで最も美しい通りだと言われており、その写真が絵はがきやガイドブックにもよく使用されています。一見の価値ありです。
華やかかつ素朴な町
ミハスは観光地として日本人に大人気なので、先にご紹介したアルコスのようなゆったりとした雰囲気とはまた違いますが、まるで絵本の中に出てくるようなという表現がピッタリの本当に可愛い町です。
白い家と青い植木鉢のコントラストが爽やかで、どこを写真に撮っても絵になります。
地中海に面するコスタ・デル・ソル(太陽の海岸)の地域であり、温かい海風がとっても気持ちいいです。天気のいい日には対岸のアフリカ大陸を望むことができます。
女性の方は、ミハスの町並みに溶け込む白いワンピースを着て訪れてみてはいかがでしょうか?きっと、より楽しめるはずです。
スペインの白い町3. フリヒリアナ
スペインで一番美しい村
アンダルシア地方マラガ県にある人口3千人ほどの小さな町フリヒリアナ。
かつては「Los pueblos más bonitos de España」という協会主催の「スペインで一番美しい村」に選ばれたこともあります。
なお、この協会はまだ知られていないスペインの村の魅力を伝えるために設立され、スペインの最も美しい村の認定を行っています。
フリヒリアナへの行き方
フリヒリアナを訪れるには、マラガからバスで向かい、ネルハで乗り継がなければなりません。ネルハから見る地中海も本当に美しいのですが、そこは通過します。
ただ、時間があればどちらも訪れるといいでしょう。
ちなみに、ネルハの海はヌーディストビーチでとても開放的です。また、以前行った時は天気も気候も良く、水がまるでゼリーのように透き通っていてとても感動したのを覚えています。
フリヒリアナの楽しみ方
町には列車型の観光バスが走っています。路地の奥にはおしゃれなおみやげ屋さんもあり、地元の民芸品などを扱っています。
しかし、観光したりおみやげ物を見たりするよりも、街中をふらふらと自由気ままに歩くのがおすすめ。町の人たちの生活の様子が垣間見えて、とても興味深いです。
町は傾斜になっており、坂を登っていくと町並みが一望できます。青い空と遠くに見える美しい地中海に、白い家とブーゲンビリアのフクシアピンクが映えてとってもきれいです。
大変穏やかな雰囲気なので、白い町の中でも特にゆったりとした時間を過ごせます。
スペインの白い町4. フエンヒローラ
マラガ県にある人口7万人ほどの町フエンヒローラはリゾート地です。夏になるとヨーロッパ各地からたくさんのリゾート客が訪れます。
フエンヒローラへの行き方
マラガからバス、もしくは電車で向かいます。
フエンヒローラの楽しみ方
駅の目の前にはショッピングセンターがあり、それを背に海に向かって歩いていくと、観光客で賑わうモンカジョ通り(Moncayo)があります。新鮮な海の幸が味わえるレストランはいつもお客さんでいっぱいです。
町の南西にある闘牛場の周りには動物園と歴史博物館があります。
7・8月は夜の動物園を楽しむことができます。スペインの夏は日が長いので、月明かりの中の動物園を楽しみたい方は22時以降がおすすめです。
スペインの白い町5. サアラ・デ・ラ・シエラ
カディス県にある人口1500人ほどの小さな町です。
サアラ・デ・ラ・シエラへの行き方
ロンダからバスで向かいます。バスは1日2本しかありません。
また、帰りのサアラ発・ロンダ着の最終バスは14時、さらに土日祝日は運休なのでご注意ください。
サアラ・デ・ラ・シエラの楽しみ方
8世紀にアラブ人によって築かれたというサアラは、頂上に古城が立つ岩山の裾に広がっています。まずは、そのアラブの古城を目指して歩いてみましょう。
道中に望むことができる雄大な風景は忘れられないほどの絶景です。頂上にたどり着くと、足がすくみそうなほどの高さからサアラの町を見渡すことができます。
岩山を下りたら町歩きを楽しみましょう。地元のバルに立ち寄って休憩しながらのんびり過ごすのもいいかもしれません。
下から古城を見上げても雄大で美しいので、ぜひどちらの景色も楽しんでくださいね。
スペイン初心者から上級者まで楽しめる
「白い町」への旅行は、スペインが初めての方にはもちろん、マドリードやバルセロナなどメジャーな観光地には行ったことがあるという方にもとてもおすすめです。
スペインは地域によって雰囲気がガラリと変わります。アンダルシアのまぶしい太陽、青い空と青い海、そして美しい白い家は、私たちが想像する情熱的なスペインのイメージとは一味違った魅力を持っています。
のんびり町歩きをしたり、地元のバルに入って伝統的なスペイン料理を楽しんだりと、ゆっくり過ごしたい方にぴったりです。
なお、「白い町」初心者の方はミハスのような観光地として整備された町、リピーターの方はフリヒリアナやサアラ・デ・ラ・シエラに行くことが多いです。
まとめ~生活する人の息づかいを感じられる場所
ご紹介した5つ以外にも、スペインには「白い町」がたくさんあります。
観光ガイドブックに載っていないようなマイナーな町もあり、王道の観光を楽しみたい方には向いていないかもしれませんが、そこで見られる風景にはそこに住む人たちの生活が息づいています。
また、スペイン語が少し話せると地元の人ともコミュニケーションを取ることができるので、少し勉強して行くとより楽しめるでしょう。
次のスペイン旅行の計画に「白い町」を加えてみてはいかがでしょうか?
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