イギリスの社会ってどんな社会なんでしょうか。こちらに来て10年ですが、初めてイギリスに来たとき、想像と大きく違うことを感じました。
私は社会学が専門ではありませんので、学術的な視点よりも、いち生活者として、日本とは違うイギリス社会の特徴を3つに絞ってご紹介します。
社会保障
「ゆりかごから墓場まで」はイギリス発祥の言葉。第二次世界大戦後、社会福祉を充実させるためのスローガンでした。
イギリスに住んでいると、いろいろな機関または個人が国の補助に頼っているのが分かります。
政府のウェブページGOV.UKでBenefitつまり給付金について検索してみました(https://www.gov.uk/browse/benefits)。
出てきた種類は、家族給付金、介護・障害者給付金、子供給付金、死亡給付金、光熱住居給付金、求職者給付金、税金控除と出てきました。
イギリスに来てからははじめの5年間は夫が持つ労働ビザの扶養として来ていましたし、永住ビザを取得してからも自分も働いていたので給付金のお世話にはなることがありませんでした。
でも、子供を産んでからはこの国の給付金やさまざまな免除にお世話になっています。
手厚い保障
まず出産が無料(NHSや医療については次の項で)、妊娠してから産後一年は歯科治療が無料、子供の歯科治療が18歳まで無料、子供給付金受給、と至れり尽くせりといった印象です。
しかし、一方で、国が助けてくれるのが当たり前、というような悪しき風潮も一部で感じられます。実際に問題にされることがよく良くあります。
社会保障で暮らすのが当たり前になっている社会が一部あり、両親、祖父母、おじやおばなどの親戚中もだれも就職を経験したことがない、という話もマスコミでとりあげられたりします。
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NHSと医療制度
イギリスの医療は無料です。これはすばらしいです。イギリスの国民保健サービスはNational Health Service略してNHSと呼ばれます。
1948年に設立されていて、2017年現在、国家予算の20%ほどが使われているようです。
でも、この予算は減らされつつあり、イギリスへ仕事や留学に来る人は一律にNHS料として費用を請求されるようになりました。
私が来た10年前はありませんでしたから、今後も金額など大きく変わるでしょう。
医療が無料なのはすばらしいですが、日本のように医療サービスが受けられなくて、もどかしい思いをすることがあります。
医者の予約がとりずらい、医者に会えても「様子を見てください」と言われるだけで何もしてくれないと感じたり。
これは私もそうでしたが、日本から来た方はみなさんよくお感じになることです。
でも、ぜひ考えていただきたいのは、無料ということは限りある予算の中で、国民の医療をまかなっているのです。なので節約できるものはなるべく節約しなければならないのです。
一方で、診察しただけでも医療費が請求できる日本の医療は、患者へのサービスが必然的に増えます。
この社会の仕組みが大きく違うことはほとんどのみなさんが経験されることだと思います。
イギリスに住む外国人(移民)
イギリスに来たことがある方は、「いろんな人がいる」という印象をもたれたのではないでしょうか。
かつては外国からの移住者にはとても寛大なところがあったイギリスですが、今はまったくそれと正反対に外国からの移住者、つまり移民の数を減らそうとしています。
外国出身でイギリスで生活している限り、私も移民の一人。ビザの手続きなどからも、生活環境が少しずつ変わっていることを感じます。
というものの、イギリス社会はこの移民の頼るところがとても多いのも現実。
かつてはバスの運転士が足りなくて、インドからたくさん人を連れてきたり、カリブ諸国から労働者を募ったりしたこともありました。現在もその子孫がたくさん住んでいます。
また、NHSも他国出身のお医者さんや看護師がたくさん働いていますし、学校の先生も。
こういった人たちなしではイギリス社会は成り立たない….?と心配する声をたくさんあるのが現実です。
では実際にどのぐらいの人が住んでいるのでしょうか。
Foreign-born population of the United Kingdom(イギリスにおける外国生まれの人口)について記事からご紹介しましょう。
ちょっとクイズ形式にしてみましたので、挑戦してみてください。
1.イギリス外で生まれて現在イギリスに住んでいる人はどのぐらい?
- A. 800人に1人
- B. 80人に1人
- C. 8人に1人
答え: C. 8人に1人。
人口の13%がイギリス外で生まれた人で7.7%がEU以外の国々、3.6%がEUの国で生まれた人だそうです。
2.どの国で生まれた人が一番多いでしょうか?
- A.ポーランド
- B. パキスタン
- C. インド
答え: C. インド。
インドは776,603人、ポーランドが703,050人、パキスタンが540,495人となっています。
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3.次の国で生まれた人はどこが一番多いでしょうか?
- A.日本
- B. 中国
- C. 韓国
答え: B. 中国。
人数は182,628人、続いて日本が40,127人、韓国は6,767人です。
4.2001年と2010年の調査結果で減ったのはどの国生まれの人?
- A.アメリカ
- B. 南アフリカ
- C. アイルランド
答え: C. アイルランド。
537,108人から503,288人に減ったそうです。
まとめ
日本とイギリスの社会の違いを少しでも知ることができたらうれしいです。
イギリスで生活をはじめると、こういった違いに驚いたり、戸惑ったりすることが多々あるかもしれませんが、「郷に入っては郷に従え」で慣れていくしかないものです。
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