ロンドンに移住することを考えた時、子供がいる方の場合、決めなければならないのが子供の学校のことです。子供を日本に残すのか、ロンドンに帯同するかは子供の学齢にもよりますが、学校事情も大きいのではないでしょうか?
ロンドンには日本と同じ環境で学べる日本人学校、日系の幼稚園がいくつかあります。本場の英語が学べる現地校やインターナショナル校などの情報も欲しいところです。ロンドンにある学校の情報をどのように集めたらいいかご紹介しましょう。
ロンドンにある日系の幼稚園の紹介
日系の幼稚園は現在4つ、日本人が多い居住地区にあります。ウエストアクトン、フィンチリーセントラル、イーリングブロードウェイなどの地区です。これらの幼稚園の特徴は、日本と同じような幼稚園教育が受けられるということです。
その中でも一番規模の大きい幼稚園は英国前田学園といい、英国教育省に認可されているイギリスで初めての日本の幼稚園です。フィンチリーとアクトンの2ヶ所にあります。
前田学園フィンチリー幼稚園
- 公式サイト:http://www.maedagroup.co.uk/
- フィンチリー幼稚園・・住所:6 Hendon Avenue,London N3 1UE United Kingdom
- アクトン幼稚園・・住所:Playing Field, Queens DriveLondon W3 0HT United Kingdom
幼児期は人間形成の大切な土台を作る時期です。また言語習得時期としても一番重要な時期であると同時に、自己形成や表現能力なども養われます。
さまざまな能力を習得しなければならない敏感な幼児期に、母国語である日本語での教育は非常に重要だと言われています。
英国前田学園では母国語である日本語の習得をまず第一に考え、毎日の園生活で楽しく活動できる環境を整えています。
日本の幼稚園と同じように4月に始まり、幼稚園行事なども同じように行われています。海外ではなかなか体験できない日本ならではの幼稚園の行事を体験できるのです。
また国際社会に対応する子供を育てるためにネイティブの英語の選任教師から英語教育が受けられます。そろばん教室やサッカー教室等、日本の習い事などができることでも有名です。
日本と同じカリキュラムを受けながらイギリスの伝統的な行事なども体験できるなど、ロンドンにあるというメリットを生かした園生活を送れるのです。
そのため在住日本人に大変人気があり、学年によっては予約していてもなかなか入れないこともあります。引越しが決まったら日本から予約する人もいるくらいなのです。
予約方法は幼稚園にお子様の年齢と渡英時期を連絡してウェイティングリストに付け加えてもらえるようにします。
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ロンドンの日本人学校の紹介
日本人学校も同じく日本の文科省、英国教育省に認定されている学校です。日本の教科書で学ぶことができますので、帰国後の学力の差などが生まれないように指導しています。
学校行事は日系幼稚園と同じく、日本の学校生活と同じものを取り入れて体験させながら、遠足などはロンドン郊外の牧場や社会見学などで英国文化に接することもできます。
英語の授業はクラス別になっており、質の高い授業を受けることができます。レベルが一番高い英語のクラスでは、授業中日本語は聞かれないほど高度な授業をしているクラスもあるのです。
日本人学校は、予約しなければ入れないというほどではありませんが、引越しが決まり転入希望であれば早めに連絡したほうがよいでしょう。
日系幼稚園や日本の小学校に通うメリット
日系幼稚園や日本の小学校に通うメリットは、子供が帰国した際、日本の学校と海外とのギャップに混乱しないということが挙げられます。または子供を日本の文化になじませたいという長期在留者の方の声も聞かれます。
ロンドンの日本人学校、日系の幼稚園は出入りが多く、先生達も日本から派遣されており2~3年でメンバーが入れ替わります。先生達はとても熱心ですし、先生と子供、保護者間の団結力があり仲が良いことでも有名です。
小学5、6年生の高学年以上、中学生、高校生であれば南西部のウエストサセックスにある立教英国学院という選択肢もあります。
日本の文科省から認定を受けている私立在外教育施設ですので、進学や卒業は日本の学校と同じ資格を得ることができます。
全寮制ですので生徒はみんな寮に入り暮らします。休みにしか戻ってこないので、家族は帰国し子供のみロンドンで教育を受けるという選択もできるのです。高校生になると全寮制の帝京ロンドン学園もあります。
立教英国学院、帝京ロンドン学園のメリット
立教英国学院、帝京ロンドン学園のメリットは、日本人学校と同じく日本の教育を受けながらロンドンの伝統文化や自然などに触れ、ロンドン暮らしができることです。
英語の語学レッスンが充実していたり、学校のアクティビティでウインブルドンのテニス観戦やミュージカル観劇などもでき、魅力いっぱいなのです。日本の学校に戻る際も、授業や学校生活などで大きなギャップがなく戻れることもメリットです。
イギリスは12歳までは親が子供に付き添い学校の送り迎えなどをしますが、12歳を過ぎひとりで登下校するようになると異国の地での通学などに心配される方もいらっしゃるでしょう。その点でも寮に入っていると安心ということもあります。
寮生活は自立心も大いに養ってくれるので自分のことを自分でできる力もつきます。
これらの学校のデメリットとは?
