スペインのアンダルシア地方と言えばフラメンコ発祥の地として有名です。アンダルシア地方の首都セビリアにはフラメンコのタブラオがいくつかあります。タブラオとはフラメンコのショーを行っている場所です。
フラメンコの本場と言われるセビリアで熱いフラメンコショーを堪能してみませんか。魂を揺さぶるカンテ(歌)、繊細なトーケ(ギター)、迫力のあるバイレ(踊り)を間近で見れば、セビリアの夜を熱く過ごせること間違いなしです。
フラメンコとは
フラメンコとはスペインのアンダルシア地方で生まれた芸術文化で、歌(カンテ)、ギター、踊り(バイレ)の三位一体が魅力です。
西インドから追われてスペインへ来たジプシー(スペイン語でヒターノ=gitano)達の音楽と、もともとスペインに住んでいたアラブ系の人達の音楽、それにアンダルシアの音楽が混ざってできあがったものだと言われています。
日本ではフラメンコ=踊りのイメージを持っている人も多いとも思いますが、もともとは歌(カンテ)から生まれて、後にギター、最後に踊りが加わりました。魂を揺さぶるような深いカンテは、フラメンコの醍醐味と言えると思います。
歌い手はカンタオール(cantaor)、女性の場合はカンタオーラ(cantaora)、踊り手はバイラオール(bailaor)、女性の場合はバイラオーラ(bailaora)と呼ばれます。
フラメンコの発祥地については諸説ありますが、セビリアは各地域から人が集まる場所であったため、アンダルシアの各地域で生まれたフラメンコがセビリアで発展していったとも言われています。
そのため、セビリアはフラメンコが盛んな地域の一つで、観光客向けにフラメンコショーを行っているタブラオや、愛好家が集まるペーニャ(ペーニャとは一般的に愛好家が集まる同好会やクラブのようなものです)が多くあります。
また、世界からフラメンコを学びに来る人たちもたくさんいます。フラメンコはセビリアの一大観光産業となっています。
フラメンコの曲種
上記写真はヘレス・デ・ラ・フロンテーラにあるフラメンコの有名なカンタオーラ「Paquera de Jerez」の像です。
フラメンコには様々な曲種があり、それぞれに歴史があります。タブラオでフラメンコのショーを観る前に予備知識として曲種のことを知っておくと、いろいろ想像しながら見ることができるかもしれません。
全てではありませんが、フラメンコの代表的な曲種について少しご説明します。
ソレア
フラメンコの母と呼ばれ、ソレアは孤独を意味する「soledad」から来ているとも言われています。重ための曲調が特徴です。
アレグリアス
明るい曲調の、喜びを表現した曲で、港町カディスで生まれたと言われています。女性はスカートの裾が長い「バタ・デ・コーラ」という衣装で踊ることもあります。
ブレリア
リズミカルな3拍子系の曲で、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ、セビリアのトリアナ地区、カディス等、各地域ごとに特色を持っています。タブラオでは、ショーの最後に全員が舞台に上がって踊られることが多いです。
シギリージャ
ソレアと並びフラメンコを代表する曲で、ジプシーの苦悩や嘆き、怒りを表現したものと言われています。重厚な闇を持ったような曲調が特徴です。
マルティネーテ
ジプシーの主な仕事場であった鍛冶場で、ユンケと呼ばれる鍛冶の金床でリズムをとって歌ったのが始まりとされています。ギターの伴奏がなく、パルマと呼ばれる手拍子のみで歌われるのが一般的です。
タラント
アンダルシア東部のアルメリアを起源とするこの曲は、鉱山で働く人達の嘆きを歌ったとされます。
タンゴ
2拍子系の曲で、ブレリア同様各地域で生まれたと言われています。
タブラオとは
タブラオとはフラメンコのショーを行っている場所です。
レストランのようになっていてフラメンコを見ながら食事を楽しむことができる場合もありますし、ワンドリンクがセットになっていて飲みながらフラメンコを見る、という形式の場合もあります。
タブラオは1日2回ステージがあることが多く、一般的に一部は19時〜20時半頃開始、二部は21時〜22時半頃開始となり、終了は0時を過ぎることもあります。
日本人からしたらとても遅い時間な気がしますが、二部の方が盛り上がることが多いので、時間に余裕のある方は二部に足を運んでみましょう。
タブラオの楽しみ方
タブラオのドレスコード
タブラオは毎日観光客がたくさん訪れる場所なので一般的にドレスコードはありませんが、少しおしゃれをしていくと気分良く楽しむことができます。
