日本には三大祭と呼ばれるお祭があります。どのお祭か知っていますか?答は京都八坂神社の「祇園祭」、大阪天満宮の「天神祭」、東京神田明神の「神田祭」の三つです。
じつはタイにも同じように三大祭があります。ウボンラーチャタニー県の「ロウソク祭」、スリン県の「ゾウ祭」、そして全国的に行われる「ローイクラトン」です。
今回は、神秘的で美しく、ダントツ人気のローイクラトンについて紹介します。
ローイクラトンって、何?
夜の川面に漂う無数の灯りが、波に揺られながらゆっくりと流れていきます。ローイクラトンは灯篭流しのお祭です。
田畑の収穫とそれをもたらす水に感謝するとともに、日頃水を汚してしまっていることを謝罪するため、水の女神コンカーに祈りを捧げ、川に灯篭を流します。コンカーはもともとヒンドゥー教の神ですが、タイでは仏教に吸収されています。
また、チェンマイでは仏教の祭だった「イーペン祭」とローイクラトンが統合され、祭全体が仏教の祭事と考えられるようになっています。旧暦12月の満月の日を中心にした数日間、タイ全土で行われます。毎年11月頃です。
「クラトン」は灯篭のこと。「ローイ」は浮かぶ、漂うという意味です。
ローイクラトンはどんなお祭?
ローイクラトンのメインイベントは灯篭流しです。各地の川のほか、湖や池でも灯篭流しが行われます。人々は露店に並ぶクラトンの中から気に入ったものを選び、ロウソクに火を灯したあと、祈りを込めて水面に浮かべます。
遠くに行くほど祈りがかなうといわれ、手で水を送ってクラトンを流れに乗せようとする人もいます。川面にはロウソクを載せた数百のクラトンが漂い、幻想的な光景をつくります。
チェンマイなどでは「コムローイ」という紙製の熱気球を夜空に飛ばします。気球の下部につけられたランタンの熱で空気が熱せられ、勢いよく昇っていきます。
ランタンの灯りでコムローイは淡くオレンジ色に輝きます。たくさんの灯りが夜空に昇っていく様は、神秘的で息をのむほどです。タイ伝統舞踊ショーやミスコンテストもローイクラトンの夜の名物です。
願いを込めて飾るクラトン
ローイクラトンが近づくと、川の近くにはたくさんの露店が出てクラトンを売り出します。クラトンはバナナの木を輪切りにしたものや紙を台にして作ります。花や葉で美しく飾り、ロウソクや線香を添えます。
学校の授業でもクラトン作りが行われ、生徒たちの作品によるコンテストが公開されます。
パン生地でできたクラトンも売られています。伝統的なタイプのような華やかさはありませんが、魚の餌になり、川を汚すことがないので人気が高まっています。
ローイクラトンを見るならどこ?
ローイクラトンの祭はタイ全土で行われ、大きな川から学校の小さな池に至るまでクラトンが浮かべられます。人々が身近にある水に祈りを込めてクラトンを流すのです。
一方で、大規模で華やかなローイクラトン祭は、一年の中でも最大のタイ観光のハイライトです。有名なのはバンコク、スコータイ、チェンマイの祭です。
クラトンは会場近くの露店などで購入できるので、事前に用意しておく必要はありません。ただ、火を灯すためのライターは持参すると便利です。
クラトンを流した後は、会場付近の伝統文化ショーや露店でのショッピング・食べ歩きを楽しむこともできます。
バンコクのローイクラトン
バンコクを貫いて流れるタイ最大の大河・チャオプラヤ川がローイクラトンのメイン会場になります。川沿いではいたるところからクラトンが水面に放たれ、川を漂います。
とくに大規模ショッピングモール「アジアティーク」は観光にうってつけです。川にはイルミネーションで飾られた船が浮かび、花火が打ち上げられます。
チャオプラヤ川のほかにも、ルンピニ公園、スクンビット通りのベンチャシリ公園、クイーン・シリキット・コンベンションセンター北側のベンチャ・キティ公園などで灯篭流しやダンスショーなどを見ることができます。
クラトン流しは日没と同時に始められますが、チャオプラヤ川沿いでは20:00からイルミネーションボートのパレードが行われ、盛り上がります。
スコータイのローイクラトン
スコータイはアユタヤ以前のタイの都です。世界文化遺産に指定されている歴史公園がローイクラトン祭の会場です。日中はクラトンやキャンドルのパレードをはじめとするイベントが行われます。
夜は祭のハイライト、音と光の壮大な歴史ミュージカルショーが遺跡をバックにして繰り広げられます。ショーの開演は19:30、場所はスコータイ歴史公園内の寺院、ワット・マハータートです。
観覧希望者は早めにチケットを購入してください。旅行代理店からも申し込めます。
チェンマイのローイクラトン
国内最大規模のチェンマイのローイクラトンには多くの観光客が詰めかけます。
チェンマイのローイクラトン祭は「イーペン祭」と呼ばれます。もともと雨季の終わり・乾季の始まりの旧暦2月に行われていた行事がローイクラトンと同時に行われるようになったものです。
イーペン祭の最大の特徴は大量のコムローイ(熱気球)です。ブッダへの感謝と厄払いのために、人々がコムローイを買い、火を灯して天に昇らせます。
メイン会場のメージョー大学構内のほか、ピン川の土手などからも次々にコムローイがあげられ、満月の空を埋め尽くします。クラトンが流されるピン川では花火の打ち上げも行われ、祭を盛り上げます。
クラトンを模した山車のパレードはチェンマイでしか見られません。街じゅうに飾られるランタンもチェンマイのローイクラトンの特徴で、街は華やかな灯りに包まれます。昼間から様々な催しが行われ、夜19:00頃からクラトン流しが本格化します。
20:00からは花火の打ち上げが始まり、日付が変わるまで続けられます。チェンマイ名物のナイト・バザールも深夜まで賑わいます。
まとめ
2016年は国王の崩御により、各地のローイクラトンは中止や規模縮小となりました。喪が明ける2017年の11月には、再び元通りの活気に満ちたローイクラトンを観ることができるでしょう。
まだ体験したことのない人には、ぜひこの時期に訪タイして、タイ最大のページェントを目の当たりにすることをおすすめします。
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