これらの学校のデメリットといえばお金がかかるということでしょうか?日本では公立学校で授業料はかかりません。しかしロンドンでは日本人学校も私立学校になっています。
日系幼稚園の一例でいえば申込金、制服、入園料などを含めた学費は1年間で約140万、日本人学校では1年間で約120万円です。送迎バスが出ていますので徒歩通学できない場所に住んでいる場合はさらに通園、通学のバス代もかかります。
- ロンドン日本人学校:http://www.thejapaneseschool.ltd.uk/
- 立教英国学院:http://www.rikkyo.co.uk/
- 帝京ロンドン学園:http://www.teikyofoundation.com/
ロンドンの現地校(公立校と私立校)
公立学校は日本と同様の学区制になっており、これをキャッチメントエリアと言います。自分の住む地区の役所のウェブサイトで学校を探して申込をするという手順です。
下記は日本人が多く住むイーリングという地区のウェブサイトです。
https://www.ealing.gov.uk/site/
学校から家までの距離によって優先順番が決まってきます。公立学校は枠があり希望校に入れるとは限りません。このため人気の学校に入るためにわざわざ学校のそばに引越して来る家族もいるほどです。
希望の学校に入るには
人気の公立学校に入るためにウェイティングリスト(予約リスト)に名前を入れてもらい、順番が来るまで他の私立学校に通いながら空きを待つという人もいます。
学校の人気指標はofsted学校査察のレポートにより明らかになります。オフステッドの評価が高いと人気が高まりますし評価が低いと人気は下がります。
これまで学校から4キロまでの住宅が範囲だった学校が、オフステッドの評価が上がり2キロ以内になることもあるのです。
ロンドンの私立学校の授業料は日本の私立学校の何倍もかかる学校もありますので、公立の評判の良い学校はたとえ少し待ってでも入りたいという人が殺到するのです。現地校の公立学校は基本的には無料です。かかるお金は制服代くらいでしょう。d
https://www.ealing.gov.uk/info/201114/apply_for_primary_school
私立学校は、Independent schoolと言います。私立学校の特徴は学校によりさまざまです。例えばアートの時間に美術館に行く、水泳がある(ない学校もあります)、遠足が多いなど、アクティビティに力を入れている学校もあります。
日本人が多く住む場所にある私立学校では過去日本人を受け入れたことがあれば先生達は扱いに慣れていることもあります。
ただ慣れているというだけで、面倒見がよいという意味ではありません。基本的には個人主義ですので自分で動かなければ助けてはくれません。
移民が多いため英語が母国語ではない生徒のために補習をしている学校もあります。
- 日本人が多く通う現地私立校:https://www.millhill.org.uk/belmont/
現地校の私立の授業料には幅がありますが日本の私立学校と同等くらいから年間300万円くらいかかる学校もあります。寮がある学校であればそれ以上かかることもあります。
インターナショナルスクールは私立学校より高いことで有名です。例えば都心に近いSouthbank International schoolでの学費の一例です。3才のクラスの学費のみで年間約230万円、Grade11の16才ですと年間約420万ほどかかります。
ロンドンのインターナショナル校ではStudent Visaを出している学校があります。近年日本からロンドンに留学している子供が増えています。このビザは保護者1人と子供に対して発行されるビザです。
子供だけインターに通わせている日本人もいますし、保護者ビザで現地に滞在している人もいます。現地校のインターナショナル学校でStudent Visaを発行している学校は限られているので、申込欄からよく調べることが必要です。
ロンドンの現地校などに通っているとその自由さから日本に戻っても親子ともども日本の学校になじめないこともあります。
その場合日本国内のインターナショナルスクールなどが選択肢に入ってきますが、日本のインターナショナルスクールは国が義務教育現場と認定していないため卒業資格がもらえません。
そのため公立中学、高校などを受験する資格が受けられないことがあります。私立学校はこの限りではありません。日本の学校を受ける場合に中学卒業、高校卒業認定試験を受けなければ認定されない場合もあるので注意が必要です。
海外に留学する場合は世界的に認められている国際バカロレア資格を取れる学校を選ぶとよいでしょう。日本でも近年、国際バカロレア資格を取得できるインターナショナル校が増えています。
現地の学校に通わせるには、年が上がるにつれ将来をよく考えて選択することが重要になります。
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現地校と日本の学校の大きな違い
学校生活の中で違う点は多々あります。小さなことで言えば、校内でも土足であること、小学校は公立でも制服があること(ただスーパーなどで1着1000円以内で買えます)。
係や当番は日本の学校のようにたくさんありませんし、親が学校に行かなければいけないことはほとんどありません。PTAはありますが強制ではなくやりたい人がします。毎年やりたい人はいます。