男性ならシャツにジャケット、女性ならワンピースにストールを巻いていく等すると良いでしょう。
タブラオの予約
タブラオは当日でも入場可能ですが、事前に予約をしていくことをおすすめします。
特に食事を楽しみたい場合は、事前に予約をしておきましょう。お店に直接連絡しても大丈夫ですし、ホテルから予約代行を頼んでもOKです。ショーが始まる時間前に到着して食事のオーダー、飲み物のオーダーを済ませましょう。
ショー中のマナー
ショーの最中はおしゃべりは厳禁です。また、舞台上でアーティストがパルマと呼ばれる手拍子をしていますが、観客の手拍子はショーの邪魔になるのでやめましょう。パルマはフラメンコのコンパス(リズム)を奏でる重要な楽器の一つです。
また、携帯は電源を切るか、マナーモードにしましょう。
歌やギター、踊りが素敵だなと思ったらハレオと呼ばれる掛け声をかけるのはOKです。「オレ!(素晴らしさを表す言葉)」や「ビエン(いいね)」等の声をかけてみましょう。
写真撮影
ショーの最中は写真撮影は禁止です。最後のフィン・デ・フィエスタ(アーティストが全員出てくるタイミング)のみ写真撮影OKとされている場合は、そのタイミングのみ写真撮影をしても構いません。
フィン・デ・フィエスタで写真を撮影したい場合は、事前にお店の人に聞いておきましょう。
ショーが終わったら、出演アーティスト達に盛大な拍手を送りましょう。
セビリアのタブラオ
セビリアのタブラオでは、第一線で活躍するアーティストのショーを見ることができます。
迫力のある1時間半程度のステージをたっぷり見られるタブラオから、リーズナブルでコンパクトなタブラオまで、セビリアにあるタブラオをいくつかご紹介します!
たっぷりと迫力のあるショーを楽しめるタブラオ
Los Gallos(ロス・ガジョス)
サンタ・クルス街にあるLos Gallosはセビリアで最も老舗のタブラオで、国内外で活躍する一流のアーティストが毎日10人以上出演しています。有名アーティストが何人も修行を積んだ場所としても有名で、歴史のあるタブラオです。
中はこじんまりとした雰囲気で、舞台に近い席で1時間半の迫力のあるステージをたっぷりと観ることができます。団体客は入らないので、落ち着いてしっかりとショーを楽しみたい人におすすめです。
Los Gallosのホームページでは、その日に出演するアーティストの情報が掲載されています。当日でも入場することはできますが、時期によって混雑することがあるので、予約はできる限りした方が良いです。
- 住所:Plaza de Santa Cruz, 11
- 電話番号:954 216 981
- ショーの時間:20:30-22:00 22:30-0:00
- 料金:ワンドリンク付き35ユーロ、6歳〜10歳はワンドリンク付き20ユーロ
El Arenal(エル・アレナル)
El Arenalは実力派のアーティストが揃うタブラオで、食事をしながら1時間半のフラメンコショーを観ることができます。毎日、4人の歌い手、2人のギタリスト、5人の踊り手の合計11人が出演しています。
舞台の板の下は砂で、良い音を出す仕組みになっているとか。ニューヨークタイムズでも取り上げられたことのあるタブラオです。
19:30の回はショーの前に食事を取ることができます。21:30の回はショーの最中に食事を取る形式です。食事は要予約、ショーのみの場合も予約した方がベターです。
- 住所:Calle Rodo, 7
- 電話番号:954 216 492
- ショーの時間:19:30-21:00 21:30-23:00
- 料金:ワンドリンク付き38ユーロ、タパス+ワンドリンク60ユーロ、コース料理+ワンドリンク72ユーロ
団体客向けのタブラオ
El Patio Sevillano(エル・パティオ・セビジャーノ)
El Patio Sevillanoは闘牛場の近くにあるタブラオです。最大収容人数は300人の大きなタブラオで、パティオのような作りになっています。毎日10人以上のアーティストが出演し、1時間半のショーを見ることができます。
食事をしながらショーを見ることも可能です。団体の観光客が多く、ノリのいいお客さんがいることも多々あるようです。
- 住所:Paseo Cristóbal Colón, 11
- 電話番号:954 21 41 20
- ショーの時間:19:00-20:30 21:30-23:00
- 料金:ワンドリンク付き38ユーロ、食事+ショー60ユーロまたは72ユーロ
El Palacio Andaluz(エル・パラシオ・アンダルス)