しかしPTAといっても日本のように係はありませんし会議などのために何度も学校に出向くこともありません。授業参観はほとんどありません。低学年で年1回あるかどうかです。
学校で時々お手伝いを募集することがあります。近くのプールや校外学習の付き添い、お手伝いなどです。学校に行くことがほとんどなく、学校での子供の様子を知る貴重な機会なので、このような募集はあっという間に埋まってしまいます。
学校からのプリント物は少なく、イベントがある際にもらってくる程度です。提出プリントなどがあったとしても日本のようにチェックされるわけではないので、出さなければそのまま放っておかれます。
みんなが出した後で気づいて先生に後日聞くと「あなたは提出していないですよ」で終わりです。学期末のレポートでは提出物について少し注意されるかもしれません。
大きなイベント、日本でいう林間学校や修学旅行は同じようにありますが、この為の説明会はありません。注意事項の紙が配られるだけです。
運動会はスポーツデイという名前で開催されますが、休日ではなく平日に行われます。日本のようにお祭り的ではなく体育の授業の延長線上のような感じです。
赤白で対決するのではなく、たいてい4つのチームカラーで競います。チームカラーは学校に入った時点で決められます。
子どもたちの競技を見たい人は見に行きますし、行かない人もいます。マスゲーム的なものはありません。応援合戦のみです。
教科書は毎年学校のものを使うので持ち帰れませんし、ノート、文房具などはすべて支給されます。
現地校へいきなり入ると…
日本から日本人学校を経ずいきなり現地校に入ったご家族の方はかなりとまどっています。
また英語がわからず入ってくる人も多いので、宿題がないと思っていたら同じ学校にいる日本人のご家族と話をしてようやく宿題や提出物があることがわかったという人もいます。
提出物などは出さなくても日本のように何度も督促されません。自分から先生に聞かないと教えてくれないのです。
親が先生に聞きたいことや確かめたいこと等がある場合、帰りにちょっと立ち話というようなことはできません。なぜなら先生は授業が終わったらすぐに帰るからです。場合によっては生徒と同じ時間に校門を出る先生もいます。
先生に質問がある場合は、話をするためにアポイントを事前に取る必要があります。病院と同じような感覚です。
日本の学校では長い休み(夏休みなど)は先生が交代で学校に出ます。夏休みには登校日などがあったりします。イギリスの学校では休み中は先生は学校に来ません。登校日もありません。
学期中にはハーフタームという7日から10日の休みがあります。私立の学校は公立に比べてハーフタームが長めです。その理由はハーフタームの前後に先生達の研修や出張などが組み込まれているからなのです。
いじめへの対応
ロンドンの私立の学校はいじめに対してすばやく対処するという姿勢を取っています。各学校のウェブサイトを見ると必ずこの項目を見つけることができます。
先生との懇談は毎学期行われます。学校にもよりますが日本のように担任の先生だけではなく校長、副校長、担任、副担任、各教科の先生と複数の先生とで行われます。母親だけではなく父親も多数参加しています。
ロンドンの現地校に通わせる場合の注意点
ロンドンの教育は日本の教育と全く違っておりとまどうことが多くあります。英語については学齢が低いほど吸収も早く、半年ほど経つと慣れてくる子供もいます。
小学校の高学年になっているのであれば日本への帰国時期を検討しながら決めなければ、日本の学校に戻って子供が苦労することになるので注意が必要です。
イギリスのビザ事情は年々厳しくなっており延長など認められない場合も増えています。当初考えていた渡英期間より短い期間で帰国する人も増えています。
子供の学校について帰国子女枠を考えて渡英したものの、その期間までイギリスに在住することができず帰国を余儀なくされている人もいます。
特に中学受験などを考えている方は、日本に残って受験をするか、中学までロンドンにいて帰国子女枠で入るかなど選択肢はさまざまです。
ロンドンには日本の学校を受験するための塾がいくつかあります。日本の学校に準拠した授業をしている塾や受験に対応している塾もあります。
ロンドンの塾で使用している教材は日本の塾と同じもの(例えば四谷大塚の教材等)を使用していますし進度も同じですのでその点では違いはありません。ロンドンと日本の塾で大きく違うのは通う回数と人数です。
日本だと地域によっては小学4年生から最低週3回、5年生になると週5回塾に通っている子もおり宿題は膨大ですし毎週テストがあります。テストでいえばロンドンは月1回のペースです。
日本の塾では人数が多いのでテストでクラスが入れ替わるなど毎週緊張しながらテストを受けることになるので子どもにとっては毎週のテストで本気を出さざるを得ないということがあり、いい意味で受験本番まで緊張感を持続させることができます。
また日本人がいるからという理由で学校を選ぶと、学校に行っても現地のお友達とつきあうことなく日本人で固まってしまうこともありますし、少ない日本人同士でのお付き合いで親子ともにトラブルになることもよく聞く話です。
まとめ
ロンドンではさまざまな国籍の人が住んでおり毎日生活するだけでもいろいろな価値観を有した人と関わるため、国際的な視野を持つことができるでしょう。子供は学校で過ごす時間が長いので、通う学校によりさまざまな影響を受けるでしょう。
子供の学齢、性格、滞在期間などを考えながら上手にロンドンでの学校を決めたいですね。
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