団体の観光客が多く訪れるEl Palacio Andaluzは、200人収容のかなり広いタブラオです。食事をしながらショーを見ることも可能です。
劇場型の凝ったショーを展開しており、オペラカルメンのショー(約12分)もあります。
ここのレストランは結婚式や、洗練式等の儀式でも利用することができます。
- 住所:Calle de María Auxiliadora, 18A
- 電話番号:954 534 720
- ショーの時間:19:00-20:30 21:30-23:00
- 料金:ワンドリンク付き38ユーロ、タパス+ワンドリンク59ユーロ、コース料理+ワンドリンク75ユーロ
コンパクトでリーズナブルなショーが見られるタブラオ
Casa del flamenco(カサ・デル・フラメンコ)
Casa del flamencoはサンタ・クルス街にあるタブラオで、踊り手2名と歌い手1名、ギタリスト1名の人気アーティストによる1時間のショーを楽しむことができます。
舞台は15世紀の邸宅を利用しており、大理石のアーチ、柱や伝統的なタイルで造られています。
収容人数は70名のコンパクトなスペースで、舞台を間近に感じることができます。19時の回は満席になりやすいので、予約をおすすめします。5歳以下は入場不可です。
- 住所:Calle Ximénez de Enciso, 28
- 電話番号:955 029 999
- ショーの時間:19:00-20:00 20:30-21:30 (22:00-23:00 ※時期による)
- 料金:ワンドリンク付き18ユーロ、6歳〜12歳は10ユーロ
Casa de la memoria(カサ・デ・ラ・メモリア)
市内中心部のCalle Cuna(クーナ通り)にあるCasa de la memoriaは、90人程が入るコンパクトなタブラオです。
15世紀の邸宅を利用したスペースは、客席と舞台が近いので目の前でショーを見ることができます。踊り手2名、歌い手1名、ギタリスト1名の人気アーティストによる約1時間のショーです。
事前に依頼すれば出演アーティストのクラス(歌、ギター、踊り)を受けることが可能です。(要相談)ショーの予約はした方がベターです。5歳以下は入場不可です。
- 住所:Calle Cuna, 6
- 電話番号:954 560 670
- ショーの時間:19:30-20:30 21:00-22:00(18:00-19:00 ※時期による)
- 料金:ワンドリンク付き18ユーロ、6歳〜11歳は10ユーロ
El Museo del Baile Flamenco(エル・ムセオ・デル・バイレ・フラメンコ)
El Museo del Baile Flamencoでは併設の博物館で、フラメンコの歴史や曲種の説明、フラメンコ衣装等の展示を見ることができます。
通常のショーは120名収容可能なスペースでのショー、VIPショーは40人しか入らない洞窟のようなスペースで間近でショーを楽しむことができます。VIPショーは大人のみ入場可能です。
- 住所:Calle Manuel Rojas Marcos, 3
- 電話番号:954 340 311
- ショーの時間:17:00-18:00 19:00-20:00 20:45-21:45
- 料金:フラメンコショー20ユーロ、フラメンコショー+博物館見学24ユーロ、6歳〜12歳12ユーロ
- VIPショーの時間:19:00-20:00 20:45-21:45
- VIPショー料金:30ユーロ(大人のみ)
Alvarez Quintero(アルバレス・キンテーロ)
カテドラルの近くにある新しいタブラオです。毎日踊り手2人、歌い手1人、ギタリスト1人のショーを見ることができます。希望者は、ショーの後に踊り手による簡単なバイレ(踊り)レッスンを受けることができます。
6歳以下は入場不可です。
- 住所:Calle Alvarez Quintero, 48
- 電話番号:605 130 130
- ショーの時間:19:00-20:00 20:30-21:30
- 料金:18ユーロ、7歳〜12歳は12ユーロ、65歳以上は16ユーロ
セビリアで本場のフラメンコを!
フラメンコの本場アンダルシアでフラメンコショーを楽しみたくなりましたか?是非タブラオへ足を運んでみましょう。情熱的なフラメンコショーを見れば、素敵な思い出になること間違いなしです。
タブラオの帰りは夜遅くなることが多いので、タクシーを利用するなどして十分気をつけて帰ってください。
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